東方軌跡録   作:1103

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 数か月ぶりに投稿にこぎつげました。
 今年は一月からいろいろありまして、インフルエンザが仕事場で流行ってしまい、更には自分も掛かったり、十連休のせいで仕事の量が半端なかったりと、とても苦しい数か月でした。
 どうにか令和になる前に一話を投稿出来ましたが、今後は仕事の量がどうなるか分からないので、不定期になると思いますが、続けていきたいと思っています。


地底の太陽

新年が明けた幻想郷、特にこれといった事件は無く、平和な年明けを迎えたが、地底の旧都ではとんでも無い事件が起きていた。

 

「これは一体何なんだ?」

 

「お面? それにしてもでかいな」

 

「こんな大きなお面、一体誰が被るんだ?」

 

旧都の鬼や妖怪達は、突如現れた巨大なお面に驚き関心を抱いていた。

高さ三メートル、その左右には何やら冠状の帯のような物が伸びており、全長に至っては十メートル以上もあるその巨大なお面。謎は好奇心を呼び、瞬く間に幻想郷中に広まったのである。

 

――――――――――――――――

 

ここは博麗神社。雪に包まれ、毎度の事ながら雪かきをしているジンの元に、文とはたての二人がやって来ていた。

 

「へえ、これが地底で噂になっている巨人のお面か」

 

ジンが見ているのは、はたてが念写した噂のお面の写真であった。それを見せて、二人はジンに頼み事をする。

 

「そうなんですよ、こんなビックなネタを記者として取り逃がす訳いけない…いかないのですが!」

 

「鬼がいる地底に行くのは、流石に……」

 

「ええっとつまり、代わりに取材に行って欲しいと?」

 

「「お願い! ちゃんとアルバイト代出すから!」」

 

土下座をする勢いで、ジンに頼み込む二人。ジンはそんな二人の思いを無下にする事は出来るはずもなく、二つ返事で地底に現れた巨大なお面の取材に行く事となった。

 

――――――――――――――――

 

地底に行く事となったジンであったが、流石に一人だけでは取材は大変だと思い、今回の件で興味を持った面霊気のこころと、秘封倶楽部会長の菫子が手伝いとして同行してくれた。

 

「それじゃあ旧都に行くわけだが、忘れ物は無いか?」

 

「メモ帳良し、カメラ良し」

 

「先生ー、おやつは持って来て良いですかー?」

 

「邪魔にならなければ持参は許可する。準備は出来ているようだから、旧都に向かうぞ」

 

「「おー!」」

 

遠足気分で、三人は巨人のお面があるとされる地底の旧都へと向かうのであった。

 

 

 

 

噂のお面の場所に到着した三人であったが、やはりというべきか、噂を聞きつけた見物客で溢れかえっており、遠回りにしか見る事は出来ない状態であった。だが、お面が大きいおかげで、遠くからでもその姿を見る事が出来た。

 

「でかいな、あんなの一体誰が被るんだ?」

 

「巨人とか?」

 

「巨人ねえ…幻想郷では見ないけど、もしかしたら何処かにでもいるのかもな」

 

お面の事で話し合うジンと菫子。そんな中、こころだけがじっとお面の方を見ていた。

 

「どうしたこころ?」

 

「……間違いない、あれは祈りのお面よ」

 

「「祈りのお面?」」

 

「どういった経緯かは知らないけど、多くの祈りが籠ったお面みたい。宗教的な物で間違いないと思う」

 

「つまり、あれは御神体って事か?」

 

「多分」

 

「まあ確かに、あれだけ大きいと何か拝みたくはなるわよね」

 

「そうだな。もしかしたら、何処ぞのマイナーな宗教団体の御神体で、人々から忘れ去られたから幻想入りしてきたのかも知れないな」

 

「ああ、あり得そう」

 

(うーん、それにしては強い信仰が籠っているだけど……)

 

謎の多い巨大なお面、三人はあちらこちら取材を行ったが、結局正体が分からないままであった。

その正体がわかったのは更に数ヶ月後の事であった。

 

――――――――――――――――

 

すっかり暖かくなり、春の陽気を感じられるようになったある日、菫子は家でのんびりテレビを見ていると、ある特集番組が行われていた。

 

《今から五十年以上前に行われた日本万国博覧会、通称万博。その万博のテーマとして作られた太陽の塔、実はこの塔には知られざる四つ目の顔が存在する事を、皆さんはご存知でしょうか?》

 

番組のアナウンサーが、万博について語り始める。菫子も、知識としては万博も太陽の塔も知ってはいたが、四つ目の顔が存在する事は今初めて知った。だがこの後、彼女の度肝を抜かす映像が映し出される。

 

《太陽の塔には、未来表す黄金の顔、現在を表す正面胴体部の太陽の顔、過去を表す背面の黒い太陽があります。そして四つ目は地下に存在する、人の祈りや心の源を表す地底の太陽の顔がありました。しかし四つ目の顔は残念ながら行方が分かっておらず、消息は掴めていない幻の顔となりました。これがそのレプリカです》

 

「……え? えぇー!?」

 

菫子が思わず声を上げてしまった。それもその筈、彼女が見た物は幻想郷の旧都で見た、あの巨大なお面そのものだったからである。

 

――――――――――――――――

 

菫子は幻想郷に行くと、ジンにこの事を話していた。

 

「なるほど、あれは外の物だったのか。しかし、太陽の塔の四つ目の顔か……」

 

「ジンさんは知ってた?」

 

「いや。そもそも万博は俺が生まれる前の時代だからな、太陽の塔が四つ顔があることも、さっきの話で知ったばかりだ。俺世代だと、知っている奴はいないんじゃないか?」

 

「なるほど……でも、なんで地底に出てきたのかしら?」

 

「さあ? もしかしたら、地下にあった物だし、そのまま地の底である旧都に幻想入りしたんじゃないか?」

 

「なるほどー」

 

「詳しいことは分からないが、テレビで話題になっているのなら、近い内に外の世界に戻るかもな」

 

「忘れ去られた物で無くなるから?」

 

「そういう事、それが幻想郷だ」

 

ここは忘れ去られたものが行き着く場所、地底にある地底の太陽は、いずれは外の世界に戻るだろう。その日まで、かの太陽は幻想郷の地底にあり続けるだろう。

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