素人が考えた物なので、設定に矛盾が生じると思いますが、寛大な心で読んでくれるとありがたいです。
妖怪の山のとある場所に、華仙の屋敷が存在する。
彼女の屋敷には方術が施されており、辿り着くには一定のルートを通らなければならない。
そんな彼女の屋敷に、足しげく通う一番弟子がいた。
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屋敷の外で、華仙とジンは術の修行を行っていた。
「それではジン、五行獸を召喚しなさい」
「わ、わかりました・・・」
ジンは慣れない敬語を使いながら札を取り出し、術を発動させる。
「土獸招来!」
ジンがそう言うと、札から土竜のような獣が現れた。
「良し! 成功だ!」
「やったわねジン、これで仙術の初歩をマスターしたわね」
「華仙の教えが良かったから――――」
「敬語! それと、私の事は師匠と呼びなさい!」
「し、師匠の教えが良かったからです・・・・・・」
「よろしい。それでは、今日の修行はこれまでにするわ。帰って体を休めなさい」
「押忍!」
こうして、その日の修行は終わりを迎え、ジンは神社へと帰るのであった。
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その日の夜、華仙の屋敷に小町が遊びに来ていた。
「どう? ジンの修行は?」
「順調よ、今日はようやく五行獸の一角を喚べるようになったわ」
「五行獸?」
「五行思想を元に作られた術の一つよ」
華仙は小町に五行獸について話始めた。
五行獸とは、とある術者が産み出した簡易術である。
札に霊力を与え、木、火、土、金、水の属性を持つ獸を召喚し使役する術である。
「式神みたいなもんかい?」
「まあ似たような物ね、東洋の術のルーツは全て五行思想から来ていると言っても過言じゃないから、似たような術はかなりあるのよ」
「へ~、あんたも使えるのかい?」
「一応使えるけど・・・効率が悪いからあまり使わないわね」
「効率が悪い?」
「ええ、例えば高位術者が使用しても、修行者と同程度の威力しか出せないように設定されているのよ」
「そうなのかい?」
「これはあくまで修行者用の術、だからそれほど強くは無いのよ。
だからあまり知れ渡っていないし、これを好き好んで使う人はいないのよ」
「あくまで入門用って訳か」
「そう、この術で基礎基本を学び、それを発展させるのが次のステップになるの」
「ふーん、仙人の道は険しいねぇ・・・ところで―――」
すると小町の表情が変わる。それは先程とはうって変わって、何かを射るような真剣な表情になった。
「ジンをどうする気だい? まさか本気で仙人にするつもりじゃないだろうねぇ」
やや敵意を向ける小町に対して、華仙は流すように答える。
「まさか、彼は仙人どころか、不老不死にさえ興味が無いのよ。ただ術を覚えたいだけみたいなの」
「ほう、それは健全で良いじゃないか、不老不死なんて全うな人間がなるもんじゃない」
「そうかしら? 何となく私利私欲な気もするけど・・・・・・」
「ははは! 私利私欲なんて、ジンに最も似合わない言葉だよ」
「どういう事?」
「映姫様から聞いたんだけど、ああゆうタイプは自分利よりも、他人の幸福を願うんだよ。
もっと具体的に言えば、他人の幸せに幸福を感じる人間だよ」
「それって、人としてどうなの?」
「まあ、行き過ぎれば、歪な人間にはなるだろうけどさ、ジンの場合は身内にストッパーがいるから、その辺は大丈夫じゃないかい?」
「それなら良いんだけど・・・・・・」
「もし不安なら、お前さんが導いてやれば良いじゃないか。
一応仙人なんだろ?」
そう言って、小町は去って行った。
華仙は小町の言葉が引っ掛かるのか、難しい顔をして、夜空の月を眺めるのであった。
―――――――――――
数日後の博麗神社、ジンが五行獸の術を覚えてから、神社の生活が一部変わっていた。
「火獸招来!」
ジンは火獸を呼び寄せ、竈に火をつけた。
「ありがとうございますジンさん、助かります」
「これぐらい御安い御用だ。それよりも、火の強さはどれくらいに?」
「やや強めでお願いします」
「了解」
そう言うとジンは、火獸を使い、竈の火の調整をし始める。
五行獸の術を覚えてから、ジンは日常生活に役立つ使い方をして来た、先程の火獸もその一つである。
「他にやれる事なら手伝うが?」
「それじゃ、その御野菜を切ってください」
「わかった」
火の調整をしつつ、ジンは丁寧に野菜を切っていく。
すると霊夢が台所に顔を出して来た。
「ジン、何か華仙があんたに用があるって」
「華仙が俺に?」
「術を生活に使っているのがバレたんじゃない?」
「仮にそうだとしても、修行の一環と言えば良いし。それに、使える物は使うのが俺のポリシーだ」
「あんたのそういう性格は好きよ」
「ありがとな、それじゃ華仙に会って来るから、後は頼んだ妖狐」
「はい、お任せください」
ジンは後の事を妖狐に任せ、霊夢と共に華仙がいる居間へと向かった。
居間に入ると、そこには落ち着かない様子の華仙がいた。
「どうした華仙? 何かあったのか?」
「お、落ち着いて聞いてジン」
「あんたが落ち着きなさいよ。それでどうしたの?」
霊夢がそう聞くと、華仙は恐る恐る口を開いた。
「実は・・・・・・神霊廟と交流試合をする事になったの」
「「交流試合?」」
華仙の話によると、神霊廟の神子と交流があり、互いの弟子について盛り上がっていると、神子の方から―――。
『それでは、互いの弟子を戦わせてみませんか?』
そんな申し出が出たのである。
「断れなかったの?」
「そりゃ無下に断れる訳無いじゃない。仙人としての格は向こうが上なんだから」
「だからって、ジンを巻き込まないでよね。成り行きであんたの弟子になっているけど、私の身内でもあるのよ」
「そ、それは分かっているけど・・・・・・」
「まあまあ落ち着けよ霊夢、たかが交流試合だろ? それくらいなら何でも無いだろ」
「それが・・・そうでもなくて・・・・・・」
「「え?」」
「これを見て頂戴」
そう言って華仙は、一枚のチラシを出した。そこにはこう書かれていた。
“仙人弟子対決!
山の仙人、茨華仙VS現代に蘇った聖人、豊聡耳神子
勝つのはどちらの弟子か!”
――という宣伝が大体的に書かれていた。
「・・・・・・明らかに天狗の仕業ね」
「相変わらず速いな・・・一体何処で嗅ぎ付けるんだ?」
「ともかく! この宣伝のせいで、当日多数の人や妖怪が来てしまうのよ!」
「それがどうかしたのか?」
「もし・・・ジンがあっさり負けたりしたら――――」
華仙の脳裏にはある光景が過る。
大勢の前で自分の弟子が呆気なく敗北、それを見た大衆は――――。
『なんだ、偉そうに説教する割には、ろくに弟子を育てられていないじゃないか』
『所詮引きこもり仙人、神子様とでは格が違いますな』
『エセ仙人は、地底に帰れー』
大衆はそう言いながら、自分を嘲笑う光景が、華仙の脳裏にハッキリと映っていた。
「そうなったら・・・もう仙人として生きていけないわ・・・・・・大人しく田舎に帰るしかないわ・・・・・・」
華仙は俯せになり、その瞳には涙が溢れていた。
そんな意気消沈の華仙に、霊夢とジンは元気つけようと声を掛けた。
「しっかりしなさい華仙! ジンの師匠なんでしょう! 少しは弟子を信じなさい!」
「霊夢・・・・・・」
「その通りだ華仙、俺を信じてくれ」
「でも、貴方はまだ土獸しか喚べないでしょ?」
「そう思うか?」
そう言うと、ジンは三枚の五行札を取り出し五行獸を呼び出す。
「土獸! 金獸! 火獸招来!」
すると札から、土の獣、金の獣、火の獣が現れた。
「え!? いつの間に三体喚べるようになっていたの!?」
「日頃から練習を欠かしていないからな。交流試合まで何日だ?」
「あと一週間だけど・・・・・・」
「まだ時間はある。その日まで修行あるのみ! だろ?」
「そうね・・・その通りだわ、まったく私ったら」
華仙はそう言うと、頬を叩き気合いを入れる。
「そうと決まれば早速特訓よ! 最低でも五行全部喚べるようならなきゃ、話にならないもの!」
華仙は有無言わさず、ジンを外に連れ出し、竿打を呼び寄せ、その背に乗った。
「それじゃ霊夢、一週間は神社に帰さないから、そのつもりでね」
それだけを言うと、そのまま飛び去ってしまうのであった。
―――――――――――
それから一週間後、神霊廟に多数の人と妖怪達が集まっていた。
「うひゃ~これは凄いなー」
「あまりキョロキョロするんじゃないよ魔理沙、まるで田舎者に見えるよ」
「そうよ、こっちが恥ずかしくなるじゃない」
物珍しそうに辺りを見回す魔理沙に、魅魔とアリスがそれを注意する。
「だって、まるで祭りみたいだぜ魅魔様」
「確かに楽しそうではあるが、私達の目当てはこれだよ」
そう言って魅魔が取り出したのは、宣伝のチラシであった。どうやら彼女達は、交流試合が目当てらしい。
「東洋の魔法なんて、私からは学べ無いんだから、これを期にしっかりと勉強するんだよ」
「はい魅魔様!」
「まったく、魅魔の言うことは素直に聞くんだから・・・・・・あれは?」
するとアリスは、人混みから見知った人物達を見つけた。
「パチュリーじゃない、珍しいわね」
「あらアリス」
「こんにちはアリスさん」
アリスが見掛けたのはパチュリーと小鈴であった。
魅魔と魔理沙も、二人に気付き挨拶をかわす。
「珍しい組み合わせだな」
「パチュリーさんに誘われたんです。面白い物がみられるって」
「お前さんも交流試合目当てかい?」
「ええ、それ以外理由は無いでしょ」
「貴女達二人だけで来たの?」
「レミィとフラン、それと咲夜と一緒に来たんだけど、はぐれちゃって。
まあ、大方屋台に巡りでもしているんでしょうね」
「まあ、五百年生きていても、お子様には変わりないからねぇ」
「否定出来ないわ・・・それよりも、そろそろ交流試合が始まりそうよ」
「おおっと! 急がないと良い席とられちまう!」
こうして五人は、試合会場へと足を運ぶのであった。