どうしても、台詞が少ない人物が出てしまいます。
たこ焼きを平らげたジン達は、次の場所へと歩いていた。
「次は何処に行く?」
「うーん、そうだな・・・・・・」
パンフレットを見ながら、次の予定を考えていると、何やら騒ぎ声が聞こえて来た。
「何かしら?」
「喧嘩か?」
少し気になったジン達は、騒わいでいる方へ向かう。するとそこには、妹紅とミスティアが揉めていた。
「ちょっと! 私の近くで焼き鳥なんか売らないでよ!」
「うるさいな、私が何を出そうが勝手だろ?」
「なら、別の所で売りなさい!」
「場所は抽選なんだから、文句があるなら運営委員の奴らに言いな」
両者一歩も引かず、火花を散らし合う。
流石にこのままにしては置けないと感じたジンは、二人の仲裁に入る。
「はい、ストップ! 二人とも落ち着いてくれ」
「あ、ジン!」
「ジンか、ちょうど良かった。このバカ鳥に言ってやってくれ」
「一体何があったんだ?」
ジンがそう聞くと、二人は事の経緯を話始めた。
二人は収穫祭で、それぞれヤツメウナギと焼き鳥を出していた。しかし、焼き鳥が大嫌いなミスティアが我慢出来ず、妹紅に突っ掛かって来たのである。
「なるほど、そういう訳か」
「ねえジン、貴方からも言ってやってよ。焼き鳥なんか出すなって」
「ジン、この鳥公をどうにかしてくれ。これじゃ、商売上がったりだよ」
ミスティアと妹紅は、ジンに詰め寄る。ジンは少し考え、こう切り出した。
「ミスティ、焼き鳥が嫌いなのは分かるが、それで妹紅に当たるのはお門違いだぞ。収穫祭で、焼き鳥は禁止されている訳じゃ無いんだから」
「そ、それは・・・・・・」
「ここは我慢するしか無いと思うが・・・どうしても出来ないなら、運営委員に直接申し立てた方が良いと思うぞ」
ジンは正論を持って、ミスティアを言い聞かせようとした。しかし、ミスティアは納得せず、あろうことかこんな事を言い出した。
「ふん! そんな事を言うなら、もう二度とジンにヤツメウナギを出して上げないんだから!」
「え!? そ、そんな殺生な!」
ヤツメウナギは、ジンの好物の一つになっており、特にミスティアのヤツメウナギは一品で、彼女の屋台を見つけたら迷わず食べに寄る程である。
ミスティアに突きつけられた言葉に、ジンは頭を抱えてしまう。
そんなジンを見ていた霊夢は、少し呆れていた。
「バカねぇジンは、そんな真面目に悩まなくても、鳥頭なんだから、そんなの三日も経たずに忘れちゃうわよ」
「まあ、真面目な方ですからねジンさんは」
「仕方ないわね、少し助けてやるか」
そう言って霊夢は、ミスティアの前に立つ。
「そこの夜雀! これ以上人様に迷惑を掛けるなら、私が成敗するわよ!」
「ひい!」
霊夢は御払い棒をミスティアに向けると、ミスティアは小さい悲鳴を上げる。
「あんたに残された道は三つ、一つ目は大人しく商売するか、二つ目は立ち去るか、三つ目は―――」
「み、三つ目は・・・・・・?」
「私に退治されるかよ。さあ、好きな方を選びなさい!」
「す、すみませんでしたー!」
霊夢の凄味に負けたミスティアは、霊夢に土下座をして許しを乞う。そんな様子を見ていた回りの人達は、霊夢に拍手を送った。
騒ぎを納めた霊夢達は、妹紅の焼き鳥とミスティアのヤツメウナギの串焼きを食べていた。
「美味しい~♪ この脂身がたまらないわ♪」
「そりゃそうだ、私が丹精込めて作ったんだから」
「俺はやっぱり、ヤツメウナギの方が好きだな」
「流石ジンね、分かる人だわ」
「その分かる人を脅したのは、何処のどいつだ?」
「誰の事?」
「もう忘れているし!?」
「まあまあ妹紅さん、過ぎた事をとやかく言っても仕方無いですよ」
「そうそう、余計な事なんて、覚えていても仕方ないんだから」
「そういうの、学習力が無いって言うんだぞ」
「美味しいー♪」
そんな談笑をしながら、ジン達は焼き鳥とヤツメウナギを美味しくいただくのであった。
―――――――――――
二つの屋台を後にしたジン達は、再びパンフレットに目を通していた。
「さて、次は何を食べようか」
「何か甘い物が食べたいわ」
「甘い物か・・・近くに何か無いか?」
そう言って、パンフレットを見渡すジン。すると、近くに守谷神社が出している綿飴屋が近くにある事がわかった。
「近くに綿飴屋があるみたいだから、食べに行くか?」
「綿飴! 行く行く♪」
針妙丸ははしゃぎながら、行く事に賛同した。ジンは念の為、霊夢と妖夢にも聞くことにした。
「霊夢と妖夢もそれで良いか?」
「私は甘い物が食べれられれば、それで良いわよ」
「私も、特に反対する理由はありませんから」
「よしそれじゃ、守谷の綿飴屋に行くか」
こうしてジン達は、綿飴屋へと足を運ぶのであった。
綿飴屋へとやって来たジン達を向かえたのは、守谷の巫女である早苗であった。
「皆さんいらっしゃいませ。守谷の綿飴屋にようこそ」
「綿飴四つ欲しい」
「かしこまりました。少し待っていて下さい」
そう言って早苗は、割り箸を取り、器用に綿を絡ませ始め、あっという間に四つの綿飴を作り出した。
「はいどうぞ」
「わー♪ ありがとー♪」
針妙丸は嬉しそうに受け取り、それをほうばる。他の三人も、綿飴を受け取り食べ始める。
「普通だな」
「普通だわ」
「普通ですね」
「甘くて美味しい♪」
「ちょっと皆さん! 普通は無いでしょう!」
針妙丸以外の評価に不服を漏らす早苗であった。
そんな彼女に、ジンは辛辣な感想を述べる。
「いや、そんな事を言われても。特に工夫もされていないし、使っている砂糖も市販の物―――しかもコストを安くする為に安物を使っているだろ?」
「な、何故にそんな事まで分かるんですか!?」
「ジンって、意外と食通なのよね。だから、素材の良し悪しが分かるのよ」
「そんな特技があったんですか・・・・・・」
「まあ、料理が作れないから、あまり意味が無いかも知れないけどな」
そんな話をしていると、何やら焦げ臭い匂いが漂って来る。
「何か、焦げ臭いないか?」
「そう言えば・・・って、早苗! 機械が!」
「へ? ああ! 綿飴製造機が!?」
機械から煙が出ている事に気づいた早苗は、直ぐ様電源を切ろうとするが――――。
「キャアー! 止まらなーい!」
機械は暴走し、大量の綿飴を放出するのであった。
―――――――――――
綿飴の暴走に巻き込まれた四人であったが、事なきを得て、宛もなく里を歩いていた。
「まったく、酷い目あったわ」
「爆発しなくて良かったです・・・・・・」
「河童達が修理をしているみたいだが、収穫祭中には無理だろう」
「もっと綿飴食べたかったな・・・・・・」
そんな事を話ながら歩く四人。すると、芳ばしい香りが鼻をくすぐる。
「いい匂いがする・・・」
「これは・・・肉か?」
針妙丸とジンは、匂いがする方へと行ってしまう。
それを見た霊夢は、ため息を吐く。
「あんた達、まだ食うの?」
「私も一杯何ですけど・・・・・・」
「これが最後にするつもりだ」
「ねえ霊夢、良いよね?」
「まあ、別に良いけど。あまり食べ過ぎないように、じゃないとお腹痛くするわよ」
「はーい♪」
「わかってる」
霊夢に許可を貰った二人は、匂いが漂う屋台の方へと向かい、霊夢と妖夢は少し離れた所で二人を待つ事にしたのであった。
屋台に着いたジンと針妙丸を出迎えたのは、意外の人物であった。
「いらっしゃ―――え!?」
「妖狐? お前今日は用事があるって言ってなかったか?」
「え、え~と・・・それは・・・・・・」
妖狐は明らかに視線を泳がしていた。すると、奥からまたしても予想外の人物達が出て来る。
「おーい、何かあったか?」
「どうしたどうした?」
「正邪にてい? お前ら三人で何をしているんだ?」
出てきたのは正邪とてゐ、いかにも悪徳商売をやりそうな面子に、ジンは怪訝そうにした。
「何って、収穫祭に参加してるだけだよ」
「お前らが? 何か悪徳商売をしているんじゃないか?」
「それは酷い言い草だね。なんなら、見てみなよ」
そう言って、ていは商品を見せる。それは至って普通なハンバーガーで、値段も中々手頃であった。
「・・・・・・普通みたいだが、食材の方は大丈夫なんだろうな」
「疑り深い奴だな。針妙丸を見習った方が良いんじゃないか?」
「美味しい~♪ これ美味しいよジン!」
針妙丸はいつの間に手にしたハンバーガーを、美味しそうに食べていた。
「針妙丸・・・少しは疑う事を覚えた方が良いぞ」
「?」
「お前はどうするんだ?」
「まあ、折角来たんだし、食べて行くよ」
「毎度あり~♪ ほら妖狐、さっさと作りなよ」
「わ、わかりました・・・・・・」
正邪にせかされ、妖狐はジンにハンバーガーを作り、それを渡す。
「それじゃ、いただきます」
ジンは受け取ったハンバーガーを口にする。それを見た正邪とていは、ニヤリと笑う。
(ふっふっふ、普通の肉と思ったか? 残念でしたー♪ それは豆腐を入れて水増しした肉なんだよ♪)
(六対四の割合で混ぜているから、まず分からないだろうね♪)
正邪とてゐは、ひそひそと話していた。そんな二人を尻目に、ジンは豆腐ハンバーガーを口にした。
「モグモグ・・・ふむ」
「ど、どうでしょうか?」
「中々美味い。豆腐を混ぜて作ったにしては、ハンバーグのジューシーさを損なっていないな」
((バレたー!?))
豆腐を混ぜて作っていたのが、あっさりとバレてしまい。正邪とてゐは、開いた口が塞がらなかった。
「ううっ・・・やはり見抜かれてしまいましたか・・・・・・」
「まあな、俺達に黙っていたのは、水増しした肉でハンバーガーを売っている事を知られたくなかったんだろう?」
「はい・・・霊夢さんならともかく、ジンさんなら見抜かれてしまうと思いまして・・・・・・」
「正邪とていの経緯は?」
「御二人の話を聞いて、昔の詐欺の血が騒いでしまい、つい―――」
「魔が差した訳か」
「も、申し訳ありません!」
妖狐は深々と頭を下げて、ジンに謝罪をするが、ジンは呆気に取られていた。
「何で謝るんだ?」
「え? だって、私達は豆腐を使ってハンバーガーを―――」
「特に問題は無いんじゃないか? 腐っている肉とか、人肉を使っているなら問題だが、豆腐を使っている分は良いと思うが? 外には豆腐ハンバーグっていう物だってあるし」
「そうなんですか?」
「ああ、だから大丈夫だとは俺は思う。それに美味かったし。なあ針妙丸?」
「うん! 美味しかった♪」
「ジンさん、針妙丸・・・・・・」
「だから今回の事は目を瞑る。霊夢にも黙っておいてやるから」
「はい! ありがとうございます!」
「それじゃ、俺達はもう行く。霊夢達を待たせているから」
「頑張って皆!」
そう言って、ジンと針妙丸はその場を後にする。
二人が去った後、てゐと正邪はこう漏らしていた。
「いや~、バレた時はどうなるかと思ったけど、見逃してくれて良かったね」
「・・・・・・」
「あれ? 正邪どうしたの?」
「何だかよく分からないが、悔しい~!」
正邪は、何か分からない悔しいさを感じ、地団駄を踏むのであった。
ハンバーガーを食べ終えたジンと針妙丸は、霊夢と妖夢の所に戻っていた。
「さて、これからどうする?」
「流石にこれ以上は無理よ」
「私も、お腹一杯だよ~」
「時間的にも、収穫祭は終わるな。それなら御開きにするか?」
「それでしたら、私は幽々子様を探しに行きたいのですが?」
「それは別に良いが・・・探せるのか?」
ジンは妖夢にそう聞くと、妖夢は困った表情をし、ジンに恐る恐る頼むのであった。
「あの・・・出来れば、探すのを手伝ってくれませんか?」
妖夢がそう言うと、ジンは嫌な顔をせず了承してくれた。
「ああ、別に構わない。この人だかりで探すのは大変だろうし」
「あ、ありがとうございます! この御恩は忘れません!」
「そんな訳で、俺は妖夢の手伝いをするが、二人はどうする?」
「どうせやること無いし、付き合うわよ」
「私も行くよ」
「わかった。それじゃ、皆で行くか」
「何処か当てがあるんですか?」
「パンフを見ていて気づいたんだが、どうやら大食い大会が開催されているらしい。幽々子なら、それに参加している可能性がある」
「なるほど、幽々子様ならあり得ます」
「それじゃ、その会場に向かいましょ」
ジン達は、幽々子がいるかも知れない、大食い大会の会場に向かうのであった。
―――――――――――
会場についたジン達であったが、既に会場は観客達で一杯であった。
「ついたが、幽々子はいるか?」
「ここからでは良く見えませんね・・・・・・」
どうにか確認を取ろうとするが、人だかりのせいで選手の姿が良く見えなかった。
どうしようかと困っていると、不意に上から声を掛けられる。
「おーい! 四人ともー!」
「この声・・・魔理沙?」
「上から聞こえたが・・・・・・」
声の方を見ると、そこには木の上に座っている魔理沙と魅魔の姿があった。
「魔理沙に魅魔? そんなところで何をしているのよ?」
「大食い大会を見ているんだよ。ここなら良く見えるぜ」
「俺達も一緒に見ても良いか?」
「別に構わないよ。こんな面白い物を、見なきゃ損だよ」
魔理沙と魅魔は快く承諾してくれ、ジン達は木の上で観戦する事にした。
木の上から会場が良く見え、その中には幽々子の姿があった。
「あ、いました!」
「やっぱり参加していたわね」
「他にも、知っている顔がちらほらいるな」
脱落者が出ているなか、幽々子の他に、ルーミア、宮古芳香、勇義の三人が残っていた。
「あの三人、良く幽々子様について来れますね」
「勇義はともかく、あの二人は食いしん坊キャラ?だからな。だけど、流石に限界か」
ジンがそう呟くと、ルーミアと芳香が倒れてしまった。
「もう一杯なんだな~」
「もう食べられないぞ~」
ルーミアと芳香が脱落し、とうとう幽々子と勇義の一騎打ちになる。
「いくら勇義でも、大食いじゃ幽々子には勝てないだろう。優勝は幽々子で決まりだな」
「それがそうでも無いよ」
すると、いつの間にか近くに萃香と華仙が座っていた。
「萃香と華仙? 来ていたの?」
「まあね」
「勇義が大食い大会に参加するって言ってたから、気になって来たの」
「それよりも、さっきの口振りから勇義には秘策があるのか?」
魔理沙がそう聞くと、華仙は少し微妙な顔をした。
「秘策って言うか・・・体質的なものというか・・・・・・」
「まあ、見ていれば分かるよ」
そう言って、萃香は会場の方へと目をやる。ジン達も会場の方を見ると、勇義が自前の酒を飲み始めると、食べるスピードが上がる。
「スピードが上がった!?」
「勇義に限らず、鬼は酒を飲むと代謝機能が上がり、より多く食べれるんだよ」
「飲めば飲むほど食べれるって訳か」
「それって、ドーピングじゃないの?」
「鬼にとっては、酒は水みたいな物だよ」
「審判も特に注意もして無いから、ルール上問題は無いみたいだな」
そんな話をしていると、勇義の皿の数は幽々子に近づいていた。
幽々子も引き離そうと食べるが、やはり勇義の方がスピードが早く、徐々に差が詰まっていく。
後一皿というところで、終了の鐘が鳴った。
「終了~! はいそこまで!」
司会者の声が会場に響く。
幽々子と勇義が食べた数は、数えるのも億劫になるほどであったが、二人はまだまだ余裕があるらしい。
もしこれが時間無制限だったなら、一体どれほど食べれたのだろうかと、観ていたジンは思った。
こうして、収穫祭は無事終わりを迎えるのであった。