東方軌跡録   作:1103

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まず、いくつか報告させていただきます。

一つ目は、ブロックユーザーについてです。これは活動報告にもあったように、手違いで感想をしてくれた全てのユーザーをブロックしていたらしいです。
これに気づいたのは、一月八日です。感想をくれた方々には、深くお詫びいたします。

二つ目は、ようやく原作ゲームを手に入れた事です。これで自分も未プレイから卒業できます。
現在紅魔郷をプレイしていますが、まだクリアはしていません。ノーマルでこれなら、ハードやルナティックはどうなる事やら・・・・。


天魔大局将棋 前編

ここは妖怪山の麓。

河童の住みかの一角で、ジンと椛は将棋を指し、にとりはそれを観戦していた。

 

「・・・・・・」

 

「・・・・・・」

 

「・・・王手」

 

「!?」

 

「言っておくが、待った無しだぞ」

 

「ううっ・・・ありません」

 

椛は頭を下げて、負けを認めた。

 

「今回は俺の勝ちだな」

 

「で、ですが、まだまだ勝率はこちらが上ですよ!」

 

「だけどジンは上達速いからね。うかうかしていると追い越されるよ?」

 

「そ、そんな事はありません!

ジン、もう一回やりませんか?」

 

「いや、流石にそんな時間は無いぞ。只でさえ時間が掛かるからな、この天狗大将棋は」

 

ジンは、一際大きな将棋盤と数十個の駒を見て呟く。

二人がやっていたのは天狗大将棋というもので、天狗達が独自で考案、アレンジした将棋である。

この将棋の特徴は、普通の将棋に比べて駒が多いのだ。これは、一局を長くやれるようにした結果である。

その為、一局数時間は掛かるのだ。

 

「仕方ありませんね・・・勝負は後日にお預けです」

 

「そうだね、次はいつぐらいに?」

 

「しばらくは無理そうですね。最近山でゴタゴタがありましたから・・・」

 

「ん? 何かあったのか?」

 

「詳しくは知りませんが、守矢の神が色々と揉めているようで・・・」

 

「詳しく知りたいな・・・・・・文! いるんだろ!」

 

そう叫ぶと、木の影から文がひょっこり現れる。

 

「あやや、やはり気づいていましたか」

 

「え、文先輩? どうしてここに?」

 

「大方、俺と椛を記事にしようとしてたんだろ」

 

「ええ、タイトルは“下っ端白狼天狗と博麗の神主、禁断の逢い引き”にしようと考えています」

 

「な、何を書こうとしているんですか!? やめて下さい!」

 

「私も一応いるんだけどな・・・」

 

「おや、そうでした。

それでは、“河童と下っ端白狼天狗と神主のドロついた三角関係!”に変更ですね」

 

「余計に酷くなっているじゃないですか!?」

 

椛は文の手帳を奪おうとするが、文はそれをひょいひょいとかわす。

見かねたジンは、口を開く。

 

「その辺にしておいてくれ文、椛が困っているだろ。

ネタが無いなら、今度探すのを手伝うから」

 

「・・・仕方ありませんね、今回はこのネタは使わないでおきましょう」

 

「た、助かった・・・」

 

「それで? 山の情勢についてですか?」

 

「ああ、教えられる範囲で」

 

「それでしたら、明日の文々新聞を読んで下さい。それでは!」

 

そう言い残し、文は飛び去って行った。

 

「ええ!? 教えないんですか!?」

 

「そして何気なく、新聞の販促をするとは・・・狡猾だね」

 

「仕方ない、明日の新聞を待つか・・・」

 

ジンはそう言いながら、片付けを始めるのであった。

 

―――――――――――

 

次の日、ジンは文々新聞を読んでいた。

 

「なになに、“八坂神奈子と白狼天狗の対立は深まる”・・・神奈子達も大変だな」

 

「何が大変なの?」

 

朝食を手に、霊夢はジンに聞いてきた。

 

「ああ、山の情勢についてだ。なんでも、架空索道設置で揉めているらしい」

 

「架空索道?」

 

「ああ、詳しい事はここに書いている」

 

ジンは霊夢に新聞を手渡す。

新聞によると。人里の信仰を集める為に、守矢神社に繋がる架空索道を作るという話があった。

架空索道というのは、外の世界でいうロープウェイである。これによって、安全に守矢神社に行けるという算段なのだ。

霊夢は少し関心したが、やがて飽きたようにジンに返した。

 

「守矢の連中も、色々やっているわね」

 

「まあ、彼処は山頂にある上に、閉鎖派がいるからな・・・。信仰を集めるのは大変なんだろ」

 

「それに比べて、うちは安泰よね♪」

 

「あんまり油断していると、参拝客が減じゃないか?」

 

「その時は、ジンが何とかしてくれるよね?」

 

「まあ・・・やれる範囲でならな」

 

そんな話をしていると、ドタドタと縁側を走る音が近づいて来る。そして襖を勢いよく開けられた。

 

「ジンさんいますか!?」

 

「さ、早苗?」

 

「何よいきなり! いくら常識を捨てたと言っても非常識過ぎるわ!」

 

「すみませんが、非常事態なので、ジンさんを借りて行きます!」

 

そう言って早苗は、有無言わさずジンを連れ出して行ってしまった。

 

「あ! 逃がすか!」

 

霊夢も直ぐ様早苗の後を追いかけて行った。

 

 

早苗をコテンパンにし、ジンを救出した霊夢は、ジンを連れ出した経緯を追求し始めた。

 

「で? どうしてジンを連れ出そうとしたのよ?」

 

「え、えっと・・・実はジンさんに将棋の代打ちをお願いしたくて・・・」

 

「代打ち? 何でまた?」

 

「知っていると思いますが、今山で架空索道の設置で神奈子様と白狼天狗達がが揉めています。

それで、此度の決着を将棋で決めようとなったのです」

 

「それなら俺じゃなくても、神奈子ならそれなりに強かった思うが?」

 

「まあ、普通の将棋だったら良かったんですが・・・今回はちょっと違うみたいなんです」

 

「違うって・・・まさか天狗大将棋か?」

 

「違います。天魔大局将棋です」

 

「天魔大局将棋?」

 

「はい、何でも天狗大将棋に更に駒を追加し、天狗達の将棋の中でも駒が最多の将棋なんですよ」

 

「なるほど、唯でさえ多い天狗大将棋なのに、更に増やされてしまったら、駒の動きを覚えきれないって事か」

 

「はいそうなんです!天狗大将棋をした事があるジンさんなら、出来るんじゃないかと思いまして」

 

「それなら、あんたの所の河童に代打ちを頼めば良いじゃないのよ。河童だって打てるんでしょ?」

 

「“そんな大役を受けれない“って、尻込んじゃって・・・」

 

「だからって、ジンを巻き込まないでよね」

 

「そ、そこを何とか・・・」

 

「ダメダメ、帰った帰った」

 

「私も引き下がれないのです! 何としても連れて行きますよ!」

 

「ちょ、ちょっと待て! 二人共落ち着け!」

 

二人は再び弾幕勝負を再開しようとしていたので、ジンは必死になだめた。

 

「取り合えず、話はわかった。引き受けよう」

 

「流石ジンさん♪ 話がわかる人ですね」

 

「ちょっとジン!」

 

「霊夢の言いたい事は分かるが・・・ちょっと耳を貸せ」

 

ジンは早苗に聞こえないように霊夢に耳を打ちした。

 

「ほら、ここで貸しを作れば、いろいろと有利だろ?

例えば、架空索道で営業とか」

 

「な、なるほど、そういう考えもあるよね・・・」

 

霊夢はやや納得し始める。

しかし、これは神奈子達の手助けをする為の方便であった。

 

(霊夢には悪いが、こうでも言わないと行かせてくれないからな・・・)

 

「でも、酒虫の世話はどうするの?」

 

「それは萃香に頼もう。あいつなら、酒虫に詳しいだろ」

 

「うーん・・・」

 

霊夢はしばらく唸っていたが、やがて観念し―――。

 

「わかったわ。そこまで言うなら、行かせて上げる。

ただし、終わったら真っ直ぐに帰ってくるのよ」

 

「わかってる」

 

こうして、代打ちを引き受ける事になったジンは、早苗と共に守矢神社に向かうのであった。

 

―――――――――――

 

「神奈子様ー! 諏訪子様ー! ただいま戻りました!」

 

守矢神社に到着すると、神奈子と諏訪子が二人を出迎えた。

 

「お帰り早苗。そして、よく来てくれたねジン。

こうして合うのはダムの一件以来か」

 

「ああ、久しぶりだな神奈子。諏訪子も、元気そうでなりよりだ」

 

「まあね。それよりも、いつも厄介事を押しつけてごめんね」

 

「そんな事は無い。二人には、いろいろと学ばさせて貰ったからな。これぐらい御安いごようだ」

 

「そう言ってくれると助かるよ」

 

「大体の経緯は早苗から聞いたね?」

 

「ああ、天魔大局将棋だろ? 詳しいルールを知りたいんだが」

 

「一応、ルールブックは貰っておいた。これがそうさ」

 

神奈子はジンに一冊の解説本を手渡した。

その内容によると、二百種類以上の駒を使う事がわかった。

天狗大将棋の物もあったが、それを差し引いてもかなりの新規駒の動きを覚えなければならない。

しかも、自軍、敵軍合わせて八百以上の駒が存在する。誰が見ても、長期戦になるのは目に見えていた。

 

(これは直ぐに帰れそうにないな・・・)

 

そう思いながらも、ジンはルールブックをしっかりと読み続けた。

 

 

一通り読み終えたジンは、本を閉じた。

 

「ところで、勝負の日は?」

 

「明日だ。だから今日はうちで泊まってきな」

 

「そうさせて貰う」

 

「早苗、案内しておやり」

 

「はい、それではジンさんこちらです」

 

早苗はジンを客室へと案内し始めた。

 

「ところでジンさん、勝てる見込みはありますか?」

 

「うーん・・・今回はかなり変則的な将棋だからな・・・相手次第だな」

 

「そうですか・・・そう言えば、ジンさんは天狗大将棋の腕前はどれくらいなんですか?」

 

「知らないで代打ちを頼んだのか?」

 

「だって・・・他に当てがなかったんですよ」

 

「はあ・・・取り合えず、そこそこだとは思っているが」

 

「そこそこですか・・・少々頼りないですね」

 

「・・・帰るぞ?」

 

 

「わわ! 冗談ですから!」

 

「まあいい、頼られた以上、全力でやるだけだ」

 

「私も、全力で応援しますから!」

 

「ありがとう。それじゃ」

 

ジンは明日に備えて部屋で休むのであった。

 

―――――――――――

 

次の日、ジンは控え室で勝負の時を待っていた。

 

「いよいよですねジンさん。勝負の意気込みは?」

 

「・・・なんで文がここにいるんだ?」

 

「もちろん取材ですよ」

 

いつのまに控え室に来ていた文は、何処か生き生きしていた。

 

「いやー、まさかこんなに早くネタを提供して貰えるなんて、流石はジンさんです」

 

「たまたまだって・・・ところで、相手は誰なのか知らないか?」

 

「対戦相手ですか? うーん・・・」

 

文はしばらく考えこみ、やがて口を開く。

 

「そうですね・・・ジンさんにはいつも贔屓なっていますから、特別に教えましょう」

 

文は対戦相手の事を話始める。

彼女の話によると、白浪天狗の中でもかなりの腕前を持つ相手らしい。

 

「それは手強そうだな・・・」

 

「手強いと思いますが、今回行うのは天魔大局ですので、付け入る隙はあると思いますよ」

 

「そうだな・・・いつも通りやるだけやるか」

 

「その意気ですよジンさん」

 

そんな話をしていると、ジンを呼びに来た早苗がやって来た。

 

「ジンさん、時間です。あれ? 文さんいつのまに・・・」

 

「少し取材させて貰いました。

それではジンさん、御健闘をお祈りします」

 

そう言って、文は素早く控え室を後にした。

 

「さて、俺達も行こうか」

 

「はい」

 

ジンと早苗は、これから勝負を行う大部屋に向かうのであった。

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