東方軌跡録   作:1103

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たまたま東方香霖堂が手に入り、読んでみたら面白かったので書きました。
今回から、金銭設定を固めました。これはあくまで個人設定なので、原作とは違うと思います。


骨の謎を追え

ある日のこと、ジンは香霖堂を訪れていた。

ここは掘り出し物が多く、暇さえあれば、使える道具を買う事にしている。

今日も、そんな掘り出し物が無いかと、店の扉を開いた。すると店主の霖之助と魔理沙がいた。

 

「おやジン、いらっしゃい」

 

「よおジン、何か買いに来たのか?」

 

「ああ、掘り出し物が無いかと・・・。ついでに、霊夢の未払いのツケの支払いだな」

 

「本当助かるよ。魔理沙も少しは見習って貰いたいね」

 

「おい、何で私だけなんだ? 霊夢だって、大抵ツケだろ」

 

「最近の神社は金羽振りがいいからね、ツケで済ますのは殆ど無くなったよ。

それに、ジンが払っているツケは、大分前のツケ分だよ」

 

「ツケってのは、要は借金って事だ。そんなものはとっとと払った方が良い」

 

借金、という言葉にジンは嫌悪を抱いている事に、霖之助と魔理沙は気づいた。

恐らく、借金をして酷い目か何かにあったのだろうと二人は思い、あまりこの事を詮索しない事にした。

 

「ところで、ツケって後いくら残ってたっけ?」

 

「えっと確か・・・・・・」

 

すると霖之助は帳簿を開き、パラパラとページをめくる。

 

「残り、二百四十五円三十四銭だね」」

 

因みに、霖之助が言った額は、外の世界だと245万円3400円である。

これには魔理沙は驚いた。

 

「霊夢の奴・・・そんなにツケていたのか・・・」

 

「因みに魔理沙、君はこれの数倍だよ」

 

「え?」

 

「額を聞きたいかい?」

 

「え、遠慮しておくぜ・・・・・・」

 

霖之助の言葉に、魔理沙は青ざめる。

先程の額の数倍となると、下手すれば桁が一つ増える可能性がある。とてもじゃないが、聞く猛者はいないだろう。

 

「取り合えず、今回は買い物にも来ているから、これだけだ」

 

そう言って、テーブルの上に銭を置く。霖之助はそれを数え始める。

 

「ひー、ふー、みー・・・うん、三十四銭だね」

 

「偉く中途半端だな」

 

「そうでもないさ、これで残りは二百四十五円ちょうどになるから、語呂が良くなるよ」

 

「先はまだまだ長いけどな・・・さて、商品を見るか。店主、お勧めはあるか?」

 

「そうだね・・・こんなのはどうかい?」

 

霖之助はジンに商品の紹介を始める。

一方魔理沙は、暇をもて余したのか、店内を見て回っていた。

ふと、奇妙な白い棒を見つける。

 

「ん? 何だこれ?」

 

手に取って見るが、イマイチ用途が分からず、霖之助に聞く事にした。

 

「おい香霖、これは何に使うんだぜ?」

 

霖之助は一時説明を中断し、魔理沙の方を向く。そして魔理沙が持つ棒を見て、簡潔に答えた。

 

「ああ、それは―――骨だよ」

 

「骨?」

 

「そうだよ。無縁塚に落ちていたのを拾ったんだ」

 

無縁塚、それは幻想郷に無縁の人間―――つまりは外来人が埋葬される場所である。

幻想郷をさまよい、野垂れ死んだ者や、妖怪の餌食になった者がそこに葬られる。それと同時に、外の道具が落ちている場所でもあるのだ。

かというジンも、もしかしたら無縁塚の一員になっていたかも知れないので、あまり話題としては聞きたくはなかった。

 

「無縁塚で拾ったのなら、仏の物だろ。何で店にまで持って来たんだ?」

 

「それなんだけど・・・その骨は余りなんだよ」

 

「余り? 一体どういう事だ?」

 

「ああ、実は―――」

 

霖之助の話によると、いつもの通りに無縁塚で死体の埋葬をしていると、骨の数と仏の数が合わなかったとの事だった。

 

「それで、その骨を持ち帰った訳か・・・」

 

「ああ、でもこれだけじゃないんだ。以前にも、同じ骨を拾った事があって」

 

そう言って、霖之助はもう一つの骨を取り出す。それは魔理沙が手に取っているものとまったく同じ物であった。

 

「どういう事だこれは?」

 

「僕にもよくわからないな・・・・・・ただ言えるのは、この持ち主は、腕が二本以上あったって事だよ」

 

「それは本当に人間なのか?」

 

「確証は無いけど、無縁塚に埋葬されるのは人間だけだからね。それは間違いないよ」

 

霖之助はそう断言した。

結局その日は、骨の謎を解明しないまま、ジンは香霖堂を後にした。

 

―――――――――――

 

その夜、ジンは香霖堂の出来事を霊夢に話していた。

 

「ふーん、それは奇妙な話ね・・・」

 

「だろ? しかも、まったく同じ骨らしいから、不気味なんだよな」

 

「本当に人間の骨なの?」

 

「霖之助が言うには、間違いないらしいが・・・」

 

「ふーん・・・まあ、仮にそうだとしても、外の事なら、私達の管轄外だし」

 

「それは・・・そうなんだが・・・」

 

ジンはどうしても気になった。

外の世界を捨てて、幻想郷の住民となった身だが、それでも生まれ育った世界の事は気になってしまうのであった。

そんな様子をみた霊夢は、やれやれとため息をついた。

 

「わかった、私がその骨について調べてあげる」

 

「へ? 霊夢って、骨に詳しいのか?」

 

「そんな訳無いじゃない。ただ、どんな骨でも、霊魂がこびりついている物よ。

それを見てみれば―――」

 

「その骨の持ち主の事が、何かわかるかも知れないか・・・流石は霊夢だな」

 

「当たり前でしょ、私は博麗の巫女なのよ」

 

霊夢は、得意気にそう言った。

 

―――――――――――

 

次の日。

香霖堂では、霖之助が相変わらず骨を調べていた。

 

(うーん・・・・・・やはり妙だな、どの骨にも生活の跡がない。どれだけ裕福なら、こんな綺麗な骨が出来るんだろうか・・・)

 

霖之助は骨を観察しながら、あれこれ考察するが、納得出来る答えは出なかった。

しばらくすると、店の扉が開く音がする。霖之助は骨を一旦置き、客に応接をしようとした。

 

「いらっしゃい。おや? 今日は霊夢と一緒かい」

 

やって来たのはジンと霊夢であった。

霊夢は店に入るやいなや、霖之助に骨に関することを聞いて来た。

 

「こんにちは霖之助さん、今日は無縁塚で拾った骨を見せて欲しいんだけど」

 

「別に良いけど・・・何をするんだい?」

 

「骨の霊魂を見るのよ。そうすれば、何かわかるかも知れないじゃない」

 

「そうだね・・・それじゃ、お願いしようか」

 

「任せて」

 

霊夢は骨を受け取り、じっと観察し始める。

そして、しかめっ面をしながら言った。

 

「これ・・・本当に人間の骨なの?」

 

「どういう事だ?」

 

「この骨から霊魂がまったく感じられなかったのよ。」

 

「それはつまり、この骨の持ち主は魂が無いって事?」

 

「わからないけど・・・少なくとも、生きていた骨じゃないわ」

 

「生きていた骨じゃない・・・もしかして」

 

ジンはある答えを思いついた。

それは、この骨が骨格模型の一部か何かという事だった。それが結界を通り越して、無縁塚に落ちていた。

 

(もしそうなら、色々と説明出来るな)

 

「ジン? 何かわかったのかい?」

 

「まあ・・・確証は無いけど、恐らく間違っていないだろう」

 

ジンは二人に、骨格模型の事を話した。

 

「外にはそんな物があるのか・・・」

 

「悪趣味ね・・・」

 

「まあ・・・確かに不気味だよな。子供の頃、初めて見たときはビビったな」

 

「しかし、骨格模型か・・・それなら、まったく同じ骨があってもおかしくはないね」

 

「と言うか、霖之助さんの能力で、骨を調べれば良かったじゃない」

 

「あ・・・・・・」

 

「今気づいたの?」

 

「正直言って、能力を使うまで無いって考えてね・・・」

 

「まあ、そうだよな。誰が見たって、骨だよな・・・」

 

ジンは骨を見ながら言う。

その骨はなかなか精巧に出来ており、一目見ただけでは、本物と勘違いする程であった。

 

「しかし、これで安心したよ。

外の世界で何か悪い事件が起きているんじゃないかと、心配だったけど」

 

「まあ、そうだな。これで一件落着だな」

 

「私に感謝しなさいよ」

 

骨の謎が分かり、一安心する一同。そこに魔理沙が何かを抱えてやって来た。

 

「おーい、香霖いるかー?」

 

「なんだ魔理沙じゃない」

 

「お、霊夢にジンもいるのか、ちょうど良かったぜ。

朱鷺を捕まえたから、一緒に食おうぜ」

 

「良いわね♪ せっかくだから、鍋にしましょう」

 

「いいなそれ♪」

 

霊夢は骨の事をそっちのけで、朱鷺鍋に夢中であった。

そんな二人を見たジンと霖之助は、やれやれと呟く。

 

「二人にはミステリーより、食い気の方が良いみたいだね」

 

「そうみたいだな。でも、その方が二人らしい」

 

「そうだね・・・・・・」

 

そんな話をしながら、二人は霊夢と魔理沙のやり取りを微笑ましく見守った。

後に、二人は鍋に赤味噌か白味噌かと、言い争いになり、弾幕勝負にまで発展するのだが、それはまた別の話である。




今回出てきた骨の正体は、完全な自己解釈です。
小説では骨の正体が最後までわからなかったので、霖之助の考察や霊夢のセリフで、この骨は人工的に作られたものではないかと考えたからです。
あくまで個人的な解釈なので、間違っていると思いまが、自分はそう考えました。
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