ところでこれを見てくれ、こいつをどう思う?
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天使だろう? 天使!!! スピカ様!!!
お竹(@taketi)さんありがとうございます!!!! 遅筆作者は自慢したい!!!
2020/11/12 出迎えエルフの名称を変更
エルフとの交流を図る。というのは王命である。
けれどもこれは虚偽でもある。
その事を知っているのは私と陛下だけである事を、彼女は知らない。知るわけがない。いくらゲイルディアと言えど、むしろゲイルディアであるからこそ、彼女は真実を知りはしない。
虚偽ではあるが、事実でもある。なにせ王命である。その義務と責務は真実であるし、何よりそうでなければ彼女は動かない事もわかっていた。
交流だけであるのならば私だけでよかった。ハーフエルフである事もそうであるし、他にも理由はある。それは、置いておくとして。
陛下も彼女のことは買っていた。それは彼女の優秀さを考えれば当然の事であったけれど、調べるのにも苦労した。
なんせ情報が全く以て虚偽に満ちていたからだ。
そう考えればゲイルディアの噂の真実という物も知る事が出来た。……偏見と事実を重ねてみればゲイルディアの噂もあながち間違いではなかったが。
私が王都を離れている間に色々あったらしい彼女の事は調べるまでもなく知る事ができたが鼻で笑ってしまう程の戯言でしかなかった。事実はわからないが、真実は読み解ける。
あの娘がそんな事を出来る訳がない。
あの娘の何を知っている。
実に腹立たしい理由が陳列されたが、だからこそ見えてくる物もあった。調べれば調べる程に彼女に不都合な事実しか出てこないのは中々に笑えてしまったが。
それもあり、裏側を探し当てる事が出来たのは僥倖であった。いいや、ゲイルディア当主が私に情報を流したのだろう。こういう事は得意なクセに自身の事になれば甘くなるのは親子らしい。
わざと甘くしているのだろう。実に、親子らしい。
陛下が彼女を買っている事がわかっても私にとって不慣れで面倒極まりない政略は強いられたし、何よりエルフとの会合もあった。
両者とも、非常に、非常にッ! 面倒な事であったが!
陛下との謁見は根回しと事情の説明をすれば早々に完了した。実際は彼女を呼びつけて王命を奉じなければいけなかったが時間がない事も説明し、略式として私へ奉じていただいた。
書状には彼女の名前も記しているが、前述したようにエルフとの交流としての意味は薄い。
「どうかしましたの? シャリィ先生」
「いえ、何も」
こうして同じ馬車に乗り揺らされている彼女を勝ち馬に乗せる行為は彼女自身があまり好んではないだろうけど、今回は飲み込んでもらおう。その為の王命である。
私はこの娘のことを理解している。人間にしてはそれなりに長い付き合いがある。
王命でなければ彼女はこの馬車になど乗っていないだろう。特にエルフへの繋がりをもたせるという建前が無ければ、である。無ければこの娘は「別に不便してませんし、シャリィ先生の眼帯や
「どうして私の顔を見て溜め息を吐きますの?」
「いえ、何も」
思わず吐き出してしまった溜め息の追求は笑顔で回避してやる。感情論だけで連れてくるのならばアマリナさん達を使えばいいのだけれど、アマリナさん達は事実を知らないし、知っていたとしても主であるこの娘を是とする。そういう関係である。
だから理論立て、彼女の逃げ道を塞ぎ、強制した。
こちらの思惑など、恐らく彼女は気付かない。それでいい。彼女が生きるのであれば、知られてもいいけれど。その辺りの信頼度は無い。
チラリと外で馬に乗っている白髪の人物を見る。ベガと名乗り、
どうしてこの娘に仕えているのかはわからないが、至極面倒な事情があることは理解した。私の邪魔ではないから何も言わないし、流石のディーナ様もわからないらしい。いや、わかっていても彼女は気安い態度を取りそうであるが。
「ベガが気になりますの?」
「……えぇ、まあ」
「あれは仕事が出来る男ですわ。ちょっと気遣いが足りないけれど」
……これは気付いていないな?
またこの娘が思惑の中にいると思うと辛いけれど、私が告げれば今以上に強引に動かれるだろう。面倒極まりない。
目を細めて彼女から視線を外し、改めてベガへと向ける。この娘がまた策謀に巻き込まれない事を願う。無理だろうけれど。
「もしかして、ベガが好みですの?」
「……そんな、まさか」
何度かこの娘を殴ろうと思った事はある。基本的にこの娘が無茶ばかりをする癖にそれをそうとは思わないのが悪いのだけれど。今回もまた同じ感情になってしまった。全く別の理由で。
自分の性嗜好というやつに頓着していないが、それでもあんまりな言い方であったのは事実であろう。彼女としてはありふれた話題なのか、首を傾げてみせている。
肩を竦めて、呆れたように溜め息まで吐き出して否定してやれば彼女は笑顔を見せる。見惚れるほど美しく、鋭く、冷たい笑み。
「ああ、よかった。ベガはお父様から遣わされた人材なので。
「私はアナタの下にいるなら変化はないのでは?」
「ええ、だから。とても困りますの。想像もしたくありませんわ」
そう言った彼女は表情を更に深くした。
一拍して、ようやく彼女の言葉の意味を、おそらく正確に理解できた。ちぐはぐであるけれど、珍しく自分の命を捨てる以外の執着を見せてくれた。その執着が生きる糧になれば良いが、どうにも彼女は抜けているというか、諦めている。
そんな彼女を否定も出来ずに、肯定も出来ずに行動をしている私が言えた事ではないけれど。
エルフという種族は森の民である。
魔法のあるこの世界において、ようやく人類以外の人型生命体と会うと思うと心は躍る。何より、エルフである。
個人的にエルフというのは美の結晶であると思っている。それこそシャリィ先生も美人の類いであるし。
何より服装である。それはもうエッチに決まっている。布だけとかそういった妄想の産物を引き合いに出しても問題はないだろう。つまり、そう、エッチなのだ。
だいたい妄想の産物であるから、それほど期待はしていない。嘘だ。凄く期待している。
その期待を叶えるように森の前に居たエルフはそれはもう美形であった。
衣服とも言えない、けれども出来のいい布からスラリと伸びた手足と無駄のない肉の付き方、背にある弓矢は狩猟用なのであろう。
「む、ようやく来たか」
綺羅びやかな金の髪、森を思わせる緑の瞳。日に晒されている白い肌。吊り上がった瞳がこちらを睨めつけているけれど、そんな威圧など関係なく思える程、エッチである。残念な事を言うのならばおっぱいがそれほど無い事であろうか。
元々がそうである様に厳しい印象を受けるエルフの声は冷たく、シャリィ先生の後ろに控えていた俺達を一瞥した後はずっとシャリィ先生を見ている。
ハハァン、なるほど、これは百合だな?
「出迎え感謝します。リヨース」
「まったくだ。なぜこの私がハーフヒューマンの出迎えなど……族長は何をお考えなのか」
「誰にも理解など出来ませんよ」
「ハッ、出来損ないが族長を語るな」
シャリィ先生とエッチエルフの会話は聞こえている。
商談用とも言うべき笑顔を顔を張り付けている内は我慢できるので、きっと何も問題ない筈である。魔力だって眼鏡のお陰で漏れ出してはいない。眼鏡が無ければ隣にいるベガが怯えていただろう。
「ディーナ殿、笑顔が怖いですよ」
「はて、何の事かしら?」
ため息交じりに、けれども相変わらず人好みしそうな笑顔で告げられた苦言に表情と気持ちを持ち直す。
エルフとの商談関係は先生に任せるように先に言われていたし、価値の目利きはベガが行う。連れてこられてホイホイ付いてきたけれど、俺いる? 要らなくない?
そういう貴族の面倒な面子なんてリゲルとの別れ話で社交界から除け者にされるぐらいしか無いが? それでもゲイルディアとしてそれなりには地位を回復させたし、ある程度の繋がりも持っているけれど。
ふむ、と悩みながら案内をしてくれている女エルフさんの尻を見つめる。少し肉が薄い気がするけれど、シャリィ先生のお尻の事も考えればエルフ自体がそれほど肉付きがよろしくないのだろうか。
肉付きがよろしくなくても、おそらく布一枚を隔てて見えるお尻の形は実にキュートである。こちらの男心を擽る。既に男ではないけれど、男心は誰だってあるのだ。
周りのエルフを見ても、俺とベガへは視線はそれほどない。シャリィ先生に注がれているし、何より目つきが気に食わない。蔑みや、謗り。俺が何度も受けたことのある視線である。
気に食わない。
足を止めて、大きく呼吸をする。ザワツイた体内の魔力を均一にして、揺れを隠す。
ズレそうになっている眼鏡を掛け直して先生の隣を歩き、手を取る。
「なにか?」
「いえ、何もありませんわ」
不満そうにこちらを向いたシャリィ先生であったけれど、握った手を振り払う事はしなかった。
相変わらず、すべすべもちもちのシャリィ先生の手は冷たく、熱を分けるように強く握れば少しだけ温かくなる。
今、俺はちゃんと笑顔を張り付けているだろう。これでもシルベスタ王国の貴族である。演じきるのは得意だ。
「少し待て、族長と話をしてくる」
「あらぁ、その必要はないわぁ~」
木造の一際大きな家の扉の向こうから聞こえた間延びしたのんびりとした声。シャリィ先生の手が強く握られ、俺は安心させるように握り返す。
きっとこれが、シャリィ先生の望む事なのだろう。彼女を苛む原因なのだろう。エルフとの断絶。或いはエルフの殲滅。どちらにしろ、望むのであれば行おう。幸い
扉が開かれた。
「いらっしゃぁい、ヒューマン」
でかい。
でかい! すごい!! おっきい!! ばるんばるん!!
誰だよエルフが肉付き悪いって言ったやつ!! 見てみろあのエルフ!! エロ同人なら横にムチィ?みたいな表現付くやつじゃん!! 俺知ってるよ! お世話になったもん!
温和そうなタレ目をニッコリと微笑ませて、長く淡い金髪が揺れて、おっぱいも揺れている。おっぱいが揺れている!
くそっ、どうしてシャリィ先生はこんなエルフが居るって言ってくれなかったんだ!
「そして、おかえりなさぁい、シャリーティアちゃん」
「……ただいま戻りました、族長様」
「あぁん、もぉぅ。ママってちゃんと呼んでほしいなぁ」
「……」
ははーん、なるほど?
目の前にいるおっぱいの威圧感のあるタレ目エルフおっぱいさんが族長でその娘がシャリーティアさんで、その名前で返事をしたのがシャリィ先生と。なるほど? つまり、何? どういう事だよ。
シャリィ先生はエルフの族長の娘でなんでか人族の貴族をしていると。なるほど。なるほど?
「改めて、ようこそぉ、ヒューマン。わたしはエルフを統括してまぁす、エフィと言います~」
「お初にお目に掛かります。私、シルベスタ王国ゲイルディア領カチイを任されていますディーナ・ゲイルディアと申します」
部屋の中へと通されておっぱい族長のエフィさん言葉に続いてこちらも自己紹介をしておく。既に疲れた様子のシャリィ先生であるけれど、あまり表には出していない。
ベガは一足先に商品を選別しに行ってくれているのでここには俺とシャリィ先生、エフィさんと案内してくれたツリ目スルンぺたんなエルフさんがいる。
「ほらぁ、シャリーティアちゃんもぉ」
「……シャリィ・オーべです。この度は私の願いを聞いてくださって感謝します」
「よく出来ましたぁ~。えらぁい」
ニコニコと子供を褒めるように柔らかい言葉を吐き出したエフィさんであるけれど、他のエルフとは雰囲気が違う。おっぱいか? やはりおっぱいだろう。そうに決まってる。
しかし、シャリィ先生が個人としての"願い"と言ったのはどういう事だろうか。エルフとの交流は王命であったし、彼女の願いというには傲慢でシャリィ先生らしくはない。
「それとぉ、感謝するのは早いよぉ」
「それはシルベスタ王国との交易をしない、という事でしょうか?」
「いやん、そんな早とちりはしないでくれるかなぁ。交易はしてあげるよぁ。あの人が作った国だものぉ」
のんびりとした物言いであるが、はっきりと言質はもらえた。商談として纏めるのはベガが戻ってきてからだろう。
しかし交易が違うとなると、何が願いなのだろうか。とシャリィ先生へと視線をチラリと向け、エフィさんへと改めて向ける。
「でもぉ、ヒューマンがエルフの瞳を得るなんて驚きだなぁ」
「……ああ、そういう事でしたの」
「……すみません」
ようやく合点がいって、シャリィ先生へと強く視線だけを向ける。
その謝罪は黙って俺を連れてきた事への謝罪であろう。俺が治療を拒否するとでも思ったのだろうか。
「眼鏡を外してくれるぅ、ヒューマン」
眼鏡を外して、瞳に意識を集中させる。
普段いた視界よりも一際大きく輝く世界に目を細めてしまい、少し落ち着けて、瞼を上げる。
「あらあら、まぁまぁ。結構ぉ。実にぃ結構」
こちらの瞳を見て一層深く笑ったエフィさんはシャリィ先生のように言葉を重ねる。
エフィさんの緑色の瞳が緩やかに色を変化させ、緑から蒼に、蒼から朱に、そして深く染まっていく。
「本当に世界と繋がっているねぇ」
「それで、彼女は治るのでしょうか?」
「さぁ? どうかなぁ」
「……ッ」
「そんなに睨まないでよぅ? シャリーティアちゃんにしてはぁ、焦っているみたいだけど、人間なんてわたし達を置いて、老いて死ぬわよぉ。それが少し短くなっただけ」
「それでもッ」
「おい、森を追い出されたハーフヒューマン如きが族長様に歯向かうな。不愉快だ」
右瞼を閉じて、一つ深呼吸をする。
自分が治る、治らないに関して俺はそれほど興味がない。治るのならばその方がいいけれど、治らないならばそれなりに生きるだけである。
瞳に関しては便利でもあるからそのままの方がいい、と思っている自分もいるのも確かである。
まあ、それはソレとして。
シャリィ先生が繋いでくれた希望である。だから
「そもそもお前がここに来た理由はこのヒューマンがお前は得られなかった瞳を得たからだろう!」
「違います!」
声を荒げて否定するシャリィ先生を横目に、もう一度深呼吸をして心を落ち着ける。大丈夫。私は冷静。
この商談を自分で破壊するような事はしない。ワタクシはゲイルディア。大丈夫、心は冷酷に――。
「はは、皮肉が利いているじゃないか。ハーフヒューマンが得られなかった瞳を、単なるヒューマンが得たなんて!」
「ねぇ、そこのエルフ。
自分でも驚く程、冷たく威圧的に出てしまった言葉。耳鳴りがする魔力が循環し、右目から視える視界が流動する。
笑みは浮かべている。表情を隠す為に、自然と笑顔が浮かんでしまっただけで、きっとゲイルディアの汚名を象徴する笑みになっている事だろう。怯えたエルフの顔がその証拠だ。
「失礼しましたわ。師を侮辱されて黙っていられる程、器は大きくありませんの」
「ヒューマン如きが……」
「その"如き"程度に怯える耳長如きが口を開かないでいただけます? 不愉快極まりありませんわ」
「このッ」
「はいはーい、勝敗の見える喧嘩はやめよぉねぇ」
エフィさんの言葉で魔力を収める。
隣にいるシャリィ先生が震える手で俺の手を掴んでいるのが可愛くてしかたない。やはり暴力は全てを解決するのでは?
シャリィ先生にはちゃんとした笑顔を見せて問題ない事を示しておく。これでも内心は冷静だ。アレクを相手にした時よりも冷静に、相手をどうすれば蹂躙出来るかを思考出来ている。
なるべく屈辱的に、負けを認めさせるにはどうすればいいのか。手段はあの時よりもある。それこそ無数に、心を折る方法がある。
「ふん、命拾いしたな。ヒューマン」
「もぉ!」
舌打ちを一つして黙る耳長を見る事もなく、エフィさんへと視線を向ける。口調や言葉だけは叱っている風に見せているけれど、その表情は相変わらず笑顔だ。
この耳長がこういう性格である事は元々わかっていただろうに。けれど、この場に留める理由は? 思惑は正確に理解出来ない。
訝しげな表情を隠したつもりでエフィさんを見ていたけれど、微笑まれた。こちらを侮っている訳ではないし、娘であるシャリィ先生への侮蔑などもない。
「うーん、でもぉ。この娘がこれならヒューマンとの交易は無理かもねぇ」
「当たり前です。どうして我らエルフがヒューマンなどと交易をしなくてはいけないのです」
「それでもぉ、関わる事は大切な事だよぉ? ねぇ、ディーナちゃん?」
ようやくこちらの名前を呼んだエフィさんはニンマリと笑みを浮かべる。先程までの朗らかなソレとは違い、意味を理解しろ、と言わんばかりの笑みだ。お父様がよく浮かべる笑顔によく似ている。
「つまり、私に何を求めているのかしら? そこの耳長を倒せと言われているのならそうしますわよ」
「このワタシが、ヒューマン如きに負ける? ハッハハハハハハハ!! それは傑作だな! ワタシはエルフの兵の中でも上から数えた方が早いんだぞ?」
「ディーナ様! 何を言ってるんですか!?」
「先生、大丈夫ですわ。少しは貴女の教え子を信じてくださいませ」
「そうだよぉ、シャリーティアちゃん。これは試練でもあるんだからぁ」
そうして先程まで浮かべていた悪どい笑みを隠し、朗らかな笑みを浮かべてのんびりとエフィさんは言葉を吐き出した。
次挿絵のキャラは誰がいい?
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リヨース
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騎士ディーナ様
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シャリィ先生
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エフィさん