ダンボール戦機 C(シンデレラ)   作:ぱりぱりィ!

12 / 19
ダンボール戦機 C(シンデレラ) 12

ダンボール戦機 C(シンデレラ) 12

 

 

 

<< 第12章 新生シーカー >>

 

 

 

 

―――――TO(タイニーオービット)社―――――

 

 

飛鳥「ねぇちょっとキミ……聞きたい事があるんだ」

 

研介「えっ、僕?何かな?」

 

飛鳥「智絵里のLBX・イプシロンにスタンが効かなかったんだ」

 

飛鳥「それは、何か特殊加工がされてるから……なのか?」

 

研介「うーん…特にそんな加工はしてないんだけど……」

 

研介「あ!もしかしたら、スタンフィール・インゴットが関係してるのかも」

 

飛鳥「スタンフィール……なんだい、それは?」

 

研介「レアメタルの一種さ。高温にも耐えられて、伸縮性もあって頑丈なんだ」

 

拓也「その貴重なスタンフィール・インゴットを!」

 

拓也「無断で持ち出し、成形機でイプシロンを勝手に作った!」

 

拓也「結城……反省しているんだろうな?」

 

研介「は、はいっ!!」

 

拓也「まったく………」

 

――――――――――――――――――――

 

>>>その頃、TO社の別フロアでは、智絵里がキリトに絡まれていた。

 

キリト「緒方智絵里……君はじつに興味深いねぇ……」

 

智絵里「そっ、そうですかっ?」

 

キリト「知りたい……!君の強さを……!」

 

キリト「オレとバトルしろ……緒方智絵里!」

 

智絵里「えっ、あっ、はいっ。 いい、ですけど……」

 

仙道「オイオイ、待ちなよ風摩キリト」

 

仙道「風摩キリト―――お前は強い…文句なしに強い」

 

キリト「箱の中の魔術師に褒められるなんて、光栄だなぁ」

 

仙道「要は緒方智絵里の戦いを、その目で見られればいいんだろう?」

 

仙道「じゃあ、オレが加勢しても……異論はないよなァ?」

 

キリト「そう来たか…面白いねぇ、いいとも……」

 

キリト「2人まとめて、相手してやるよ」

 

>>>そう言うや否や、キリトがDエッグを展開する。

 

智絵里「仙道さんっ、どうして……」

 

仙道「オレもお前のプレイスタイルには興味がある」

 

仙道「だが風摩キリトは強い。オレがあっちに加勢する訳にはいかない」

 

仙道「だから、協力者として……緒方智絵里、お前を見定める…!」

 

智絵里「ひぃっ……!?」

 

仙道「安心しろ、今は協力者だ。信用してくれて構わない」

 

智絵里「わ、わかりましたっ」

 

>>>Dエッグの展開が完了される。

 

キリト「さぁ、始めようか……出撃だ、デクーOZ!」

 

仙道「ほう…?修理したのか、ソイツ……」

 

キリト「ミゼルに制御権を奪われたオレのLBXは全て、一から作り直して復活させたのさ」

 

キリト「走り書きだったが……設計図も残っていたからねぇ」

 

仙道「さてと……オレも出撃と行くか。 悪夢を見せてやれ、ナイトメア!」

 

キリト「おや?ナイトメアフィアーじゃないのかい?」

 

仙道「やっぱりオレには、こっちの方が合っているんでねェ……」

 

智絵里「お願いっ、イプシロンっ」

 

キリト「へぇ……こいつが君のLBXか………」

 

キリト「でも、カタログスペックが全てじゃない……」

 

キリト「オレは…そのLBXを操る、君が見たいんだ……!」

 

仙道「来るぞ、緒方智絵里っ! 警戒しろ!」

 

智絵里「はっ、はいっ!!」

 

 

<フィールド:王宮城内>

 

 

  バ ト ル ス タ ー ト

 

 

>>>キリトのデクーOZが、愛用の<OZトマホーク>を構えて、急接近する。

 

仙道「即席チームとはいえ、ある程度連携は取ってくれよ、はぁっ!!」

 

智絵里「は、はいっ! やあっ!!」

 

>>>仙道と智絵里が攻撃を仕掛けるも、デクーOZはするりとそれをかわした。

 

智絵里「は、早い……っ!?」

 

仙道「ヤツは、カスタムもチューニングの腕も一流だ」

 

仙道「気を抜くなよ……すぐに機体を<持ってかれる>ぞ!」

 

智絵里「え、えっとっ……も、<持ってかれる>……って?」

 

仙道「…ブレイクオーバー。 そういう事だから、油断するな!!」

 

>>>デクーOZが凄まじい早さでトマホークを振るう。

 

>>>とっさに防御態勢を取る智絵里と仙道。

 

>>>しかし、衝撃を完全に防ぐことは出来ず、ダメージを受けてしまった。

 

キリト「キミの力はそんなものなのかい? そんなわけないよなぁ?」

 

>>>デクーOZがトマホークを掲げてイプシロンに、にじり寄る。

 

智絵里「つ、強い……ですっ」

 

キリト「当り前の事さ……僕はこれでもTOのテストプレイヤーなんだから」

 

仙道「―――せいっ!!」

 

>>>仙道が鎌で鋭い一撃を放つ。

 

>>>しかしキリトがこれに対し、トマホークを打ち付けた。

 

>>>互いの武器がぶつかり合い、火花が散る。

 

>>>そしてここで―――――智絵里が動く。

 

智絵里「仙道さん、失礼しますっ」

 

>>>イプシロンが仙道のナイトメアに飛び乗り、そこから空中へ飛び出した。

 

>>>そして上空から、片手銃<キングスハート>を放つ。

 

キリト「そんな攻撃は予測範囲内なんだ、よっ!!」

 

>>>キリトは力づくでナイトメアを押しのけ、愛用のOZシールドで銃弾を防ぐ。

 

>>>―――しかし、智絵里はもう既に武器を変えて、急降下してきていた!

 

>>>OZシールドに走る、鋭いダガーの一撃。

 

>>>結果、シールドはすっぱりと、真っ二つに割れてしまった。

 

キリト「なっ―――OZシールドが…!」

 

キリト「これだけの強度がある盾でも、難なく切ってしまうとはねぇ……」

 

キリト「面白い……!これなら、マジに戦えそうだな………!」

 

>>>キリトは割れたOZシールドを投げ捨て、トマホークを構え直す。

 

仙道「やるじゃないか、緒方智絵里……」

 

仙道「風摩キリトに、まさかこんなに早く一杯食わせるなんてねェ……」

 

智絵里「仙道さんが、隙を作ってくれたから、ですよっ」

 

仙道「そいつは謙遜が過ぎるんじゃないかなァ…まぁ、いいけどねェ」

 

キリト「さ、バトルを再開しようじゃないか…思う存分楽しもうよ……!」

 

>>>キリトのデクーOZが物凄い勢いでトマホークを振り回す。

 

ブンッ ブンブンッ キィィン!!

 

智絵里「うぐっ、まっ、まずいですっ」

 

仙道「バカ、よけろ!!」

 

>>>仙道の援護で、何とか直撃を避けることが出来た智絵里。 しかし―――――

 

バチバチバチ………

 

>>>智絵里を庇ってトマホークを防いだナイトメアの左アームが、スパークしていた。

 

仙道「ちっ、アームLがイカれたか…!」

 

仙道「緒方智絵里!オレはもう、これ以上庇ってやれないからな!」

 

仙道「自力で何とかしろ!!」

 

>>>ゆっくりと下がって距離を取る、仙道のナイトメア。

 

智絵里(何か作戦を……こっちは二人なんだし……っ)

 

智絵里(そうだ、もう一度っ……今度は―――)

 

智絵里「仙道さんっ。 また上、登らせてくださいっ」

 

仙道「なんだ、また上空から攻撃か?」

 

仙道「だがヤツに同じ手は通用しない……」

 

智絵里「今度はっ……違いますっ」

 

仙道「……はぁ、わかったよ。もう少し手伝ってやる」

 

仙道「ナイトメアの鎌に乗れ。乗った瞬間、打ち上げる」

 

智絵里「お願いしますっ」

 

>>>イプシロンが、ナイトメアの鎌の上に飛び乗った。

 

>>>仙道がそれを見て、右アームの力だけで何とか、智絵里を宙へ放り出した。

 

キリト「また空から銃撃かい?……うん?」

 

>>>イプシロンが構えているのは―――――ダガーだ。

 

キリト(上空から勢いをつけて切り裂くつもりかい、悪くないねぇ……)

 

キリト(でも真っ直ぐ下に落ちてくるって事は、こっちにとってもいい的なんだよ!)

 

キリト(その機体―――トマホークで真っ二つにしてやるぜ…!)

 

>>>ここで、智絵里の代名詞とも呼べるようになって来たものが、炸裂した。

 

>>>投擲―――――だ。

 

>>>しかしダガーを2本投げたものの、キリトは危なげなくその両方を弾いた。

 

キリト(何を考えている?―――なんだ…な、何かやばい!!)

 

>>>ダガーを弾き飛ばした時に、デクーOZのボディはガラ空きになっていた。

 

>>>そこに、智絵里のイプシロンが何かを構えて―――デクーOZに突き立てた。

 

>>>イプシロンの手の中にあったもの。 それは………

 

>>>なんと、片手銃のキングスハート!!

 

>>>智絵里は、片手銃をナイフのように見立てたのだ。

 

>>>そして、力づくでデクーOZの胸部装甲に、銃を突き刺す……!!

 

キリト「銃を剣に見立てるだって…? やっぱり君は、面白いよ……!」

 

\ ピコーン! /

 

キリト「僕の負け、か…。 しかし、興味深い実戦データが取れたよ…」

 

仙道「……満足か?風摩キリト」

 

キリト「あぁ!大いに満足できたとも……!」

 

キリト「智絵里…来週の作戦でも、よろしく頼むよ?フフフ……」

 

そう言って、キリトは静かに去っていった……

 

仙道「チッ……!」

 

智絵里「ひっ……あ、あのっ、足引っ張って、すみません………」

 

仙道「あぁ、今の舌打ちはお前には関係ない。 気にするな」

 

智絵里「そ、そうですか……っ」

 

仙道「宇崎拓也……気に食わないねェ。今回もこんな方法を取るとは」

 

智絵里「社長さんですか? え、えっと、こんな方法って……?」

 

仙道(コイツ、普段はずっとこんななのかよ……)

 

仙道(LBXバトルになった途端に強気になるのは、何なんだ……?)

 

仙道「シーカーに関してだ」

 

仙道「どうせお前達も、ここへ連れて来られるまで、何の説明も無かったんだろう?」

 

仙道「急に集めて、イノベーターと戦え、ミゼルと戦え……」

 

仙道「そして今回は、メディエイターと来た」

 

仙道「ふざけやがって。オレ達はお前の手駒じゃないんだって話だ」

 

智絵里「わたし達だけでは―――――」

 

仙道「あん?」

 

智絵里「わたし達だけでは、テロ組織の存在も知る事が出来ませんでした」

 

智絵里「危険な事に巻き込まれちゃったのは、変わりないですけどっ」

 

智絵里「それでも…LBXで悪さをする人達を、わたしは止めたいんですっ」

 

仙道「へぇ……? 見た目よりも中々、肝が据わってるじゃないか」

 

智絵里「LBXはわたしにとって、大切な友達なんです……っ」

 

智絵里「トモダチを、悪事に使うなんて……正直、許せませんっ」

 

仙道「そいつに関しては、オレも同意見だ」

 

智絵里「仙道さん……っ」

 

仙道「一応、今オレ達は仲間だ」

 

仙道「そのメディエイターとやらの作戦、オレ達でぶっ潰してやろうじゃないか」

 

智絵里「は―――はいっ!」

 

―――――TO社・エントランス―――――

 

未央「いやー、凄い事になっちゃいましたねー」

 

比奈「アタシなんか、アイドルになれただけでもびっくりだったんスけど―――」

 

比奈「まさか自分のLBXが、正義の為に戦う日が来るなんて~……」

 

未央「それより!ゆいゆいもアングラビシダスに出てたなんて」

 

唯「そんなに驚く事かなぁ?ゆい、ずっと大会に出たかったんだよねー♪」

 

唯「結局負けちゃったけどねー。強かったなー、智絵里ちゃん」

 

未央「……あれ?ちえりんは?」

 

みく「智絵里チャンなら、あのキリトって人に話しかけられてたにゃぁ」

 

未央「オメガダインの元テストプレイヤーなんだっけ、あの人」

 

唯「軍事基地がどうとかいうニュース、やってたよねー結構前に」

 

比奈「その時も…あの仙道さんや風摩さんは戦ってたんスかね……」

 

未央「私達も、がんばろっ!」

 

みく「えい、えい、おーっ、だにゃ!!」

 

 

―――――TO社・開発フロア―――――

 

研介「ようこそ。 これが、コントロールポッドさ」

 

小梅「す、すごい……。 乗り物、みたい……だね?」

 

飛鳥「試運転がてらに乗ってもいいかい?」

 

研介「えぇっ!?ちょ、ちょっと待ってくれ……」

 

??「大丈夫よ。私から拓也君に許可を取っておくから」

 

飛鳥「……失礼だが、アナタは?」

 

石森里奈「開発部の石森里奈よ。はじめまして、シーカーの新メンバーさん」

 

飛鳥「ボクは二宮飛鳥、こっちは白坂小梅。知ってるかもしれないけど、よろしく」

 

石森「えぇ、よろしくね」

 

石森「そういう事だから、結城君。コントロールポッドを起動させてもいいわよ」

 

石森「それじゃ、私はこれで」

 

研介「よし。それじゃあ飛鳥ちゃん、実際に乗って試してごらん」

 

飛鳥「行くぞ……!」

 

>>>飛鳥はコントロールポッドに乗り込み、コンソールにCCMをセットした。

 

すると、ポッド内のカメラがCCMを通じてLBXのカメラアイとリンクし―――――

 

飛鳥「これは凄い…!まるでLBXに乗り込んでいるみたいだ……」

 

>>>さながらそれは、LBXの中に船があり、そこに居るような感覚。

 

>>>飛鳥はLBXをコントロールポッドで操作し、設置されたジオラマに飛び降りた。

 

飛鳥「小梅。まだ、そこに居るんだろう?」

 

飛鳥「ボクのコントロールポッド練習に、付き合ってくれないかい?」

 

小梅「いい、よ…? LBX…壊されても、いいなら……ね?」

 

飛鳥「言ってくれるじゃないか……返り討ちにしてあげるよ!」

 

研介「わわわっ!お願いだからアンリミテッドレギュレーションはやめてくれー!」

 

※アンリミテッドレギュレーション:LBX破壊OK、何でもありのルール

 

―――――TO社・社長室―――――

 

拓也「何なんだ……本当に、凄まじい………」

 

>>>拓也はディスプレイで、繰り返し動画を見ていた。

 

>>>そこに映るのは、ジオラマを縦横無尽に駆け回るイプシロンの姿が。

 

拓也「なんて躍動感のある戦闘なんだ…………」

 

拓也「結城が彼女にLBXを送ってから、ひと月経っていたか……?」

 

拓也「しかもさっき比奈達に聞いたが、それまではLBXに触った事もなかったという…」

 

拓也「霧野君……君は、どう思う?」

 

霧野「…信じられないくらいの、天才としか―――思えません」

 

拓也「悔しくもあるが……結城への罰は、この逸材を見つけてくれた事で…チャラだな」

 

霧野(ふふっ。本当は罰なんか与えたくないでしょうに……)

 

霧野(結城さんも、拓也さんにとって大切な仲間…ですからね)

 

――――――――――――――――――――

 

>>>少年少女達は、互いに戦い、己を磨く。

 

>>>……一週間後に迫ったセレモニーで、メディエイターを食い止めるために。

 

 

 

  

>>>続

 

<< オタクロスのオタ知識 >>

 

オタクロス「オタクロスのオタ知識、デヨ!」

 

オタクロス「今回は、こちらデヨ~!」

 

< デクーOZ >

 

オタクロス「風摩キリトの使うカスタム機、名前は<デクーOZ>デヨ!」

 

オタクロス「神谷重工が元々イノベーターの汎用機として作られた、<デクー>」

 

オタクロス「デクーOZは、それとはまったく比べ物にならない程に高性能なのデヨ!」

 

オタクロス「そして、それを操る風摩キリトはカスタマイズのスペシャリストデヨ」

 

オタクロス「今後、彼の活躍も見られるかもしれない………デヨ!」

 

オタクロス「では、次回もお楽しみにデヨー!」


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。