では、レオ戦決着―――しません!!
はい、もうどこまで進むとかいうのやめます…。ほとんど当たった試しがない…。
ちょっと文言整理してます。
電磁フィールド→電磁シールド
微妙なことなんですけどね。
では、どうぞ。
「ぐ、ううぅおおおお!!」
電磁シールドと巨大な炎球が正面からぶつかり合う。
紘汰を中心として球状に広がる光の幕は、それよりも更に巨大な炎球に呑み込まれることなく、炎球をその場に押しとどめ続けていた。
外から見れば拮抗して見える状況だが、実際は大きく異なる。
純粋なエネルギーの塊である炎球と違い、それを一人で押しとどめる紘汰は通常の肉体を持った人間なのだから。
視界一杯に広がる炎の海から発せられる熱波が、紘汰の全身を容赦なく炙る。
何度であるかなど考えるのも馬鹿らしくなるような熱量は、電磁シールドを突き抜けてジンバーメロンの厚い装甲を赤熱化させ始めていた。
戦極凌馬の開発したこのアーマーの性能は凄まじく、そんな状況にもかかわらず紘汰の体を保護し続けているが、しかしそれも完全ではない。
その凄まじい防御ですら熱を完全には遮断しきれず、上昇するアーマー内部の温度が紘汰の体力を奪い続けていた。
紘汰が足場にしている高く張り出した巨木の根が割れはじめ、足が沈み込んでいく。
この状況ですら燃えていないのは助かるが、それもいつまでもつだろうか。
(結構…ヤバいかもな…。なるべく早めに頼むぜ皆…!)
炎球を必死で押さえつけながら、紘汰は下方を一瞥した。
風の指示に従って散開した勇者達に取り囲まれた巨大なバーテックスの足元から、すっかり見慣れた封印の光があふれ出している。
しかしやはり一筋縄ではいかないらしく、勇者達はそれぞれ厳しい表情を浮かべていた。
それでも、諦めているものは一人もいない。紘汰の頑張りが、互いを想う心が、勇者達にいつも以上の力を与えていた。
そしてそれは、逆も又然りである。
「へへ。皆頑張ってんだから、俺だけ弱気になってちゃいけねぇよな。―――まだまだ!こんなもんじゃねぇぞバーテックス!!」
再度奮い立った紘汰の心を表すように、電磁シールドが更に輝きを強くした。
息ができなくなるほどの高温も、今はもう気にならない。一緒に戦っている皆がいるというだけで、無限に力が湧いてくるようだった。
このまま押し返してやる!紘汰が一層の力を込めた時、突如として目の前の炎球の様子が変わった。内圧の膨張と共に炎球内部の温度が更に急上昇し、オレンジ色の炎がさらなる高温を表す白へと変化する。
これはまぎれもなく―――大爆発の前兆だ。
「紘汰!!!」
異変に気付いた風が封印を続けながらも声を上げた。
あの規模の炎球が大爆発を起こしたとき、超至近距離でそれをまともに受ける紘汰を案じた言葉だったが、紘汰の頭にあるのはいつだって別のことだ。
即ちそれは、皆が危ないというただそれだけの事。
「やらせねぇ!!」
紘汰の意思に従って、電磁シールドの形状が変化する。
紘汰の全周を覆っていた球状の光の幕が防御面を前面に集中させた半球状に変わり、広がっていく。
そしてその変化と時を同じくして、炎球が一気に膨れ上がった。
―――――――――――――――!!!!!!!!!
空間全体を震わせるような轟音が樹海の中に轟いた。
封印を続けていた勇者達は思わず目を瞑り、身を竦ませるが予想した光も熱も一向にやってくる気配はない。
恐る恐る目を開けて上空を見上げると、そこには翠色の光の傘が広がっていた。
爆発の影響で周囲に煙が上がる中、勇者達の周囲のみ全くと言っていいほど変化していない。宣言通り、紘汰が守ってくれたのだ。
「たす…かったの?――紘汰君は!?」
しかし、守ってくれた当の本人の姿が見当たらない。封印の儀を維持したまま、勇者達は必死に視線を巡らせた。
するとそんな勇者達の後方で煙が揺らめき、中から人影が姿を現した。
現れた人影はもちろん紘汰である。鎧が所々煤け、煙まで上げているがしっかりした足取りでこちらに向かってくる。
紘汰の無事な姿に、勇者達は安堵と歓喜の声を上げた。
「紘汰くん!」
「こっちは大丈夫だ友奈!それより封印は!?」
「うん!手ごたえはあったん…だけ……ど………。」
敵の体が横たわるその上空。さっきまで紘汰のシールドが広がっていた空を見上げた友奈の声が尻すぼみになっていく。
友奈のただならぬ様子に、怪訝に思った紘汰は彼女の視線の先を追った。
そしてそこに広がる光景を見て―――一瞬で言葉を失った。
封印は成功した。
御霊は確かにそこに現れていた。
四体が合体した最強最悪のバーテックス。そんな化物の御霊が、普通であるはずがない。
「何だよ…あれ…。」
上空に現れたのは、もはや見慣れてしまった逆様の四角錘。
しかし、問題はそのサイズだった。
まるで空全体を覆いつくすかのような黒い巨大な四角錘が、茫然と見上げる勇者達をあざ笑うかのように佇んでいた。
「何から何まで…規格外すぎるわ。」
東郷の呟きに応えるものは居ない。
“大きい”というのは、ただそれだけで脅威となる。
あまりにも規格外なその巨体から感じる威圧感は、確実に勇者達の戦意を削り取っていた。
あれだけの巨体に対してどうすればいいのかイメージが全く湧いてこない。
その上、
「あの御霊…出てる場所が…宇宙!?」
夏凜の言う通り、この巨大な御霊は見上げる空のさらに上、宇宙空間に現れていた。
これまでとはあまりにもスケールが違いすぎる。
「大き…すぎるよ…。あんなの…どうしたら……。」
「最後の最後でこんな…畜生!!!」
樹の声に絶望が、夏凜の声に悔しさが滲む。
何度も何度も襲い来るピンチを、何度も何度も乗り越えてここまで来た。
その末にようやくたどり着いた先に待ち受けていたものに今、勇者達の心は打ち砕かれようとしていた。
しかしそれでも、折れない心はまだ確かに残っている。
「「大丈夫!!!」」
静かになった樹海の中に二つの声はよく響いた。
力強いその声に、皆の視線が集まっていく。
視線の先にいるのは紘汰と友奈。並んで立つ二人はまだしっかり前を向いていた。
「御霊なんだから、今までと同じようにすればいいんだよ。どんなに敵が大きくったって、諦めちゃダメだ。諦めるもんか。それが、勇者でしょ?」
「俺たちはまだここにいて、こうやって立っている。できることがあるのなら、最後までやらなきゃな。大丈夫だ。俺たちが諦めない限り、何も終わらないし絶対に終わらせない。」
二人の言葉には根拠なんて何もないはずだ。
でも、そんな根拠のない希望を心から信じて疑わない二人から発せられる言葉には不思議な力が込められていた。二人の言葉が折れかけた皆の心に沁み込んで、同じ希望の灯をともす。
瞳には力が戻り、俯いていた顔が上がっていく。
まだ何も、終わりじゃない。
「友奈ちゃん行きましょう。今の私なら、友奈ちゃんを運べると思う。」
「東郷。悪いけど俺もつれてってくれないか。相手が何をしてくるかわからないんだから、盾役は居た方がいいだろ?」
「紘汰君…でも…。」
東郷が最初紘汰の名前を省いたのは、彼の身を案じてのことだった。
これまで紘汰はたった一人であのバーテックスを相手取り、ついさっきはあの巨大な炎球を防いだばかりだ。新しい装備に身を包んでから何でもないように動けているとはいえ、その前にはあのバーテックスの攻撃の直撃を受けている。平気なように振舞っているが、その実かなり限界に近いはずだった。
躊躇う東郷を見かねた風が、優しい声で諫めるための言葉をかける。
姉の目から見ても、今の紘汰が無理しているのは明らかだった。そんな状態の弟をこのままいかせるわけにはいかない。
「紘汰。あんたはちょっと張り切りすぎよ。ここは二人に任せてそろそろ休みなさい。」
「ごめん姉ちゃん。皆が心配してくれてるのはわかってる。でも、どうしても俺は最後までやり通したいんだ。だから、頼む!」
紘汰としても二人のことを信用していないわけではもちろんない。
なぜそこまでと言われれば、明確に言葉にできる理由はない。それはもはや意地だとしか言いようが無かった。
深く頭を下げた紘汰に、風は内心で頭を抱えた。長い付き合いから、こうなった弟が折れないのはわかっているからだ。
そんな微妙な膠着状態に助け舟を出したのは友奈だった。頭を下げて微動だにしない紘汰の肩に手を置いて紘汰を立たせると、横に並んで風の方へと向き直った。
「行かせてあげてください。たぶんきっとそれは、紘汰くんにとって大切なことなんだと思います。危ない時は、私が支えますから。」
「私もそう思います。今の紘汰君は、言っても聞かないでしょうから。それに、この様子だともし置いていったら何かまた一人で無茶しそうですしね。」
「友奈…東郷まで…あ~もうわかったわよ!無茶は…もうしてるんだから、私から言うのは一つだけよ。絶対!必ず!三人ともちゃんと帰ってくること!いいわね!?」
「「「了解!!」」」
風と樹と夏凜に封印を任せ、紘汰と友奈は東郷の移動砲台へと乗り込んだ。
移動砲台の中央に友奈と東郷が並んで立ち、その前方、舳先の方へと紘汰が陣取る。何かが来た時にすぐに電磁シールドを張れる、そんな位置だ。
慣れない浮遊感の中、足元の感触を確かめた三人は顔を見合わせ頷き合った。
「じゃあ行くわよ二人とも。準備はいい?」
「ああ、ばっちりだ。防御は任せてくれ。俺が絶対何も通させねぇ。」
「オッケーだよ東郷さん。さぁ、行こう!!」
友奈の号令の下、移動砲台が空へと飛翔する。
目指すは宇宙。最後の御霊が鎮座する、無限の星の海の中だ。
三人を乗せた純白の船が空を突き抜け、星の海を進んでいく。
本来ならば感動を覚えるはずのその光景も、今は目の前で存在感を放つ無粋な物体のせいで台無しになっている。近づけば近づいただけより一層威圧感が増すその御霊に、三人は知らず、ごくりと唾を飲み込んだ。
ここまでの行程は至って順調。しかしそれもそろそろ終わりだろう。この御霊がただ巨大なだけが特徴ならばそれに越したことはないが楽観視はできない。今までの傾向からしてそろそろ何か動きがあるはずだ。
「あれは……。」
その時、狙撃手として一番優れた目を持った東郷が、視界の中に何かを捉えた。真正面に聳える御霊の正面中心、そこに何かが見えた気がしたのだ。
目を凝らしながら尚も距離を詰めていくと、その“何か”が次第にはっきりと見えてきた。
“何か”の正体は御霊と同じ色をした、立方体のブロック。大量のそれが三人の方へとまっすぐ向かってきていたのだ。一つ一つが自分たちの体より大きく、そんなものがぶつかってこれば勿論、無事で済むはずがない。
「御霊が攻撃!?」
「来やがったな!行くぞ東郷!」
「ええ、わかってる。一つたりとも地上には落とさせない!」
そして、最後の戦いの火蓋が切って落とされた。
紘汰がソニックアローを、東郷が八門の砲塔を構え、翠と青の流星が空間を駆け抜けた。流星は正面からやってくる無骨なデブリたちと衝突し、真っ暗な空間に爆炎の花を咲かせていく。
「っ…。」
第一波を退けた東郷が苦悶の声が漏らした。思っている以上にこの姿は消耗が激しいらしい。今は何とか持ちこたえているがいつまで持つかはわからない。一刻も早く御霊の元へとたどり着かなければなければ…
「東郷さん…?」
そんな東郷の異変を、友奈は決して見逃さない。心配そうに見上げてくる顔に淡く微笑むと、東郷は友奈の手を強く握りしめて改めて敵を見る。
繋いだ手を通して、友奈の力が体に流れ込んでくるようだ。大切な親友が隣で見てくれているのだ。無様な姿は見せられない。
それに…
爆炎の中からやってくる第二波を見据えながら、ちらりと前方の紘汰の姿を盗み見る。紘汰は自分以上に体を酷使し続けてきたはずなのに、まるでそれを感じさせないような動きで今も弓を引き続けていた。遠距離担当として、そして友奈の一番の親友として、負けてなんていられない。
「大丈夫よ友奈ちゃん…見てて。」
「うん!!」
紘汰が放った光の矢が拡散し、やってくるブロックを大量に巻き込んで爆発を起こす。
東郷は同じように前方へと砲撃を加えながら、自在に動く砲塔で取りこぼしを丁寧に処理していく。
御霊に近づくにつれて、ブロックの密度が増してきた。
ブロックがあふれる空間を切り裂くように三人は進んでいく。
不意に目の前に現れたブロックを、東郷の砲弾が撃ち抜いた。光に目を細める友奈だったが、爆発の熱と衝撃を感じることはなかった。いつの間にか張られていた翠色のシールドがそれらは完全に遮断してくれていたのだ。
何度目かもわからないほどの攻撃の嵐を掻い潜り、爆炎を突き抜けた先で遂に待ちに待った光景が現れた。
目の前にあるのは巨大な御霊たった一つ。もはや攻撃は打ち止めだ。
そしてここからなら、拳を届かせることができる。
「すごいよ東郷さん!紘汰くん!ここまでこれたよ!」
「ええ、そう…ね……。」
「東郷さん!!」
ここまで連れてきてくれた立役者である東郷の体がぐらりと傾き、慌てた友奈がそれを支えた。
いくら勇者システム、そして満開で身体能力が大幅に上がっているとはいえ、普段は車いすで生活する普通の少女である東郷はそこまで体力のある方ではない。ここまで随分無理してきたが、それももう限界だった。
「東郷!大丈夫か!」
「ちょっとだけ…疲れちゃったみたい……あとは任せるわ。紘汰くん、友奈ちゃんをお願いね。」
「…あぁ、任せろ。」
「東郷さん。見ててね、やっつけてくるから。」
気づけば二週間以上という前回よりも更に遅れています。
超不定期で申し訳ない…いや、ちょっと新大陸の生態調査が忙しくて…あの、ホントすいませんです…。
クッソカッコいいオウマジオウでジオウが終わり、ゼロワン始まりましたがドチャクソ面白いですねゼロワン。令和一発目ってことで相当気合はいってんのがわかる作りで毎週ホントに楽しみにしてます。ストーリーもエグゼイドの人だってことでそりゃあ間違いないだろうって感じだし(飛彩先生周りの話大好き)デザインもベルト音声もスタイリッシュでドストライク…。このまま一年ぜひ頑張ってほしい。
次回は世界設定が若干見えてくるようなところが入ってたりします。8割がた書き終わってるので、今回よりは早く投稿できると思います。