主人公こと「萩坂玲音」の名前が「萩坂」から「萩近(はぎちか)」へと変更になりました。今になって変えるものじゃないとは思いますが、彼の名字の由来を考えたら「萩近」じゃないとおかしいなって。本当にごめんなさい。
今日はクリスマスイヴですね。皆様はどうお過ごしでしょうか。私は家でゴロゴロしてることでしょう。(執筆時点の予定では)
クリスマスイヴ。イベント好きの日本人がヨーロッパから取り入れたイベントの一つ。本番はクリスマスだというのに、イヴで浮かれるだけ浮かれて次の日からは年末年始に目を向ける。企業によっては一番忙しい時期になる。
飲食店でいえばレストランが代表格と言ったところか。デパートも忙しいだろうな。クリスマスを意識しなくていい販売店なら福袋の用意だろうか。そんな中で暇になる飲食店もある。ファストフードとかだな。つまりバイトからしたら稼ぎ時だ。暇なのに給料は変わらない。最高だな。
「クリスマスイヴにバイト入れないでね」
「は? 何言ってんのお前」
「グリグリでクリスマスパーティーするから、君も来なさいってこと」
「馬鹿なの? イヴは店に人が全然来ないらしいんだぞ? この日に稼がなくてどうする」
楽に稼ぐ。誰しもが喜ぶ展開じゃないか。理想と言ってもいい。それが実現する日なんだぞ。なんでそんな時に働かないなんて選択肢が出てくるんだ。
おかしな理屈なんかじゃない。その日に働きたいから働く。それができるのがバイトのメリットだ。そうだというのに牛込には理解できないことらしい。あからさまに不服そうな顔をしている。不服なのはこっちだと言いたい。
「バイト代をくれるならいいぞ?」
「じゃあ半日は?」
「話聞かねぇのな。……半日ね。昼間はあんま変わんねぇ気がするんだが、……あ、夜だけ働いていいなら」
「ダメ。そんなことするならお店でクリスマスパーティするから」
「他の客に迷惑だ」
「大丈夫。事務所の中だから」
「あの社員なら許しそうなんだよなぁ!」
あの三十路め。牛込たちが来ると年甲斐もなく浮かれやがる。そんなんだから男ができないというのに。そんなことは本人の前では言わないがな。前にポロッと言ったら豹変したし。
とりあえず牛込たちが店に遊びに来るようなことは避けないといけない。最近行動力が増したこいつなら本当に実行しかねない。逃げ道を塞がれた以上諦めるしかないか。
「……はぁ、イヴの夜はバイト入れなきゃいいんだろ?」
「うん。18時からパーティーだから」
「はいはい。その時間からはバイトしねーよ」
「他の予定も入れちゃ駄目だよ?」
「……」
「なんで目を逸らすのかな?」
こいつ……、俺の行動を読むようになってきたな。それにわりと遠慮が消えてきてる気がする。弁えるところは弁えているんだが、その見極めが上手くなったというか。原因となりそうなのは先月の
その後もしつこく誘ってこられたから、結局こっちが折れるしかなかった。集合する場所と時間を聞いたんだが、本気で正気を疑ったな。パーティーどころじゃなくなるだろ。
『パーティーは
ほんと……何考えてんだか。最初はそう思ったが、牛込がそうする理由に思い当たることがある。だから、きっとそういうことなんだろう。
〜〜〜〜〜
クリスマスパーティーを家でするのは、メンバーとりみも面識ができてるから。やるなら一緒がいいよねって。そういう話をしてたらお母さんに家でやっていいって言われたから、そのまま場所も家で決定。時間はみんなの予定に合わせて決めた。
家でやるならそのまま萩近くんともう一度話し合ってほしくて、みんなには内緒で誘った。予想通りバイトしようとしてたから、無理矢理押切ってこっちに来てもらうことにした。
きっとお父さんたちは怒ると思う。でも、それでも話し合ってほしかった。彼はお父さんたちが思ってるほど酷い人じゃないって。私の友達を信じてほしかったから。
『マンションの前に着いたぞ』
部屋で冬休みの課題を解いてたら彼から連絡が来た。時間を確認するとまだ30分もある。今までこんなに早く来るなんてことなかったし、珍し過ぎる行動だね。
『今から下に降りるから待ってて』
『了解』
すぐに戻ってくるわけだし、上着も薄いやつで大丈夫だね。すぐに玄関を出てエレベーターで下まで降りる。外に出ると彼はポケットに手を入れて、柱に持たれかかってた。相変わらずの手ぶらだけど、何も言ってなかったから仕方ないね。
「お待たせ。中に入ろ?」
「あぁ。……それ寒くないのか?」
「すぐに戻るしこれくらいでいいかなって。……寒いけど」
「馬鹿だな」
「どうしようと私の勝手ですー。……わわっ!?」
「着てろ。見てるこっちが寒い」
「ありがと」
乱暴に投げ渡されたのは、彼がさっきまで着ていた上着。袖を通したら体が温まるのが分かった。思ってた以上にすぐに体が冷えてたみたい。彼が着てたから温まってるってのも関係あるのかな。
そこまで思って気づいた。これは彼の体温で、この服には彼の匂いもあるって。嫌とかじゃない。ただ変に意識しちゃうってだけ。気恥ずかしさとはまた少し違う何とも言えない感覚。
「ドア開けてくれよ」
「あ……ご、ごめん」
「それと匂い嗅ぐなよ」
「嗅がないよ!」
すぐにこうやって揶揄ってくる。……揶揄ってるだけだよね。本気で言ってるわけじゃないよね。私がそんなことするなんて思ってないよね。……こういう時の彼は全く読めない。
彼がなんでこんな早く来たのかはシンプルなことだった。私がパーティーに彼を誘った理由を彼が察したから。みんなより一足先に来て話し合う。それでも駄目ならみんなが来る前に帰る。それが彼の考えみたい。わざと帰るように仕向けないでほしいとこだけどね。
「ちょっと待っててね。お父さんたちに説明してくるから」
「寒いからなるはやで」
「うん。……あ、この上着返すね。ありがとう」
「はいはい」
家族全員がリビングでテレビを見てた。私が帰ってきたことにりみが気付いて、お父さんとお母さんもそれで気付いた。
私はすぐに話を切り出した。萩近くんに来てもらってるからきちんと話し合ってほしいと。お父さんとお母さんは彼に良い印象を持ってくれてない。だからか話し合っても、って思うらしい。
「話し合った方がいいんじゃないかな?」
「りみ?」
「ちゃんと話さないと相手のこと分からないって、そう言ったのお父さんとお母さんだよ?」
「! ……そうだったな。ごめんゆり。頭が固くなってたみたいだ」
「それじゃあ……」
「ええ。彼を呼んでちょうだい。向き合うから」
「うん!」
りみのおかげで二人とも話を聞いてくれることになった。玄関を開けて彼を中に呼び込む。前のときもそうだったけど、彼は人の家に入るってなっても全然緊張とかないみたい。靴は揃えるけど、我が家同然って感じ。
そんな彼の手を引いてリビングに入る。後々考えたら手を引く必要なんて全く無かったんだけど、私はわだかまりを早く無くしてほしかったからこうしちゃってる。私が彼と手を繋いでるとお母さんは困ったような顔になってた。りみはどこか目を輝かせてるような気がするし、お父さんは反対に眉間に皺を寄せてる。
「萩近玲音です。この手のことは娘さんに聞いてください。こっちも混乱してるんで」
「じゃあ後でそうさせてもらうわ。あなたもそれでいいわね?」
「う、うむ……。それでゆり、いつまで萩近くんとそうしてるつもりだ?」
「え? ……ぁっ!!」
お父さんに聞かれてやっと私は自分がまだ手を繋いでるのだと分かった。この場にいるみんなにそれを見られてるし、勘違いされてる気がしてすぐに手を離した。彼はため息をついてたけど、なんでそうやって動じないんだろうね。
「娘さんに急にこの場をセッティングされたので、何て話をしたものかって感じなんですけど。まずは
「ぇ……」
「「!!」」
彼はいつだってそうだ。話の切り出し方が強引というか、急すぎる。今回は私だって急なことをしたわけだけど、それでも彼ほどじゃない。
萩近くんは、今お父さんとお母さんに頭を下げてる。軽くじゃなくて、深々と。これにはお父さんたちもびっくりしてるし、そういう私も自分の目を疑った。彼は傲慢なわけじゃないけど、ここまで深々と頭を下げてるところは初めて見たから。
「一人でいられるようにするためとはいえ、あなた方が娘さんを大切に思う気持ちを利用し、不快な思いをさせてしまいました。それだけじゃありません。人伝いに聞いたことではありますが、その当人も傷つけて振り回してしまいました。赦されなくても構いません。ただ謝らせてください」
「ちょ、ちょっと! 何も君がそこまでしなくても……!」
「黙っててくれ。これはケジメをつけないといけないことなんだから」
「でも……」
「まさか先に君にそこまでやらせてしまうとは……。これでは大人の私たちの立つ瀬がないな。……こちらも謝らせてほしい。感情に身を任せて君を殴ってしまった。全く思慮がなかった。本当に申し訳ない」
「私からも謝るわ。ごめんなさい」
「お父さん……お母さん……」
「これで仲直り?」
「ははっ、そう……なるのかな」
お互いに謝って一件落着なのかな。りみが純粋なままに切り込んでくれるから、この場の雰囲気も重くなり過ぎずに済んだ。萩近くんとお父さんたちが顔を見合わせて苦笑しながら握手をする。とりあえず悪印象はなくなってくれたってことだよね。……先に謝ったのって狙ってたのかな。そういう計算もしてそうなのが彼のやらしいとこだよね。
「ところで
「さっきのを見た感じ仲が良さそうよね〜。たしか以前にゆりがお弁当を作ってなかったかしら?」
「なに!? どういうことか包み隠さずに話してくれないか!」
「ちょっ、お父さん!?」
「そうですね……。とりあえず娘さんにはストーキングされてます」
「変なこと言わないでくれるかな!? もういいよ私が話すから!」
「そうすると拡大解釈入れるだろうが!」
どっちが話すかで言い合いしてたらりみに笑われちゃった。仲がいいってりみに言われて、萩近くんが間髪入れずに否定するから脇腹を小突く。何か言いたそうにしてるけど無視。
そんなことしてたら、マンションの前に七菜たちが着いたみたい。三人は部屋の番号を知ってるから呼び出しボタンを操作して連絡を取ってくる。私がそれに応対してる間にお父さんと萩近くんが二人で話し始める。
(お父さん、娘はやらんって言わなくていいから。私も彼とくっつきたいわけじゃないもん)
七菜たちを家に迎え入れると、三人とも萩近くんがいることに驚く。その理由が出禁になってないことってのは苦笑いしか出ないね。たしかに出禁になっててもおかしくなかったわけだけども。
全員が揃ったから最初にご飯を食べる。その後に時間ギリギリまで遊ぶってのが今日の大まかな段取り。育ち盛りの男の子が増えたし、料理は足りるのかなって思ったけど、お母さんは初めから多めに作ってたから問題なさそう。
「それで、萩ぽんは両親への挨拶を済ませたってことでいいのかな?」
「何言ってるのひな!? そんなんじゃないから!」
「挨拶っちゃあ挨拶だな」
「君も話をややこしくしないで! また私を揶揄おうとしてるでしょ!」
「「うん」」
「二人ともそのへんで止めなさい」
「そうだぞー。ゆりの家族が付いてこれてないんだから」
「理由はそこか?」
リィが止める側と見せかけてボケる側に回ったから彼がそれにツッコミを入れる。臨機応変に役割が代わったりするんだけど、ひなはずっとボケ側で、私はほとんどツッコミ側。みんなといるとほぼそうなる。
一旦置いてけぼりになったお父さんたちだったけど、私たちのノリが分かったところで話に付いてこられるようになる。良い友達ができたなって言ってもらえてすっごく嬉しかった。不服そうな顔をする彼の腕をこっそり抓ったけど。
思い思いに料理に手を伸ばして、クリスマスケーキも食べた。チョコフォンデュがあることにみんな驚いてたけど、無いものなのかな。一家に一台冷蔵庫があるのと似たようなものだと思うんだけど。
言葉に出さなかったのに考えを読まれて萩近くんにツッコまれる。片付けが終わったところで遊びが始まる。と言っても特別なことなんてほとんどない。女の子ばっかりだから女子トークになっちゃうし。
「七菜ちゃん。お姉ちゃんと萩近さんって普段どんな感じ?」
「りみは何を聞いてるのかなー?」
「え、だって気になるもん。お姉ちゃんってなんだかんだで萩近さんと一緒にいるの楽しそうだし」
「妹までめでたい頭してたか……。あー、姉を見て育つとそうなるのも仕方ないか」
「失礼なこと言わないでほしいな」
ジト目で文句を言っては彼と軽い言い合いが始まる。そんなことをしてるとクスクス笑ってる声が聞こえて、見てみるとりみが『やっぱり楽しそう』なんて言ってくる。楽しいのは認めるけど、何か違うニュアンスが含まれてそうだから公言はしない。
リィが一言で『こういう関係』って纏めちゃったわけだけども、りみがそれに納得しちゃった。たしかに目の前で普段とあまり変わらないやり取りを見せられて、こういう関係だって言われたら分かりやすいけどね。
「それじゃあそろそろプレゼント交換といきますかー!」
「いいよリィちゃん! 待ってたよー! 萩ぽんは用意してなさそうだけどね!!」
「聞いてないからな」
「ゆりの伝達ミスね。大方萩近くんを誘うことで頭がいっぱいだったのでしょう」
「……正解です」
だって萩近くんってば隙あらば参加しない口実を言い始めようとするんだもん。それを阻止することに手一杯になるのも仕方ないじゃん。ちゃんと呼べたことを評価してほしいくらいだよ。
そんなこと言っても言い訳にしかならないんだけどね。現に萩近くんは何も用意してないわけだし、それに彼の事情を考えたらどのみち頼めなかった気がする。
「ま、萩ぽんからは後日にでもお願いするってことでいいんじゃない? 特にこだわった物じゃなくてもいいわけだしさ」
「アタシもノリで決めたからそれで良さそうだよね。ゆりは真面目に用意してそうだけど?」
「さ、さぁどうだろうね〜。七菜は?」
「渡してからのお楽しみよ」
そんなわけでプレゼント交換が始まった。円になって、音楽がなってる間にプレゼントを回していく。手元に何もない人は後日萩近くんから貰うということになった。
りみは勉強の時に使える可愛らしい小物。私は不慣れながらも手織りのマフラー。どこで買ってきたのか、リィはお化け屋敷とかで使えそうな化粧や道具のセット。七菜はスコアとかを保管できるケース。ひなはくじ引きで当てた旅行券。
「ひなだけ用意したやつおかしくない?」
「え? 当たっちゃったはいいけどその日に予定あるから行けないし、それなら誰かにプレゼントするのって普通じゃない?」
「あ、はい」
「それで〜? そんなこと言うゆりちゃんは、やっぱり愛しの萩ぽんから何か貰えることになったと」
「愛しじゃないし、やっぱりって何?」
「それはまぁみんな予想してたし。というかそうなるように調整したし!」
「みんな何してくれてんの!?」
「萩近が阻止するのも面倒くさがって投げ出してくれたおかげでやりやすかったな〜」
「めっちゃ楽しかったね〜!」
りみまで丸め込められたなんて……。いや、りみは楽しめることなら結構遠慮ないとこあるし、むしろ当然の結果だよね。ところで萩近くんのところに私のマフラーが渡ったのも仕込んでるんだろうね。座る位置とどっち回しかで妙に時間かけてたし。
「なんでそんなことするかなー」
「ゆりちゃんの反応が楽しいから」
「萩近くんにも迷惑だと思うんだけど……、ってあれ?」
「お姉ちゃん。萩近さんならベランダに出てるよ。ちょっと外眺めたいって」
「そうなんだ。……合ってるけど、なんで当てられたんだろうね」
「今のお姉ちゃん分かりやすいもん」
りみって伏兵としてこんなに活躍するタイプだったっけ。グリグリのメンバー相手にここまで打ち解けられたって思えば嬉しいことではある。でもこうやって言われちゃうと複雑なんだよね。
彼を探してるってすぐに分かられちゃったわけだし、ここは大人しく私もベランダに出るしかないね。彼はベランダの端っこにいて、仕切りにもたれかかって視線を外に向けてた。
何を思って外を眺めてるのか、考えを読まれないようにしてる普段の顔とは違う。でも今の彼の表情もまた読み取れないものだった。少し踏み込みにくいって言ったらいいのかな。
彼は私が来たことに気づいたらもたれかかるのを止めて、視線もこっちに向けてくれた。
「……なんだ来たのか。中で話してたらよかったのに」
「あはは……、なんとなく、かな」
「物好きだよな。ほんと」
「君ほどじゃないと思うんだけどな〜」
どうしたんだろう。軽口なのは変わりないんだけど、それでもやっぱりどこか覇気がない。いつもの堂々とした雰囲気が少しなくなってる。哀愁が漂うってほどじゃないけど、似たような感じはする。
「…………気になるって顔してるな」
「……うん」
「単純なことだ。俺からしたら今の光景が眩し過ぎるんだよ。家族も友達も、な」
「ぁ」
そっか……。少し考えればすぐに分かることだったね。彼は独り暮らしで、肉親とは離れ離れ。それでいてお父さんとは絶縁状態で、妹さんとは連絡が取れない。
──彼は"孤独"なんだ
そんな彼に家族が揃ってるところを、仲良くしてるところを見せて、さらにそこに友達を交えてクリスマスパーティーをする。こんなの何も思わないわけがない。
『あの子は孤独だ。支えてやってくれ』
オーナーにもそう言われてたのに。
「ごめんね」
「なんで牛込が謝るんだよ。俺が勝手に黄昏れてるだけだ。気にすることじゃない」
「だって私が呼んだから……!」
「それに応じたのも俺だ。最終決定を自分でやってんだよ。だから……ってなにしてんの?」
「こうしたいと思ったからこうしてるの。……温かいでしょ?」
「……そうだな」
何でも自分のせいにする。独りぼっちは寂しくてしんどいって誰よりも知ってるはずなのに、背負い込んで周りと距離を取ろうとする。
そんな彼を放っておけるわけがない。オーナーに頼まれたからってだけじゃない。私がそうしたいと思ったから。
彼の背に回した手を強める。独りなんかにさせたくないから。独りでいたいと思わせたくないから。彼も手を私の背に回してくれて、そっと力を加える。密着感が増して、彼の胸に耳を押し当てることになったんだけど、心音のリズムは変わらない。女の子としては悔しいとこだね。
「ありがとう。もう大丈夫だ」
「うん」
「それとこれ、クリスマスプレゼント」
「え? 用意してなかったんじゃ……」
「
つまり、彼は初めから私に渡すクリスマスプレゼントを用意してくれてたってことだよね。私って彼にそんなことされるようなことしてないと思うんだけどな。迷惑ばっかりかけてると思う。
「だいぶ振り回されてる一年になったが、それなりに楽しめてるのも事実だ。だからそのお礼も兼ねて、な」
「……そっか。……ほんとズルい人だよ」
「なんか言ったか?」
「君はズルい人だなって言ったんだよ。こんなことされたら嬉しいに決まってるじゃん!」
「そこまでとはな」
「これ、つけてもらってもいい? というか高くなかった?」
「気にするな。家にあったやつ取ってきただけだから」
後ろ髪を避けて彼がつけやすいようにする。私が貰ったのは三日月と蝶をモチーフとして彫られたネックレス。三日月は純白で、蝶は光沢が輝く赤。すごい綺麗で、本当に貰っちゃっていいのか戸惑っちゃう。それに私のプレゼントはマフラーで全然釣り合ってないし。
「ほら、つけたぞ」
「ありがとう。……これ本当にいいの?」
「使われないよりはいいだろ」
「そうだけど……」
「貰ってくれ。それと──よく似合ってる。綺麗だよ」
「ふぇ!? ぁ……ゃ……その……ぅぅ……」
「褒めたらこれか」
「う、うるさい! 君が悪いんだからね! でもありがとう! メリークリスマス!」
「無茶苦茶だな……。こっちも貰ってくれてありがとう。メリークリスマス」
もうさっきみたいな雰囲気は一切なくなってる。本調子に戻った彼と一緒に中に戻って、お母さんが用意してくれてたホットミルクで温まる。時間が来るまでまた雑談になって、クリスマスパーティーは終わった。もちろん私がつけてるネックレスのことはみんなに質問攻めされたんだけどね。
「お姉ちゃんって萩近さんのこと好きじゃないの?」
「え? 友達としては好きだけど、異性としては全然だよ? りみまでどうしたの?」
「だってお姉ちゃん。今日
──あれ? そうだっけ?
ラブコメは読んでて胸焼けするので全然読んだことないのですが、『一週間フレンズ』は大好きです。途中で本を閉じて自分を落ち着かせては読む、ということを何度もしてました。
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