ダンボール戦機 C(シンデレラ)   作:ぱりぱりィ!

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ダンボール戦機 C(シンデレラ) 17

ダンボール戦機 C(シンデレラ) 17

 

 

 

 

<< 第17章 大熱狂!エキシビジョン >>

 

ーーーセレモニー会場にてーーー

 

スタッフ「さてそれでは名だたるLBXプレイヤーの方々に、素晴らしいパフォーマンスを…バトルで魅せていただきましょう!」

 

ワー  ワーワー

 

コウスケ「皆さん、こんにちは。 ボクは神谷コウスケです。 今回はそこに居る古城アスカとバトルを繰り広げる、予定だったのだが……」

 

>>>コウスケがスッと指差すと、舞台袖から何名かが現れた。それはーーー

 

取材陣A「あれは!<箱の中の魔術師>・仙道ダイキか!?」

 

取材陣B「あらちょっと待って! その後ろって、アイドルの小梅ちゃんじゃない!?」

 

コウスケ「驚きのあまりどよめいているがどうか静粛に。 せっかくの美しい祭典だ、派手な方が君達も好きだろう?」

 

コウスケ「ボクはもともと神谷重工の人間だ、そして今はクリスターイングラム所属。 しかしこんな祭典に他社という無意味な隔たりなど無粋だ。そこでーーー」

 

>>>神谷コウスケはバッと手を広げた。その先の車から降りて来たのはーー

 

キリト「どーも。タイニーオービット所属の風摩キリトだ。 この度は神谷コウスケ直々に声が掛かりましてー…このセレモニーに、おじゃまする運びとなったのさ」

 

智絵里「皆さん、お待たせしてすみませんっ。 わたし、緒方智絵里といいます。 今日は、よろしくお願いしますっ」

 

取材陣C「風摩キリトまで呼んだのか!? 凄い力が入ってるな今回のイベント…!」

 

取材陣D「おー、智絵里ちゃんだ。あの子もLBXしてるのか…」

 

>>>取材陣はスペシャルゲストの面々に気が行っている。その隙にキリト達を乗せて来た車は走り出し、会場から少し離れた広場前で停車した。

 

>>>運転していた結城研介が手を振り、それに気づいた本田未央・前川みく・大槻唯・荒木比奈が車に乗り込んだ。

 

研介「良かったのかい?荒木さん。 神谷コウスケの事は、ライバル視しているらしいと聞いたんだけど…?」

 

比奈「大丈夫っスよ。 あいつとはいつか必ず、サシで勝負するっスから…!」

 

みく「えーっと…みくはちょっと、あのハイレベルすぎるメンツのLBXテクニックには、とてもついてけそうにないから、やめたにゃぁ…」

 

唯「ゆいはねー、んー…さっき思いっきり暴れられてスッキリしたから、今は休憩〜★ このメンツのバトルはじっくり、見ておきたいなーって」

 

飛鳥「同感だ…ボクも腰を落ち着けて一瞬たりとも見逃さぬようにしたい。 今までウチの仲間としては凄まじい猛威を奮って来た智絵里は、サイバーランスのテストプレイヤーや神谷重工の御曹司にどこまで食い下がれるのか……じつに、見応えがあるだろう」

 

>>>未だコントロールポッドの中に居る飛鳥の声が、結城研介の持って来たPC越しに届いた。

 

未央「えっあすあす、まだ遠隔操作してる…? いったい何してるの?」

 

飛鳥「じつは今回の作戦でのまごう事なきMVPである智絵里から指令…もとい、<お願いごと>を仰せつかってね。 今そのお願いの実行真っ最中ってところさ」

 

みく「智絵里チャンのお願い事って、なぁに?」

 

飛鳥「今回ボク達コントロールポッド組を襲って来た連中の中で、見た目を気に入った機体が居たんだと。 さあ、どんな機体だと思う?」

 

唯「そりゃーやっぱ、可愛いやつっしょ! イプシロンはカクカクっとしてるからー…スラッとしたストライダー系じゃない?」

 

飛鳥「おお、さすがだね。<可愛い>というフレーズは合っているよ、ただ彼女は感性が少し独特なのかもしれないね…?」

 

みく「焦らさないで教えてにゃああ!」

 

飛鳥「ーーーデクーの、腕だ」

 

比奈「はいィ?デクーっスか!? 確かに渋いっスけど…か、可愛い……??」

 

飛鳥「本人の解説した通りに伝えるけど………<クマさんみたいに腕がなんかポコポコっとしててかわいかったんですっ!腕だけでもいいので、どうか!もらってく事は出来ませんか…?>ーーー以上」

 

未央「あすあす今、若干悪意ある物真似したよね!?」

 

飛鳥「さて、どうかな? しかし神谷コウスケに指名された以上、彼女は今回舞台に上がらなければならなくなった。 それゆえ手隙のボクが回収作業を承ったという訳さ」

 

>>>飛鳥は会話しながらも、ポッド内のモニタに映るデクーのパーツを念入りにチェックしている。

 

飛鳥「…コイツはダメから胴体に亀裂が入ってる。 こんな使い捨て用の敵機をメンテナンスに出すなんて馬鹿げているから没だね。 さて次のはーー」

 

唯「え? アームだけじゃ駄目なの?」

 

>>>唯の問い掛けに、飛鳥は優しく微笑んだ。

 

飛鳥「今回の彼女の活躍は本当に目覚ましいものだったんだ。 謙虚に腕だけでもと言ってはいたものの、全身一式プレゼントしたらきっと、より喜んでくれるだろう。違うかい?」

 

みく「何だかんだ言ってアスカチャンも優しいトコあるにゃぁ〜ん」

 

飛鳥「呑気な事言ってないで、まったく…1人か2人くらい手伝いに来てほしいというのが本音だよ。 このスクラップと化した大山を解析するには、なにぶん1人だと骨が折れる」

 

みく「わかったにゃ!それじゃあみく、今からタイニーオービットへ向かってアスカチャンを手伝うにゃっ!!」

 

研介「他の皆さえ良ければ、僕の車でTO社まで戻るけど…」

 

唯「今もモニターでセレモニーの様子バッチリ見てるからオッケーオッケー★ みんなで帰ろー!」

 

比奈「アタシも賛成っス。そして出来る事なら無事なデクー探しに協力したいっスね…」

 

未央「あ、あのー……」

 

>>>不意に未央が力無い声を出して、皆が彼女を見た。

 

未央「私、ちょっとやっておきたいこと、あるんだ…! 別行動、させてもらえない…かな?」

 

唯「え? ゆいは構わないけどー」

 

比奈「こっちも問題なしっス。 これだけの頭数が増えれば、デクー探しも朝飯前っスよ!」

 

飛鳥「ボクも構わない、オーケーだよ」

 

未央「それではっ、未央ちゃんはこれにて〜。 みなさん今日はお疲れさまでしたー!」

 

>>>そう言い残し、車を降りた未央はそそくさと立ち去ってしまった。

 

唯「なーんか、元気なかったようなー…」

 

比奈「さっきの戦いで、自分のLBX…破損したのかもしれませんね…」

 

飛鳥「あー…確かに、アンリミテッドバトルで敗北し無惨な姿を晒してしまった、その時はーーー何ともいえない喪失感と、自分は無力だと思い知らされた気がして……つらくは、なるよね…」

 

ーーーセレモニー会場ーーー

 

>>>最初に戦うことになったのは、ダイキと小梅ーーー世代を超えた<魔術師>対決だった。

 

仙道「これが、真のーーー箱の中の魔術師だァ!」

 

>>>ジオラマを駆け巡る3体のナイトメアが分身ーー残像によって9体も居るように見えている!

 

仙道「アイドルと、LBXプレイヤーの実力の差をーーー見せてやるよ!」

 

>>>ダイキのナイトメア全機が残像で分身、かつ高速で飛び回っているのにも関わらず、小梅のジョーカー3機は非常に落ち着いたまま、攻撃を受け流したり回避したりしている。

 

仙道(ちっ…さっきコイツと連携を取ったからか、オレの癖が予想以上に読まれているな。 だが、ここからが箱の中の魔術師の本領発揮だーー!!)

 

>>>ナイトメア3機が同時に鎌を振り下ろしーーーた、が…ジョーカーに避けられた!

 

小梅「楽しかった、けど…ばいばい」

 

>>>小梅のジョーカーが一塊になり、一斉に必殺ファンクションを放つーーー

 

<INFO>アタックファンクション:デスサイズハリケーン

 

仙道「なにっ!?……なんてな。そう来ると思ってたよォ!」

 

>>>ナイトメア一機のうえに別のナイトメアが乗っかり、その上に三機めのナイトメアが飛び乗った。

 

>>>二機を乗せたナイトメアがフルパワーで跳躍する。

 

小梅「でも…これで一機は確実に、逝ったよ…?」

 

仙道「ーーーツメが甘いんだよォ!!」

 

>>>ナイトメア一機は、小梅の三連デスサイズハリケーンをもろに食らってブレイクオーバーさせる事にしたがーーー

 

仙道「どうやら一機ずつ着実に潰していく算段が仇となったなァ、食らえェッ!!」

 

<INFO>アタックファンクション:Ωエクスプロージョン

 

<INFO>アタックファンクション:グランドスタンプ

 

>>>残り2体のナイトメアが繰り出した同時必殺には対応できず、ジョーカー2機があえなくブレイクオーバーした。

 

小梅「やっぱり…強い、ね……?」

 

仙道「この程度で評価されてもねェ? さぁて、フィナーレだ!」

 

<INFO>アタックファンクション:ブレイクゲイザー

 

小梅「こっちも、打つ……!」

 

<INFO>アタックファンクション:グランドウォール

 

仙道「ハハハハハ!一歩遅かったなァ?」

 

ピコーン

 

>>>ダイキの入力速度の方が僅かに早く、小梅のジョーカーは構えを取ったものの必殺ファンクションを打つ前にライフがゼローーーブレイクオーバーされてしまった。

 

司会「勝ったのは仙道ダイキーっ! <箱の中の魔術師>の実力は、未だ健在だァー!!」

 

ワアァァーッ

 

仙道「前座としてはまぁ、充分に盛り上がったかい?神谷コウスケ」

 

コウスケ「ああ、上出来だ。さてと……」

 

司会「さあコウスケ君、次は誰と誰が戦うのでしょうかー!?」

 

コウスケ「それなんだけど…」

 

>>>ここでコウスケがちらりとアスカを見た。

 

アスカ「俺、この智絵里ってやつとバトりたいぜ!」

 

智絵里「え、えっ! わ、わたし……ですかっ…?」

 

アスカ「おう。 キリトとコウスケとはもうバトルした事あるし、お前がどれくらい強いのか実戦で試してみてーぜ!」

 

コウスケ「古城アスカ。残念だがその要求は…飲めない」

 

アスカ「えーっ!? どうしてだよー、ケチ!」

 

コウスケ「なぜならーーー」

 

>>>コウスケはそこで舞台上で一歩前に出てーーー客席に居る取材陣と、一般参加枠のセレモニー参加者へ向け、両手を広げて高らかに言った。

 

コウスケ「ボク、神谷コウスケ。そして風摩キリト。古城アスカ。緒方智絵里。 この4人が…………バトルロワイヤル形式で戦うからだ!!!」

 

ウォォォーーーーー

 

>>>会場が一気に盛り上がる。

 

智絵里「あ、あの…風摩さん。 バトルロワイヤルっていうのは、いったい……」

 

キリト「自分以外は全員敵。 分かりやすくいうなら普段の一対一や三対三とは違いーーー今回は一対一対一対一対、ってコト」

 

アスカ「なるほど、乱戦か!おもしれー!」

 

キリト「バトルロワイヤルという事なら僕も本気で行かせてもらおうじゃないか」

 

司会「ーーーとの事です! 4人のバトルロワイヤル、間もなく開幕いたしまァァーす!」

 

コウスケ「アスカ、アレを使え!」

 

アスカ「合点! よっしゃ行くぜ、Dエッグ、展・開・だあぁぁーーーっ!!」

 

>>>アスカが手に持ったDエッグを高々と放り投げる。 エッグ内の粒子から、ジオラマが形成されてゆき………

 

キリト「ほう…? これは王宮城内のジオラマだね」

 

智絵里「広いですけどっ、階段とか綺麗で…なんか豪華で、すごいですっ。 地中海遺跡のジオラマとは、また全然雰囲気が違う…」

 

司会「プレイヤーはLBXを投下してくださいっ!」

 

アスカ「ヴァンパイアキャーット!」

 

コウスケ「鮮やかに舞え、ルシファー!」

 

キリト「デクーOZ、出撃だ!」

 

智絵里「お願いっ、イプシロンっ!」

 

コウスケ「神谷重工、サイバーランス、タイニーオービット、そしてアイドル界ーーー果たして何処がLBXの頂点を勝ち取るのか、観衆たちよ…刮目するがいいっ!!」

 

  バ ト ル ス タ ー ト

 

アスカ「俺の狙いは勿論ーーー初バトルの智絵里、お前だぜ!」

 

>>>アスカの機体・ヴァンパイアキャットが王宮城内のジオラマを駆け抜ける。

 

>>>しかしその手に持つ槍はーーー死角から現れたキリトがOZトマホークの鋭い一撃で弾き飛ばした。

 

仙道「おぉっと? バトルロワイヤルって事を忘れてる愚者<フール>が居るみたいだなァ?」

 

>>>外野でのんびり眺めているダイキが、面白半分でアスカを挑発する。

 

アスカ「へっ、見くびんなっての! こっちはもうプロのLBXプレイヤー、サイバーランスに雇われてんだ。 そんな安っぽい煽りに乗るかよ〜!」

 

>>>宙へと弾き飛ばされたアスカ愛用の武器・トリプルヘッドスピアーを、ヴァンパイアキャットは空中で3回スピンしながらキャッチ。

 

智絵里「す、すごい技術……っ」

 

>>>すかさずデクーOZの斜め後方へと下がり、後ろから近づいて来たルシファーの剣をスピアーで受け流した。

 

コウスケ「随分と腕を上げたみたいじゃないか? まあ、会社の名を背負ったイベントだ、君だってそう簡単に負けられないだろうし…そうだろう?」

 

アスカ「どーかなぁ。俺は、今この瞬間を誰よりも全力で楽しみてー!それだけだぜ!!」

 

キリト「楽しむだけじゃ、勝利は掴めないがーーーな!」

 

>>>今度はキリトが、智絵里のイプシロンをトマホークを片手に襲い掛かる。

 

智絵里「…わっ! そ、そっか…! 今は風摩さんも敵、ですもんねっ」

 

キリト「風摩じゃなくて、キリトで構わないよ。今は一応、同じくシーカーの一員な訳だし。 それより周囲に気をつけろよ?」

 

>>>慌てて回避するイプシロンの後ろに、今度はルシファーが回り込んで来ていた。

 

智絵里「ーーーっはああぁ!」

 

>>>ルシファーの剣に、イプシロンは両の拳に握ったブリザードエッジを叩きつけ、跳ね飛ばされた反動でーーーアスカの操るヴァンパイアキャットのすぐ横まで移動。

 

>>>至近距離に近づいたのでアスカは近接戦だとスピアーを構えたが智絵里は片手銃・キングスハートでヴァンパイアキャットを撃った。

 

アスカ「うおおっ、危ね!」

 

>>>アスカが警戒して距離を取った隙に、今度はデクーOZへと急接近してダガーでの打ち込みを放つイプシロン。

 

キリト「OZシールドでーーーくっ、少し間に合わず食らったか…! 相変わらず化け物レベルな動きをするね君は……」

 

アスカ「俺のほうも銃撃でLPが減っちまったー!」

 

コウスケ(待てよ…? この戦闘、自然に…緒方智絵里とボク達の、1対3よ構図になっていないか?)

 

キリト「やっぱこのメンツでも、3人まとめて掛からないと、緒方智絵里は手に負えないという事か…」

 

アスカ「おいキリト! この子ってそんなに強いのかよ!?」

 

キリト「うん? あぁ、強いさ。 そして常人では考え得ないような高度なプレイセンスと、それを実行できるだけの操作テクニックを持っている」

 

ーーー車内ーーー

 

研介「もう少しでTO社に到着するよ」

 

唯「智絵里ちゃん食らいついてるねー」

 

比奈「いやぁー見事っスねえ。 バトルロワイヤルなのに気づけば3人全員を相手取ってまスよ…」

 

みく「ふにゃぁぁ、マズイにゃ! 相手も3体で智絵里チャンのイプシロンを狙い始めてるのにゃああー!!」

 

飛鳥「騒がないでくれ、みく。声が響く……」

 

ーーー再び会場にてーーー

 

キリト「僕たち3人がフルパワーをぶつけても、今の彼女に勝てるかどうかは正直なところ分からない…というのが僕の予想だ」

 

アスカ「だったらこっちも、全力ぶつけねーと相手にも失礼ってもんだ!行くぜぇ!」

 

コウスケ「これがルシファのーーー美しき必殺ファンクション!!」

 

<INFO>アタックファンクション:セラフィックウィング

 

キリト「僕も続く、必殺ファンクション!」

 

<INFO>アタックファンクション:Xブレイド

 

アスカ「俺もーーー超火力でいくぜっ!!」

 

<INFO>アタックファンクション:グングニル

 

智絵里「がんばって、イプシロンっ……!」

 

 

ーーー丁度その頃、事務所の女子寮ーーー

 

佐藤「未央ちゃん?はぁとに用事って、どゆこと? なんかあった?」

 

未央「じつはさとしん…いえ、佐藤さんに、お願いがあってーーー来ました!」

 

佐藤「よくわかんなーい★ だから、順を追って、話してみ?」

 

ーーーTO社・遠隔制御室ーーー

 

>>>コントロールポッドでデクー探索していた飛鳥に、唯、みく、比奈も加わり…水路を更にくまなく調べていた。

 

みく「やったにゃぁ、大豊作だにゃ!」

 

比奈「アーマーフレーム及びコアスケルトン、共に比較的状態の良いデクー6機回収。 保険の為のカスタムR・4機、カスタムL・2機も回収完了っス!」

 

飛鳥「よし、総員撤収だ」

 

みく「…んにゃ? 飛鳥チャン、その武器は何にゃあ?」

 

>>>みくが、飛鳥のズィエルの担いでいるハンマーに気づいた。

 

飛鳥「ははは、バレてしまったか。 じつはね、今回敵として現れたエンペラーM2が使って来た<エンペラーランチャー>」を、拝借させてもらったのさ」

 

比奈「うわーっ、多連装ミサイルの付いた、あの秒殺の皇帝のハンマーっスよね!? めちゃくちゃレアじゃないっスか…」

 

飛鳥「ボクは決めた。ズィエルの事は気に入っているけど、彼はいわば成長途中…このままでは力不足だ。 そこで、次に戦場へと赴く際には、新たなカスタマイズで臨むとしようーーーこのエンペラーランチャーとともに、ね」

 

みく「おおーっ、新カスタムもしくは新機体かにゃ? 楽しみにしてるにゃーっ!」

 

飛鳥「さて今度こそ撤収だ。 みんな、回収したLBXを、持って来てくれた荷台に積み込んでくれ。さあ、帰ろう」

 

 

ーーー女子寮ーーー

 

佐藤「ふーむ、なるほど? 詳しくは良くわかんないけど、戦闘について行けなくなって足引っ張っちゃったから、はぁとと特訓して腕を磨きたいって?」

 

未央「うん…! 胸貸して下さい!」

 

佐藤「んー……悪いけど、はぁとはパスさせてもらおっかな★」

 

未央「えぇぇっ! そ、そんなぁ……」

 

佐藤「あぁ、勘違いしないでね? 今の未央ちゃんには、もっと相応しい相談相手が居るんじゃないかなー、って思って?」

 

未央「もっとふさわしい……相談相手?」

 

佐藤「そうだなー、例えばー……気合いですよ情熱ですよ!って励ましてくれる子とかー……」

 

未央「そ、それって…あかねちんーーー」

 

佐藤「後はねー、お茶でも入れましょっか〜なんて言って穏やかな気持ちにさせてくれる、ふわっとした子とかー?」

 

未央「あーちゃん……」

 

さと「あらら、心当たりあった? んじゃ、はぁとはそろそろ部屋戻るわー。 いい加減そろそろ片付けないと〜」

 

未央「あ、あのっーーー! さとしん…ありがとう!私、行って来ます!!」

 

佐藤「うんうん★ さっきよりはちょっとマシな顔になったね?行っておいで」

 

未央「ーーーーはいっ!!!」

 

 

ーーーセレモニー会場ーーー

 

>>>ルシファーのセラフィックウィングーー翼から放たれる無数の光線を駆け抜けながら紙一重で掻い潜るイプシロン。

 

>>>続いてデクーOZのXブレイドに対して、自分のダガーを物凄い勢いでジオラマの地面に突き立てーーー

 

智絵里「アタックファンクションっ」

 

<INFO>アタックファンクション:気功弾

 

>>>そのまま武器を床に突き刺した状態で無理矢理必殺ファンクションを起動させ、その衝撃で地面を隆起させてデクーOZの必殺を防ぐ壁を作った。

 

アスカ「いいプレイ魅せんじゃねーか、けどもうこっちはロックオン済みだ!貫けぇーっ!!」

 

>>>突如として起こった地面隆起にバランスを崩したデクーOZの脇をすり抜け、その愛用の盾・OZシールドをかっさらってーーールシファーが居る位置から真後ろに当たる階段に上り、盾を構えた。

 

アスカ「パワー勝負か?おもしれー!ブッ離せぇぇーーっ!!」

 

>>>そうこうしている間に、ヴァンパイアキャットの撃ち込んだ最大出力のグングニルがイプシロンの構えた盾に激突。

 

>>>あまりの出力の高さにイプシロンは盾を構えたまま後方へとずり下がる形になり、盾・OZシールドも中央を抉られる事となつたがーーー

 

>>>その盾で跳ね返したエネルギー波は、目の前(正確には斜め下)に居たルシファーへと直撃。

 

アスカ「ウッソだろー、そんなのアリかよーっ!? コウスケ、ごめーんっ!」

 

コウスケ「何を謝る必要がある? 彼女がそれだけ難敵であると分かっただけでも……この戦いに価値はあるのだよ」

 

土煙の中から、既に半身がボロボになりながらもーーーまだしっかりと立っている、ルシファーの姿が現れた。

 

コウスケ「発動だ……これが真の力、真の美しさ! ルシファー・セラフィックモード!!」

 

<INFO>セラフィックモード

 

智絵里「うそ…まだ、動けるんだ……。 なんてタフなLBXっ……」

 

コウスケ(クッ…LPが残り10%を切っている……! アスカのグングニルを、キリトの盾を奪って防ぎ、尚且つ跳ね返しボクに当てるだなんてーーー)

 

アスカ「こいつ、やべー! マジつえーぞ智絵里! うっしゃあ!俄然、燃えて来たぜっ!!」

 

キリト「必殺ファンクションで簡単にカタをつけようとするのは良くないのかもしれないね…古城アスカ、同時に近接で一気に攻め立てる!」

 

>>>デクーOZが真っ先に走り出す。そのすぐ後ろをヴァンパイアキャットが追走。

 

アスカ「鬼をも砕くトリプルヘッドスピアーの真髄、見せてやるぜ!うらぁーっ!!」

 

>>>智絵里のイプシロンはダガー・ブリザードエッジの片方を投げ捨てーーー片手にOZシールド、もう片手にダガーを構え、地を蹴って走る。

 

キリト(投擲すらせずにダガーをひとつ捨てた…? なにかーーなにかやばい!)

 

キリト「アスカ下がれっ!」

 

アスカ「お断りだ、プロプレイヤーなめんじゃねえっ!!」

 

>>>アスカの華麗な槍捌きはあっという間にイプシロンのOZシールドを絡め取って弾き飛ばした。

 

アスカ「このトリプルヘッドスピアーにダガー片割れで挑もうなんぞ片腹痛いぜ?勝利いただきだぁぁーっ!!」

 

智絵里「ーーーーーーー今っ」

 

キリト「アスカ離れろ!!」

 

>>>イプシロンが体勢を低くし、ヴァンパイアキャットに足払いのようなものを繰り出した。

 

アスカ「キックなんてヴァンパイアキャットにゃ効かなーーー」

 

ザンッ!!

 

>>>何かが、刺さったような、めり込んだような音がした。

 

キリト「アスカ! LBXの足に…!」

 

アスカ「ーーーなっ!?」

 

>>>ヴァンパイアキャットの踏み出した右足の側面にはーーーさっきイプシロンが捨てたはずのブリザードエッジが一本、刺さっていた。

 

コウスケ(捨てたふりをしてダガーを片足で踏みしめ、それを踏んだまま足をスライドさせてアスカのLBXの脚部突き刺したのか…!)

 

アスカ「はんっ、この程度で俺がひるむわきゃねえだろ! 必殺ファンクション!」

 

<INFO>アタックファンクション:デビルソウル

 

智絵里「遅いですっ、必殺ファンクション」

 

<INFO>アタックファンクション:明鏡止水

 

キリト「剣の必殺ファンクション…!?」

 

>>>ヴァンパイアキャットが強力なエネルギーを撃ち放つその前に、イプシロンはダガーを片手剣に見立ててソード系必殺ファンクション・明鏡止水を発動ーーー急接近して斬り裂き、撃破した。

 

アスカ「うおあああ! 俺が負けたー!?」

 

>>>ライフが無くなりブレイクオーバーして倒れ込んだヴァンパイアキャットに、イプシロンは近づきーーー

 

智絵里「確か、鬼も倒せるなら……これ、お借りしますねっ」

 

>>>ーーーその手に握られていたトリプルヘッドスピアーを取り上げ、OZシールドとともに構えた。

 

キリト(こんな早さでこちらが追い込まれるとは……! アスカは敗北、コウスケもおそらく瀕死か……僕が引き付けるしかないね)

 

智絵里「てゃぁぁーーーっ」

 

>>>イプシロンが急に左へと駆け出す。 警戒しつつも、トマホーク片手に追い掛けるデクーOZ。

 

智絵里「ーーーそこ、ですっ!」

 

<INFO>アタックファンクション:ライトニングランス

 

キリト「残念。こっちのジャンプ力を舐めないでもらいたいなーーー」

 

>>>鋭い槍の閃光を脅威の跳躍で、デクーOZが回避したーーー直後、後ろで爆発音が響いた。

 

コウスケ「くっ……すまない、風摩キリト……」

 

>>>真っ直ぐに放たれたライトニングランス。 見計らって智絵里が放った角度は、一直線上にデクーOZとルシファーが並んだ位置だった。

 

キリト「僕が攻撃をかわすのを見越して、この位置で打ったのか…!?」

 

智絵里「いえ…この角度なら、お二人どっちかには命中するかなって思って……」

 

コウスケ「キリト、ルシファーからネメシスシールドを回収してくれて構わない。 何ならヘブンズエッジも使ってくれ」

 

キリト「ああ分かった、盾を遠慮なく拝借するよ!」

 

司会「おぉっと、これは予想外の展開だ! アイドル緒方智絵里、古城アスカのヴァンパイアキャットと神谷コウスケのルシファーを撃破! 風摩キリトとの一騎打ちにまで持ち込んだァ!」

 

  ワアァァーッ!!

 

 

 

ーーーTO社・遠隔制御室ーーー

 

飛鳥「何事もなく無事帰還、と。 ミッション完了、コントロールポッドとの接続を解除」

 

>>>飛鳥達のLBXは戦利品を手に、タイニーオービット社へと戻って来た。

 

結城研介「みんな、お疲れさま。 いやぁすごいや、LBXの操作は子どもの方が長けている事は周知の事実だけど…まさかコントロールポッドまでここまで上手く扱えるなんて」

 

>>>丁度その時、制御室のドアが開き、石森里奈が現れた。

 

里奈「あら皆んな、お疲れ様。飲み物を持って来たから、これ飲んで休んでね。 ちょうど今、智絵里ちゃんも頑張ってるわよ」

 

みく「智絵里チャンのバトル、今どうなってるのにゃ?」

 

里奈「アスカちゃんとコウスケ君の機体をブレイクオーバーさせて、今はキリト君のデクーOZと戦ってるはずよ」

 

飛鳥「…え? 待ってくれ、今ブレイクオーバー<させて>と言ったような……智絵里が、二機どちらも?」

 

里奈「正確には、相手の攻撃を跳ね返したりしてダメージを与えていたけれど…どちらもトドメをさしたのは智絵里ちゃんだったわ」

 

比奈「あのナルシストがどういうやられ方したのかは、不謹慎ながら気になるっスね」

 

唯「ねー、用事終わったんだしバトル見よ? 見たい見たーい!」

 

里奈「そういうと思って液晶モニタを持って来ているわ、さてーーー」

 

>>>里奈が電源を付けると、セレモニー会場の中継の様子が、映し出されたがーーー

 

飛鳥「何が、起きた…!? 互いの装備が、滅茶苦茶なんだけど……」

 

 

>>>時は、智絵里がキリトとの一対一にまで持ち込んだ辺りまで遡る。

 

 

キリト「OZトマホークの斬れ味を作戦の為に高めておいてよかったよ、トリプルだか何だか知らないがそんな槍も真っ二つだ!」

 

アスカ「オイ!どさくさに紛れて俺の槍と弟の努力をディスんじゃねーっ!」

 

智絵里(トマホークが、この槍の三叉になっていないーーー柄の部分に当たったら多分折られてしまうっ………だったらっ!)

 

>>>智絵里は急接近してくるデクーOZと同じく高速で迫り、その手の槍でーーーーーーデクーOZの持つ盾・ネメシスシールドを貫いた!

 

キリト「なんだ、僕から防御力を削ごうってのかい。 面白いねぇ、これはどちらかの武器がクリーンヒットした方が、即勝ちだ!」

 

>>>イプシロンは盾を突き刺したスピアーを手にしたまま後方へと下がり、それを地面に勢い良く叩き降ろした。

 

キリト「……?」

 

智絵里「キリトさんの防御はわたしが奪って力にしましたっ…攻撃は最大の防御ですっ」

 

キリト(なるほどねえ、アレを振り回してデクーOZの装甲を強引にカチ割ろうってのか……だったらこっちにだって手はあるさ!)

 

キリト「ーーー食らえ!」

 

<INFO>アタックファンクション:パワースラッシュ

 

>>>キリトの判断は早かった。彼は距離を取ったまま打てる技を即座に選択した。 

 

>>>里奈達がモニターで見たのはこの辺りで、智絵里が盾の刺さった槍を構えているのを見て不可解に思ったのだった。

 

智絵里「そうですよね、そんな気がしてましたっ…………必殺ファンクションっ!!」

 

>>>智絵里がCCMに入力した瞬間ーーーイプシロンからは凄まじいエネルギーが発せられた。

 

アスカ「このすげー圧のある必殺ファンクション…まさか!」

 

<INFO>アタックファンクション:インパクトカイザー

 

>>>今日戦った敵がやった<別の武器に見立てる>という行為を、智絵里も荒業ながら実行したのだ。

 

>>>キリトのデクーOZが放ったパワースラッシュのすぐ下を、地響きを起こしながらインパクトカイザーの攻撃がすれ違った。

 

ーーーキィンッ!

 

>>>先に命中したのはデクーOZのパワースラッシュ、イプシロンは堪らず武器から手を離し後ろの城壁へと激突した。

 

>>>そしてパワースラッシュを打ったばかりの無防備な体勢のデクーOZを、インパクトカイザーの獄炎が飲み込んだ。

 

\ ピコーン! /

 

キリト「ブレイクオーバーさせられた、か……だが、一矢報いる事が出来ていたら、引き分けになるんだけどーーー」

 

>>>壁にぶつかり、うずくまった状態のイプシロン。 そのイプシロンがーーー

 

>>>自らの足で、しっかりと立ち上がった!

 

司会「決まったぁー! バトルロワイヤルの勝者は、なんと! アイドル・緒方智絵里だぁぁーーっ!!」

 

   ワアァァーッ!!!

 

 

智絵里「はぁ…はぁ……はあぁぁ〜っ」

 

<イプシロン・残りLP:8>

 

智絵里(ほんとうに僅差だったけど…Eちゃんが、イプシロンが勝てたっーーー!)

 

 

ーーー遠隔制御室ーーー

 

唯「何かすごすぎて言葉見つからないんだけど…」

 

比奈「彼女、アタシとバトルした時とは比較にならない位に上達してたんスね…」

 

みく「なんやこれ……」

 

飛鳥「キミが智絵里にLBXを送ってから、まだ大して時は経っていない筈…だよね?」

 

研介「ああ、それに…プロのLBXプレイヤーでもあそこまでーーー自分の手足のよう、いやそれ以上にあれだけ自在なLBX捌きが出来る者はそう居ないんだけど……」

 

唯「そういえばここのしゃちょーさんは? 帰って来てからまだ会ってないんだけど、唯たち駆り出しといてお疲れさまの一言もナシー?」

 

   ウィーーン

 

拓也「それに関しては、本当に悪かった。 改めてお疲れ様。 取り急ぎ、確認すべき事が出来たのでな……」

 

飛鳥「A国 副大統領アルフェルド・ガーダインの事だね?」

 

拓也「その通りだ、知合いにツテが居てね。 緊急で調査してもらったんだが……ガーダインは今も牢獄の中で、脱走した過去も形跡も一切ない。 無理を言ってDNAも調べさせてもらったらしいが間違いなく、今刑務所に居るのは<本物の>ガーダインだ」

 

比奈「ってことは、あの部屋で会ったのは……偽物、ってことっスか?」

 

拓也「分からない…高性能なホログラムだったのかもしれない、何せその部屋は薄暗かったと聞いている。 ーーだが、かつてガーダインと裏で繋がっていた連中が名前を変え悪の組織を再形成し…何かを起こそうと画策しているのは、今回の件でほぼ間違いなくなった」

 

飛鳥「元々は政府の要人…黒い人間だったという事は、きっと裏であちこち繋がっていただろう。 さすがにその連中全てを見つけ出して排除するのは不可能だ、しかしーーー」

 

拓也「…うん?」

 

飛鳥「社長さん、確かにLBXは大好きだがボク達はそもそもアイドルだ。 …悪いが明日の営業に向けてボクはそろそろお暇させてもらおうか」

 

拓也「おっと、それもそうだな…すまない。 送迎の車を出そうか」

 

飛鳥「いや、有難いが結構だ。気持ちだけ受け取っておこう。 道中、幾つかの用事を済ませてから帰るつもりだからね。 ああ、それとーーーキミ」

 

研介「…えっ?何だい?」

 

飛鳥「さっき回収して来たデクー、最低でも一体は新品同様のメンテナンスを施して智絵里へ贈呈するように。 彼女は今回それだけの目を見張る活躍をした」

 

研介「ああ分かったよ、約束しよう。 我が社でメンテして、必ず彼女に届けるよ」

 

拓也(目を見張る活躍……まさにその通りなのだろうな。 キリトが送って来た今回の戦闘報告書とセレモニーでのLBX捌きだけで、彼女の凄さは既に伝わっている。 現地に居た飛鳥やキリトは、その凄さをより一層自身の肌で感じただろうな)

 

飛鳥「では、失礼ーーーそれから最後に、宇崎拓也。智絵里に目を付けるのは良いが彼女の本業はアイドルだ。 今後、彼女の最も輝ける今の居場所を少しでも蔑ろにするような真似をしたら、幾ら大企業の社長とはいえボクは許さない。 その時はボクのLBXによって貴方の首が飛ぶであろう事を忘れるなよ、物理的な意味で…ね」

 

ウィーーン

 

みく「わざわざあんにゃ物騒な言い方しなぬても…」

 

拓也「…いや、彼女の言った通りだ。 今回のようにこれだけ大規模な作戦へ、現役の芸能人を軽率に駆り出すなんて事はそうそう出来ないだろう」

 

唯「でもゆいはオフなら出撃しちゃうよ? ああ、他のトコでギャラとか貰ったら怒られそうだから、報酬はディナー奢りとかで★」

 

みく(ちょっとみくは戦力になれる自信が無くなったのにゃぁ……)

 

比奈「芸能界っていうかアイドル仲間だけ見ててもやっぱり、LBX好き・マニア・実力者は中々に多いっス。 親睦を深めたりする際にも打ってつけだったりするので、LBXバトル」

 

拓也「確かにバトルを通じて熱量も上がり、打ち解けやすくなったりもするか…」

 

比奈「そこでなんスけど、このメディエイター関連の話……他のアイドル仲間には、どこまで話しても許されるっスか?」

 

拓也「そういう事か、うーん……」

 

>>>拓也は目を閉じて悩み込む。

 

拓也「君達を巻き込んだのは余りにも安直すぎた…先ほどの飛鳥の言葉で、俺も少しは我に返ったよ。 しかし、これ以上の人間を巻き込む訳には……」

 

比奈「じゃあ、自分からひとつ提案があるっス」

 

拓也「ーーー提案?」

 

比奈「はい。 拓也さんは、アタシ達の事を信用してるっスか?」

 

拓也「無論だ。 実際に君達は危険を承知で今回の作戦にも全面的に協力してくれた」

 

比奈「じゃあ、アタシが信頼している人間には当然、話しても良いっスよね? もちろん、他言無用だと伝えるっスから」

 

拓也「……それなら、そうだな。 すまない、そしてありがとう。 まさか君の方から打診してもらう事になるとは…俺もまだまだだな」

 

比奈「いえいえっス。それじゃ自分も仕事が近いので…シーカーの方は、今日はあがりって事で。 では!」

 

みく「それじゃ、みくも帰るにゃ!明日は野外ロケなので呼び出されても行けませーん、おつにゃ!」

 

ウィーーン

 

拓也「おや…君は帰らないのか?」

 

唯「まぁねー。しゃちょーさん。聞いてもいい?」

 

拓也「何だ? 内容にもよるが…」

 

唯「ディテクター事件の時みたいに、えーと…ニックス?には手伝ってもらえないのー?」

 

拓也「NICSか、あぁ。 じつは今回のメディエイターに対しては、意図的にシーカーだけで行動しているんだ」

 

唯「なんでー? 戦力増える方が楽じゃん」

 

拓也「あくまで一企業の内部にある怪しい組織を調査するだけで天下のNICSに協力を要請するのは色々と難しいんだ」

 

唯「副大統領出て来たんでしょ? あ、元・副大統領か!」

 

拓也「本物が刑務所で服役している事実がある限り、こちらも迂闊な発言をするとむしろ不審だと疑われてしまう…」

 

唯「なるほどー…よくわかんないけど、大変なのは伝わったよ! ゆいも、信用できる相手に話すかもしれないけど、相手が嫌がったらさすがに協力はしてもらえないから……そこんとこ、よろ?」

 

拓也「当然だとも。 本人の意志が第一だ」

 

唯「おっけー。んじゃ今日は解散ってコトで、まったねー」

 

ウィーーン

 

拓也「アイドルとはいえ、それ以前に1人の人間。 個性は様々、多種多様という事か…現時点での新メンバーの機嫌をそこなわないようにするのだけでも、骨が折れそうだ」

 

 

 

ーーーセレモニー後・会場近くの公園ーーー

 

 

智絵里「無事にセレモニーが終わって、良かったですよねっ。メディエイターも、逃げてったみたいだし…」

 

アスカ「ジオラマ内であれだけ散々暴れ回って熱い戦いを繰り広げた後の感想がそれかよ!?」

 

キリト「仕方ないよ。彼女達はプロLBXプレイヤーじゃない…芸能人、アイドルだ。 観客全員が無事でライブを終える事が何より大切なんだろうさ」

 

アスカ「わっかんねえなー。 それにしてもまた妙な輩が現れたのかよ、ちぇっ俺にも一枚噛ませろよなー」

 

仙道「現役プロとして、サイバーランスの顔となってるお前に水を差すほど宇崎拓也も無粋じゃなかったという事じゃないかねェ?」

 

小梅「そういえば…あの神谷、って人は…どこ……?」

 

キリト「彼なら帰ったさ。 社内のデータをチェックして、組織と関連のありそうな人物が居ないか早速探すんだと」

 

アスカ「さすがにクリスターイングラムの人間じゃなきゃそこまでは出来ねーなぁ……そうだ、智絵里とかいったよな?CCMのアドレス交換しよーぜ!」

 

智絵里「えっ? い、いいですけど…?」

 

アスカ「いつかタイマンでお前とバトって、今度は………絶対、俺が勝ってやる!」

 

智絵里「は、はい……よろしくお願い、します?」

 

仙道「あまり気にするな。 このアホはただのLBXバトルジャンキーなだけだからな」

 

アスカ「誰がアホだ、誰がー!」

 

智絵里「あのー…CCMアドレスは…」

 

アスカ「おう、するする! ほいっ、と」

 

ーーーPiPiPi!!

 

アスカ「ーー完了っ! そんじゃ俺ももう行くわ!」

 

キリト「コウスケにも言ってあるがお前も、何か分かった事があったら俺か宇崎拓也、もしくはこの仙道ダイキに知らせろ。 こいつらアイドル連中に伝えるかどうか、伝えるタイミングはこちらで判断する」

 

アスカ「りょーかいっ! じゃなーっ」

 

>>>ミゼル事変の頃よりずっと背丈と髪の伸びたアスカだったが、その内面はちっとも変わっていないようだ。 ぶんぶんと手を振ると元気よく駆け出して行き、あっという間に見えなくなった。

 

キリト「今日はこれで解散だ。 今回の作戦のレポートは俺がきっちり提出しておくから、君達は帰りな」

 

仙道「ああ。遠慮なくとっとと帰らせてもらうさ」

 

>>>そう言うとダイキは、キリトの顔すら見ずにスッと立ち上がり、去ってしまった。

 

智絵里「…あのっ」

 

キリト「何だい?あぁーーーもしかして欲しがってたデクーの事かな。 暫く待ってくれ、今頃メンテしてる最中だろうからさ」

 

智絵里「い、いえっ!そうではなくて…」

 

>>>智絵里はじっとキリトの目を見て、言う。

 

智絵里「飛鳥ちゃん…あぁ、二宮の方の飛鳥ちゃんから聞きました。 キリトさんは物凄くLBXに詳しくってカスタマイズも独創的かつ天才的だ、って」

 

キリト「そりゃどーも」

 

智絵里「わたしっ、イプシロンがもっと…なんて言えばいいんでしょうか、過ごしやすい?ーーーいえ、バトルとかもしやすい環境にしてあげたいんですっ」

 

キリト「環境も何も…あの本田と前川ってやつらに教わったらしいし、君のイプシロンは今もまともにメンテナンスしてあるけど?」

 

智絵里「そうではなくてっ…なんだっけ、モーター?とかバッテリー?とか、何が良いのかとか、わたし全然分からなくて」

 

キリト「なるほど…?だが、結城研介が中々良いコアパーツを仕込んでくれてあるようだよ。 LBXの挙動や反応速度で内部に何を積んであるかは、ある程度分かる」

 

智絵里「だったら、今度もらう予定の黄色い子のカスタム、教えてくださいっ」

 

>>>力強く両拳を握り締め、立ち上がって智絵里は言った。

 

智絵里「今のわたしが変わらないと、これから先もーーーわたしは、イプシロンの運動神経に助けられてるままなんです…っ」

 

キリト(性能やスペックと言わないところが、何とも初心者感満載というか……)

 

智絵里「なのでっ! 教えてくださいっ、お願いしますっ…!」

 

>>>瞳をぎゅっと閉じたまま智絵里は、ぺこりと頭を下げた。

 

キリト(今まで、順風満帆ち勝ち抜いている反面、彼女がーーーこいつの性能に頼り続けている自分自身に、歯痒くなったという事か……)

 

キリト「僕は構わないと言いたいところだが、段階を踏まえてほしい」

 

智絵里「段階、っていうのは…えっと?」

 

キリト「雑誌などでコアパーツについて学ぶ、事務所かどこかの周りの人間に色々と聞いて覚える。 いきなり僕のようなプロに教わっても飛躍し過ぎてて、確実に今の君には何も身に付かない。 だから段階を踏まえて、事務所か近所のコアパーツマスターとでも呼ばれるようになったら、その時は改めて僕にお願いしに来るといい」

 

智絵里「わ、わかりましたっ!ありがとうございますっ。 あっそれじゃわたし、失礼しますねっ」

 

>>>小走りで駆けてく智絵里を見て、キリトは呟いた。

 

キリト「LBXの知識面に対して、自ら学ぼうとし始めた…か。 今後の、彼女のLBXプレイヤーとしての成長がますます楽しみになって来たね」

 

 

 

 

 

< 解説‼︎ ダンボール戦機C‼︎ >

(解説ボイス:J)

 

〜 メディエイター 〜

 

自らを調停者と名乗り暗躍し始めた、謎の組織・メディエイター。

 

そのメンバーに、かつて世界を支配しようとしていたアルフェルド・ガーダインと、その側近ビショップが居る事が判明した。

 

しかし、宇崎拓也から頼まれた八神英二らによる調査の結果、ガーダインは今も服役中であり脱獄していない事が確認された。

 

地下で彼女達が見たのは超高性能ホログラムによるものだったのではという予想も挙がったが、現段階での詳細は不明。

 

しかしこの一件により拓也らシーカーは、かつてアルフェルド・ガーダインに関わっていた何者かが組織を形成したのではという推測に辿り着くことが出来たのだった。

 

 

ーーー次回情報も、見逃すな!

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