悪役令嬢は百合したい   作:猫毛布

43 / 95
42.魔法使いは契約したい!

 エルフとの決闘は慎ましく終了した。シャリィ先生と母国を侮辱されて俺がブチ切れたとかそういうことは無かった……無かった方がよかった。

 あれは仕方のない事であったのだ。

 これでも心は広い方である。何より今回は以前アマリナを辱めたアレクの時とは違い王命の責務と義務があった。散々にシャリィ先生を貶めた時も我慢した。祖国を罵られただけなら我慢できた。その両方は我慢できなかった。それだけである。

 決闘した耳長の力量に関しては俺よりも上である事は間違いない。それこそ普通の魔法合戦であったのならば俺は負けていたに違いない。魔法式での反転や攻撃要素だけを弄った物であったし、物量で行使されていたのなら負けていた。

 勝ちはしたけれど反省は多い。というか反省する部分しかない。

 

 そのエルフ達はシャリィ先生を含めて現在会合中である。俺とベガは部屋に押し込められて待機を言い渡されている。

 元々すぐに帰れるとは思っていなかったので一泊するのは問題ない。その為に予定しているカチイの企画を幾つか持ってきているし、ベガに聞きたい事もあった。

 

「それで、珍しく予算を多めに定めていたようだけれど?」

「ディーナ殿には見逃されると思いましたが」

「貴方の不正じゃなければ放置していましたわ。ただ珍しいでしょう? 貴方が私を介さずにそういう事をしようとするのは」

 

 俺とフィアで設定していた予算よりも明らかに多く割かれた金額。また阿呆が釣れたか、と思って調べたらベガが原因であった。実に珍しい事である。

 ここ一年ほど、彼と仕事をして彼の為人はある程度わかっている。俺に挑戦的なのも、優秀なのも、あとは女顔の優男である事も。

 俺が女であったのならこの顔のいい優男の笑顔にコロッとやられていたかもしれない。いや、俺は女だけれど。

 

「それで? 貴方の事だから、私、とても気になりますわ」

「それは魅力的なお言葉ですね」

「あら、本当の事よ? ようやく貴方を監視から外す機会ですもの」

 

 二度は無い。俺が間接的に関与している物ばかりだった虚偽の不正が、今は彼だけの物になった。

 証拠らしい証拠は予算だけだから、彼が言い訳をしたら見逃すつもりであった。着服は許される事ではないけれど、カチイでソレは今更と言ってもいいだろう。

 それは彼もわかっている事だろう。散々にそんな物を見ている筈だ。そして、ソレに対する俺の対応も。

 故に、これは脅しなどではない。俺はいつものように、見逃そう。

 

 頬杖を突きながら彼を見れば困ったように眉尻を下げ、溜め息を一つ吐き出す。

 

「そう怖い笑みを浮かべないでください。喋りますよ」

「あら、残念ですわ」

 

 本当に残念だ。

 彼が取り出して、机の上に置いたのは小さな小瓶である。細長い小瓶の中には薄水色の液体が入っており、瓶自体の装飾は簡素な物だ。

 変哲のない、単なる瓶と液体。けれどソレは正しくない。右目を隠している眼帯をズラして見ればよく分かる。

 幾重にも連なる魔法式。細かく分類された式達。単一で魔力を保持し、そして効力を発揮するほど練り上げられ、抽出された液体。式の内容はさっぱり読み解けないけれど、かろうじて『回復する物』というのはわかる。

 おそらく、あの時アサヒが俺に行使したような魔法よりも高度で、素晴らしい魔法である。思わず見惚れてしまった。

 

 眼帯を戻しながら呼吸を再開して、口を開く。

 

「貴方、病気の妹や弟がいたかしら?」

「……弟も妹もいますが、元気にしていますよ」

 

 嘘である。ベガに弟も妹も居ない。義理、という意味であるなら居るかもしれないが、そんな存在は居なかった。

 彼の事は調べている。公的記録も、素行も、血の繋がりも。現在の彼は天涯孤独と言ってもいい。この世界の出生記録という物はそれほど信頼性など無いけれど。

 アマリナやリアに調べてもらった記録や調書に疑問はない。俺自身が見た公的な記録達も普通の貴族が隠蔽できる物でもない。

 

 けれど、彼は嘘を吐いた。

 

「カチイの予算から出すのはいただけませんわね。私が個人的に出しておきますわ」

「よろしいので?」

「碌でもない事に使われるならまだしも、今回は用途が限られていますし。個人的に貴方に恩を売りつけるのも悪くありませんわ」

「……なるほど。では後ほど改めた書類を渡しましょう」

 

 にっこりと笑みを作っているけれど相変わらず感情の読めないヤツである。

 どうせこの回復薬に関してもお父様からの言いつけか何かだろう。どうしてお父様がソレを求めていて、俺に頼らないかは疑問であるが……。

 もしかしてお父様からの監視じゃない? それはおそらく無い。少なくとも俺の監視であるのは間違いないと思う。こんな時にパッとした人物鑑定眼が欲しくなるけれど、無いものは求めてもしかたない。

 お互いにニコニコと牽制しあっていれば遮るように扉がノックされる。

 

「ディーナ様、よろしいでしょうか?」

「あら、私を騙してエルフの森に連れてきたシャリィ先生ではありませんか」

「…………」

「冗談ですわ。ベガ、あの件はよろしくお願いしますわね」

「御意に」

 

 思いっきり顰めっ面したシャリィ先生を横目に退室したベガ。これから書類を纏めて早朝にはカチイへと戻るだろう。俺はのんびりと帰る予定である。無能な上司に仕える部下は大変だなぁ……。よもや自分が無能な上司になるとは思わなかったけれど。

 さて、ベガが出ていき閉じられた扉の前にいるシャリィ先生へニッコリと笑みを浮かべる。ワタクシ、オコッテマセンコトヨ。

 

「ヒッ……」

「そんな所に立っていないでこちらで座ってください」

 

 決して笑顔は壊さずにシャリィ先生の逃げ道を潰していく。

 本当に怒っているわけではない。結果的に見れば、シャリィ先生は俺の為を思って行動してくれたのだから怒るのは間違いだ。

 それでも俺に黙って行動した事には確かであるし、散々に俺には報告を義務付けたのにどういう事だと。その報告義務を思いっきり無視してるけれど。

 

 大きく深呼吸をしてからようやく扉から離れて俺の前に座ったシャリィ先生は頭を下げた。

 

「すいませんでした」

「いいですわ。特に怒っている訳ではありませんし。気になんてしていませんわ」

「本当ですか?」

「えぇ。何の相談もなかった事なんて、特に、別に、何も、気にしてなんていませんわ」

「…………」

「冗談ですわよ」

 

 これ以上シャリィ先生をイジメる趣味は俺には無い。無い……無いだろうか? 確かに目の前で顔を青くしてぷるぷる震えているシャリィ先生は実に可愛いと思ってしまうけれど。

 

「それで、この王命は虚偽ですの?」

「いえ、正しく王命です。エルフとの交流は我が国の利益になり得ますので」

「それにしては今更ね。それに私に都合が良すぎますわね、シャリィ先生?」

「…………」

「冗談ですわ」

 

 大きく溜め息を吐いて見せて頭を抱える。シャリィ先生にとってもエルフとの交流という手札を切ったのは痛手だろう。俺よりも長く国に仕えていてもなおその手札は切らなかったのだ。

 尤も、それはシャリィ先生自身がエルフとの交流を求めていなかったのか、それとも国の魔法使い達からの弾圧など気にすらしていなかったのか。両方だろう。

 どちらにせよ、その手札を切らせてしまったのだ。更に言うなら、態々王命という形にしてである。

 

「シャリィ先生」

「ピッ!?」

「ディーナ・ゲイルディアは貴女に多大な感謝を致しますわ」

「……冗談ですか?」

「これは本気ですわよ。あの人付き合いが嫌いなシャリィ先生が面倒な貴族の繋がりを自ら繋いで王命にまでしていますもの」

「…………」

「これは冗談ですわ」

 

 ニッコリと笑みを見せてやれば眉を寄せて不満を表情に出しているシャリィ先生。これで意趣返しは終わりとして。

 実際の所、シャリィ先生が本当に嫌っている人間付き合いをしている時点で俺からすれば驚きである。普段のシャリィ先生なら舞踏会ですら何かと理由を付けて欠席するか、挨拶だけを軽くこなして早々に逃げ出すし、口を開けば「時間の無駄」などと言うのだから。

 慣れている俺よりも苦労はあっただろう。もしくはゲイルディアがそれを助けたか。どちらにせよ、という話でもある。

 

「それで? エルフ達は何と?」

「……?」

「エルフ達との会合結果を伝えに来たのではありませんの?」

「え、えぇ。そうです。そうでした。交易に関して問題ありません。明日に正式な書名を族長様からいただける予定です」

「それは重畳」

 

 これで王命は達成される。責務から解放という訳ではないけれど、一段落と言った所だろう。安心して今日は眠れそうだ。

 

「……ディーナ様」

「どうかしましたの?」

「右腕を見せて頂いてもよろしいですか?」

「……隠してもしかたありませんわね」

 

 右手に嵌めている手袋を外して包帯を解く。

 ぎこちなくしか動かせない右手を晒して、シャリィ先生に見えるように机の上に置く。アマリナやヘリオには見せれるけれど、他の人間には一切見せたくない俺の弱さの象徴であり、強さの証拠でもある。

 血のように赤黒くなっている訳ではない。ただ以前は右目がないとわからなかった魔力線がありありと浮かんでいるだけである。

 

「貴女はまた無茶をして」

「先生を侮辱されたのですもの。仕方ありませんわ」

「……完璧、とは言いませんが、進行を進めない方法も聞いてきました」

「元々シャリィ先生はそちらが目的ですものね。それで、私は何をすればよろしくて?」

 

 王命までもぎ取って俺をここに連れてきた本題である。

 当然、魔法を使うな、と言われても俺はたぶん無視すると思う。いや、自分の命が惜しくないわけではないけれど、それよりも大切な事があるのだ。

 なるべく長生きはしたいけれど、ソレはそれである。

 

「……ディーナ様」

「なにかしら?」

「……目を閉じて頂いてもよろしいでしょうか?」

 

 首を傾げながら、瞼を下ろす。

 エルフの秘技か何かなのだろう。俺に見られてはいけない物なのかもしれない。魔法式が見えてしまう俺だからこそ、というべきか。その辺りはシャリィ先生も解読方面は俺以上なのだけれど、エルフとの信頼度の差だろうか。

 瞼を下ろして、そんな事を考えていればシャリィ先生の深呼吸が聞こえる。集中しているのだろうか。両頬に手が当てられる。この感触は、シャリィ先生に間違いない。

 唇に、柔らかい感触が当たる。誰か、など間違える筈がない。

 数秒して、柔らかい感触は唇から離れ、両手は俺の頬から離れ、俺は瞼を上げる。

 人よりも少し長い耳まで真っ赤にした、俺だけの先生がそこには居る。

 

「……ディーナ様」

「なにかしら?」

「……()()()()()()()、と呼んでくださいますか?」

「それが望みであるなら。シャリーティア先生」

 

 珍しく、本当に珍しく口角が緩んで表情を作りきれていないシャリーティア先生が感極まったように目を閉じて、吐息を漏らす。これは……エッチでは?

 ようやく自分の表情が蕩けている事に気付いたのかシャリーティア先生は両手で頬を支えて、数秒ほどで表情を作り直して、また少しだけ蕩けさせる。

 

「これは、思った以上です、ね」

「それはよかったですわ。それで、どういう事ですの?」

「ディーナ様にはエルフの契約をさせていただきました。世界との繋がりを私を介して行う事になります」

「眼帯を外して確認しても?」

「問題ありません」

 

 シャリーティア先生から許可をもらったので眼帯を外して確認すれば、先生と俺の間に式が形成されている。

 先生をバッファにして世界との繋がりが保たれている状態か。解けそうだった俺の魔力線も今は正常に起動している。右手も先程よりも痛みはないし、少ししたらこの痛みも無くなるだろう。

 

「先生は何も問題ありませんの?」

「実に素晴らしい世界だと思います」

「は?」

 

 先生へと視線を向ければその右目は俺と同じ右目のように極彩色へと変化して、まるで童女のように辺りを見渡して笑う先生が居た。姿も表情も童女のようであるが、その実、狂科学者のような言葉と笑みは如何なものか。

 

「あー、シャリーティア先生?」

「ンンッ。失礼。ディーナ様。その名は私と二人きりだけの時にしてください。他に伝えてはいけません。いいですね?」

「はぁ、わかりましたわ」

「結構。実に、結構。では私は失礼いたします。試したい事も出来ましたので」

「ああ、はい。良い夜を」

「ええ、素敵な夜になりそうです」

 

 笑いを隠そうともせずに扉から出ていったシャリーティア先生を見送り、痛みの引いている右手を見つめて、抱き込む。

 これは証明である。死ぬ運命であった近い未来が、遠のいた。

 死にたかった訳ではない。けれど運命に抗う術もなかった。けれど、それがシャリーティア先生のお陰で回避された。故に、これは証明と同じくして絆でもある。

 

「あらあらぁ、てっきりぃ抱かれちゃうと思って止めようとしたけれどぉ。そんな事も無かったのねぇ」

「ッ……。族長様自ら監視とは随分危険視されてますのね」

「リヨースに勝った貴女を警戒するのは当然でしょぉ?」

 

 笑みを携えながら、先程までは居なかった筈であるのに、ずっと居たように爆乳エルフは窓辺に腰掛けていた。どことどこに栄養が行っているのかよく分かる。他のエルフとは比べ物にならない""力""を在々と証明している。

 これが、エッチ力だとても言うのだろうか。お尻が窓辺に乗ってむにぃってなってるし、エッチ……エッチでは?

 

「言葉通り、上から数えた方が早かったのにぃ、勝っちゃうなんてぇ」

「予定通りに、という事でしょうか?」

「えぇ。予想通り、貴女は勝利した」

 

 ニッコリと笑っているエフィさんであるけれど、その視線は俺を射抜いて間延びした喋り方でもない。これが本当の彼女なのであろう。

 それは、()()わかっていた事である。予想が、予想ではなくなっただけだ。

 

「それで、エルフ達は人間との交易を認めていただけるのかしら?」

「そんなモノ、わたしが許可すれば一発だよぉ?」

「……先程までの会合は意味がありましたの?」

「んー、アレはシャリーティアちゃんの恋愛相談だからぁ」

「恋愛相談」

「うん、恋愛相談。もっというとわたし達エルフが気にしてたから無理やり聞いたんだよぉ」

 

 この親なんて事を……。

 先程までの会合が交易の話の詳細ではなくて、恋バナ……? シャリーティア先生が言い淀んでいた理由がよくわかった。

 というか、エフィさんが許可だせばよかっただけならば、俺の決闘は一体……。

 

「ああ、その為の決闘でしたのね」

「うん。認めさせるにも理由と意義は必要だからぁ、ね!」

「……とんだ迷惑ですわね」

「それでもディーナちゃんは乗るしかなかったよねぇ」

「だから迷惑、と言えますのよ。もう終わった事だから何とでも言えるでしょう?」

 

 上手く使われた、と言えばいいのだろうか。どちらにせよ、彼女の思惑に乗った事は確かであるし、あの時点でそれから逃れられる術などなかった。

 既に終わった事であるから、迷惑と思うことも終わっているし、彼女の思惑も完遂されている。

 

「瞳の調子は良さそうね。世界との契約は滞りなく更新できたみたい。うんうん、久しぶりの術式だったけれどちゃんと動いているみたいだね」

「百数十年前を久しぶり、と呼称するのもどうかと思いますわね」

「……貴女が何を知っているかはわからないけれど、わたしの真名を呼べば問答無用で消し飛ばすわ」

「肝に銘じておきますわ」

 

 初代シルベスタ王、つまるところの勇者様の日誌に書かれていた仲間のエルフというのは彼女にあたるのだろう。当然のように日本語で彼女の名前が書かれていたから、口にしそうになったけれど、彼女は本気で俺を殺すつもりなのでやめておく。

 日誌に書かれている事も、黙っておこう。俺は命と国が惜しい。

 

「彼……わたしの事を書いてくれていたのね」

 

 そっかそっか、と嬉しそうに頬を綻ばせるエフィさんを眺めながらやっぱり親子なんだなぁ、と思ってしまう。照れ方が似ている。両頬に手を当てるあたりも。

 

「えぇ、国で保管されてる日誌に」

「国で日誌を? 彼の?」

「我が国では初代王であり、英雄ですもの。書かれていた文字は別の国のモノですけど」

「そこに書いてあったの?」

「さぁ? 先程も言いましたけれど、エルフの誰か、について書かれていただけですわ」

 

 お互いに言いたい事はわかっているけれど、うやむやなままで終わらせておく。

 俺が日本語を読める事も、王の日誌に彼女の真名が書かれていた事も、彼女が追求した所で得などないし、日誌の処理を頼まれた所でそれは完遂されるかなど不明なのだ。

 

「ディーナちゃん、一つお願いを聞いてくれるかなぁ?」

「……先に聞きますけど、断るとどうなります?」

「どうも()()()よぉ。交易は確約してあげるし、その瞳にも関与はしないよぉ」

「……シャリィ先生に何かをするつもりですのね」

「さぁ? どうだろうねぇ」

 

 本当に隙が無いというか、手札の使い方が上手い。俺の性格をしっかりと加味して動かれるとどうにも動きづらいし、頼み事が面倒な物じゃない事を願うしかない。

 それに、美人の頼み事はなるべく聞きたい。それがおっぱいのデカイ美人なら尚更だ。

 お手上げという風に両手を軽くあげて降参を示せば、エフィさんはニンマリと悪戯を成功させたように笑う。こういう笑顔がゲイルディアの家系もできていれば少しは変化しただろうか。いや、それもそれで怖いな。

 

「うんうん、察しのいい子は好きだよぉ」

「それで、内容は何でしょうか? エルフの女王」

「指輪を探してほしいのぉ」

 

 指輪? と首を傾げてみれば彼女は自身の左手薬指に填めていた指輪を机に置く。

 見てもいいかを視線で問えば許され、手にとって確認する。

 それは木製の指輪だ。内側と外側の両方に幾つもの術式が刻まれた、この世に二つも無いと言える物である。いや、二つだけしか無い物だろう。

 瞳を得た俺でも、ここまでの術式を組む事はできない。なんだこれ、複雑すぎるが? 意味わからん。どういう原理で動いてる? ある程度予想していた公式もグッチャグチャにされてしまうほど、乱雑で、けれども美しく絡み合っている不思議な術式。

 

「たぶん、彼の国にあると思うんだよねぇ」

「……効力は何ですの?」

「昔、彼が喋れなかった時に作ってぇ。彼がまだわたしにメロメロだった時にぃ、左手の薬指にぃ、えへへぇ」

 

 百年以上前の惚気とか古代遺物でしかないのでやめてよね! お酒のツマミにしても発酵しきってる。

 照れてるエフィさんを睨めつけながら指輪へと視線を戻す。どこかで見たような気がする。どこだ……? 少なくとも、自国の宝物庫なんて興味なかったから覗いてないし、覗けるような立場でもなかったんだよなぁ……。

 初代王が身につけていたなら引き継がれていると考えても……。リゲルやスピカ様も身につけてなかった筈だ。

 

「あ、うん。えっとぉ、この指輪をしていると言語を翻訳してくれるの」

「は?」

「だから、言葉や文字を全部魔法に通して変換させてこの世界の全ての言葉に変換させてるの」

「文化人が卒倒しそうな能力ですわね……」

 

 変換されているのは指輪の装着者だろう。文字まで適応されているという事は、全てに魔法が掛かっている。指輪を軽く填めて、魔法を見てみればよくわかる。これ、視界まで効力あるのかよ。

 外交関係に素晴らしく有利に働きそうな能力であるし……。ああ、だから今の国は戦争とかしてないんですね……。外交の場に王様直接出向いてるとかいう巫山戯た行為って歴史家達が憤慨していたけれど、納得した。

 

「すごいでしょぉ。愛だよ、愛」

「呪いの間違いでしょう」

 

 

「やだなぁ。愛は呪いだよ、ヒューマン。私も、彼に呪われたの」

 




 シャリィ先生が退室した時に「魔法瞳」をディーナから受け継ぐというか同じ効力の瞳を得てテンション上げて部屋から出ていく狂科学者的ムーブしていますが、自分からキスして恥ずかしくてどうにか話を逸して逃げてるだけです。部屋から出たあとに赤くなってる両耳がピコピコ動いて珍しく上機嫌な顔で寝ます。


 本文でも出てますけど、エルフにとって真名は特別な物なので血族以外だと婚約者にしか告げません。まあ先に婚約者も死ぬのでアレですが、そういう意味もあってエルフ達の愛は非常に深いです。えっちでは?
 多方面に向く相手の愛に対して寛容的ですが、矢印が自分に向かなくなった時は殺してるか死んでる時です。初代王が死んでからシルベスタ国がエルフと関わらなくなったのは意味が無くなったからですね。


 あと、まあ、別に使う気もない設定ですけど、シャリィ先生がクソデカ魔力を所持していて、ハーフエルフで、エフィさんの娘、という要素から実はシルベスタ国の血族であるんですが、この小説では一切使う気はありません。たぶん。たぶん無いと思う。シャリィ先生の年齢に関して考えるのもやめておけ……いいな……?

次挿絵のキャラは誰がいい?

  • リヨース
  • 騎士ディーナ様
  • シャリィ先生
  • エフィさん
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。