東方軌跡録   作:1103

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三月精を読んで気づいたのですが、サニーだけ料理をしている描写が無いのです。
もしかしたら、他の二人と違い料理が出来ないのでは?
今回はそんな妄想をして、書いたお話です。


サニーの挑戦

博麗神社にあるミズナラの御神木。そこにサニー達は住んでいる。そして今日も三人一緒に朝食を食べていたのだが――――。

 

「ちょっと、これはどういうつもりなのルナ?」

 

「え? 何が?」

 

「どうして目玉焼きが半熟なのよ!」

 

テーブルを叩きながら怒鳴るサニー。ルナは戸惑いながらも、理由を聞く事にした。

 

「え? 半熟で何が悪いの?」

 

「悪いわ! 半熟なんて中途半端な事をするから、目玉焼きの形が壊れちゃったじゃないのよ!」

 

「でも、結局食べるんだから、どっちだって同じでしょ?」

 

「違うわよ、目玉焼きの黄身は、太陽を象徴しているのよ。それを崩れる半熟は正に外道! 目玉焼きを冒涜しているわ!」

 

そうサニーは力強く言うが、ルナもスターも彼女の主張にあまりピンと来なかった。

 

「うーん、私的には半熟の方が良いけど・・・・・・」

 

「私も、完熟が良いって言うのはサニーだけじゃない」

 

「二人とも分かっていないわね、こうなったら私が美味しい完熟目玉焼きを作って上げるわ!」

 

「え? サニー料理作れたの?」

 

「勿論よ、私に掛かればちょちょいのちょいよ」

 

「何だが不安なんだけど・・・・・・」

 

「まあ見てなさい、明日には凄い目玉焼きを食べさせてあげるんだから」

 

そう自信満々に言うサニーであったが、内心困り果てていた。何故なら、料理をしたことなど一度も無いからである。

 

(困ったな・・・料理なんてした事無いのに・・・・・・でも、ここで引き下がったら、リーダーとしての威厳が無くなるわ。なんとしても、ルナをギャフンと言わせてやるんだから!)

 

そう心に誓い、サニーは黄身が崩れた目玉焼きを食べるのであった。

 

―――――――――――

 

それからサニーは、境内で雪掻きをしているジンに、助言を貰おうとしていた。

 

「――――そんな訳で、簡単に目玉焼きが出来るようにならない?」

 

そう懇願するサニーであったが、ジンは少し困った表情をした。

 

「うーん・・・俺も料理はお粥ぐらいしか出来ないからな。霊夢や妖狐に教わった方が良いぞ」

 

「出来れば、他の二人には知られたく無いのよ」

 

「そうか・・・・・・」

 

ジンはしばらく考えた。誰か他にサニーに料理を教えてくれる人はいないものかと、そして、ある一人の人物が浮かぶ。

 

「そうだ、魔理沙なら引き受けてくれるかも知れない」

 

「魔理沙さん?」

 

「ああ、確か何でも屋もしていた筈だから、引き受けてくれるかも知れない」

 

そう言ってジンはサニーを連れて、魔法の森に向かうのであった。

 

―――――――――――

 

魔法の森にある霧雨魔法店。そこに二人は訪れていた。

 

「おーい、魔理沙いるかー?」

 

ドアを叩き魔理沙を呼ぶ、するとドアをが開いた。

 

「なんだジンか、何か用か?」

 

「ああ、今日はお前に依頼をもって来た」

 

「依頼?」

 

「実はな――――」

 

ジンはこれまでの経緯を魔理沙に話した。

 

「なるほどな。わかった、この霧雨魔理沙に任せな!」

 

そう言って、魔理沙は自分の胸を叩いた。

 

 

魔理沙の家に上がり込んだ二人が見た物は、とても悲惨な光景であった。

あちらこちらに本や物が積み上げられ、歩ける場所は魔理沙の部屋に続く道しか無い程である。

 

「相変わらず汚いな・・・・・・」

 

「流石にこれは・・・・・・」

 

「う、うるさいな、これでも生活には困っていないぜ」

 

「女性としてそれはどうなんだ? まったく・・・ところで魅魔は?」

 

「魅魔様は、また旅行に行っている。帰って来るのはいつになるかわからない」

 

「そうか・・・まあ、取り合えず掃除だな」

 

こうしてジン達は、魔理沙の家の掃除をする事にした。

 

 

掃除を終え、ようやく料理を教えて貰える事になった。

 

「先ずはフライパンに油を引いて、火をよく通してから卵を投下するんだぜ」

 

「はーい」

 

サニーはおぼつかない手付きで、フライパンに油を引いた。

暫くし様子を見て、フライパンに十分火が通ったのを確認した魔理沙は、サニーに次の指示を出す。

 

「よし、そこで卵を投下しろ」

 

「わかりました!」

 

サニーは元気よく返事をし、卵を割ろうとするが、何故か片手で割ろうとしてしまい、卵をグチャっと潰してしまった。

 

「うへぇ・・・ぬるぬるして気持ちわる~い」

 

「・・・・・・何で片手で割ろうとしたんだ?」

 

「え? だって、その方がカッコいいと思ったから」

 

「カッコいい以前に、素人なんだから、そんな見栄を張るな」

 

「むう・・・・・・」

 

サニーは渋々と頷いた。

気を取り直して、次の卵を手に取る。今度は両手で割った。しかし、今度はフライパンの上に落ちた瞬間に黄身が壊れてしまった。

 

「ああ! 黄身が壊れちゃった・・・・・・」

 

「まあこれは仕方ないな、次頑張れば良いさ」

 

そう言って、魔理沙は壊れた黄身をかき混ぜ、スクランブルエッグにした。

フライパンを洗い、再度目玉焼きに挑戦するサニー。今度は、上手く割らずにフライパンの上に落とす事が出来た。

 

「やったー♪」

 

「よーし、今度は水を入れ、蓋を閉めて蒸すんだ」

 

「はーい♪」

 

魔理沙の指示に従い、サニーはフライパンに水を入れ、直ぐ様蓋を占める。暫く待つと、魔理沙は次の指示を出す。

 

「そろそろ良いかな、蓋をとってみろ」

 

「わかったわ」

 

サニーは蓋をあける、大量の水蒸気が立ち上ぼり、その中から見事な目玉焼きが姿を現した。

 

「よーし上出来た。後は、皿に移せば良いだけだ」

 

「ふふん、私に掛かればこんな物よ」

 

サニーは得意気に言って、目玉焼きを皿に移そうとしたが、何故かフライパンから離れなかった。

 

「あれ? おかしいな?」

 

「どうやら、油が少なかったらしいな」

 

「ええい! こなくそー!」

 

サニーは破れかぶれにフライパンを振り回す。すると目玉焼きは空中を舞い、そのままジンに目掛けて飛んでいった。

 

「「あ」」

 

「へ? うわあっちぃーー!?」

 

ジンの叫びが、家中に木霊した。

 

 

それから再度目玉焼きに挑戦するサニー。今度はフライパンから上手く剥がれ、皿に移す事が出来た。

 

「よーし、今度こそ成功だ。よくやったなサニー」

 

「えっへん」

 

「さて、失敗作を含めて食べる事にしよう」

 

そう言って、皿を食卓に並べた。因みに、スクランブルエッグはジンと魔理沙、目玉焼きはサニーが食べる事になった。

 

「「「いただきます」」」

 

食べ始める三人であったが、途中でサニーの手が止まってしまった。

 

「ん? どうしたんだサニー?」

 

「・・・・・・これ、半熟なのよ」

 

「それがどうかしたんだ?」

 

「私が作りたいのは、完熟目玉焼きなの!」

 

サニーはテーブルを叩きながら言った。そこでジンは、サニーの言葉を思い出した。

 

「そう言えば、そんな事を言っていたな」

 

「完熟も半熟も似たような物だろ?」

 

「全然違うわ! 例えるなら、太陽と月ぐらいに違うわ!」

 

サニーはそう言うと、再び台所に向かった。

 

「もう一度やるわ! 今度は完璧な完熟目玉焼きを作ってみせる!」

 

「おいおい、まだやるのか・・・・・・」

 

「まあ、本人がやりたいんだ。やらせてくれないか?」

 

「別に良いが、別料金請求するからな」

 

「わかった。その代わりに指導頼むぞ」

 

「任せておけ、私に掛かればシェフにだってなれるさ」

 

そう自信満々に言う魔理沙に対して、ジンは僅かな不安を抱く。

 

 

それからと言うもの、サニーは完熟目玉焼きを作る事が出来ず、どれも焦げた目玉焼きになってしまった。そして、卵の数も残り少なくなった。

 

「残り少ないな・・・ちょっと人里で買ってくる」

 

そう言って、ジンは人里なに卵を買いに行くのであった。

 

―――――――――――

 

ジンは、人里で目的の卵を買ったが、直ぐに戻らず、香霖堂を訪れていた。

 

「ん? ジンじゃないか、いらっしゃい」

 

「邪魔するぞ」

 

「今日は何をお求めで?」

 

「耐熱ガラスで出来た蓋を探しているんだが、あるか?」

 

「ちょっと待ってて」

 

そう言って、霖之助は店の奥へと行った。しばらく何かを探す音がするが、やがて止み、ガラスで出来た鍋の蓋を持って戻って来た。

 

「これなんてどうかな?」

 

「ふむ・・・ああ、これなら良いだろう。これを貰おう」

 

「毎度あり。それにしても、これを買うって事は、霊夢へのプレゼントかい?」

 

「いや、サニーにやろうと思って」

 

「サニーって、神社に住んでいる妖精? 何でまた?」

 

「まあ何と言うか、彼女に必要な物だからかな」

 

「まあ、深くは詮索しないよ。はいどうぞ」

 

ジンは霖之助から蓋を受け取り、彼に代金を手渡した。

 

「ありがとう、また何か必要だったら寄るから」

 

「お客さんは、いつでも歓迎するよ」

 

言葉を交わしたジンは、霖之助に見送られながら店を出ていった。

 

―――――――――――

 

魔理沙の家に戻ったジンが最初に見たのは、かなりの数の目玉焼きの失敗作だった。

 

「これは・・・かなり酷いな」

 

「お、帰って来たかジン」

 

「ああ。その様子だと、成果は芳しくないようだな」

 

「そうなんだよ、焦がしたり、完熟じゃなかったりしていてな・・・・・・」

 

魔理沙は少し疲れた表情で呟いた。一方サニーも、憔悴している様子であった。

そんなサニーに、ジンは優しく声を掛けた。

 

「大丈夫かサニー?」

 

「ジン・・・・・・」

 

「そんなに根を詰めていると、体に良くないぞ」

 

「だって・・・全然上手く出来ないんだもん」

 

「どうしてそんなに完熟に拘るんだ?」

 

その問いに、サニーは小さく答えた。

 

「sunny side up」

 

「え?」

 

「以前、ジンが教えてくれたよね。目玉焼きを片面で焼くのを、英語で言うとsunny side upって」

 

それはほんの些細な事であった。理由は今では思い出せないが、サニー達が聞いて来たので、その言葉を教えた事があった。

 

「sunnyってのは私の名前でもあり、太陽の呼び名でしょ?、だから、目玉焼きは太陽を象徴する物。それが崩れてしまうのが嫌なの」

 

ほんの些細な事であるが、サニーにとっては大切な事だと、ジンは感じた。

そんな落ち込んでいるサニーを、ジンは優しく撫でた。

 

「その気持ち分かるよ。俺も、黄身が崩れるのは嫌だからな」

 

「ジン・・・・・・」

 

「だから、これをサニーにプレゼントする」

 

そう言って、ジンは先程買ったガラス蓋を渡した。

 

「これは?」

 

「ガラスの蓋。これなら焼き具合が見えるだろ?」

 

「ありがとうジン! 早速やってみるわ!」

 

サニーは嬉しそうに蓋を受け取り、それを使って目玉焼きを作ろうとした。

魔理沙の教え通りに、フライパンに油を引き、火が通ったところで卵を投下、水を入れ、先程受け取ったガラスの蓋でフライパンに蓋をする。今までとは違い、中の様子が覗け、焼き具合が良くわかる。しばらくフライパンの中をじっと見つめ、黄身の色が完全に変わったところで蓋を開け、目玉焼きを皿に移した。

 

「ど、どうかしら?」

 

「どれどれ・・・・・・」

 

ジンは橋で黄身を刺す、黄身は崩れず、完熟になっていた。

 

「うん、ちゃんと完熟になっているぞ」

 

「や、やったー♪」

 

「よくやったなサニー」

 

「ジンのおかげよ、ありがとう♪」

 

ジンとサニーは、喜びを分かちあった。そんな中、魔理沙は二人に残された問題を伝えた。

 

「喜んでいるのは良いが、この大量の失敗作はどうするんだ?」

 

「「あ」」

 

テーブルの上には大量の失敗作が置かれていた。ジン達は、それらをどう処理すべきか悩むのであった。

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