東方軌跡録   作:1103

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座敷わらしの失踪

「寒いな~、冬間近か~」

 

寒空の下、ジンは寺子屋から帰っていた時の事である。

ふと、一軒の民家で一人の少女を見掛ける。

 

(何だあの子・・・・・?)

 

不思議と思い、しばらく様子を見てみる事にした。

どうやら、民家の住民が少女を引き留めようとしているようだ。

しかし、少女は申し訳なさそうにおじきをし、その場を去ったその次の瞬間―――。

 

「なっ―――!?」

 

少女はまるで煙のように姿を消した。

 

―――――――――――

 

博麗神社に戻ると、ジンはさっそくこの事を霊夢に話始めた。

 

「それは座敷わらしね」

 

「座敷わらしって、あの有名な?」

 

「そうよ。

最近、座敷わらしが消えるって話をよく聞くわ」

 

「それって異変なんじゃ―――」

 

「まだ何とも言えないわね・・・・・取り合えず、それに詳しいそうな妖怪に聞いてみるから」

 

「詳しいそうな妖怪? それって―――」

 

「私の事よ」

 

すると突然、何もないところからスキマが現れ、そこから紫が現れた。

 

「久し振りねジン。元気そうね」

 

「紫も、相変わらず神出鬼没だな」

 

「それで紫。原因はわかったの?」

 

霊夢がそう聞くと、紫は扇子を開きながら話始める。

 

「どうやら、外の世界で座敷わらしの需要が増えているらしいのよ。

何でも、町おこしに利用されているみたい」

 

「何ともまあ・・・・・」

 

「外の奴等がよく考えそうな事だな・・・・・」

 

「でもどうするの?

座敷わらしが去って、里の人達は困っているみたいだけど?」

 

「それなら大丈夫。

代わりの妖怪を見つけて来るから。それじゃ」

 

そう言って、紫はスキマの中に消えて行った。

 

「何だか・・・・・とてつもなく不安なんだか・・・・・」

 

「同感ね・・・・・」

 

二人は一抹の不安を感じたのであった。

 

―――――――――――

 

それから数日後。

ジンと霊夢は、神社にやって来た魔理沙と華仙に、座敷わらし失踪のについて話始めた。

 

「なるほど、そんな事が・・・・・」

 

「でもよ、外は妖怪なんて存在を信じない奴等ばかりなんだろ?

座敷わらし達は大丈夫なのか?」

 

「そうだな。

あくまで座敷わらしがいる事実じゃなくて、いる噂が必要なんだ。

だから、本物座敷わらしが出ようが出まいが、関係無いと思う」

 

「それは酷いわね・・・・・」

 

「外の人間なんてそんなものだ。

第一、俺自身もここに来るまでは、妖怪の存在を信じていなかったからな」

 

「ジンが言うと、説得力あるわね・・・・・」

 

「それで? 紫が座敷わらしの代わりの妖怪を見つけて来るって話だが・・・・・実際はどうなんだぜ?」

 

「それに関しては、何とも・・・・・」

 

「お待たせ~」

 

すると、現れたスキマから紫が出て来た。

 

「本当に、神出鬼没ねあんた。

それで? 見つかったの?」

 

「ええ、ピッタリの妖怪を見つけたわ」

 

そう言って紹介したのは、一体のゴブリンであった。

 

「「「えええーーーー!!?」」」

 

ゴブリンを知らない霊夢、魔理沙、華仙の三人は驚きの声を上げた。

 

「もしかして・・・・・ゴブリンか?」

 

「そうよ。

ホフゴブリンと言って、人の家に住み着いて、繁栄をもたらす。

まさに、西洋版座敷わらしよ」

 

「「「これが・・・・・?」」」

 

紫は自信満々で、ホフゴブリンを紹介するが。

ゴブリンを初めて見る三人には、その姿はとても受け入れがたいものだった。

 

―――――――――――

 

それから更に数日後。

取り合えず様子見で、里に置いたホフゴブリンであったが、不評に相次ぐ不評で、神社に退治依頼が絶えなかった。

 

「駄目だな。

あんな気味悪い奴等じゃ、愛くるしい座敷わらしの代わりにはならないぜ」

 

「そうね・・・・・里の人達から苦情ばっか来ているし。

ここは退治しておいた方が良いわ」

 

「待て待て霊夢!

ゴブリン達は何もしていないだろう?それなのに退治ってのは――――」

 

「だって、こんなに退治依頼が来ているのよ!」

 

霊夢が指した先には、山になるほどのホフゴブリン退治の依頼状であった。

 

「ゴブリンって奴等には悪いけど。

このまま放置しては、神社の沽券に関わるのよ」

 

「それはそうだが・・・・・。

華仙はどう思う?」

 

「わ、私? そうね・・・・・。

里の人達が怖がっているから、追い出――――」

 

ふと、華仙はジンの視線を感じた。

それはまさに、“お前もか華仙”っと言わんばかりの視線であった。

 

「――――すのは流石に可哀想だと思うわ」

 

「でも、どうするんだ?

このまま放置って訳にもいかないぜ?」

 

「それに関しては、一つだけ当てがある」

 

「当てがある? それって一体・・・・・?」

 

「西洋の妖怪なら、西洋の者に面倒をみて貰う。

そう、紅魔館だ」

 

 

―――――――――――

 

紅魔館の応接間。

そこでジンは、レミリアとホフゴブリンについて話をしていた。

 

「つまり、里にいるホフゴブリンを。全部うちで引き取ってくれと?」

 

「無茶苦茶な事を言っているのは承知だが、他に当てが無いんだ」

 

「ふむ・・・・・」

 

レミリアは紅茶を優雅に一口飲んでから、ジンの頼みに答えた。

 

「良いわよ別に」

 

「本当か?」

 

「ええ。

うちの館は無駄に広いから、人手がいくらあっても足りなかったのよ。

寧ろ、こちらにとっては願ってもいない申し出よ」

 

「そうか、それは助かった。

これで、あいつらが退治される事も無くなるな」

 

「ふふっ、貴方って本当に御人好しね」

 

「俺はそんなんじゃ―――」

 

「御人好しよ。

貴方にとって、ホフゴブリンはそんな親しい間からではない筈なのに、親身になって力になっている。

中々の御人好しよ」

 

「だから、そんなつもりは無い。

俺はただ、不当な暴力が嫌いなだけだ」

 

「ふーん。

貴方がそう言うなら、そういう事にしておくわ。だけど、一つだけ忠告するわ。

あまり御人好し過ぎていると、いつか身を滅ぼすわよ?」

 

「・・・・・わかった、一応気を付ける」

 

「よろしい。

それよりも――――咲夜」

 

「はい、こちらでございます」

 

何処からともなく、咲夜が現れ、一本のワインを置いて消えた。

 

「ちょっと、鬼になって頂戴♪」

 

「・・・・・・・・一体何で?」

 

「私達は吸血鬼だから、太陽の下で動くのは大変なのよ。

だから、宴会の時やこういう時ぐらいしか、角を触れないじゃない」

 

「そんなに気に入ったのか?」

 

「もちろん♪

出来るなら折って、部屋に飾りたいぐらいよ」

 

「いくらでも触らせてやるから、折るのだけは勘弁してくれ・・・・・」

 

ジンはワインを飲み、鬼人に変身する。

そして頭には、立派な角が生えた。

 

「それじゃ、早速―――」

 

レミリアは、ジンの頭に生えた角を触ろうとしたその時―――――。

 

「ジーン♪」

 

「フラン!?」

 

フランがドアを吹き飛ばし、ジンに目掛けて突進して来る。

そしてジンは、それを受け止める。

 

「ごふっ!」

 

「えへへ、今回は手加減出来たよね?」

 

「いや・・・・・鬼人になっていなかったら死んでいたぞ・・・・・」

 

「ジン、大丈夫なの?」

 

「な、何とかな・・・・・」

 

「何も無理して、フランを受け止めなくても良かったのよ?」

 

「それはどういう意味なの? お姉様?」

 

「言葉通りの意味よ。

貴女は手加減が上手く出来ないのだから、ジンを怪我させてしまうでしょ?」

 

「むぅ~」

 

「まあ確かに、まだまだ手加減は出来ていないが。

今の状態なら、フランを受け止められると思ってな」

 

「ジン・・・・・ありがとう♪」

 

フランはそのままギュッと、ジンを抱き締める。

その力は強く、鬼人となっているジンの体でも、ミシミシと軋む音がなった。

 

「あだだだ! フ、フラン・・・・・力入れすぎだ・・・・・!」

 

「えへへ♪」

 

「まったく・・・・・だから言ったじゃない。

“あまり御人好し過ぎていると、身を滅ぼすわよ”って。

まあ、それが貴方の良いところなのよね」

 

レミリアはそう呟くが、ジンの耳に届く事はなかった。

 

―――――――――――

 

それから数日後。

里からホフゴブリンがいなくなり、里に平和?が訪れていた。

しかし、相変わらず座敷わらしは帰って来なかった。

そんなある日、ジンが里で買い出しをしている時の事である。

 

「あれ? 華仙か?

一体何をしているんだ?」

 

「あ、ジン。

ちょっと向かいの民家を見ていたのよ」

 

「ん? あそこがどうかしたのか?」

 

「ついさっき、あそこの座敷わらしが帰って来たのよ。

しかも、都会かぶれしていて・・・・・」

 

華仙の話によると、いつしか出ていった座敷わらしが、お洒落をした状態で帰って来たらしい。

 

「やっぱりな」

 

「やっぱりって・・・・・貴方はこうなると知っていたの?」

 

「ああ。

元々、外に妖怪の居場所は殆どいない。

居場所無ければ、帰るべき場所に戻るのが自然だろう」

 

「帰るべき場所ね・・・・・。

取り合えず、これで一件落着かしら?」

 

「そうだな、座敷わらしが帰って来たのなら、今回の事件も終わりだろうな」

 

こうして、座敷わらしの失踪事件は終わりを告げたのであった。

一方、ホフゴブリン達はというと。

紅魔館でせっせと働き、住民はもちろん、特に咲夜は大助かりしたという。

めでたし、めでたし。




書いていて思ったんですが、レミリアのキャラが上手く書けません・・・・・。
なかなか難しいものです・・・。
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