元になった話は、東方心綺楼と話が繋がっているらしいのです
因みに、自分は未だに紅魔郷をクリアしていません。
取りあえず美鈴までクリアしたのですが、パチェリーのステージで悪戦苦闘です。
本当にクリアできるのか? 日に日に不安を感じています。
夏のある日、博麗神社の境内では、能楽が披露されていた。
能楽を披露している少女の名は秦こころ。
彼女は以前、能力を暴走させてしまい、異変を起こしてしまった事がある。
その時は霊夢とその他の者達が解決したのだが、依然能力が安定せず、このままだと付喪神からただの道具に戻ってしまうらしい。
そこで、能楽をやる事によって安定させようとしているのだ。
「博麗酒の次は能楽か・・・今年の博麗神社は色々とやってるな」
能楽を見ながら、魔理沙は呟いた。
そんな彼女の元に、饅頭を販売していた霊夢がやって来る。
「ちょっと魔理沙、この博麗饅頭も忘れないでよね」
博麗饅頭。霊夢が考案した、神社の新しい名物(予定)である。
もっとも、饅頭に博麗という文字が付いているだけなのだが。
「そうは言っても、能楽や酒に比べるとインパクトが弱いぜ。
あと・・・味も普通だしな」
魔理沙は饅頭を一つ食べながら、素直な感想を霊夢に伝えた。
「悪かったわよね。普通の饅頭で。
どうせ私には、商才が無いんだから」
「そう拗ねるなって、だからこそジンがいるんだろ?」
「まあね。商売については、勝てる気がしないわ」
そう言って、演目を終わらせたこころを労うジンを見る。
神社で能楽をやる事に対してあまり乗り気ではなかった霊夢だったが、マミゾウとジンに説得され、了承した経緯があった。
「それにしても、イマイチよくわからないな」
「そうね・・・抽象的過ぎて、イマイチよくわからないのよね・・・」
「そうだな・・・ん?」
ふと、魔理沙の視界に映ったのは、木の影から能楽を盗み見ている小鈴の姿であった。
「あれは・・・小鈴ちゃんじゃない」
「一体、何をしてるんだ?」
不思議に思いながら、二人は小鈴に声を掛ける事にした。
「小鈴ちゃん、そんなところで何をしているの?」
「!? あ、霊夢さんに魔理沙さん。 もう・・・驚かせないでください」
「そっちが勝手に驚いているんだろ? 一体なにをしているんだぜ?」
「私は今、監視をしているんですよ」
「「監視?」」
「ええ、あの人をです」
そう言って、小鈴の視線の先には、こころの姿があった。
どうやら、小鈴はこころを監視しているようだった。
「こころがどうかしたの?」
「ええ、これを見てください」
そう言って、小鈴はとある巻物を二人に見せた。
そこに書かれていたのは、何とも面妖な絵であった。
「小鈴ちゃん、これは?」
「私のところにあった妖魔本です。
これによると、あの能楽師がやっている演目は感情を奪う仮面喪心舞 暗黒能楽なのです!」
小鈴はシュバッと腕を掲げて力強く言うが、霊夢と魔理沙はまったくもって、彼女の言葉を信じていないようだった。
「「ふーん・・・」」
「ふーんって、一大事なんですよ!
きっと、幻想郷中の感情を奪おうと暗躍しているのに違いありません!」
「そうは言われてもねぇ・・・」
「そうだな、どうせ偽書とかなんかだろ? 心配し過ぎじゃないか?」
「だけど・・・・」
「はいはい、何かあったら私達がなんとかするから」
「・・・わかりました」
小鈴はイマイチ納得はしていなかったが、その日は帰って行った。
霊夢と魔理沙は、小鈴から聞いた話をジンに話した。
「そんな事があったのか・・・」
「まあ、どうせ戯書かなんかだろ。気にする必要は無いだろ?」
「そういう訳にはいかない。
変な噂が流れれば、参拝客が来なくなるかもしれないからな」
ジンの言葉を聞いた霊夢は、今まで呑気だった気持ちが無くなり、事態の深刻さに気がつく。
「それは大変じゃない! 早く何とかしないと!」
「そうは言ってもな・・・誤解を解くのは難しい事なんだ」
「じゃあ、どうするのよ?」
「うーん・・・」
「それに関しては、儂に任せてくれないか?」
すると、いつの間にかそこにマミゾウが立っていた。
どうやら、今までの話を聞いていたらしい。
「マミゾウ? 何か案があるのか?」
「まだ思いつかないが、少し小鈴殿と話してみようと思っとる。何か打開策が思い浮かぶかも知れんからの」
そう言って、マミゾウは神社を後にした。
―――――――――――
鈴奈庵についたマミゾウは、何気ない顔で小鈴に話し掛けた。
「こんにちは小鈴殿」
「あ、いらっしゃいマミさん。今日は買い取りですか?」
「いや、今日は本を見に来たのじゃよ。何か入荷しとらんか?」
「はい、新刊がいくつか入って来ていますよ」
そう言って、小鈴は新刊コーナーへと案内する。
そんな中、マミゾウは何気なく能楽について聞いた。
「そう言えば、博麗神社では新しい催し物をやっているそうじゃが?」
「え? そ、そうですね・・・」
「ん? 一体どうしたんじゃ?」
「・・・マミさん、実は―――」
小鈴は、霊夢達に話した仮面喪心舞 暗黒能楽をマミゾウにも話した。
一方マミゾウは、小鈴の話を真摯に聞いた。
「なるほど・・・それにしても、なぜ儂に話すのじゃ?」
「霊夢さんや魔理沙さんにもお話したんですが、相手にされなくて・・・。もう、頼れるのはマミさんだけなんです!」
「ジンには話たのか?
あやつは、こう言った話はちゃんと聞いてくれるぞ」
「ダメです! ジンさんは主催者なんです! もしかしたら、あの能楽師とグルかも知れないんです!」
「そ、そうか・・・」
(これは意外じゃのう・・・てっきり、霊夢を疑うと思ったんじゃが・・・)
「それで、これが仮面喪心舞 暗黒能楽について書かれた物です」
そう言って、小鈴は巻物を拡げる。
それを見たマミゾウは、しげしげと見始める。
「なるほど・・・小鈴殿、これをしばし預からせて貰えぬかの?
詳しく調べれば、何かわかるかも知れぬ」
「本当ですか! ぜひお願いします!」
「うむ、それでは儂は帰らせて貰おう。それではまた」
マミゾウは仮面喪心舞 暗黒能楽の巻物を手に、鈴奈庵を後にするのであった。
―――――――――――
次の日、マミゾウは仮面喪心舞 暗黒能楽の巻物を手に神社に訪れ、ジンと霊夢に巻物の鑑定結果を報告した
「結論から言うと、これは天狗が書いた戯書じゃよ。真っ赤の嘘ぱっちじゃ」
「やっぱりね、そんなんじゃないかと思ったわ」
「じゃが、やはり妙な噂が里に流れておる。
どうも、能楽が解りづらく、少々不安を抱いているようじゃ」
「解りづらい・・・演目を変えるしかないか?」
「それも一つの手じゃが、ただ変えるだけじゃダメじゃ。客にわかりやすいようにしないと、堂々巡りにあうぞい」
「そうは言われても、俺達は能楽には詳しく無くてな・・・」
「その辺は儂に任せろ。既に新しい演目を考えておる」
「へえ、やるじゃない。何て言うの?」
「タイトルは“心綺楼”じゃ」
心綺楼の内容というと、こころが起こした異変の様子を、おもしろおかしくデェフォルメした物であった。
「これなら笑いも取れて、小鈴殿も安心するじゃろ」
「それは良いが、小鈴にはどう説明するんだ?」
「その辺も、儂に任せて欲しい。二人は口裏を合わせてくれれば良い」
「? 取り合えずわかったが・・・大丈夫か?」
「なに、悪いようにはせん。
それでは儂は、こころ殿にこの事を教えるのでな、ここいらで失礼させてもらうぞ」
「わかった。そっちの事は任せた」
「任されたし」
そう言って、マミゾウは煙に消えた。
こうして、新しい演目―――心綺楼を披露する事になった。
―――――――――――
それから数日後、新たな演目である心綺楼は大衆には理解され、大いにうけたのだ。
大衆は楽しげに見ているが、当事者である霊夢と魔理沙は微妙な心境であった。
「今回の演目は解りやすくて面白いな」
「ああ。だけど、当事者としては些か微妙な心境だぜ・・・」
「右に同じく、私はあんながめついたりしていないわよ!」
「まあまあ、大袈裟にしているだけだし、その辺は大目に見てくれ霊夢」
「まあ良いわ、参拝客が来てるんだし、今回は見逃すわ」
そんな話をしていると、再び観客達から笑いがこぼれだす。
こころは、マミゾウの特訓の成果もあって、人の心のつかみ方を覚えたようである。
「相変わらず無表情だが、楽しそうだな」
「そうね・・・ん?」
霊夢はふと、小鈴の姿を見つける。
その表情は、とても安堵しており、楽しげに能楽を見ていた。
霊夢は、小鈴に話し掛けることにした。
「小鈴ちゃーん」
「あ、霊夢さん」
「どう? 新しい演目は?」
「はい、とても解りやすくておもしろいです! 流石は霊夢さんですね」
「え? 何のこと?」
「マミさんから聞きましたよ。
あの能楽師を改心させ、普通の演目にするようにしたらしいじゃないですか」
そこで霊夢が理解した。
おそらくマミゾウが、小鈴の誤解を解くために、嘘の話をしたのだと―――。
(まあ、狸らしいと言えば狸らしいわね・・・)
「霊夢さん?」
「え? ああ・・・そうよ、私も知った時はビックリして、慌てて止めたわ」
「やっぱり、霊夢さんはこういう時は頼りになりますね」
「・・・小鈴ちゃん、わかっていると思うけど―――」
「わかっています。この話はむやみに話したりはしません。神社の沽券に関わりますからね」
「そう言って貰えると助かるわ」
「それと、ジンさんにはちゃんと注意した方が良いですよ。
あの人は、騙されやすいんですから」
「ははは・・・一応、注意はしておくわ・・・」
霊夢は、マミゾウがどんな話を小鈴に吹き掛けたか、知ろうとは思わなかった。
こうして新しい能楽は流行り、しばらく神社には笑いと拍手が絶えなかった。