ダンボール戦機 C(シンデレラ)   作:ぱりぱりィ!

16 / 19
ダンボール戦機 C(シンデレラ) 16

ダンボール戦機 C(シンデレラ) 16

 

 

 

 

<< 第16章 メディエイターの幹部 >>

 

 

比奈「あのゴツいおっさんって、A国の副大統領だった男じゃないスか…?」

 

ガーダイン「さすがはジャパンの優秀なLBXプレイヤー。知識も豊富といったところ…かね?」

 

>>>倉庫のような部屋には似つかわしくないほど豪華な椅子に腰掛けて、ガーダインは余裕の笑みを浮かべたのだが…それは誰が見ても<悪人>というであろう表情だった。

 

ビショップ「ふふっ…風摩キリトさん。貴方の先ほどの疑問には、私がお答えいたしましょうか」

 

>>>ガーダインの少し後ろに控えて立っていたビショップが、サッと前に出て不気味に笑う。

 

キリト「どうして脱獄してるのかって疑問に関して、かな?」

 

ビショップ「ご名答。 そうですね…一言でいうならばーー<ミゼル事変>効果、というべきでしょうかね」

 

>>>ビショップは活き活きとした表情、かつ淡々とした口調で更に続ける。

 

飛鳥「かつてセカイに混乱をもたらした者が、次なるセカイの混乱に乗じて脱獄、か…悪党にはお似合いのみっともない手段だね。しかしそんな報道はされていなかったが…」

 

智絵里「あ、あのー…? そんな騒ぎ、ありましたっけ……」

 

キリト(お、おいマジかよ…っ!? こいつ、ニュースとか見ないのか…? 芸能人としてメディアに出てる側の人間じゃないのか?)

 

 

 

ーーー同時刻・通路ーーー

 

 

仙道「ナイトメア2機、追加投入だ!」

 

>>>ダイキの操作で懐に隠していたナイトメアが2体、飛び出した。

 

未央「うわ出たよ、嘘分身!」

 

仙道「ハハハ、残念だったなァ…。本当の悪夢をーー今ッ!見せてやるよ!!」

 

>>>既に居る1機と合わせて、計3機のナイトメアが一斉に駆け出す。

 

>>>ナイトメアは高速移動での残像により、たちまち<それぞれ>が3体に分身した。

 

唯「嘘!9体に増えたんだけど!?」

 

仙道「3体同時にLBXを動かすやつは何人居ても、さすがに3体全部をこうする事が出来るやつは…オレしか居ない! 自動制御のLBX相手に効果あるかは知らねえけどな」

 

みく「こんなんうそやん…もう異次元すぎてついて行けないハイレベル度合いなんやけど…」

 

未央「おわっ、みくにゃん!素が出てるよ!」

 

みく「!! い、いや気のせいだにゃ!」

 

仙道「まだかよ神谷コウスケ達…一体何モタついてやがる……あっ!」

 

>>>ダイキが気づいたのは、奥の方で両手銃を構えるデクー改の姿。

 

仙道「ーーーチッ。ウォーリアーカスタムのやつ、一歩下がれ!」

 

>>>武器・ナイトメアズソウルを投げて、ウォーリアーM目掛けて放たれた弾丸をナイトメアが弾く。

 

未央「あ、危なかった…! ありがとう、ございます……」

 

仙道「お前ら、油断するなよ!向こうのAI、かなり精度が高いようだね…。 この即席チームが崩れるのも時間の問題だ…!」

 

>>>苛立ちを隠す事なく渋い顔を浮かべるダイキが、小梅の方を見た。

 

仙道「おい、そこの魔術師気取りの小娘!」

 

小梅「え…? なぁに…?」

 

仙道「お前のジョーカー3体と俺のナイトメア達で撹乱するぞ、攻撃は考えず陽動だけを意識しろ」

 

唯「ねーねー! ゆいはー?」

 

仙道「お前のは…さっきから好き勝手に暴れまくってる、その赤いクノイチカスタムか。 接近して来た敵だけ、全て撃破しろ! くれぐれも突っ込むなよ、蜂の巣にされたくなかったらなァ」

 

唯「オッケー!任せといてー★」

 

仙道「もう一体のクノイチも同じだ。深入りせずに近接武器での射程距離に入った機体だけを着実に撃墜させろ」

 

みく「わ、わかったにゃ!それなら何とかできるはず……!」

 

>>>危険な戦いをこれまでも幾度となく潜り抜けて来た一日の長がある仙道は、このバトルの中で無意識のうちに司令塔のようなポジションに立っていた。

 

>>>指示を受けて士気を高めつつある一同だったが……1人、未央だけが困惑したまま立ち尽くしていた。

 

仙道「ウォーリアーのやつは何してるんだ! 動いていないとまた、たちまち的にされるぞっ!」

 

未央「ーーすっ、すみませんっ…!」

 

未央(ま、マズイよ…。 私だけ、全然ついて行けてない…みくにゃんも必死そうだけど、それでもちゃんと対応できてる……なのに私だけーーー)

 

>>>そうこうしている間にも、すかさず飛んで来る敵LBXの銃弾を…ウォーリアーMは剣・破岩刃で何とか防ぐ。

 

仙道(もしかしてあのウォーリアーカスタム、整備不良か…?それとも近接特化にカスタマイズしているのか…あまりにも動きがぎこちないな)

 

>>>ダイキも未央ーーーのLBXの不調には気づいていた。 しかし不調の原因がそれを動かしている未央本人の焦りが原因だという事は、さすがに3機のナイトメアを操作しながらの彼には気付けなかった。

 

仙道「おい、魔術師もどき!」

 

小梅「どうした…の?」

 

仙道「敵AIの行動が遅れている…? 今がチャンスか。 ゴリ押しはオレの性に合わないが…いい加減、陽動は終わりにしてそろそろフィナーレと行こうじゃないか。 計6機を一気に突っ込ませ、それぞれ別方向から同時に必殺ファンクションを叩き込むーー!」

 

小梅「い、いいよ…。 恐怖のパーティーの、幕が上がる…ね?」

 

仙道「ああ上げろ上げろ、一気に壊滅しろォ!イッツァ・ショータイム! 必殺ファンクション!!」

 

<INFO>アタックファンクション:デスサイズハリケーン

 

<INFO>アタックファンクション:デスサイズハリケーン

 

<INFO>アタックファンクション:デスサイズハリケーン

 

小梅「敵さんたち、ばいばい。 必殺…ファンクション」

 

<INFO>アタックファンクション:デスサイズハリケーン

 

<INFO>アタックファンクション:デスサイズハリケーン

 

<INFO>アタックファンクション:デスサイズハリケーン

 

>>>六方向から必殺ファンクションを放ったジョーカー達とナイトメア達によって、6発のデスサイズハリケーン。

 

>>>同時に巻き起こる旋風は共鳴し合い、まるで悪魔の呻き声のような音を立てて敵LBXをたちまち飲み込んでゆきーーー相手の遠距離部隊だけでなく近接攻撃要員まで巻き込んで、多数の敵が爆発音と共に粉々に砕け散った。

 

仙道「よし…8割は確実に削り切ったな。オレの紛い物にしては上出来だ」

 

小梅「ふ、ふふ…今の敵LBXさん達の姿…ステキだよね。 火花が散ってひしゃげて…キレイ、だね……」

 

>>>心底幸せそうな笑みを浮かべる小梅ーーーとは対照的に、未央は焦燥の色を隠せなかった。

 

未央(どうしよ…、どうしよう! 活躍しなきゃ…少しでも貢献しなきゃ…!!)

 

未央「…ぅ、う、うあああーーっ!」

 

>>>混乱したままの未央は、落ち着くことも出来ないまま、ウォーリアーMを敵陣に突っ込ませた。

 

>>>剣・破岩刃をがむしゃらに振り回し、強引に銃弾を振り払いながら突き進んで行く。

 

>>>しかし考えなしの特攻で狙撃を全て防ぎきる事など到底できる筈もなく、未央のウォーリアーのライフポイントは敵陣営に近づくにつれて見る見る減ってゆく…。

 

唯「ーーお! 敵、未央ちゃんのウォーリアーの方に気が行ってる!チャ〜ンス★」

 

>>>唯のLBXが未央のすぐ後ろーーーウォーリアーを盾代わりにする形で敵陣へと急接近し、空高く飛び上がってすかさず槍を構えた。

 

唯「ゆいのスペシャルマジイケてる、ひっさ〜つ…ファンクショーン★」

 

<INFO>アタックファンクション:ホーリーランス

 

唯「いけいけーっ! ぜーんぶ貫いて壊せーっ!!」

 

>>>上空から、煌々と光る槍を物凄い勢いで打ち込みーーーウォーリアーMを狙っていた敵LBX群を一気に撃破した。

 

>>>颯爽と地面に舞い降りた唯のLBXが、先ほど打ち降ろした槍を拾い上げる。

 

唯「やったーうまくいったね! 敵の引き付け役、ありがと未央ちゃん★」

 

未央「…え? あーーーうん! どんなもんだい、未央ちゃんは頼れる特攻隊長なのだー!はっはっはー!!」

 

>>>唯に対しておどけて見せた未央だったが………

 

 

 

ーーー地下2F・最奥の隠し部屋ーーー

 

ガーダイン「悪いが今我々にはやる事があって、立て込んでいるのだよ。君達の相手をしてやる暇もないほどに」

 

キリト「ふざけるんじゃねえ…ここで、はいそうですかって逃す訳ないだろう?」

 

飛鳥「右に同じく、さ。 罪人(つみびと)は大人しく、監獄という名の鳥籠に帰るがいい。 特に大罪人のお前達には、こんな地下よりもあちらの方が、よほど相応しいVIPルームだと思うよ?」

 

智絵里「悪いことをした人は、やっぱり…ちゃんと反省しなくちゃいけないって、わたしも思いますっ」

 

>>>皆の言葉を聞いたビショップが、肩をすくめる。

 

ビショップ「おやおや。新しいお仲間の方々も中々、お口が減らないようですね…これは困りました」

 

>>>わざとらしい言い方をしたビショップは直後、壁にあったスイッチを押した。すると途端に奥の隠し部屋の壁が閉じ、一同はガーダイン達と分断されてしまった。

 

飛鳥「尻尾を巻いて逃げるのかい。 戦場という舞台に上がる事すらせず逃亡とは…何とも情けない事このうえないね。 かつてセカイを掌握しようとしていた人間は最早、小悪党に成り下がったと捉えていいのかな?」

 

>>>飛鳥の挑発に、ビショップは動じる事なく壁の向こう側から答える。

 

「あいにく我々には優先すべき事がありましてね、お子様方の相手をする時間も惜しいのですよ。 という訳で…私達はこちらの隠し通路から退散させていただきますゆえ、後は自動制御のLBXと遊んでいてください」

 

>>>ーー直後、無造作に置かれたコンテナの間を、LBXが駆け抜けた。敵だ。

 

智絵里「一瞬でしたけど、あの辺りになにか…いますっ! たぶんLBXっ」

 

キリト「最初から、此処に閉じ込めて足止めさせる算段だったのか…」

 

比奈「…うわぁ、マズイっスね。 仙道君たちのCCMに繋がらない、おそらくこの部屋か付近のどこかからジャミングみたいなのをされてるんじゃないっスかね?」

 

コウスケ「うーん…LBXか問題なく反応するな。 風摩キリト、コントロールポッドの操作では、同じく作動するか?」

 

キリト「イノベーターとの決戦事にシーカーが<サターン>に乗り込んだ際、妨害電波を食らった事があったらしくてね。ジャミング対策は施している筈なんだけど」

 

飛鳥「動きが滑らかではなくなったね…そして操作をしてから反映されるまでの時間ーーータイムラグが発生している。 遠隔制御室(こちら)と戦場(あちら)の間に時空の歪みが生じていると捉えれば、差し障りないだろう」

 

智絵里「まるで重たい荷物を持ちながら歩いてるときみたいな。 イプシロンがちょっとしんどそうな感じがして……なんだかすごく、イヤな感じ………ですね」

 

キリト「…との事だ。精密な動きはあまり出来ないと思ってくれよ。 神谷コウスケと荒木比奈、現地にいる2人主体で戦ってくれ」

 

>>>キリトの方を見て、コウスケは頷いた。

 

コウスケ「やるしかないね。ついて来い、偽りの堕天使!」

 

比奈「言われなくともっス! 脱獄犯をこのまま逃がす訳にはーーいかない!」

 

コウスケ「往けーーールシファー!」

 

比奈「ーー遅れを取るなっス、ルシフェレックス!!」

 

>>>物陰に潜むLBXらしき陰を見据え、二体の堕天使はそれぞれ剣を構える。

 

キリト「オレ達は後方支援、および2機のアシストに努めるぞ」

 

飛鳥「このコンディションじゃ、それがせいぜい限界か…妥当な判断だとボクも思う。賛成だ」

 

智絵里「遠距離にまだまだ慣れてないんですけどっ、威嚇射撃くらいなら…わたしにも出来るかと……と、とにかくやれるだけやってみますっ」

 

>>>イプシロン・デクーOZ・ズィエルも、ルシファー達の後ろで身構えた。

 

飛鳥「ーーー来るぞ…!」

 

智絵里「比奈さん、神谷さん、お願いしますっ」

 

コウスケ「どんな相手であろうとこのボクには、敵わない!」

 

>>>物陰から飛び出して来たLBXはーーー

 

キリト「あれは……」

 

比奈「んー…エジプトっスかね?」

 

飛鳥「或いはアヌビスかもしれない。なにせ、見た事のないカラーリングを施してある。 あの機体は一体、何処の戦いの記録を映し出した姿なんだろう…」

 

キリト「オレが記憶している限りでは…有名な大会で成果を残したプレイヤーが使っていた機体の中に、あんな色のエジプトは居なかったがね…」

 

>>>ルシファーの前に現れたのはーー紫を貴重としたペイントをされた、エジプトもしくはアヌビス。

 

>>>所々にショッキングピンクの差し色があり…その不気味な瞳は、黄色く怪しげに光っていた。

 

飛鳥「ボクの好みとは少し違うが、冥界の死者を彷彿とさせる<良い意味で悪趣味>なカラーをしている。 一先ず、奴の事は紫アヌビスと呼ぼうじゃないか」

 

智絵里「な、なんだか、気味が悪いですっ…」

 

比奈「えーと、構えてる武器はー…パッと見だと、チェーンソーの絶・破岩刃(ぜつ・はがんじん)っぽいっス。 けど、なんか違和感が…やけにゴツいっていうか、厚みがありませんか?」

 

>>>紫アヌビスが右手で持ち、肩に担ぎ上げている武器はーーー見た目も色も、先ほど比奈の言った絶・破岩刃と一致する。

 

>>>しかし、一目見ただけでその大きさが異質である事は容易に分かった。 それは剣とは思えない分厚さで、ハンマーに匹敵するほどだった。

 

キリト「…今、カメラアイで分析した結果が出たよ。あれは確かに絶・破岩刃だ……<元々は>、ね」

 

飛鳥「元々は、か。 端的にいうなれば、改造武器という事かい?」

 

キリト「ああ、ご名答。 アレは絶・破岩刃をあえて削って薄くしたモノーーーそれを、3枚重ねてある剣だ」

 

コウスケ「なんだそれは。美意識の欠片も感じられない醜悪なカスタマイズだ…」

 

比奈「三枚重ねチェーンソーとか…何考えてんスかねメディエイターは。 でもあんな武器を持っているという事は、おそらくでスけどーーー」

 

飛鳥「スピードタイプでは無く…パワー全振りか、機動力の低下と引き換えに攻撃と防御に特化させたカスタマイズ…である可能性が高い」

 

比奈「そうっスそうっス、そう言いたかったんスよ。さすがっスね! けど…後者の場合、もしくは防御面をそこそこ充実させていたらーーーかなりの時間足止めを食う羽目になってしまいそうっスね……」

 

キリト(わざわざここまでのリスクを冒してまで僕らの前に現れたってことは、メディエイターを操っているのは誰なのか知らしめる為かーーーはたまた、僕たちシーカーに対する挑発のつもりか……)

 

キリト(どちらにせよ、僕達は今、ヤツらの思惑通りに此処へ閉じ込められた。 ほぼ間違いなくにヤツらの逃走経路は確保してやがるだろう……)

 

キリト「おそらく…今から僕らがどう足掻こうが、ヤツらに追いついて捕まえる事はかなわないだろう。 だからこそ逆に落ち着いて、目の前に居るあの紫アヌビスを倒そうじゃないか」

 

コウスケ「色が違うだけの、所詮は量産機だ。 僕のルシファーに塵一つ付ける事すら出来ぬまま、朽ち果てるがいい! ーーー必殺ファンクション!」

 

<INFO>アタックファンクション:デビルソード

 

>>>ルシファーの剣から伸びた閃光が、紫アヌビス目掛けて放たれる。

 

智絵里「剣から出てるレーザーが…ゆ、床まで削ってますっ…」

 

>>>紫アヌビスは剣を担いだままバックステップで回避するが、デビルソードの追撃は続いている。

 

飛鳥「壁際に追い詰めた、チェックメイトだね。 あれだけの高出力のレーザーをいとも簡単にコントロールするとは……神谷コウスケ。さすがは天才と言わざるを得ない、か」

 

コウスケ「ーー終わりだよ。跡形もなく消え去るといい!」

 

>>>迫り来るデビルソードの波動を前に紫アヌビスは、その肩に担いだ改造剣をーーー地面に降ろした。

 

比奈「アレを盾代わりに、攻撃をやり過ごすつもりっスかね…!」

 

コウスケ「そんな見せ掛けの盾で防げるほど、ルシファーのデビルソードは甘くないさ!」

 

<INFO>アタックファンクション:インパクトカイザー

 

比奈「ーーーはいぃ!?」

 

キリト「インパクトカイザーだって!?」

 

飛鳥「まさかあの剣は、ハンマー系の必殺ファンクションを…!」

 

智絵里「……え? …えっ?」

 

>>>途端、紫アヌビスからは凄まじいエネルギーが溢れーーーその剣、いや斧から放出された衝撃波が、デビルソードの光線をかき消した。

 

智絵里「ぁ、あのー……どうして皆さん、そんなにびっくりしてるんです…か?」

 

比奈「あぁ、それは……じつはっスね、今さっき紫アヌビスが発動させた必殺ファンクションは、ハンマー・斧系のものなんスよ」

 

智絵里「えぇっ? じゃああれは、ホントは剣じゃなくてハンマーって事なんですかっ」

 

キリト「そうとも言い切れないね…。 おそらく剣系のファンクションも使えると考えていいだろう」

 

飛鳥「LBXが誤認するのを利用して、武器の種別という理(ことわり)を突き破ったか…それであの歪な形状ーーー成る程」

 

コウスケ「世界のルール以前に、バトルのルールすら守れない下劣なLBXか………虫唾が走るよ。 美学も品性も知らないのか?メディエイターって連中は」

 

飛鳥「LBXという夢と希望に溢れたホビー……。 その枠組みの中のセカイにすら叛逆するような無粋な輩は、自ら痛みを以てーーーー」

 

>>>反応速度が著しく低下した状態であるにも関わらず、飛鳥のズィエルはすかさず狙撃銃を構えーーー

 

飛鳥「ーーー朽ち果てろ!」

 

<INFO>アタックファンクション:ホークアイドライブ

 

>>>ズィエルの狙撃銃から3発の弾丸が発射される。 それを見るや否や、紫アヌビスは三連チェーンソーを正面に構えた。

 

<INFO>アタックファンクション:フォースシールド

 

飛鳥「ーーーーえっ!?」

 

比奈「今度は、剣でシールド技っスか…!」

 

智絵里「ずるいです…盾持ってないのに…」

 

>>>飛鳥の必殺ファンクションは、紫アヌビスの剣ーーーもとい盾に防がれてしまった。

 

飛鳥「こちらの必殺ファンクションの属性を瞬時に判別して軽減させて来るとは…。 ヤツのブレインを作った、その本人の頭脳は大したものだね」

 

智絵里「属性……?」

 

キリト「火や水、光などの自然属性もあるがーーーLBXの物理属性は3種類…斬(ざん)・貫(かん)・衝(しょう)だ。 二宮飛鳥が使ったホークアイドライブは貫属性の攻撃で、相手はそれを即座に読み取り、貫属性の威力を軽減させるフォースシールドを使ったってわけ」

 

智絵里「難しいことはよくわかりませんが…処理速度?とかがとっても早かったりするのでしょうか……」

 

比奈「ハイ、ほぼ間違いなく…想像以上に高スペックなCPU積ませてると思うっスよ。 武器の認識切り替えからの必殺ファンクション発動の速さが尋常じゃありませんから…!」

 

>>>智絵里に答えながら、今度は比奈がルシフェレックスで紫アヌビスに、にじり寄る。

 

智絵里「やっぱりわたし、後ろでじっとしてなんていられませんっ。 重たいけど…がんばって、イプシロン…っ!」

 

>>>智絵里のイプシロンも、遂に痺れを切らして前線へと駆け出す。 しかしその足取りに、いつものような目覚ましいキレは無い。

 

キリト「無茶だ、引き返せ緒方智絵里!」

 

飛鳥「コントロールポッドのボクたちには今、ジャミングという名の足枷が付けられている。いつもの感覚で動くと、LBXがついて来られず大ダメージを受ける恐れも高い」

 

智絵里「ここまで突き進んて来たじゃないですかっ…! わたしは、みんなと…何よりイプシロンを信じたいですっ!」

 

>>>飛鳥達の制止も聞かず、イプシロンの足は止まらない。

 

>>>同時に、更に紫アヌビスへと急接近したルシフェレックスは蹴りを繰り出し、相手を上空へと追いやった。

 

比奈「さあ、宙に浮いててバランスを崩した今ーーーお前はどう避けるっスか!?」

 

<INFO>アタックファンクション:パワースラッシュ

 

比奈「ほらほら、今度のパワースラッシュは斬属性っスよ!」

 

<INFO>アタックファンクション:エナジーシールド

 

キリト「今度は斬属性軽減のファンクション!?」

 

智絵里「行っ、けぇぇーーーーっ!!」

 

<INFO:アドバンスドVモード>

 

>>>その時、イプシロンは更に速度を上げて比奈のルシフェレックスを通り過ぎ、空中にいる紫アヌビスをも通り過ぎて高く跳んだ。

 

>>>そして紫アヌビスに弾かれたパワースラッシュのエネルギー波に跳び乗ってーーー紫アヌビスの真後ろに移動!

 

智絵里「必殺、ファンクションっ…!!」

 

<INFO>アタックファンクション:ガトリングバレット

 

>>>紫アヌビスの背後から至近距離で放たれる拳の連撃は、まさに弾丸。 凄まじい勢いで紫アヌビスの装甲を抉って行き、最後の一撃が本体のコアに命中した。

 

<BREAK OVER>

 

>>>激しい爆音と共に紫アヌビスは敗北した。

 

飛鳥「ふふ……お見事、智絵里」

 

>>>アヌビスの爆破と同時にーーー後ろの扉のロックが、外れる音がした。

 

キリト「コントロールポッドへのジャミングによる反応速度の低下とタイムラグを感じさせない動きだったな…。 おい、いったいどうやって操作したんだい?」

 

>>>キリトの声に、智絵里は笑顔で答えた。

 

智絵里「ラグ?があるって事は……動こうと思った瞬間に、もたもたしちゃうってことですよね。 イプシロンでとにかく思いきり走って、その先を目で見て……次の、その次くらいにはどう動けばいいかなって、考えて操作したら、うまく行きましたっ…!」

 

キリト(予知能力の一種…<オーバーロード>と呼ばれる力無しで、それを実行できる人間はーーー限られていると思うんだけどな…)

 

ウィーン

 

未央「ちえりん、みんな、無事!?」

 

唯「わー、みんないるー! やっほー★」

 

仙道「ここで何があった? そちらも戦闘していたようだが…」

 

>>>ダイキが、ボロボロになったアヌビスだったモノを見ながら訊ねた。

 

コウスケ「話は後だ、時間がない。ボクにはやるべき事があるんでね」

 

仙道「メディエイターをとっ捕まえるんだろォ?」

 

コウスケ「…いいや違うね、このセレモニーのエキシビジョンマッチさ。 もちろん、君達にももれなく出てもらおうじゃないか」

 

比奈「ーーなっ! そんなコト言ってる場合っスか〜!?」

 

コウスケ「役目はきっちり果たすものだ。 観衆がボクとルシファーの輝きを心待ちにしている…ボクはそれに応えなければならない、それこそ世界のルール」

 

仙道「まぁ…いいか。セレモニーそのものに参加できれば、ある意味間近で護衛できるようなものだからな」

 

唯「今日お披露目されるアンドロイドのデータが、そいつらの狙いなんだよね?」

 

小梅「これだけの人数が、いれば……たくさんの敵も、倒せる…ね?」

 

コウスケ「そうと決まれば地上へ上がろうしゃないか。さあ、じきにセレモニーの幕開けた…ハハハハハ!!」

 

>>>こうして、智絵里達は成り行き上とはいえ、エキシビジョンマッチ要員としてセレモニーに参加する事となったのだった……。

 

 

>>>続

 

<< オタクロスのオタ知識 >>

 

オタクロス「オタクロスのオタ知識、デヨ!」

 

オタクロス「今回は、こちらデヨ~!」

 

< アヌビス >

 

オタクロス「アルテミスに出場した際に灰原ユウヤと共に出場した黒木・目黒も使っておった、エジプトの強化汎用型LBX、アヌビス!デヨ」

 

オタクロス「エジプトに搭載されていた催眠機能を撤廃しとる代わりに基本性能の向上に成功しておる」

 

オタクロス「とはいえ今回登場したアヌビスは極めて異質なもので、郷田氏がハカイオー絶斗で使っておった剣<絶・破岩刃>を改造して3本合成した武器を使っておったのう」

 

オタクロス「じつはあのアヌビス…必殺ファンクションにはインパクトカイザーの他に、物理属性3種を防ぐシールド系3つ! 計4つの必殺ファンクションが搭載されておったんデヨ?」

 

オタクロス「それでは次回もお楽しみに、デヨ〜!」

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。