「寒いな~、冬間近か~」
寒空の下、ジンは寺子屋から帰っていた時の事である。
ふと、一軒の民家で一人の少女を見掛ける。
(何だあの子・・・・・?)
不思議と思い、しばらく様子を見てみる事にした。
どうやら、民家の住民が少女を引き留めようとしているようだ。
しかし、少女は申し訳なさそうにおじきをし、その場を去ったその次の瞬間―――。
「なっ―――!?」
少女はまるで煙のように姿を消した。
―――――――――――
博麗神社に戻ると、ジンはさっそくこの事を霊夢に話始めた。
「それは座敷わらしね」
「座敷わらしって、あの有名な?」
「そうよ。
最近、座敷わらしが消えるって話をよく聞くわ」
「それって異変なんじゃ―――」
「まだ何とも言えないわね・・・・・取り合えず、それに詳しいそうな妖怪に聞いてみるから」
「詳しいそうな妖怪? それって―――」
「私の事よ」
すると突然、何もないところからスキマが現れ、そこから紫が現れた。
「久し振りねジン。元気そうね」
「紫も、相変わらず神出鬼没だな」
「それで紫。原因はわかったの?」
霊夢がそう聞くと、紫は扇子を開きながら話始める。
「どうやら、外の世界で座敷わらしの需要が増えているらしいのよ。
何でも、町おこしに利用されているみたい」
「何ともまあ・・・・・」
「外の奴等がよく考えそうな事だな・・・・・」
「でもどうするの?
座敷わらしが去って、里の人達は困っているみたいだけど?」
「それなら大丈夫。
代わりの妖怪を見つけて来るから。それじゃ」
そう言って、紫はスキマの中に消えて行った。
「何だか・・・・・とてつもなく不安なんだか・・・・・」
「同感ね・・・・・」
二人は一抹の不安を感じたのであった。
―――――――――――
それから数日後。
ジンと霊夢は、神社にやって来た魔理沙と華仙に、座敷わらし失踪のについて話始めた。
「なるほど、そんな事が・・・・・」
「でもよ、外は妖怪なんて存在を信じない奴等ばかりなんだろ?
座敷わらし達は大丈夫なのか?」
「そうだな。
あくまで座敷わらしがいる事実じゃなくて、いる噂が必要なんだ。
だから、本物座敷わらしが出ようが出まいが、関係無いと思う」
「それは酷いわね・・・・・」
「外の人間なんてそんなものだ。
第一、俺自身もここに来るまでは、妖怪の存在を信じていなかったからな」
「ジンが言うと、説得力あるわね・・・・・」
「それで? 紫が座敷わらしの代わりの妖怪を見つけて来るって話だが・・・・・実際はどうなんだぜ?」
「それに関しては、何とも・・・・・」
「お待たせ~」
すると、現れたスキマから紫が出て来た。
「本当に、神出鬼没ねあんた。
それで? 見つかったの?」
「ええ、ピッタリの妖怪を見つけたわ」
そう言って紹介したのは、一体のゴブリンであった。
「「「えええーーーー!!?」」」
ゴブリンを知らない霊夢、魔理沙、華仙の三人は驚きの声を上げた。
「もしかして・・・・・ゴブリンか?」
「そうよ。
ホフゴブリンと言って、人の家に住み着いて、繁栄をもたらす。
まさに、西洋版座敷わらしよ」
「「「これが・・・・・?」」」
紫は自信満々で、ホフゴブリンを紹介するが。
ゴブリンを初めて見る三人には、その姿はとても受け入れがたいものだった。
―――――――――――
それから更に数日後。
取り合えず様子見で、里に置いたホフゴブリンであったが、不評に相次ぐ不評で、神社に退治依頼が絶えなかった。
「駄目だな。
あんな気味悪い奴等じゃ、愛くるしい座敷わらしの代わりにはならないぜ」
「そうね・・・・・里の人達から苦情ばっか来ているし。
ここは退治しておいた方が良いわ」
「待て待て霊夢!
ゴブリン達は何もしていないだろう?それなのに退治ってのは――――」
「だって、こんなに退治依頼が来ているのよ!」
霊夢が指した先には、山になるほどのホフゴブリン退治の依頼状であった。
「ゴブリンって奴等には悪いけど。
このまま放置しては、神社の沽券に関わるのよ」
「それはそうだが・・・・・。
華仙はどう思う?」
「わ、私? そうね・・・・・。
里の人達が怖がっているから、追い出――――」
ふと、華仙はジンの視線を感じた。
それはまさに、“お前もか華仙”っと言わんばかりの視線であった。
「――――すのは流石に可哀想だと思うわ」
「でも、どうするんだ?
このまま放置って訳にもいかないぜ?」
「それに関しては、一つだけ当てがある」
「当てがある? それって一体・・・・・?」
「西洋の妖怪なら、西洋の者に面倒をみて貰う。
そう、紅魔館だ」
―――――――――――
紅魔館の応接間。
そこでジンは、レミリアとホフゴブリンについて話をしていた。
「つまり、里にいるホフゴブリンを。全部うちで引き取ってくれと?」
「無茶苦茶な事を言っているのは承知だが、他に当てが無いんだ」
「ふむ・・・・・」
レミリアは紅茶を優雅に一口飲んでから、ジンの頼みに答えた。
「良いわよ別に」
「本当か?」
「ええ。
うちの館は無駄に広いから、人手がいくらあっても足りなかったのよ。
寧ろ、こちらにとっては願ってもいない申し出よ」
「そうか、それは助かった。
これで、あいつらが退治される事も無くなるな」
「ふふっ、貴方って本当に御人好しね」
「俺はそんなんじゃ―――」
「御人好しよ。
貴方にとって、ホフゴブリンはそんな親しい間からではない筈なのに、親身になって力になっている。
中々の御人好しよ」
「だから、そんなつもりは無い。
俺はただ、不当な暴力が嫌いなだけだ」
「ふーん。
貴方がそう言うなら、そういう事にしておくわ。だけど、一つだけ忠告するわ。
あまり御人好し過ぎていると、いつか身を滅ぼすわよ?」
「・・・・・わかった、一応気を付ける」
「よろしい。
それよりも――――咲夜」
「はい、こちらでございます」
何処からともなく、咲夜が現れ、一本のワインを置いて消えた。
「ちょっと、鬼になって頂戴♪」
「・・・・・・・・一体何で?」
「私達は吸血鬼だから、太陽の下で動くのは大変なのよ。
だから、宴会の時やこういう時ぐらいしか、角を触れないじゃない」
「そんなに気に入ったのか?」
「もちろん♪
出来るなら折って、部屋に飾りたいぐらいよ」
「いくらでも触らせてやるから、折るのだけは勘弁してくれ・・・・・」
ジンはワインを飲み、鬼人に変身する。
そして頭には、立派な角が生えた。
「それじゃ、早速―――」
レミリアは、ジンの頭に生えた角を触ろうとしたその時―――――。
「ジーン♪」
「フラン!?」
フランがドアを吹き飛ばし、ジンに目掛けて突進して来る。
そしてジンは、それを受け止める。
「ごふっ!」
「えへへ、今回は手加減出来たよね?」
「いや・・・・・鬼人になっていなかったら死んでいたぞ・・・・・」
「ジン、大丈夫なの?」
「な、何とかな・・・・・」
「何も無理して、フランを受け止めなくても良かったのよ?」
「それはどういう意味なの? お姉様?」
「言葉通りの意味よ。
貴女は手加減が上手く出来ないのだから、ジンを怪我させてしまうでしょ?」
「むぅ~」
「まあ確かに、まだまだ手加減は出来ていないが。
今の状態なら、フランを受け止められると思ってな」
「ジン・・・・・ありがとう♪」
フランはそのままギュッと、ジンを抱き締める。
その力は強く、鬼人となっているジンの体でも、ミシミシと軋む音がなった。
「あだだだ! フ、フラン・・・・・力入れすぎだ・・・・・!」
「えへへ♪」
「まったく・・・・・だから言ったじゃない。
“あまり御人好し過ぎていると、身を滅ぼすわよ”って。
まあ、それが貴方の良いところなのよね」
レミリアはそう呟くが、ジンの耳に届く事はなかった。
―――――――――――
それから数日後。
里からホフゴブリンがいなくなり、里に平和?が訪れていた。
しかし、相変わらず座敷わらしは帰って来なかった。
そんなある日、ジンが里で買い出しをしている時の事である。
「あれ? 華仙か?
一体何をしているんだ?」
「あ、ジン。
ちょっと向かいの民家を見ていたのよ」
「ん? あそこがどうかしたのか?」
「ついさっき、あそこの座敷わらしが帰って来たのよ。
しかも、都会かぶれしていて・・・・・」
華仙の話によると、いつしか出ていった座敷わらしが、お洒落をした状態で帰って来たらしい。
「やっぱりな」
「やっぱりって・・・・・貴方はこうなると知っていたの?」
「ああ。
元々、外に妖怪の居場所は殆どいない。
居場所無ければ、帰るべき場所に戻るのが自然だろう」
「帰るべき場所ね・・・・・。
取り合えず、これで一件落着かしら?」
「そうだな、座敷わらしが帰って来たのなら、今回の事件も終わりだろうな」
こうして、座敷わらしの失踪事件は終わりを告げたのであった。
一方、ホフゴブリン達はというと。
紅魔館でせっせと働き、住民はもちろん、特に咲夜は大助かりしたという。
めでたし、めでたし。
書いていて思ったんですが、レミリアのキャラが上手く書けません・・・・・。
なかなか難しいものです・・・。