何処かで見たタイトルと思いますが、気にしないでください。
妖怪山の麓に、萃香と大きめな壺を背負っているジンが訪れていた。
二人はあるものを求め、ここに訪れていたのだ。
「さあ! 幻の黄金酒虫をみつけるぞー!」
「お、おー・・・」
何故こうなっているかと言うと、少し時間を遡る―――。
―――――――――――
博麗神社、いつもの日課をこなしているジンの元に、萃香がやって来た。
「おーい、ジンいるかー?」
「お、萃香じゃないか、今日は宴会の予定は無いぞ」
「そうじゃないよ、ちょっとジンに手伝って貰いたい事があって」
「俺に?」
「そう、黄金酒虫って奴を捕まえるのを手伝って欲しいんだ」
「黄金・・・酒虫?」
「あ、先ずは酒虫について説明した方が良いか」
萃香は酒虫について説明し始めた。
話によると、酒虫は酒を産み出す妖で、少量の水で大量の酒を生産する事から、酒好きの鬼は重宝しているのだ。
「なるほど、それで黄金酒虫ってのは?」
「酒虫の希少種さ。見た目や酒の質、どれも他の酒虫より凌駕してるんだよ」
「それを捕まえるって訳か」
「その通り。手伝ってくれるよね?」
「まあ、出来る範囲なら・・・」
「ジンなら承諾してくれると思った。
それじゃ、早速行くよ」
「え? 今からか?」
「そうだよ! 急がないと、他の奴等に先を越されるよ!」
「ちょ、ちょっと待―――」
「問答無用!」
「う、うわぁ!?」
萃香はジンを担ぎ、強引に連れ去っていった。
「ジーン、お茶にするわよ。・・・ジン?」
霊夢がやって来た時には、境内に箒だけが残されていた。
―――――――――――
時間を戻し、ジンは萃香に強引に連れて来られ、黄金酒虫の捜索をしていた。
「なあ萃香、本当にこんな所にいるのか?」
「確かな情報――とは言えないけど、川遊びしていた河童が目撃したんだ。
確か・・・ここ辺りだと思ったんだけどな・・・」
「いつ頃目撃したんだ?」
「うーん・・・数日前だと思うんだけど・・・」
「それじゃ軌跡は残っていないな・・・駄目もとで、見てみるか。
もしかしたら、いつもここを通っているかも知れないし」
「流石ジンだ。こういう時頼りになるね」
ジンは能力を発動させ、軌跡を視始める。
しかし、肝心な黄金酒虫の姿はなかった。
「残念だが、来てはいないようだな」
「そうか・・・ガセだったのかな・・・?」
「まだ決まった訳では無いだろ。もう少し調べてみよう」
ジンは周囲の軌跡を隈無く視始めた。
それから日が落ちるまで探したが、結局見つかる事はなかった。
「萃香、今日はここまでにしよう。これ以上は危険だ」
「そう・・・だね・・・」
萃香は酷く落胆していた。
それだけ、黄金酒虫を見つけたかったのだろう。
「そう落ち込むな萃香、また明日探せば良いだろ」
「いや・・・これだけ探しても見つからないなら、河童達の見間違いだよ」
「萃香・・・」
「無理に付き合わせて悪かったね。
さあ、帰ろうか!」
萃香は元気よく言うが、それが見えだという事にジンは気づいていた。
「ああそうだな、帰ろう」
ジンは、気づかない振りをした。
そして二人は、妖怪山を後にした。
―――――――――――
博麗神社に戻って来ると、怒り心頭中の霊夢が出迎えた。
「・・・何か言いたいことはあるかしら?」
「・・・一言、掃除を放り出してすまなかった」
「・・・はあ、そんな素直に謝れたら、怒れないじゃない・・・」
「悪い事をしたら、素直に謝るのが家訓なんでな」
「もう良いわ・・・それで何処に行っていたの?」
「ああ、実は―――」
ジンは萃香と共に黄金酒虫を探していた事を話した。
「なるほどね・・・そんな事があったの」
「凄く落ち込んでいたなけど、それは黄金酒虫が見つからないだけじゃない気がしたんだが・・・」
「もしかして・・・」
「何か心当たりが?」
「ちょっと・・・ね。昔、萃香が異変を起こした事があるの」
霊夢は萃香が起こした異変について話始めた。
彼女は旧都にいる鬼達を呼び戻そうと能力を使い、三日置きの宴会を開き続けた事があった。しかし、それは結局失敗に終わった。
「もしかしてだけど、その黄金酒虫を使って、もう一度呼び戻そうとしているんじゃない?」
「そうか・・・・・・なあ霊夢」
「言っておくけど、協力は出来ないわよ」
「まだ何も言っていないだろ」
「どうせ、“萃香の為に黄金酒虫を捕まえて、旧都の鬼達を呼んで宴会を開こう“なんて考えているんでしょ?」
「うっ・・・」
「良いジン? 私は博霊の巫女、自ら妖怪を呼び込むなんて事はしてはいけないの。
どうしてもやりたければ、あんた一人でやりなさい」
それは一見ジンを突き放す言葉であったが、裏を返せば、“手伝う事は出来ないけど、邪魔はしない”という意味であった。
「・・・ありがとう霊夢」
「何のこと? それよりも晩御飯にするわよ」
霊夢は何事もなかったかのように、神社に入って行った。ジンも笑みを浮かべ、その後について行った。
―――――――――――
次の日、ジンは早速黄金酒虫を探し始めた。
山の麓に赴くと、そこに魔理沙とサニー達がそこに居た。
「あれ? 魔理沙にサニー達じゃないか、一体どうしたんだこんな所に?」
「いや、ちょっと昨日の話を聞かせてもらってな、私達も交ぜて欲しいだぜ」
「サニー達は?」
「私達は魔理沙さんのお手伝いです」
「スターの能力を使えば、直ぐに見つけられるんだから」
「ここは私に任せなさい」
「そうか、それは心強い。頼りにしている」
ジンはスターの頭を撫でると、先に進み始めた。
それを確認すると、魔理沙とサニー達は話始めた。
「まったく・・・霊夢の奴も素直じゃないよな、ジンの手伝いをしてくれなんて。
自分で手伝えば良いのに」
そう、魔理沙達は霊夢の頼みで探す手伝いをしに来たのである。
「ま、まあ、霊夢さんの立場からして、手伝えないんだし。
ここは、私達が霊夢さんの代わりにジンを助けるべきですよ」
「お前達の場合は、以前酒虫を盗み出した事をチャラにする為だろ」
「うっ・・・」
ジンが幻想郷に来る以前、サニー達は酒虫を盗み出した事があった。
その後永淋に騙され、酒虫を奪われてしまった。
その事は、霊夢が酒虫探しの手伝いをサニー達に頼む際に露見してしまった。
「そ、それもあるけど、やっぱり本物の酒虫の味を知りたいもんね!」
「そうね! 希少種って言うんだから、きっと凄い美味しい筈よ!」
「そうだな、私も本物を飲んでみたいぜ」
「それじゃ、張り切って黄金酒虫を探しましょう!」
「「「おー!」」」
「おーい、いつまでそこにいるんだー。日が暮れるぞー」
「ああ、今行く!」
ジンに呼ばれ、四人はジンの元に急いだ。
こうして、四人の黄金酒虫を探し始めた。
―――――――――――
それから数日が経過した。
四人の捜索も空しく、黄金酒虫は未だに見つからなかった。
それでも、ジンは諦めずに探し続けていた。
そして今日も、日が落ちはじめていた。
「そろそろ日が落ちるな・・・。今日はここまでにしよう」
「そうだな・・・おーい、そろそろ帰るぞー」
「はーい・・・キャア!?」
ルナは足を滑らせ、転がり落ちてしまった。
「ルナ!?」
「まったく何やってんのよ!」
四人は急いで、落ちたルナの元に急いで向かった。
「大丈夫かルナ?」
「いてて・・・大丈夫・・・ん?」
「どうしたのルナ?」
「彼処に・・・」
ルナが指した先には、洞窟があった。
「こんな所に洞窟が・・・」
「ちょっと調べてみるね」
スターは能力を使い、洞窟内に何かいるか調べ始める。すると、洞窟から大きな反応があった。
「何かいるみたいね」
「一応調べて見るか・・・サニー達はここで待っててくれ。魔理沙、頼む」
「任せておけ」
「き、気を付けてね」
サニー達に見送られたジンと魔理沙は、洞窟に入って行った。
洞窟に入った二人は、魔理沙のミニ八卦炉で照らしながら進んでいた。
「さて、鬼が出るか蛇が出るか」
「出来れば、黄金酒虫が出て来て欲しいな」
「それは行ってからのお楽しみ・・・を?」
魔理沙は、奥から光が出ている事に気づいた。
その光は、太陽の光と全く異なる物であった。
「奥の方に何かあるぜ! 行ってみよう!」
「あ、おい! 置いて行くな!」
ジンは先に行こうとする魔理沙の後を急いで追った。
すると、そこには光る湖が存在した。
「水が・・・光ってる?」
「これ・・・全部酒だぜ! 飲んでみろよ!」
「どれどれ・・・確かに、酒だな」
「するとここは・・・あ!」
魔理沙の視線の先には、黄金色に輝く酒虫なの姿があった。
「見つけた! あれに間違いないぜ!」
魔理沙は泉に入って捕まえようとする。
黄金酒虫は魔理沙が近づいても逃げる気配はなく、簡単に捕まえられた。しかし―――。
「むぎぎぎ・・・」
見た目に反して酒虫は重く、まったく持ち上がる気配はなかった。
「小さいくせに、凄い重いな・・・」
「交代だ魔理沙、俺がやってみる」
今度はジンが持ち上げようとする。しかし、少し浮く程度で、とてもじゃないが持ち運べそうにもなかった。
「駄目だ・・・とてもじゃないが持ち運べない・・・」
「こいつらが逃げない訳が、何となくわかって来たぜ・・・」
「うーん・・・どうするか・・・」
「どうする? 一度戻って萃香を呼ぶか?」
「いや、明日もここにいるとは限らない。今持って行きたいんだが・・・」
「持って行きたいって、これだけ重いと鬼でないと無理だぜ」
「鬼・・・それだ!」
何かを閃いたのか、ジンは突然泉の酒を飲み始めた。
「ジン!? 一体何を――」
「酒を飲んで鬼人になるんだよ。鬼の腕力なら、持ち運べるだろ」
「それ確かに・・・けど、酔い潰れるなよ」
「ここに来てから、酒に対して耐性がついて来ているから、心配無用だ」
そう言って、酒を飲み続けるジン。
その額から、徐々に鬼の角が生えて来る。
「これだけ・・・飲めば大丈夫・・・」
「おい、何かフラフラだけど、大丈夫か?」
「大丈夫・・・だ、問題・・・無い」
ジンはおぼつかない足取りで黄金酒虫に近づき、それを軽々と持ち上げた。
「それじゃ・・・外に・・・出るぞ・・・」
「頼むから、途中でダウンするなよな」
魔理沙は、フラフラのジンを支えながら、酒の泉を後にした。
―――――――――――
萃香は、博麗神社に続く階段を楽しそうに登っていた。
(招待状を出すなんて珍しい・・・これは面白い事が起きるかも♪)
数日前、萃香はジンから招待状を受け取っていた。
招待状を送るということは今までなかったので、好奇心を抑えられなかった。
「とーちゃ・・・・・・」
階段を登りきり、境内に足を踏み入れた萃香は言葉を失う。
境内にはいつも通りに人と妖怪が宴会の準備をしていた。
しかし、その中にの鬼の姿もあった事に、萃香は目を疑った。
すると、勇儀が声を掛けて来た。
「お、萃香じゃないか、そんな所で突っ立てないで、準備を手伝いなよ」
「勇・・・儀? これは・・・?」
「ジンの奴が黄金酒虫を捕まえたんだよ。それで皆で飲もうって招待されたんだ。他の奴等も同じだよ」
「ジンが・・・」
「おっ、噂によれば、おーいジン! 萃香が来たぞ!」
勇儀がジンを呼び出す。
その呼び声に応じて、ジンはやって来る。
「来たのか萃香」
「ジン・・・どうして・・・」
「別に他意は無い。ただ、せっかく捕まえたんだから、皆で飲もうと思ってな」
「そう・・・なんだ・・・」
「まあ、そんな訳で、今日は思いっきり楽しもう」
「お、おい!」
ジンは萃香の手を引き、宴会の中に入って行った。
―――――――――――
深夜、宴会騒ぎは収まり、誰もが酔い潰れて寝ていた。
「う、うーん・・・」
「おや、目が覚めたかい」
ジンが目を覚ますと、萃香の顔が見えた。どうやら、彼女に膝枕をされているようだ。
「萃香・・・?」
「そう、私だよ」
ジンは起き上がろうとするが、頭が上手く回らなかった。
「無理に起きない方がいいよ。しばらく寝てたな」
「あ、ああ・・・」
ジンは萃香の言われた通りに、彼女の膝に頭を預けた。
「他の皆は?」
「大半の奴等は帰ったけど、そのまま寝ちゃった奴等もいるよ」
「そうか・・・」
それから暫く無言が続いた。
春の優しい風が、二人を優しく撫でる。
「・・・少し、昔話を話すよ。
昔、鬼と人は共にあった。鬼は人を攫い、自らを退治に来た人間との勝負を愉しむ。
そして、鬼を倒した人間には鬼の優れた技術や宝を譲り渡す。
これが、鬼と人の交わされた盟約で、互いに手を取り合う関係だったんだ」
「・・・なんか、幻想郷の在り方みたいだな」
「そうだね、これは一つの信頼関係の形だった。
けど、そう思っていたのは鬼だけだった・・・」
そう言うと、萃香は寂しそうに言葉を続けた。
「鬼と人の間には、歴然の差があった。そこで人は、鬼が最も嫌う“嘘”を用いて、鬼を討とうしたんだ」
「・・・・・・」
「そして、人間に失望した鬼達は、地上を去って行ったんだ」
「それが、鬼がいなくなった理由か・・・」
「そうさ。
それ以来、鬼は忘れ去られてしまった」
「・・・なあ、一つ聞いても良いか?」
「なんだい?」
「それなら、萃香はどうして地上にいるんだ? 他の鬼のように、人を見限らなかったなのか?」
その質問に、萃香は何処か言いづらそうに答えた。
「その・・・まあ、自分に嘘つけなかったんだ・・・」
「自分に?」
「ああ、“人と共に在りたい”その気持ちだけは偽れなかったんだ。
そして出来れば、人と鬼のかつての在り方に戻したかった」
「それで、霊夢が言っていた異変を起こしたのか・・・」
「なんだ、霊夢の奴話したのかい。
そうだよ、私の力で人を集めて、宴会を起こし続ければ、皆が戻って来る。そう思ったんだ。だけど―――」
「結局、失敗に終わった・・・」
「うん、結局仲間達は戻って来なかった・・・でも」
萃香はジンの頭を優しく撫でた。それはまるで、我が子を撫でるかのように―――。
「お前の誠実さが、皆をここに呼び戻してくれた。一時でも、私の願いを叶えてくれて、ありがとう」
「そんな・・・俺はただ、皆と一緒が良いと思っただけだ」
「その思いが、ここにいる皆を集めたんだ。
改めて言うよ、ありがとうジン」
その萃香の言葉が、ジンの心に響いた。
その後、二人が何を語り合ったのか、それは桜だけが知っている。
今回は完全ご都合主義です。
それとジンの鬼人化ですが、重要な部分以外は描写していないだけで、宴会などはしょっちゅう鬼人化しています。
いちいち書いてあるとウザイかな?と思っているんですが、一応書いといた方がいいですかね?