評価バーにとうとう色が付きました!
しかも赤だなんて・・・
いつも読んでくださる皆さま、本当にありがとうございます!
今日の活動は諸々の説明のみの予定だったので、下校まで微妙に時間が空いてしまった。
勇者部の面々は、それぞれ思い思いに過ごしている。
そんな中、2年生組の3人が黒板の前で集まって話をしていた。
話題は再び戻り、紘汰の件についてである。
「何者なんだろうね。その戦極って人。」
「2回話したけど、正直俺もよくわかんねぇ。一応、大赦の研究者とは言ってたんだけど・・・。胡散臭さの塊みたいなやつでさ。」
その時のやり取りを思い出した紘汰が、あからさまにゲンナリした様子を見せる。
よっぽど合わなかったんだろうなぁ、と眉間にしわを寄せている紘汰を見て友奈が苦笑を浮かべた。
そんな後輩達の話題を聞きつけて、樹のタロットを横で眺めていた風がひょっこりと顔を出した。
「そういえば、大赦からの連絡がさっき来てたわ。その人、やっぱり大赦の関係者だって。開発中の対バーテックス用の試作システムだから、協力してお役目にあたるようにって。念のために紘汰の検査もしてくれるみたいよ。」
「一応、本当だったんだな・・・。」
裏が取れたことにひとまず安心する紘汰。
何を考えているかわからない相手ではあるが、これで身元だけははっきりしたというわけだ。
「紘汰くんがそこまで言う人って、なんだか逆に興味出てきたかも。」
「友奈、あんた結構物好きね・・・。」
「やめといたほうがいいと思うぞ・・・。東郷も何とか言ってやってくれよ。「気に入らないわね。」・・・東郷?」
突如発せられた不満げな声に、一同が東郷に注目する。
視線を向けられた東郷は、どこか憮然とした表情を浮かべていた。
直接会った紘汰としては納得だが、話に聞いただけの人物の何がそんなに気に入らなかったのだろうか。
妙に迫力のある東郷の様子に、皆は息をのんで彼女の次の言葉を待った。
しばらく間を置いたのち、とうとう東郷が口を開いた。
「気に入らないわ。なぜ、よりによって名前が『アーマードライダー』なのかしら。」
「「「あ、はい。」」」
東郷美森14歳。
熱き大和魂をその身に秘めたこの少女は、横文字があまり好きではなかった。
「百歩譲ってオレンジはいいでしょう。オレンジはオレンジという名前の方が一般的だし和名ではイメージも付きにくい。でも、せっかくの鎧武者姿によりによって横文字の名前を付けるだなんて全く理解できないわ。戦極なんて中々見込みのありそうな名前をしているのになんてもったいない・・・。」
「そ、そうだね・・・。」
熱くなり始めた東郷に友奈はとりあえず同意することしかできなかった。
こうなると長くなる。
そうなる前に何とかしなければ。
紘汰と風が頼んだぞ、と言うように友奈に視線を送る。
緊張した面持ちで友奈が頷くと、未だに不満を言い続けている東郷に恐る恐る声をかけた。
「じゃ、じゃあ東郷さん!私たちで何か別の名前を付けてみようよ!『あーまーどらいだー』って、なんだか長くて言いにくいし!それにまだ試作だってお話だし、他にいいのがあればもしかしたら採用されるかもしれないでしょ?」
「お、いいじゃんそれ!なぁ東郷、カッコいいの頼むぜ!」
「なるほど、確かにそのとおりね。私たちで紘汰君の為に日本男児に相応しい名前を付けてあげましょう!」
盛り上がる後輩一同に、風は少しあきれ顔だ。
水を差すのも悪いだろうと、おとなしく樹の元へと戻っていった。
その場では、東郷が張り切った様子で場を仕切り始めた。
「では、まずは特徴を書き出していきましょう。友奈ちゃん、お願いね。」
「うん!じゃあまずは・・・『オレンジ』、『パイン』、ヨロイ・・・。」
東郷の指示を受け、黒板に向かって元気よく文字を書き始めた友奈の手が早速止まる。
どうしたんだ?と、後ろの二人が首を傾げていると、ややぎこちなくこちらを振り向く友奈。
「あの~東郷さん?ヨロイってどうやって書くんだっけ・・・?」
「友奈ちゃん・・・後でお勉強ね・・・。」
あれから議論は意外と白熱し、3人そろってあーでもないこーでもないと意見を出し続けた。
そして、今ようやく決定を迎えることになったのだった。
さて、決まったその名前はというと・・・
「
話し合いが終わった気配を察知して再び戻ってきた風が黒板に大きく丸を付けられた名前を見てそのまま声に出す。
「へぇ~。中々いいんじゃない?」
「そーですよね!色々出たけどやっぱりシンプルが一番じゃないかって!」
「私としては『長門』とか『大和』とかでもよかったんですけど・・・。」
「それはお前の好きな戦艦の名前だろ・・・。」
黒板には色々と、何やら独創性のある名前が並んでいたが、これらは暴走の結果だろう。
なんというか、一週回って帰ってきた感じだ。
「でもそうなるとアレよね。もういっそ元の方もつけて『アーマードライダー鎧武』とかでもいいんじゃないかと思うわね。」
「おぉ!なんかぐっとヒーローっぽくなったな!」
「それだと本末転倒な気もしますが・・・。まぁいいでしょう。じゃあ『鎧武』は紘汰君の固有名詞という事ね。」
けってーい!と、その場のメンバーの同意を得たところで、今回の命名会議はお開きだった。
意外と長いことしゃべっていたので、体が固まってしまっている感じがする。
紘汰は大きく伸びをすると、そういえばと思って樹の方に歩いていった。
こちらの議論に参加していなかった妹は、まだタロットカードとにらめっこしていた。
近づいてきた兄に気が付くと、一度手を止めて顔を上げる。
「お疲れ様お兄ちゃん。名前、決まったの?」
「ああ、『鎧武』だ。『アーマードライダー鎧武』。どうよ?」
会議には参加していなかったが、何をやっていたのかに関しては知っていたらしい。
ちょっと疲れた様子の紘汰を気遣いながら聞いてくる妹の頭に、感謝の念を込めながら優しく手を置くと、ちょっと自慢気にそういった。
「いいと思うよ。なんだかヒーローみたいでカッコいいね。」
「だろ~?お前もそう思うか、よしよし。・・・ところで樹は今何占ってんだ?」
樹の頭の上の手を少し乱暴にぐりぐりしながら、先ほどから樹が見つめていた机の上に目を移す。
そこにタロットカードが規則的に並べられており、めくられるのを待っているような状態だった。
「もう!痛いってばお兄ちゃん!・・・敵がね、次いつ来るのかって占ってみてたの。お姉ちゃんが言うには、ご神託もそこまで正確にはわからないっていうし。参考ぐらいにしかならないけど、気になるから・・・。」
そういう樹の表情は、少しだけ暗い。
覚悟は決めたといっても、やはり不安なのだろう。
そんな妹の様子に、樹の背後に回った紘汰が今度は優しく頭をなでる。
「大丈夫だ樹。なんたってお前には『アーマードライダー鎧武』がついてんだからな!お前のことも皆のことも、ちゃんと俺が守ってやる。」
「お兄ちゃん・・・。」
優しい兄の言葉に、樹の目にはちょっぴり涙が浮かんでいた。
いつも前向きな紘汰がそういうと、本当に大丈夫な気がしてくるから不思議だ。
紘汰はいつも、友奈のことを同じように褒めているが、樹からしてみれば紘汰だっておんなじだ。
むしろ、樹にとってはこの兄こそがずっとヒーローだったのだ。
しばらくそうしていると、兄妹のふれあいを目ざとく見つけた姉が、二人の元へすっ飛んできた。
「ちょっとー!何二人だけでイチャイチャしてんのよー!お姉ちゃんも混ぜてよー!」
「イチャイチャって、あのなぁ姉ちゃん・・・。」
「そ、そうだよ!そんなんじゃないよお姉ちゃん!」
二人まとめて抱き着いてきた姉に、呆れる弟と顔を真っ赤にして否定する妹。
実は離れたところでこっそり見ていた友奈の顔も若干赤い。
兄妹ということはわかっていても、色々と考えてしまうお年頃なのであった。
「ところで、占いはいいの?コレ、あとはめくるだけなんでしょ?」
「あ、そういえばそうだった。じゃあ、めくるね。お姉ちゃん、ちょっと離れて。」
大げさにショックを受けたようなリアクションを取る風を適当にあしらった樹は、机の上のカードに手を伸ばす。
樹の小さな手が、一枚ずつカードをめくっていく。
詳しい内容はあまりわからないが、皆もそれをじっと見つめていた。
そして―――
「―――なるほど、流石樹。
皮肉気に言う風の表情は、硬い。
皆の間にも、緊張が走る。
樹が最後にめくったカードは『吊られた男』の正位置。
『試練』を現すそのカードは、めくられる途中の
全員のポケットから、大音量のアラーム音が鳴り響く。
無機質なその音は、戦いの始まりを告げる開幕ベル。
「まさか・・・。二日連続だなんて・・・!」
世界が、樹海に包まれていく。
皆の動揺を乗せたまま、第二回戦の幕が開いた。
鎧武の名前は、そんな感じで東郷さんが張り切りました。
タロットは意味あってんのかなぁ・・・
次回、ようやく第二回戦と新アームズ登場です。
(書けば書くほど伸びていくのでもしかしたら新アームズは次々回かもしれませんが・・・)
なんだか銀の年子の鉄男INミッチ(※てつをじゃないよ!)という妄想が突然降りて来ました。
わすゆは原作通りで、あの話の後腹にイチモツ抱えた三ノ輪ミッチが大赦に所属して樹と同級生で勇者部にかかわるお話。
闇の気配しかしませんので形にすることはなさそうですが・・・