東方軌跡録   作:1103

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映画を作ろう

人里の広場に、暗幕で作られたテントが設置されていた。その中に、人や妖怪が入って行く。

テントの中には簡易椅子と映写機、そして何かを写すスクリーンが設置されていた。

 

「皆よく来てくれたね。それじゃ、上映会を始めるよ」

 

河童のリーダーであるにとりがそう言うと、仲間の河童が映写機を動かし始める。

今日は月に一度におこなわれる、河童達の上映会である。

上映会と言っても、幻想入りをした映画フィルムを修復し、それを上映しているだけなので、大半が売れないB級映画だったりするのだが、時折無名の名作があるので、一概にハズレ映画とは言えず、わりと人気がある。

そして現在、スクリーンには少し古めの映画が映し出された。

 

「わー!」

 

「すごーい!」

 

「こら、上映中は静かに」

 

はしゃぐ子供達をたしなめる大人。誰もが、映し出された映画に夢中になるのであった。

 

 

映画が終わり、観客達はテントから出ていく。その中に、輝夜、鈴仙、ていの姿があった。

 

「いやー、久々に楽しめたよ」

 

「そうね、たまには映画も良いわ。ねえ姫様」

 

「・・・・・・」

 

「姫様?」

 

「映画・・・良いわね」

 

「へ?」

 

「私達も映画を作りましょう!」

 

「ええー!?」

 

鈴仙の叫びが、人里中に響き渡る。

こうして、輝夜の気紛れによる騒動が始まるのであった。

 

―――――――――――

 

永遠亭にある客間。輝夜に呼ばれたジンは茶を啜りながら、彼女から映画をやる経緯を聞いていた。

 

「・・・なるほど、映画を見て、自分達で映画を作ろうと思ったんだな」

 

「そうなのよ、だからジンに出演をお願いしたいのよ」

 

「何で俺なんだ?」

 

「そりゃ、手伝ってくれそうな人だからよ。手伝ってくれるわよねジン?」

 

「まあ、手伝える範囲でなら・・・・・・」

 

「流石はジン、話が早くて助かるわ♪」

 

「ところで、映画をやるなら脚本は考えてあるのか?」

 

「その辺は抜かりなく」

 

そう言って、輝夜は一冊の本を取り出し、ジンに手渡した。

 

「かなりの自信作よ。これを読んだら涙線崩壊確実よ」

 

「ほう、それは楽しみだ」

 

ジンはそう言って、本を読み始める。

最初は楽し気な表情であったが、徐々に顔は強張り、やがて難色を示し始めた。

 

「なあ、俺以外に読ませたか?」

 

「もちろん、みんな独創的って褒めてくれたわ」

 

(それは遠回しに言ったんだろう・・・やれやれ・・・・・・)

 

ジンは溜め息を吐き、これを読んだみんなの本音を代弁した。

 

「ハッキリ言うが、訳分からん上につまらないぞ」

 

「ええ!? 嘘ぉ!」

 

「大体、話が滅茶苦茶だ。

主人公が山に薪を拾いに行ったのに、何故竜宮城に着くんだ? しかも、竜宮城が鬼に占拠されているし、いつの間にか、犬、猿、雉が仲間になっている。更に最後は、凍え死んで、天国にいるお婆さんお爺さんに再会しているが、冒頭でこの二人は生きているだろ。あと、犬、猿、雉は何処に行った」

 

それは童話をしっちゃかめっちゃかに繋ぎ合わせた物で、とてもでは無いが、物語とは言えない代物であった。どちらかというと、ギャグとしか言えない物である。

 

「悪いが、これを映画にするのは無理だ」

 

「むう、それだったらジンが話を作ってよ」

 

「お、俺が?」

 

「そうよ、因みにみんなが納得出来る物でね♪」

 

こうしてジンは、成り行きで映画の脚本を作ることになってしまった。

 

―――――――――――

 

それから数日後、ジンは四苦八苦しながら、輝夜に頼まれた脚本を作り上げ、彼女にそれを見せていた。

 

「ど、どうだ?」

 

「うーん・・・正直言って読みづらい。文法が滅茶苦茶よ貴方」

 

「うっ・・・し、仕方ないだろ。俺は理系なんだからな・・・・・・」

 

「しょうがないわね・・・私が手直ししてあげる。これじゃ、読みづらくて仕方ないわ」

 

「す、すまない・・・・・・」

 

ジンは申し訳なさそうに、輝夜にあやまった。

その後輝夜は、脚本の中の間違っている文法を、一つ一つ直し始めた。

 

 

それから時間が経ち、ハチャメチャだった文法は見事に綺麗になり、誰でも読める脚本に完成したのである。

 

「出来た! いやー、我ながら良い仕事をしたわ」

 

「確かにな、字も綺麗で読みやすいし、とても分かりやすく書かれている」

 

「そりゃ趣味で和歌を作ったりしているから、これぐらいは簡単に出来るわよ」

 

(そのわりには、ハチャメチャな話を作るよな)

 

「それじゃ、早速読んでみましょ」

 

「そうだな、チェックはしないとな」

 

二人は出来た脚本を最初から読み始める。

シナリオの内容とは、姫が母の病を治す為、従者と共に、病を治す秘宝の薬を求めて旅をする話である

 

「わりとシンプルね。もう少し脚色しない?」

 

「俺達は素人なんだから、シンプルな方がやり易いだろ」

 

「そういうものかしら?」

「そういうものだ。それに、単純明快の方が受けが良いんだよ」

 

「ふーん・・・・・・」

 

「さて、脚本はこれで行くとして、役者を集めないとな」

 

「心当たりあるの?」

 

「ああ、一応何人か目をつけているが、引き受けてくれるかどうか・・・・・・」

 

「それは貴方次第ね。頑張ってスカウトしてねジン」

 

輝夜は笑顔で、ジンにエールを送るのであった。

 

―――――――――――

 

ここは冥界にある白玉楼。ジンはある人物をスカウトするために、ここへとやって来た。

 

「え!? 私が映画にですか!?」

 

「ああ、頼めないか妖夢?」

 

ジンがスカウトしようとしたのは妖夢であった。

いきなりのスカウトに、妖夢はただ困惑していた。

 

「いきなりそんな事を言われても・・・私は演技なんて出来ませんよ」

 

「その辺りは大丈夫だ。この従者は妖夢をモデルにしているから」

 

「ええ!? そ、そんな勝手にモデルにしないで下さい!」

 

「それは悪いと思っているが、書いている内にイメージが固まってしまってな。

ともかく、どうにか引き受けてくれないか?」

 

「そ、そう言われましても――――」

 

「引き受けて上げなさい妖夢」

 

突如現れた幽々子は、誘いを渋っている妖夢に対して受けるに言って来た。

 

「ゆ、幽々子様? それは一体どういう事ですか?」

 

「言葉通りよ、映画に出演しなさい妖夢」

 

「ええ!? さっきも言ったように、私は演技なんて出来ませんよ!」

 

「出来る出来ないじゃなくて、友人の頼みを無下にしてはいけないって言っているのよ」

 

「で、ですが―――」

 

「それに、ジンには色々恩があるでしょ? 貴女は恩人の頼みを聞けないのかしら?」

 

「―――っ! そうでした。危うくあの時の誓いを違えるところでした」

 

妖夢は何かを思い出すと、先程とはまったく違う凛々しい表情をしていた。

 

「ジンさん、この話を引き受けさせて貰います」

 

「良いのか?」

 

「ええ、貴方の恩に報いるのなら、何だってします」

 

「そんな大袈裟じゃなくて良いが・・・ともかくよろしく頼む」

 

「はい! 未熟者ですが、精一杯勤めさせて貰います!」

 

ジンと妖夢は握手を交わし合う。そんな様子を幽々子は楽しそうに見ていた。

 

「それにしても、妖夢が映画デビューか・・・長生きしてみるものね」

 

「幽々子様は死んでいますよね?」

 

「なら、長く死んでみるものよね」

 

「意味がよくわからなくなって・・・あ、そうだ、幽々子も映画に出演してみないか?」

 

「私が?」

 

「ああ、姫の母親役がまだ決まっていないんだ。あまり出番は無いけど、幽々子ならピッタリだと思う」

 

「面白そうね、私も出てみようかしら」

 

「よし決まり、二人ともよろしくな」

 

こうしてジンは、妖夢と幽々子のスカウトに成功したのであった。

 

―――――――――――

 

それから数日後、配役も着実に決まり、いよいよ撮影が始まろうとしたその時、ある問題が発生してしまった。

 

「私は出演しないわよ」

 

輝夜のその一言に、ジンは驚きを隠せなかった。何故なら、彼女は映画に出たいとばかり思っていたからである。

 

「映画に出たかったんじゃないのか?」

 

「違うわよ。私は映画を作りたいの、つまり私は監督なのよ。監督が出演しちゃったら、誰が監督するのよ?」

 

「そりゃそうだが・・・それじゃ、姫役は一体誰がするんだ?」

 

ジンは輝夜が出演するとばかり思っていたので、彼女を姫役と考えてしまっていた。

つまり、現在姫役は空席で、このままだと撮影が出来ないのである。

それを知った輝夜は、ジンに言う。

 

「探して来て」

 

「へ?」

 

「姫役を今から探して来て」

 

「い、今からか?」

 

「そうよ、これはジンの失態なんだから。それとも、貴方が姫役をする?」

 

「全力で姫役を探して来ます!」

 

輝夜の言葉を聞いたジンは、猛スピード走り出して行った。

 

 

勢いよく飛び出したのは良かったが、肝心の心当たりがまったくなかった。

 

(さてどうするか・・・あまり時間も掛けられないからな・・・・・・)

 

「あらジン、こんな所で何をしているの?」

 

どうするか考えていると、不意に声を掛けれた。

声の方を見ると、そこには天子がいた。

 

「天子か・・・」

 

「な、何よ? そんなに睨んで・・・・・・」

 

「天子、今暇か?」

 

「暇だから、地上に来ているんだけど?」

 

「それなら、映画に出てみないか?」

 

「映画って・・・河童達がやっているやつ?」

 

「まあそうだが、上映するのは俺達の自作だ。今、姫役を探しているんだが・・・」

 

「なんか面白そうね。良いわよ、引き受けてあげる」

 

「助かる! それじゃ一緒に来てくれ!」

 

「ちょ、ちょっと! そんな手を引っ張らないでよ!」

 

ジンは天子の手を引っ張り、撮影場所へと向かう。

いよいよ撮影の開始である。

 

―――――――――――

 

撮影が開始された数日後。

初めて作業に戸惑いながらも、撮影はそれなりに進んでいた。

 

「サニー、照明をもっと明るく。ルナ、マイクはしっかり持てよ。スター、ちゃんとカメラ回してくれ」

 

「はーい」

 

「わ、わかった」

 

「オーケー♪」

 

ジンの指示に従い、三人はテキパキと動く。そんな様子を、輝夜と鈴仙は感心しながら見ていた。

 

「やるわね・・・あんなにテキパキと迷いなく指示を出せるなんて」

 

「それだけじゃないですよ。あの妖精達の能力を把握して、能力を撮影に生かせていますよ」

 

サニーは能力で、光の強弱をつけ、ルナはマイクを持ち、録音と共に余計な音を遮断し、スターはレーダーで撮影位置を確認しながら、映画を撮影していた。

こうする事により、費用を比較的に安くなっていた。

 

「私も負けていられないわ。監督として、ビシバシ行くわよ!」

 

「はは・・・お手柔らかに・・・・・・あ、私の出番だ」

 

鈴仙は準備を済ませ、カメラの前に出た。

そして主役の妖夢も、同じ様にカメラの前に出る。

 

「それじゃ、前回の続きからやるわよ! アクション!」

 

輝夜がそう叫ぶと、ていがカチンコを鳴らし、カメラが回り出す。

 

「悪いけど、ここから先は行かせないわ!」

 

鈴仙は台詞通りに喋り、妖夢にモデルガンを向ける。すると妖夢は模擬刀を抜き、剣先を鈴仙に向ける。

 

「ならば! 押し通るまで!」

 

そう叫ぶと、戦闘シーンが始まる。

戦闘シーンと言っても、打ち合わせ無しの完全アドリブである。これについては、慣れない演技よりも、ガチンコ勝負の方が迫力があると言うことで、戦闘シーンに関しては役者任せにしているのだ。

 

「相変わらずの剣裁きね・・・殆ど見えないわ」

 

「その辺りは編集で何とかするさ」

 

「それにしても、戦闘シーンを役者任せにするのは、良いアイディアよね」

 

「妖夢は演技が上手く無いから、なるべく自然体の方が良いと思ってな」

 

「確かに、戦闘シーンの時が一番生き生きしているわ」

 

「それはそれでどうかと思うが、これなら中々良い作品になるかも知れないな」

 

「知れないなじゃなくて、するのよ。この映画を、幻想郷一にするんだから」

 

「それは良いが、その前にちゃんと完成させないとな」

 

そんな話を交わしながら、ジンと輝夜は撮影の様子を眺めていた。

 

 

戦闘シーンが終わり、通常シーンを撮影をするのだが、これが戦闘シーンより大変であった。何故なら―――。

 

「姫、みょんな気配が―――」

 

「カット! カット! 妖夢、台詞を間違えているわよ!」

 

「す、すみません!」

 

妖夢のNGが非常に多かったのである。

その為、ワンシーンを撮る為に、数回のリテイクが必要で、中には十数回を越える時がある。

 

「ここで一旦休憩にするわよ」

 

輝夜の提案により、休憩に入った。

そんな中、天子は妖夢に話し掛けた。

 

「貴女って、演技下手ね。もっとスパッと台詞言えないの?」

 

「ううっ・・・本当にすみません」

 

天子がやや非難な目で、妖夢に言うと、妖夢は申し訳なさそうに謝る。

そんな妖夢に、ジンは必ずフォローを入れる。

 

「まあまあ、最初に比べれば上達したんだから、そう目くじらを立てるな」

 

「ジン、前から思っていたけど、貴方妖夢に対して甘いんじゃない?」

 

「別にそんなつもりは無い。俺はただ、反省をする奴を責めたく無いだけだ」

 

「反省をするだけじゃ駄目なのよ。それを踏まえて練習しないと、いつまで経って上達しないんだから」

 

「妖夢はちゃんと練習している。休憩中に台詞の練習をしているのを、俺は知っている」

 

「ふーん・・・まあ、成果を出してくれないと、他にも迷惑が掛かるのよ。それを忘れないように」

 

そう言って天子は休憩に入った。

天子が去った後も、妖夢は申し訳なさそな顔をしていた。

 

「すみませんジンさん・・・撮影の足を引っ張ってしまって・・・・・・」

 

「天子が言った事は気にするな。今回の映画は素人が作る物なんだから、そんな多くは求めない」

 

「いえ、それでも皆さんの足を引っ張っているのは事実です。もっと練習しないと・・・・・・」

 

「真面目なのは良いが、根を詰めすぎるなよ。体を壊したら、元も子も無いんだから」

 

「はい」

 

ジンと話した事により、妖夢は少しだけ元気になった。

その後、休憩の合間にジンは、妖夢の練習に付き合うのであった。

 

―――――――――――

映画の完成の目処が経った頃、ジンは次の段階に移る為に、ある人物達とであっていた。

 

「――――という訳で、映画の宣伝を頼めないか? 文、はたて」

 

「構いませんよ。こんな面白そうな事を見逃す文屋はいませんよ」

 

「そうね。幻想郷初の映画作品なんて、特ネタ級よ」

 

文とはたては、ジンの話を聞いて、とても楽しそうな表情をしていた。

 

「それじゃ、引き受けてくれるんだな?」

 

「ええ。ですが・・・不満があります」

 

「そうね、確かに納得出来ない事があるわ」

 

すると、二人はさっきまでの楽しそうな表情と裏腹に、今度は不機嫌そうな顔つきになっていった。これにはジンも、戸惑いを隠せなかった。

 

「あ、あれ? 何か駄目な点があったか?」

 

「ありますよもちろん――」

 

「そりゃだって―――」

 

「どうしてはたてを誘ったんですか!?」

「どうして文を誘ったのよ!?」

 

二人は同時に言い放った。

二人が不満に思っていたのは、ネタの提供を自分だけでは無く、ライバルにも提供をしていた事であった。

 

「い、いや・・・多い方が広告としての効果が上がるだろ?」

 

「それにしたって、何もはたてを誘わなくても良いじゃない」

 

「それはこちらの台詞よ。広告は私の新聞で十分よ」

 

「弱小新聞のくせに?」

 

「それはもう昔の事よ!」

 

二人はジンをそっちのけで口論を始めてしまった。

ジンの知り合いの天狗記者は、この二人しかいないので、彼女達に広告を頼もうと考えたが、どうやら裏目に出てしまったようである

 

「ああもう! 二人とも落ち着いてくれ!」

 

その後ジンは、広告内容より、二人の仲裁に力を使ってしまうのであった。

 

―――――――――――

 

撮影から一ヶ月後。

映画は無事に完成を迎え、これから人里で上映が行われようとしていた。

 

「なんだが、緊張しますね・・・・・・」

 

「私が出演したんだから、名作になるのは間違いないわ」

 

「名作になるかどうかは分からないが、それなりの作品になったと思う」

 

緊張気味の妖夢に、自信満々の天子、それなりに手応えを感じたジンの三人は席に座る。

輝夜は全員が椅子に座ったのを確認すると、映写機に手を掛ける。

 

「皆座ったわね。それじゃ、上映するわよ」

 

そう言って輝夜は、映写機を動かす。

スクリーンに最初に映し出されたのは、映画のタイトルである幻想遊記という文字であった。

次に内容であるが、プロに比べれば劣る演出ではあるものの、分かりやすい内容であるが為、観客の受けはそれなりに良く、しかも戦闘シーンに関しては、度肝を抜く迫力があった為、とても好評を得る事が出来た。

こうして、ジン達の最初の映画作りは一応成功という形で終わるのであった。

 

―――――――――――

 

その日の夜。人里の居酒屋を貸切り、映画の打ち上げが行われていた。

 

「この一ヶ月間お疲れ様、皆のおかげで上映は無事成功したわ。今日は私の奢りだから、好きなだけ食べて飲んでね」

 

「「「「おおー!」」」」

 

輝夜の音頭が終わると、映画協力者はこぞって食べ始める。

そんな中、ジンは妖夢と天子と一緒に食べていた。

 

「二人ともお疲れ様」

 

「はい、お疲れ様です」

 

「まあ、あれぐらい私に掛かれば余裕よ」

 

「相変わらず自信満々だな天子は」

 

「でも、あんな台詞をハキハキ言えるなんて、凄いと思います。私なんか、何回リテイクしましたし・・・・・・」

 

妖夢の言う通り、天子の演技力は中々の物で、短時間で台詞を覚え、監督が求める演技をした。それは今回の役者の中でも特出していた。

 

「そうだな・・・スカウトした俺が言うものなんだが、予想外だったな」

 

「何よ、私の隠された才能を見抜いてのスカウトじゃなかったの?」

 

「正直言うと、あの時は誰でも良かったから、偶々居合わせた天子をスカウトしただけだ」

 

「あ、貴方ねえ・・・・・・」

 

ジンの言葉に、天子は呆れ返ってしまった。

そんな雑談していると、輝夜がこちらにやって来る。

 

「楽しんでいる三人とも?」

 

「はい、おかげさまで」

 

「それは良かったわ。

ところで、物は相談なんだけど・・・次の映画にも出演してみない?」

 

「次って・・・少し気が早いんじゃないか?」

 

「そんな事は無いわよ。

映画が終わった後、アンケート取ってみたんだけど、続編を希望する声が多く寄せられたわ」

 

「そ、そうなんですか?」

 

「まあ、私が主役をしたんだから、当然の反応よね」

 

「だから第二段を製作する事にしました! 今はまだ構想出来ていないけど、作る時はまた協力して欲しいの」

 

輝夜は三人にそう頼むと、三人は嫌な顔せずに頷いた。

 

「当たり前でしょ、私がいないと成り立たないんだから」

 

「今回はあまり上手く出来なかったので、リベンジしたいと思います」

 

「まあ、大変だったけど、それなりに楽しめたからな、次も参加させて貰いたい」

 

「ありがとう三人とも、これからよろしくね」

 

そう言って、輝夜は嬉しそうに笑った。

後に幻想遊記はシリーズ化とし、幻想郷でささやかなブームとなるのだが、それについてはまた別の話である。

 




何となく思いついた話です。
河童たちの技術はどれ程の物かはよく知らないですが、それなりに高そうなので、映画のフィルムや映写機ぐらいなら修復できるんじゃないかと思っています。
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