四季異変解決後、博麗神社に新しい住人が現れた。正確には古株なのだが、今回の異変で表に現れたのである。その名も――――――――――。
「高麗野あうんです! 今後ともよろしくお願いします!」
高麗野あうん。長い時、博麗神社を密かに見守っていた狛犬である。
――――――――――――――――
あうんの朝は早い、日が上り始める頃には目を覚まし、境内に行き、ジンと共に掃除を始める。
「おはようあうん」
「おはようございますジンさん、今日も良い一日ですね」
朝の挨拶をかわし、掃除を始める二人。いつもジンの掃除を見ていたので、掃除はスムーズに終わる。
「あうんのおかげで、早く掃除が終わるな。本当に助かるよ」
「いえ、これくらい御安い御用です」
あうんは満面の笑顔で答える。彼女にとって、神社の掃除は楽しいもののようである。
「朝はこれくらいにしよう。そろそろ朝御飯が出来る頃だしな」
「はい!」
掃除を切り上げ、母屋に帰る二人。境内は心無しか、いつも以上に綺麗になっているように見えた。
朝食を済ませたあうん。この時間になると、博麗神社の住人は各々の行動をする。
先ずは主たる霊夢。普段は神社でのんびりしているが、この日は妖退治の依頼を受けているので、人里に向かう事になっている。
次にジンは、今日は寺子屋での手伝いの日なので、霊夢と共に人里に向かう予定である。
妖狐は神社の留守番。この時期は参拝客は少ないので、彼女一人でも大丈夫なのだ。
ピースと針妙丸の二人は、三妖精と遊ぶ約束をしている。
正邪は、朝食を済ませた後何処かへと行ってしまった。
残ったあうんというと――――。
「今日は霊夢さんの御手伝いをします!」
その日のあうん予定は、霊夢の御手伝いとなった。
――――――――――――――――
こうして霊夢の手伝いとして、人里にやって来たあうん。門を潜ると、そこで一緒に来ていたジンと一旦お別れである。
「それじゃあ俺はここで、二人とも頑張れよ」
「あんたもねジン」
「はい! 一生懸命がんばります!」
ジンはそのまま寺子屋に行き、霊夢とあうんは今回の依頼主の元へと向かった。
今回の依頼主は、とある農家の人間である。
作物を荒らされた事から、最初は動物だと思い駆除しようとしたが、荒らしていたのは動物ではなく、妖であった。その事から、専門家の霊夢に依頼が舞い込んだのである。
「それじゃああうん、追跡お願いね」
「はい!」
霊夢がそう言うと、あうんは元気良く返事をし、二人に分身する。そして鼻をクンクンさせると、二人同時に口を開いた。
「「向こうから臭います!」」
「よし、それじゃあちゃっちゃっと終わらせるわよ」
霊夢とあうんは、そのまま妖を追跡を開始した。
本来なら、霊夢の神術等で位置を特定をするのだが、今回はあうんがいるので、彼女に任せてみる事にした。
追跡を開始してから暫くして、二人は妖怪山の麓まで来ていた。
分身状態のあうん、四方八方に臭いを嗅ぎ、少しずつ妖の位置を探り当てていた。
「見つけました霊夢さん!」
あうんが分身を解除し、指をさした方向には、大きな猪が眠っていた。どうやらあれが畑を荒らした妖のようである。
「見た感じ、妖怪一歩手前みたいね。この程度ならすぐ終わるわ」
霊夢は札と針、御払い棒を構えようとした時。あうんが口を開く。
「あ、あの霊夢さん! あの妖の退治、私にお任せください!」
「え? 大丈夫なの?」
「はい! 御期待に添えます!」
そう言って、あうんは意気揚々と妖の方へと駆け出した。霊夢は、本人がやる気満々ということもあり、今回は任せてみようと、見守る事にした。
――――――――――――――――
夕暮れ、寺子屋の手伝いを終えたジンは、夕飯の買い出しを済ませ、神社に帰ろうとしていた。そんな時に、あうんを背負って歩く霊夢とバッタリ合った。
「あ、仕事お疲れ霊夢。あうんはどうした?」
「疲れて寝ちゃったわ、ちょっと張り切り過ぎたみたいね」
「まあ、頑張り屋だからな。背負うの変わろうか?」
「別に良いわよ、起こすのも忍びないし。それに、大した重さじゃないから」
「そうか・・・なんだが、お姉さんって感じがするな」
「まあ、うちの神社には手の掛かるのばっかだからねぇ。っていうか、人外住みすぎだと思うんだけど!?」
「あー、うんまあ、今更だな。でも、悪くは無いだろ?」
「うーん・・・まあね、悪くは無いわ」
そうこう話しているうちに、博麗神社が見えて来た。こうして三人は夕日に照らされながら、博麗神社へと帰って行く