最近はネタ不足の為、中々ストーリーが思いつきません。
ここは紅魔館の地下の図書館。ここの住民であるパチュリーは、ある難問に挑んでいた。
「ここは・・・いえ、違うわね」
「お茶が入りましたパチュリー様」
小悪魔が紅茶を持って来たが、それに気づかずにパチュリーは本とにらめっこしていた。
「うーん・・・どうしても解読出来ないわね・・・・・・」
「そんなに難しいんですか?」
「あら、いつからいたのこあ?」
「さっきからいましたよ。それよりも、あんまり芳しく無いようですね」
「そうなのよ・・・どの文献を見ても、この解読の参考にはならなかったのよね・・・・・・」
パチュリーはため息をつきながら、手に持っていた魔導書を閉じる。
彼女はこの魔導書を解読しようとしていたが、未だに一文字も解読出来ずにいた。
「もっと図書館の中を調べれば、解読方法が分かる書物が見つかるかも知れないけど・・・・・・」
「そんなの探したら、何年もかかりますよ・・・・・・」
「そうよねえ・・・・・・」
パチュリーは辺りを見回す。
地下の大図書館は広大で、何冊あるか分からない程である。
この中から、目当ての一冊を探すとなると、何年掛かるかわかったものでは無い
他に妙案が無いか、考えていると――――。
「あ、ジンさんに相談してみれば如何でしょうか?」
「ジンに? とても解読出来るとは思えないわね」
「でも、あの人は顔が広いですし、もしかしたら解読出来る人を知っているかも知れませんよ」
「そんな都合の良い話があるとは思えないけど・・・・・・」
「まあまあ、駄目もとで聞いてみましょう。もしかしたら、何か良い案が思い浮かぶかも知れませんし」
「・・・・・・そうね、気分転換には良いかも知れないわ」
こうして二人は、ジンがいる博麗神社に向かうのだった。
―――――――――――
博麗神社に訪れた二人は、早速境内を掃除していたジンに事情を話した。
「ふーん、図書館が閉まっていたのはそういった理由か」
「解読の邪魔をされたくなかったから、厳重な封印を施したのよ」
「その割りには、成果はまったく無かったんですけどね」
「・・・・・・」
「熱い! 無言でアグニを放たないでください!」
パチュリーの怒りを買ってしまった小悪魔は、アグニシャインを受けてしまう。
境内を転げ回る小悪魔を尻目に、パチュリーはジンに本題を話始める。
「それで貴方に相談なんだけど、この本の解読方法について何か心当たりは無いかしら?」
そう言ってパチュリーは、一冊の本を取り出す。
とても古めかしい本で、表紙には見たことも無い文字でタイトルが書かれていた。
「心当たりって・・・俺は考古学者じゃないし、そういうのはパチュリーの専門だろ?」
「私の場合は、本の知識しか無いから、参考になる書物が無いとお手上げなのよ」
「そうは言われてもなあ・・・」
「何でも良いのよ。例えば、“どんな文字も読める人”が居れば、紹介をして貰いたいの」
「どんな文字も・・・あ! 心当たりならあるぞ!」
「「本当に!?」」
ジンの一言に、パチュリーと小悪魔は驚きの声を上げる。
ジンは二人に、その人物について話始めた。
「ああ、人里にある貸本屋の一人娘の小鈴って子が、そういった能力を持っているんだ。あの子なら、どんな文字でも読めるだろう」
「そんな子がいたなんて・・・・・・」
「良かったですねパチュリー様。これであの魔導書を解読出来ますね」
「そうね、何でも話して見るべきね。
悪いけど、案内お願い出来るかしら?」
「良いぞ、準備するから少し待ってくれ」
ジンは準備を済ませ、パチェリー達を鈴奈庵に案内するのであった。
―――――――――――
人里にある鈴奈庵の前に到着した三人。パチュリーと小悪魔は、鈴奈庵を見て呟く。
「随分小ぢんまりした所ね」
「物置小屋だと思いましたよ」
「いや、お前らが住んでいる場所がデカイだけだ。普通の本屋はこんな物だ」
「そうなの? でも、これだけじゃ、貯蔵している本はたかが知れているわね」
「そうですね、私達の図書館の本の十分の一も入りませんよ」
「お前達の所は図書館だろ、ここは貸本屋だ。数が違うのは当たり前だ」
「まあ、今回は本より、小鈴って子の方に用があるんだから」
「それはそうだが・・・あまり店の悪口は言わない方が良いぞ。機嫌を損ねるぞ」
「わかったわ。それじゃ、入りましょう」
三人は鈴奈庵に入る。入って直ぐに小鈴が出迎えた。
「いっらしゃいませー。あ、ジンさんこんにちは。今日は何を御求めで?」
「こんにちは小鈴。今日はお前に用がある人がいるんだ」
「私にですか?」
「紹介する。紅魔館の図書館に住んでいるパチュリー・ノーレッジだ」
「パチュリー・ノーレッジよ。初めまして」
「パチュリー様の使い魔、小悪魔です」
パチュリーと小悪魔は、小鈴に自己紹介をした。小鈴も、戸惑いながらも自己紹介をする。
「えっと・・・本居小鈴です。今日はどういった理由で?」
「ジンから聞いたんだけど、貴女はどんな本でも読めるそうね」
「ええ・・・まあ、少しぐらいは・・・・・・」
「この本の解読をお願いしたいんだけど――――」
「!? こ、これは!」
パチュリーの本を一目見た小鈴は、目の色を変えた。
「物凄い妖気がビンビン伝わるわ・・・・・・かなりのレア物ですね」
「あら、分かるのね」
「はい! これでも妖魔本コレクターですから、それでは早速―――」
小鈴は本を開き、黙々と読み始める。
「どう? 読めそう?」
「はい、どうやらこれは簡易魔法辞典みたいですね」
「簡易魔法辞典?」
「ええ、これを持って唱えるだけで、辞典に書いている魔法を使えるみたいです」
「へー、それは物凄く便利ですね」
「でも気をつけないと、これは使用者の体力を消費させて発動させる物なので、使い過ぎると過労死するって書いています」
「それじゃ、私には使えないわね・・・・・・」
「パチュリーは魔力があっても、体力が無いからな・・・。
ところで、どういった魔法が載っているんだ?」
「えっと・・・」
小鈴は辞典をパラパラと捲り、どういう魔法があるかを簡潔に教えてくれた。
「魅了や遵守、火を出したり、空間転移や時を止めたりする魔法がありますね」
「なんだよそれ・・・・・・殆ど何でも出来るじゃないか」
「ちょっと試しに使ってみて」
「お、おい、流石に危ないじゃないか?」
「どれ程の効力があるか知っておかないと、どう処置して良いかわからないでしょ?」
「だがな・・・・・・」
「大丈夫、危険な魔法を使わ無ければ良いし、いざとなったら私が何とかするわ。それに―――」
「それに?」
「あの子、魔法を使いたくて仕方ないみたいよ」
パチュリーに言われ、ジンは小鈴の方を見る。彼女はまるで新しい玩具を手にした子供のように、目をキラキラと輝かせていた。
「・・・・・・はあ、仕方ない。こうなったら、最後まで付き合うさ」
こうして、魔法辞典の魔法検証が始まった。
先ず最初に、あまり害が無さそうな魔法を使う事になった。
「えーと、どれにしようかな~♪」
小鈴は楽しそうに辞典のページをパラパラと捲る。その姿を見たジンは、より一層不安を感じる。
「よーし、決めました! これにします!」
「一体何の魔法にしたの?」
「魅了の魔法にしました」
「どうして魅了を?」
「何か面白そうじゃないですか、私の魅力で相手を虜に出来るなんて」
「言っておくが、虜になるのは小鈴の魅力では無く、魔法の魅了だからな。それに、小鈴の魅力で虜になる奴がいるのか?」
「むっ! 酷いですジンさん! そんな酷い人にはこうです!」
小鈴はジンに手をかざし、魔法の名を唱えようとする。
「おい! ちょっと待っ―――」
「チャムリン!」
唱えると同時に、小鈴の掌からピンク色の靄が放たれ、ジンを包む。
「うわ!? 一体な・・・ん・・・・・・」
包まれているジンは、徐々に大人しくなっていき、やがて靄が消えていった。
「ジ、ジンさん? 大丈夫ですか?」
「・・・・・・」
「ジン?」
「ジンさん?」
小鈴、パチュリー、小悪魔はジンを呼び掛ける。するとジンは静かに口を開いた。
「・・・・・・好きだ」
「え?」
「お前の事が好きだ小鈴」
ジンはそう言いながら、小鈴の手を取る。その表情はいつになく真剣な物であった。
「え、えっと・・・・・・」
「小鈴・・・お前が欲しい」
「ジ、ジンさん・・・・・・」
戸惑う小鈴をよそに、ジンは小鈴の顔に近づく。そして、唇が触れ合おうとしたその時――――。
「はいストップ」
「があっ!?」
パチュリーは手に持っていた本の角で、ジンの頭を思いっきり殴った。
ジンは頭を擦りながら、パチュリーに抗議する。
「っ~~一体何をするんだパチュリー!」
「正気に戻ったかしら?」
「正気って・・・・・・あれ? 俺は何をしようとしていたんだ?」
ジンは先程の事をまったく覚えておらず、きょとんとしていた。
「覚えていないんですか? 小鈴さんにキスしようとしてたんですよ?」
「え? 俺が?」
ジンの問いに、小悪魔とパチュリーはしっかりと頷いた。
それを見たジンの顔は青ざめ、直ぐ様小鈴に頭を下げた。
「わ、悪い小鈴! 魔法に掛かっていたとはいえ、キスをしようとしたなんて!」
「い、いえ! 私の方こそ、安易な気持ちで魔法を掛けてしまってごめんなさい!」
二人は互いに謝る。一方パチュリーは、辞典の効力に感心していた。
「それにしても、大した効力ね。あの堅物なジンが、愛の告白をするなんて」
「他人事だと思って・・・・・・」
「冗談よ、それより小鈴。体調に変化は無い?」
パチュリーがそう聞くと、小鈴は肩をトントンと叩き出した。
「そうですね・・・少しだるい感じがします」
「なるほど、注意書通りみたいね。あと一つ魔法を使って欲しいんだけど、大丈夫?」
「はい! 大丈夫です!」
そう言って小鈴は、ページを捲り始める。そして、使う魔法を決めた。
「次は、物を金に変える魔法にします」
「無難だが、何を金に変えるんだ?」
「そうですね・・・あ、これなんかどうです?」
小鈴が取り出したのは、使い古したはたき棒であった。
それをテーブルの上に置き、呪文を唱える。
「ゴルド!」
小鈴の掌から、眩い光が放たれ、はたき棒を照らす。すると、はたき棒はみるみると金に変わり、黄金のはたき棒に変化した。
「おお、これは凄―――小鈴!?」
小鈴は辞典を落とし、倒れそうになっていた。ジンは慌てて、小鈴の体を支える。
「大丈夫か?」
「は、はい・・・・・・なんとか・・・・・・」
「無理するな、今日は休んだ方が良い」
「そ、そうします・・・・・・」
ジンに支えられながら、小鈴は店の奥へと行った。
残ったパチュリーと小悪魔は、小鈴の症状について考察していた。
「迂闊だったわ、考えてみれば分かる事だった」
「どういう事ですか?」
「使用する魔法によって、体力が大幅に消費するって事よ。私達が使っている魔法だって、物によっては魔力の消費量が違うもの」
「そう言えばそうでしたね」
「次からもっと慎重にならないと・・・」
パチュリーがそんな反省をしていると、ジンが戻って来た。
「どうだった?」
「ああ、取り合えず大丈夫だ。親御さんには、ちゃんと事情の説明と謝罪をしておいた」
「私も謝った方が良いかしら・・・・・・」
「そうだな・・・取り合えず今日は―――ん?」
「どうしました?」
「辞典は何処にある?」
「え?」
パチュリーと小悪魔は慌てて辺りを見回すが、何処にも辞典は落ちていなかった。
―――――――――――
人里から少し離れた街道で、魔理沙は上機嫌で歩いていた。
「良いもん拾ったなー♪」
鈴奈庵で“拾った”辞典を手に、魔理沙は鼻唄を歌いながら、帰路につこうとしていた。
しかし、そんな彼女の目の前に、ジン、パチュリー、小悪魔の三人が立ち塞がる。
「見つけたわよ魔理沙!」
「ちっ、先回りしていたか・・・」
「軌跡を見て、お前が辞典を盗んだ犯人だと直ぐに分かった。大人しく辞典を返せ」
「盗んだってのは心外だな。これは拾ったんだ」
「なら、持ち主に返す事だな」
「落とし物は、拾った奴の物なんだぜ」
「それはネコババだぞ、立派な盗犯罪だ」
「それは外のルールだろ? 幻想郷にはそのルールは当てはまらないぜ」
「ぐっ・・・」
正論を言っていたジンであったが、逆に正論を言われてしまい、言葉を詰まってしまう。
するとパチュリーが―――。
「こんな盗人に付き合う必要は無いわジン」
「そうですね、奪われたのなら奪い返すだけです!」
「良いぜ、返り討ちにしてやるぜ!」
「随分な自信ね、三人相手に勝てるのかしら?」
「こいつを使わせて貰うぜ」
魔理沙は手に持っていた辞典を掲げた。
「あら、残念だけど、それは複雑な古代文字で書かれているのよ。よって、文字が読めない人間にはただの古文書でしかないわ」
「ふっふっふっ、甘いなパチュリー、文字を読めなくても呪文は知ってんだぜ」
「まさか・・・聞いていたの!?」
魔理沙は、鈴奈庵でのやり取りを終始見ていたので、辞典にある二つの呪文を知っていたのであった。
「そんな訳でパチュリー! お前を味方にするぜ! チャムリン!」
「パチュリー!」
ジンはパチュリーを庇うが、靄はジンを素通りし、パチュリーを包み込む。
「うっ・・・・・・」
「パチュリー様!」
「パチュリー!」
「よし! これでパチュリーはこっち側だ! 更に、パチュリーの使い魔である小悪魔も自動的にこっち側だぜ。形勢は逆転したなジン!」
「くっ・・・」
「あわわわ・・・・・・」
「さあパチュリー! 小悪魔と共にジンを蹴散らせー!」
魔理沙は魅了に掛かったパチュリーに命令を出す。しかし、パチュリーは微動だしなかった。
「パチュリー? どうしたんだ?」
怪訝に思った魔理沙は、恐る恐るパチュリーに近づく。すると――――。
「・・・・・・ま」
「ま?」
「魔理沙ー♡」
「うわっと!?」
パチュリーは突然、魔理沙に抱きつこうとする。魔理沙は間一髪のところで回避出来た。
「ど、どうしたんだパチュリー!? 何で私の言う事を聞かないんだ!?」
「魔~理~沙~♡」
パチュリーの目にはハートが浮かび上がり、今にも魔理沙に襲い掛かろうとしていた。
この時魔理沙は、致命的なミスをしていたのだ。いくら魅了を掛けたからといって、相手が自分の命令を聞くとは限らない。魅了とは、人の心を強く引き寄せ夢中にさせる物である。その為、このような事態に陥ってしまった。
「ジン! 小悪魔! 見てないで助けてくれ!」
魔理沙はジンと小悪魔に助けを求めるが、当の二人は魔理沙を助ける気は更々なかった。
「因果応報、自業自得。自分で何とかしろ」
「主に手を上げる訳にはいかないので・・・・・・」
「は、薄情ものー!」
「魔理沙ー♡」
「うわー!」
魔理沙は物凄いスピードで飛び去り、パチュリーはその後を物凄いスピードで追い掛けて行った。
その後、魔理沙はパチュリーに一週間も追い回されるのであった。