ダンボール戦機 C(シンデレラ) 15
<< 第15章 北米チャンプLBXの軍勢、そして >>
智絵里(なんかすごく見られてる…というか睨んでる?怖いんだけど…)
コウスケ(この少女が、この白い機体を? 先ほどの動きといい、とても初心者には思えないものだが…風摩キリトが嘘を言う理由も無いだろう)
コウスケ(顔、名前…共に見覚えがない。先日、仙道ダイキの開催したものが初出場の大会だという事も間違いなさそうだ。ミスター宇崎がスカウトするのも少し納得がいく気はするのだが…)
コウスケ(果たして……何者だ?)
>>>コウスケが考えを巡らせる間にも増援は続いている。
比奈「何ぼんやりしてんスかナルシ!敵が来るっスよ!」
>>>デクーカスタムL(軽装型)が複数、剣を構えて突っ込んで来る。
比奈「…必殺ファンクション!」
INFO:アタックファンクション・ストームソード
>>>ルシフェレックスの必殺ファンクションが巻き起こす旋風に引き込まれ、デクーカスタムLはたちまちブレイクオーバーしていく。
コウスケ「紛い物に負けてはいられないね。ーー必殺ファンクション!」
INFO:アタックファンクション・デビルソード
>>>今度はコウスケのLBX・ルシファーの剣から強烈なエネルギーが発せられ、次に待ち構えていたデクー、バズーカを構えるデクー改、射撃部隊と突撃部隊に分かれていたデクーカスタムR(監視型)の戦力を一気に削り切った。
智絵里「…す、すごい………」
飛鳥「なんて凄まじい破壊力の必殺ファンクションだ…」
コウスケ「当然の事…なぜなら僕は神に選ばれたから。それが世界のルール」
智絵里「これなら行けそうっ…」
キリト「油断するなよ、本命のオルテガとタイタンが動き出した!」
飛鳥「もうジェットで飛ぼうが変形合体して来ようがボクは驚かないよ」
>>>水路のジェネラルとは打って変わって…オルテガもタイタンも、それぞれの武器・ハンマーと武器腕を構えながら一気に距離を詰めるべく接近して来た。
>>>その間(かん)にも、デクーエースやデクー改の銃による遠距離攻撃は続いている。
飛鳥「このっーー!ダメだ数が多すぎる」
>>>ズィエルが随時、狙撃するが…これだけの数の敵陣を無視して突っ切り奥へ進む事は不可能に近い状況になりつつあった。
キリト「どうする?緒方智絵里!」
智絵里「え、えっ?わたしですか?」
キリト「オルテガもタイタンも近接攻撃を仕掛けて来るようだ。今のデクーOZとジョーカーKCは接近戦に強くカスタマイズしてあるから相手取れる」
智絵里「え? は、はい…」
キリト「多少の被弾は覚悟で、その隙に無理矢理敵の軍勢を抜けて、奥にある部屋を調べに行けないか?君の腕なら可能な気がするんだけど?」
智絵里「えっ…! わたし、皆さんを置き去りにするんですかっ?」
キリト「忘れているようだから改めていうが、今の僕達の最大の目的はメディエイターの尻尾をつかむ事なんだよ。どれだけここで勝利をおさめようが奴らの手掛かりが掴めないようでは意味が無い」
智絵里「なるほどっ……分かりました。ですがわたしにも最初は、あの2体と戦わせてくださいっ」
キリト「どちらをお望みかな?」
智絵里「あのキャタピラみたいなレッグ、軌道をどう読めばいいのかよくわかんないのでーー」
キリト「オーケー、タイタンはこっちで引き受けた。 緒方智絵里、君はオルテガと戦ってくれ」
智絵里「お、オルテガ……」
>>>ハンマーを手に突っ込んで来るオルテガの顔は、どこか不気味に見えた。
智絵里「よ、よぉし…行きますっ!」
>>>振り下ろされたオルテガのハンマーを真正面からダガーで受けるイプシロン。
>>>衝撃は大きく、ただ攻撃を1発弾いただけでイプシロンは跳ね飛ばされるように後退した。
智絵里「すごいパワー…それにスピードも高いですっ。皆さんはーー」
>>>増援は止まらないが、コウスケ・比奈・飛鳥が絶え間なく削り続けていた。とてもじゃないが智絵里とキリトに加勢できる余裕など無い。
智絵里(わたしが、やるしか無い……っ!)
>>>智絵里の眼光が鋭くなると同時に、イプシロンはダガーを構え直す。見据えているのは勿論目の前のオルテガ。
キリト「脚部が仇になったなタイタン。ジオラマと違ってコンクリートの床は、踏み潰して押し進む事はできないよ? 緒方智絵里、こちらは早めにケリが付きそうだ。そっちはどうだ?」
智絵里「そう、ですね……たぶんカイザほどハチャメチャな相手には思えません、いけますっ」
>>>ダガーを構えたイプシロンが走り出す。オルテガもそれを見逃す事なく、イプシロンの攻撃をハンマーで弾こうと振り回す。
智絵里「思った通りですっ」
>>>吹っ飛ばされたイプシロンがすかさず空中で、片手銃・キングスハートを構え発砲する。
>>>銃弾はオルテガの右肩口を重点的に撃ち抜き、オルテガのアームRはたちまちショートを起こした。
>>>片手でもハンマーは扱えるものの、AIゆえか軌道が単調になったオルテガの攻撃を鮮やかに避けてイプシロンが一閃……オルテガはブレイクオーバーし、爆発と共に粉々になった。
>>>ちょうどそのタイミングでキリトも、デクーOZとジョーカーKCの同時攻撃によりタイタンを撃破。声を掛けていたが、それと別に智絵里の戦闘はきっちりモニターしていた。
キリト(結城研介に聞いたが、イプシロンは精密射撃に向いた遠距離タイプのフレームではない…との話。 さっきのあれはヤツ本人の目と、LBXがそれぞれ持つ射撃のブレを自身のセンスで即座に読み取り、撃ち抜いたのか…!?)
コウスケ(成る程…風摩キリトが評価する理由が今の戦闘で更に分かった気がするよ。 海外留学中もあそこまでのLBX捌きを見せる人間は限られていた。緒方智絵里…君も神に選ばれた人間か、はたまたただ神に愛されているだけか…少し興味が湧いて来たよ)
智絵里(うわっ、神谷さんまた見てるしめっちゃくちゃ悪そうな顔して笑ってるんだけど…怖いなぁ)
飛鳥「増援のデクーエース部隊、全機クリア!殲滅完了」
比奈「デクー通常タイプ、軽装型、監視型、改、いずれも全機・機能停止を確認したっス。ようやっと先へ進めるっスねぇ」
コウスケ「よし……ちっ、残念ながらまだのようだ」
>>>一体のLBXが新たに飛び出し、壊滅された残骸を踏みつけた。激しい爆発とともにその機体の姿が露わになる。
飛鳥「<皇帝>様のお出ましか…」
キリト「ジ・エンペラー……いや、アルテミスの時以降だとしたらエンペラーM2か!」
飛鳥「あの死闘はボクも見ていた…今も脳裏に焼き付いているといっても過言じゃない」
>>>エンペラー……かつて、<秒殺の皇帝>・海堂ジンの使用していたLBXだ。
キリト「ご丁寧にエンペラーランチャー構えているとは…大層手厚い歓迎だ、もう今日はうんざりってぐらいなんだけどねえ」
>>>エンペラーはその武器から多連装ミサイルを放ち、イプシロンの目の前に爆発が広がる。
キリト「コウスケ、荒木、気をつけろ! 君達は今生身だ、迂闊に突っ込むなよ!」
コウスケ「いやーーーアレの狙いは、その<白いLBX>…緒方智絵里だ!」
>>>爆発の煙の中から突如現れたエンペラーは、一直線に智絵里のイプシロン目掛けてダッシュして来ていた…!
キリト(アルテミスでのエンペラーのAIを流用しているのなら、その目的はアキレスーーー白いLBXの…破壊か!?)
キリト「ーーー回避だ!!」
>>>智絵里が慌ててコントロールポッドを操作し、エンペラーのハンマーに直撃する事は避けられた。
智絵里「掠ったみたい…LP(ライフポイント)がっ」
キリト「させるかぁーーっ!」
>>>ジョーカーKCが自身の武器でエンペラーのハンマーを絡め取って引き剥がす。そしてエンペラー本体にしがみついて動きを封じた。
キリト「二宮飛鳥、狙撃しろっ!」
飛鳥「えっ? わ、分かった…!!」
>>>僅かな躊躇いのあと、ズィエルの狙撃がジョーカーKC諸共エンペラーを貫き…爆破した。
飛鳥「風摩キリト…良かったのか?」
キリト「問題ない。僕には、まだデクーOZがある。それに…ジョーカーのカスタム設計図も勿論保管してあるから、またいつでも作れるさ」
智絵里「風摩さん…」
キリト「今この局面で君という戦力を奪われる訳には行かない、それだけさ。あちらさんには<あの時>みたいにまた自爆なんてされちゃ困るからね」
飛鳥「アルテミスファイナルステージ…優勝した山野バンの白いLBX・アキレスに、自爆を仕掛けて爆散させたエンペラーM2ーーーそうかキリト、だから君は…!」
智絵里「白いLBX…それって……」
キリト「あぁ。君のそのLBX・イプシロンは白い。そして青の差し色も相まってアキレスに似た風貌がある」
智絵里「ありがとうございますっ、助けてくださって」
キリト「だから問題ないって。君にはジョーカーKCのぶんまで、ここから大活躍してもらう予定なんだから」
智絵里「え、えっ!?プレッシャーがすごいんですけどっ…」
コウスケ「さて…今度こそ、先へ進もうか。このフロアは怪しい。一部屋ずつ調べて行くとしよう」
>>>歩き出したコウスケ達の後ろから、カシャンカシャンという機械音が複数聞こえた。
コウスケ「まだ居るのかLBX…!まったく、どれだけこの僕を苛立たせるつもりなんだ!」
>>>物陰から現れた多数のLBXに警戒する皆だったが、その更に後方から急に飛び出して来たLBXーーーナイトメアの鎌で、途端に何体かのLBXが葬られる。
「…心配には及ばないぜ?」
>>>現れたのは、ダイキ達だった。別ルートから地下へ降りて来た彼らも、無事合流できたのだ。
仙道「ここは俺達に任せな、何せ頭数だけは無駄に多い。コントロールポッドの連中は何としても先に進め!」
未央「がんばれちえりん!そしてEちゃん!さあぶっ壊せ、ウォーリアーM.ver!」
みく「ーーークノイチも出陣だにゃ!」
小梅「ジョーカー…行っておいで」
唯「いっけーっ! こいつら敵だし全部ボコボコにしていいんだよねー?」
仙道「という訳だから心配無用という訳だ。後は任せろ、行け!」
>>>ダイキの呼び掛けにコウスケと比奈は頷き、コントロールポッド組とともに、奥へ向かって駆け出す。
コウスケ「まずはこの部屋だ。このカードキーで開く筈なんだがーーー」
>>>開いたが、無人だ。LBXも居ない。
>>>そうやって順番に部屋を確認していくが、どこも…人もLBXも見当たらない。
>>>残すは一部屋…一番奥にある扉の向こうの部屋だけとなった。
比奈「警戒するっスよ、みんな!」
コウスケ「開けるぞっーー!」
>>>コウスケがカードキーをかざし、開いた扉の先はーーー
智絵里「ーーだ、誰もいないっ!ここもですか…!?」
>>>目を丸くして部屋を見渡す智絵里とは対照的に、キリトとコウスケは苦虫を噛み潰したような表情を浮かべる。
キリト「してやられた…!」
コウスケ「ここを怪しまれる、いや<怪しませる>のもーーー奴らの計算のうちだったとは…!」
比奈「まさか…アタシ達、釣られたんスか!?」
キリト「水路の時点でおかしいと睨むべきだった…! 必要以上に此処への到着を遅らせ、この場所がブラフでしかない事を中々気づかせないようにしたっていうのか…」
コウスケ「こうなっては仕方ない事だが…連中は何処にいる? <野良猫>が何か見つけてないか、念の為に連絡を取ってみよう」
>>>コウスケは誰かに電話を掛けたようだ。数コールの後、溌剌とした声が聞こえて来た。
「どうした?っていうかお前どこ居るんだ? もしかしてエキシビジョンマッチの前にオレとバトりたくなったかー!」
コウスケ「うるさいよ、耳に響く…」
>>>コウスケのCCM画面を見たキリトが驚愕の声をあげる。
キリト「ーーー古城アスカ!?」
智絵里「あすか……」
飛鳥「ボクじゃなくて古城アスカ。LBX世界大会アルテミス、第4回の覇者だ」
比奈「今はサイバーランス所属のプロLBXプレイヤー…なるほど、だから今日のセレモニーにも呼ばれてるんスね」
アスカ「オレの知らねーやつが居るな!そいつとも後でバトるのか?」
比奈「えぇぇ!アタシみたいな野良プレイヤーは相手にしなくて大丈夫っスよ〜…」
コウスケ「古城アスカ、緊急事態だ。 もし不審な連中が居たらこちらにも共有しろ、それがLBXなら迷わず倒せ!」
アスカ「なんだなんだ?どーゆーことだ?」
コウスケ「今日披露されるアンドロイド技術を盗もうとしている薄汚いネズミがいるんだ」
アスカ「なんだとー!? オイ!知ってんなら何でオレにももっと早く教えねーんだよ!なんか面白そうじゃねーかよー!」
コウスケ「そんな低次元な事を言うから嫌だったんだ…君こそ、今どこにいる?」
アスカ「え、セレモニー会場だけど?客席が埋まってくのをぼんやり眺めてんだよー」
コウスケ「ちっ、こいつと会話しても埒が開かないね。一旦切らせてもらおう」
ーーーPi!!!
キリト(地下に僕らを引きつけたって事は、ヤツらは既に地上に居る可能性もある…)
キリト「ひとまず、此処を出るぞ。そして仙道ダイキ達と合流して敵LBXを殲滅、いち早く地上へ向かう!」
コウスケ「了解だ、ついて来ーーー」
ガシャンッ
コウスケ「ーーなっ、ロックされた!?」
>>>突如、扉がロックされたと同時に…部屋の突き当たりの壁が、せり上がってゆく…。
飛鳥「なんだこの部屋、更に奥があるのか…!?」
>>>その奥から現れる二つの人影を見てキリトはぎょっとする。
キリト「なぜアンタが此処に…!今頃、ムショの中じゃ……」
>>>奥の隠し部屋から現れたのはーーーーーA国、元・副大統領の<アルフェルド・ガーダイン>と、その側近であるビショップだった。
ガーダイン「フ、フフフ…。 久し振りだな、風摩キリト君?」
キリト「どういうことだ…なぜアンタが!」
>>>続
<< オタクロスのオタ知識 >>
オタクロス「オタクロスのオタ知識、デヨ!」
オタクロス「今回は、こちらデヨ~!」
< エンペラーM2 >
オタクロス「海道ジンがかつて使っておったLBX、ジ・エンペラーのバージョンアップ機体じゃ!」
オタクロス「アングラビシダス出場時にジンの入力速度について行けなくなったジ・エンペラーが強化されたのが、このエンペラーM2デヨ」
オタクロス「アルテミスファイナルステージでは山野バンのLBXアキレスと激闘を繰り広げ、敗れたのじゃが……イノベーターの策略で<デストロイ>という自爆プログラムが埋め込まれておったんデヨ〜。ショボーン…」
オタクロス「そのせいでバンのLBXのコアスケルトンであるAX-00は、木っ端微塵にされてしもうたのデヨー!!」
オタクロス「今回は風摩キリトの機転で何とか危機を脱したデヨ。」
オタクロス「それでは、次回もお楽しみに…デヨ〜!」