東方軌跡録   作:1103

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登場人物が多いと、台詞回しが大変です。
どうしても、台詞が少ない人物が出てしまいます。


収穫祭食べ歩きツアー 後編

たこ焼きを平らげたジン達は、次の場所へと歩いていた。

 

「次は何処に行く?」

 

「うーん、そうだな・・・・・・」

 

パンフレットを見ながら、次の予定を考えていると、何やら騒ぎ声が聞こえて来た。

 

「何かしら?」

 

「喧嘩か?」

 

少し気になったジン達は、騒わいでいる方へ向かう。するとそこには、妹紅とミスティアが揉めていた。

 

「ちょっと! 私の近くで焼き鳥なんか売らないでよ!」

 

「うるさいな、私が何を出そうが勝手だろ?」

 

「なら、別の所で売りなさい!」

 

「場所は抽選なんだから、文句があるなら運営委員の奴らに言いな」

 

両者一歩も引かず、火花を散らし合う。

流石にこのままにしては置けないと感じたジンは、二人の仲裁に入る。

 

「はい、ストップ! 二人とも落ち着いてくれ」

 

「あ、ジン!」

 

「ジンか、ちょうど良かった。このバカ鳥に言ってやってくれ」

 

「一体何があったんだ?」

 

ジンがそう聞くと、二人は事の経緯を話始めた。

二人は収穫祭で、それぞれヤツメウナギと焼き鳥を出していた。しかし、焼き鳥が大嫌いなミスティアが我慢出来ず、妹紅に突っ掛かって来たのである。

 

「なるほど、そういう訳か」

 

「ねえジン、貴方からも言ってやってよ。焼き鳥なんか出すなって」

 

「ジン、この鳥公をどうにかしてくれ。これじゃ、商売上がったりだよ」

 

ミスティアと妹紅は、ジンに詰め寄る。ジンは少し考え、こう切り出した。

 

「ミスティ、焼き鳥が嫌いなのは分かるが、それで妹紅に当たるのはお門違いだぞ。収穫祭で、焼き鳥は禁止されている訳じゃ無いんだから」

 

「そ、それは・・・・・・」

 

「ここは我慢するしか無いと思うが・・・どうしても出来ないなら、運営委員に直接申し立てた方が良いと思うぞ」

 

ジンは正論を持って、ミスティアを言い聞かせようとした。しかし、ミスティアは納得せず、あろうことかこんな事を言い出した。

 

「ふん! そんな事を言うなら、もう二度とジンにヤツメウナギを出して上げないんだから!」

 

「え!? そ、そんな殺生な!」

 

ヤツメウナギは、ジンの好物の一つになっており、特にミスティアのヤツメウナギは一品で、彼女の屋台を見つけたら迷わず食べに寄る程である。

ミスティアに突きつけられた言葉に、ジンは頭を抱えてしまう。

そんなジンを見ていた霊夢は、少し呆れていた。

 

「バカねぇジンは、そんな真面目に悩まなくても、鳥頭なんだから、そんなの三日も経たずに忘れちゃうわよ」

 

「まあ、真面目な方ですからねジンさんは」

 

「仕方ないわね、少し助けてやるか」

 

そう言って霊夢は、ミスティアの前に立つ。

 

「そこの夜雀! これ以上人様に迷惑を掛けるなら、私が成敗するわよ!」

 

「ひい!」

 

霊夢は御払い棒をミスティアに向けると、ミスティアは小さい悲鳴を上げる。

 

「あんたに残された道は三つ、一つ目は大人しく商売するか、二つ目は立ち去るか、三つ目は―――」

 

「み、三つ目は・・・・・・?」

 

「私に退治されるかよ。さあ、好きな方を選びなさい!」

 

「す、すみませんでしたー!」

 

霊夢の凄味に負けたミスティアは、霊夢に土下座をして許しを乞う。そんな様子を見ていた回りの人達は、霊夢に拍手を送った。

 

 

騒ぎを納めた霊夢達は、妹紅の焼き鳥とミスティアのヤツメウナギの串焼きを食べていた。

 

「美味しい~♪ この脂身がたまらないわ♪」

 

「そりゃそうだ、私が丹精込めて作ったんだから」

 

「俺はやっぱり、ヤツメウナギの方が好きだな」

 

「流石ジンね、分かる人だわ」

 

「その分かる人を脅したのは、何処のどいつだ?」

 

「誰の事?」

 

「もう忘れているし!?」

 

「まあまあ妹紅さん、過ぎた事をとやかく言っても仕方無いですよ」

 

「そうそう、余計な事なんて、覚えていても仕方ないんだから」

 

「そういうの、学習力が無いって言うんだぞ」

 

「美味しいー♪」

 

そんな談笑をしながら、ジン達は焼き鳥とヤツメウナギを美味しくいただくのであった。

 

―――――――――――

 

二つの屋台を後にしたジン達は、再びパンフレットに目を通していた。

 

「さて、次は何を食べようか」

 

「何か甘い物が食べたいわ」

 

「甘い物か・・・近くに何か無いか?」

 

そう言って、パンフレットを見渡すジン。すると、近くに守谷神社が出している綿飴屋が近くにある事がわかった。

 

「近くに綿飴屋があるみたいだから、食べに行くか?」

 

「綿飴! 行く行く♪」

 

針妙丸ははしゃぎながら、行く事に賛同した。ジンは念の為、霊夢と妖夢にも聞くことにした。

 

「霊夢と妖夢もそれで良いか?」

 

「私は甘い物が食べれられれば、それで良いわよ」

 

「私も、特に反対する理由はありませんから」

 

「よしそれじゃ、守谷の綿飴屋に行くか」

 

こうしてジン達は、綿飴屋へと足を運ぶのであった。

 

綿飴屋へとやって来たジン達を向かえたのは、守谷の巫女である早苗であった。

 

「皆さんいらっしゃいませ。守谷の綿飴屋にようこそ」

 

「綿飴四つ欲しい」

 

「かしこまりました。少し待っていて下さい」

 

そう言って早苗は、割り箸を取り、器用に綿を絡ませ始め、あっという間に四つの綿飴を作り出した。

 

「はいどうぞ」

 

「わー♪ ありがとー♪」

 

針妙丸は嬉しそうに受け取り、それをほうばる。他の三人も、綿飴を受け取り食べ始める。

 

「普通だな」

 

「普通だわ」

 

「普通ですね」

 

「甘くて美味しい♪」

 

「ちょっと皆さん! 普通は無いでしょう!」

 

針妙丸以外の評価に不服を漏らす早苗であった。

そんな彼女に、ジンは辛辣な感想を述べる。

 

「いや、そんな事を言われても。特に工夫もされていないし、使っている砂糖も市販の物―――しかもコストを安くする為に安物を使っているだろ?」

 

「な、何故にそんな事まで分かるんですか!?」

 

「ジンって、意外と食通なのよね。だから、素材の良し悪しが分かるのよ」

 

「そんな特技があったんですか・・・・・・」

 

「まあ、料理が作れないから、あまり意味が無いかも知れないけどな」

 

そんな話をしていると、何やら焦げ臭い匂いが漂って来る。

 

「何か、焦げ臭いないか?」

 

「そう言えば・・・って、早苗! 機械が!」

 

「へ? ああ! 綿飴製造機が!?」

 

機械から煙が出ている事に気づいた早苗は、直ぐ様電源を切ろうとするが――――。

 

「キャアー! 止まらなーい!」

 

機械は暴走し、大量の綿飴を放出するのであった。

 

―――――――――――

 

綿飴の暴走に巻き込まれた四人であったが、事なきを得て、宛もなく里を歩いていた。

 

「まったく、酷い目あったわ」

 

「爆発しなくて良かったです・・・・・・」

 

「河童達が修理をしているみたいだが、収穫祭中には無理だろう」

 

「もっと綿飴食べたかったな・・・・・・」

 

そんな事を話ながら歩く四人。すると、芳ばしい香りが鼻をくすぐる。

 

「いい匂いがする・・・」

 

「これは・・・肉か?」

 

針妙丸とジンは、匂いがする方へと行ってしまう。

それを見た霊夢は、ため息を吐く。

 

「あんた達、まだ食うの?」

 

「私も一杯何ですけど・・・・・・」

 

「これが最後にするつもりだ」

 

「ねえ霊夢、良いよね?」

 

「まあ、別に良いけど。あまり食べ過ぎないように、じゃないとお腹痛くするわよ」

 

「はーい♪」

 

「わかってる」

 

霊夢に許可を貰った二人は、匂いが漂う屋台の方へと向かい、霊夢と妖夢は少し離れた所で二人を待つ事にしたのであった。

 

 

屋台に着いたジンと針妙丸を出迎えたのは、意外の人物であった。

 

「いらっしゃ―――え!?」

 

「妖狐? お前今日は用事があるって言ってなかったか?」

 

「え、え~と・・・それは・・・・・・」

 

妖狐は明らかに視線を泳がしていた。すると、奥からまたしても予想外の人物達が出て来る。

 

「おーい、何かあったか?」

 

「どうしたどうした?」

 

「正邪にてい? お前ら三人で何をしているんだ?」

 

出てきたのは正邪とてゐ、いかにも悪徳商売をやりそうな面子に、ジンは怪訝そうにした。

 

「何って、収穫祭に参加してるだけだよ」

 

「お前らが? 何か悪徳商売をしているんじゃないか?」

 

「それは酷い言い草だね。なんなら、見てみなよ」

 

そう言って、ていは商品を見せる。それは至って普通なハンバーガーで、値段も中々手頃であった。

 

「・・・・・・普通みたいだが、食材の方は大丈夫なんだろうな」

 

「疑り深い奴だな。針妙丸を見習った方が良いんじゃないか?」

 

「美味しい~♪ これ美味しいよジン!」

 

針妙丸はいつの間に手にしたハンバーガーを、美味しそうに食べていた。

 

「針妙丸・・・少しは疑う事を覚えた方が良いぞ」

 

「?」

 

「お前はどうするんだ?」

 

「まあ、折角来たんだし、食べて行くよ」

 

「毎度あり~♪ ほら妖狐、さっさと作りなよ」

 

「わ、わかりました・・・・・・」

 

正邪にせかされ、妖狐はジンにハンバーガーを作り、それを渡す。

 

「それじゃ、いただきます」

 

ジンは受け取ったハンバーガーを口にする。それを見た正邪とていは、ニヤリと笑う。

 

(ふっふっふ、普通の肉と思ったか? 残念でしたー♪ それは豆腐を入れて水増しした肉なんだよ♪)

 

(六対四の割合で混ぜているから、まず分からないだろうね♪)

 

正邪とてゐは、ひそひそと話していた。そんな二人を尻目に、ジンは豆腐ハンバーガーを口にした。

 

「モグモグ・・・ふむ」

 

「ど、どうでしょうか?」

 

「中々美味い。豆腐を混ぜて作ったにしては、ハンバーグのジューシーさを損なっていないな」

 

((バレたー!?))

 

豆腐を混ぜて作っていたのが、あっさりとバレてしまい。正邪とてゐは、開いた口が塞がらなかった。

 

「ううっ・・・やはり見抜かれてしまいましたか・・・・・・」

 

「まあな、俺達に黙っていたのは、水増しした肉でハンバーガーを売っている事を知られたくなかったんだろう?」

 

「はい・・・霊夢さんならともかく、ジンさんなら見抜かれてしまうと思いまして・・・・・・」

 

「正邪とていの経緯は?」

 

「御二人の話を聞いて、昔の詐欺の血が騒いでしまい、つい―――」

 

「魔が差した訳か」

 

「も、申し訳ありません!」

 

妖狐は深々と頭を下げて、ジンに謝罪をするが、ジンは呆気に取られていた。

 

「何で謝るんだ?」

 

「え? だって、私達は豆腐を使ってハンバーガーを―――」

 

「特に問題は無いんじゃないか? 腐っている肉とか、人肉を使っているなら問題だが、豆腐を使っている分は良いと思うが? 外には豆腐ハンバーグっていう物だってあるし」

 

「そうなんですか?」

 

「ああ、だから大丈夫だとは俺は思う。それに美味かったし。なあ針妙丸?」

 

「うん! 美味しかった♪」

 

「ジンさん、針妙丸・・・・・・」

 

「だから今回の事は目を瞑る。霊夢にも黙っておいてやるから」

 

「はい! ありがとうございます!」

 

「それじゃ、俺達はもう行く。霊夢達を待たせているから」

 

「頑張って皆!」

 

そう言って、ジンと針妙丸はその場を後にする。

二人が去った後、てゐと正邪はこう漏らしていた。

 

「いや~、バレた時はどうなるかと思ったけど、見逃してくれて良かったね」

 

「・・・・・・」

 

「あれ? 正邪どうしたの?」

 

「何だかよく分からないが、悔しい~!」

 

正邪は、何か分からない悔しいさを感じ、地団駄を踏むのであった。

 

 

ハンバーガーを食べ終えたジンと針妙丸は、霊夢と妖夢の所に戻っていた。

 

「さて、これからどうする?」

 

「流石にこれ以上は無理よ」

 

「私も、お腹一杯だよ~」

 

「時間的にも、収穫祭は終わるな。それなら御開きにするか?」

 

「それでしたら、私は幽々子様を探しに行きたいのですが?」

 

「それは別に良いが・・・探せるのか?」

 

ジンは妖夢にそう聞くと、妖夢は困った表情をし、ジンに恐る恐る頼むのであった。

 

「あの・・・出来れば、探すのを手伝ってくれませんか?」

 

妖夢がそう言うと、ジンは嫌な顔をせず了承してくれた。

 

「ああ、別に構わない。この人だかりで探すのは大変だろうし」

 

「あ、ありがとうございます! この御恩は忘れません!」

 

「そんな訳で、俺は妖夢の手伝いをするが、二人はどうする?」

 

「どうせやること無いし、付き合うわよ」

 

「私も行くよ」

 

「わかった。それじゃ、皆で行くか」

 

「何処か当てがあるんですか?」

 

「パンフを見ていて気づいたんだが、どうやら大食い大会が開催されているらしい。幽々子なら、それに参加している可能性がある」

 

「なるほど、幽々子様ならあり得ます」

 

「それじゃ、その会場に向かいましょ」

 

ジン達は、幽々子がいるかも知れない、大食い大会の会場に向かうのであった。

 

―――――――――――

 

会場についたジン達であったが、既に会場は観客達で一杯であった。

 

「ついたが、幽々子はいるか?」

 

「ここからでは良く見えませんね・・・・・・」

 

どうにか確認を取ろうとするが、人だかりのせいで選手の姿が良く見えなかった。

どうしようかと困っていると、不意に上から声を掛けられる。

 

「おーい! 四人ともー!」

 

「この声・・・魔理沙?」

 

「上から聞こえたが・・・・・・」

 

声の方を見ると、そこには木の上に座っている魔理沙と魅魔の姿があった。

 

「魔理沙に魅魔? そんなところで何をしているのよ?」

 

「大食い大会を見ているんだよ。ここなら良く見えるぜ」

 

「俺達も一緒に見ても良いか?」

 

「別に構わないよ。こんな面白い物を、見なきゃ損だよ」

 

魔理沙と魅魔は快く承諾してくれ、ジン達は木の上で観戦する事にした。

木の上から会場が良く見え、その中には幽々子の姿があった。

 

「あ、いました!」

 

「やっぱり参加していたわね」

 

「他にも、知っている顔がちらほらいるな」

 

脱落者が出ているなか、幽々子の他に、ルーミア、宮古芳香、勇義の三人が残っていた。

 

「あの三人、良く幽々子様について来れますね」

 

「勇義はともかく、あの二人は食いしん坊キャラ?だからな。だけど、流石に限界か」

 

ジンがそう呟くと、ルーミアと芳香が倒れてしまった。

 

「もう一杯なんだな~」

 

「もう食べられないぞ~」

 

ルーミアと芳香が脱落し、とうとう幽々子と勇義の一騎打ちになる。

 

「いくら勇義でも、大食いじゃ幽々子には勝てないだろう。優勝は幽々子で決まりだな」

 

「それがそうでも無いよ」

 

すると、いつの間にか近くに萃香と華仙が座っていた。

 

「萃香と華仙? 来ていたの?」

 

「まあね」

 

「勇義が大食い大会に参加するって言ってたから、気になって来たの」

 

「それよりも、さっきの口振りから勇義には秘策があるのか?」

 

魔理沙がそう聞くと、華仙は少し微妙な顔をした。

 

「秘策って言うか・・・体質的なものというか・・・・・・」

 

「まあ、見ていれば分かるよ」

 

そう言って、萃香は会場の方へと目をやる。ジン達も会場の方を見ると、勇義が自前の酒を飲み始めると、食べるスピードが上がる。

 

「スピードが上がった!?」

 

「勇義に限らず、鬼は酒を飲むと代謝機能が上がり、より多く食べれるんだよ」

 

「飲めば飲むほど食べれるって訳か」

 

「それって、ドーピングじゃないの?」

 

「鬼にとっては、酒は水みたいな物だよ」

 

「審判も特に注意もして無いから、ルール上問題は無いみたいだな」

 

そんな話をしていると、勇義の皿の数は幽々子に近づいていた。

幽々子も引き離そうと食べるが、やはり勇義の方がスピードが早く、徐々に差が詰まっていく。

後一皿というところで、終了の鐘が鳴った。

 

「終了~! はいそこまで!」

 

司会者の声が会場に響く。

幽々子と勇義が食べた数は、数えるのも億劫になるほどであったが、二人はまだまだ余裕があるらしい。

もしこれが時間無制限だったなら、一体どれほど食べれたのだろうかと、観ていたジンは思った。

こうして、収穫祭は無事終わりを迎えるのであった。

 

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