ダンボール戦機 C(シンデレラ) 18
<< 第18章 Masque:Rade-K >>
>>>サイバーランス社セレモニーのエキシビジョンマッチに緊急参戦してから数日後ーーー智絵里は、北条加蓮と共にミニライブ&トークショーを行なった。
>>>今日のイベントをやり遂げ、寮へと帰るため楽屋から出ようとした智絵里に、加蓮が声を掛けた。
加蓮「見てたよ〜智絵里、こないだの」
智絵里「え?何の話ですか…?」
加蓮「なにって…ついこないだのサイバーランスの次世代アンドロイドセレモニーの時に智絵里、LBXバトルに参加してたじゃない! しかも完全勝利っ!!」
智絵里「あー、それでしたか…あれはまぁ、成り行きというか、巻き込まれたというか……」
加蓮「ふぅん、そうなの? めちゃめちゃ強かったし、中継だと智絵里も本気の目付きだったように見えたけど?」
智絵里「それは…本気出しますよっ。 誰だって、負けてもいいなんて思ってLBXをバトルに送り出さないと思いますけど…」
加蓮「それもそうだけど、まさか智絵里もLBXやってて、おまけにあんなにも強いだなんて私知らなかったからさー…」
智絵里「強いというか、よいしょ……この子は、じつは頂き物で、すごく優秀な子らしいんですっ。 なので、わたしが強いというよりも、ほとんどこの子の力のおかげというか……」
加蓮「中継でも見てたけど、そのイプシロンってLBX見た事ないなー。 一点モノ?」
智絵里「えーと、元はそうだったらしいんですけど……それとは色とか中身は変わってて、アーマーは複製?されたものらしくて」
加蓮「なるほどレプリカかー。だけどキレイだよ、色合いとかデザインとか中々いけてるね」
>>>加蓮はイプシロンを見ると鞄を持って立ち上がった。
加蓮「急いで帰って、女子寮の私の部屋に来て? …アタシ、智絵里のイプシロンとバトルしたくなっちゃった!」
智絵里「あの…それは良いんですけど、予定だと今日お届け物が届くはずで……」
加蓮「ーーあ。じゃあ私が智絵里の部屋におじゃましちゃっていいかな?」
智絵里「はいっ、お願いしますっ」
加蓮「じゃ帰ろ帰ろ、ほら早くっ」
智絵里「わわっ、押さないでくださいよ危ないですって」
>>>それから暫くして、女子寮に戻った智絵里。 加蓮も、ラフな服装に素早く着替えて智絵里の部屋へとやって来た、
智絵里「わあぁ…届いてるっ」
加蓮「って………デクー? しかも6機も?」
智絵里「ちょっと色々あって、見た目が可愛いから欲しいっていったら、譲ってもらえたんですっ。 綺麗にお手入れまでしてもらって…全員、今から飾りますっ」
加蓮「確かに、新品じゃないかと思うくらいピッカピカの光沢ね……良かったね、智絵里!」
智絵里「はいっ! あ、そのうち1人は今後バトルに出てもらう予定なんですけどねっ」
ドスッ ドスッ
>>>部屋の棚の上に、順調にデクー達を並べていく智絵里。
加蓮「なんていうか、圧巻……。 6つも一気にデクーが並んでるなんて、ショップや企業ブースか何かみたいだわ…」
智絵里「かわいいですよねっ、肩の辺りがぽこぽこしてたり。 どっしりした体型はクマさんみたいですっ」
加蓮(かわ、いい…? まあ感じ方は人それぞれだし………)
加蓮「まあいいわ智絵里、LBXバトルしましょ。 勿論するよね?」
智絵里「あ、はいっ。 …あ、でもまだDキューブーーージオラマ持ってないんですよ、わたし」
加蓮「心配ご無用〜、私のを持って来たから。 さ、始めましょーーーDキューブ・展開っ!!」
>>>加蓮がてのひらに乗せたDキューブに付いたスイッチを押して床へ転がすと、たちまちジオラマが展開しーーーバトルフィールドがセットされた。
智絵里「今回もお願いっ、イプシロンっ」
加蓮「久々に、本気で行くわよーーーマスカレードJっ!!」
<フィールド:闘技場>
>>>智絵里のイプシロンの前に降り立ったのは、ミントグリーンカラーで彩られた機体だった。
智絵里「マスカレードJ……?」
加蓮「過去のアルテミスーー世界大会に出場した、謎の仮面の男マスクドJの使っていた、元々はハンドメイド機体よ。 大会でのその活躍で機体は一躍人気になって……彼から技術提供を受けたタイニーオービットが個数限定で売り出したのよ」
智絵里「レアLBXなんですねっ」
加蓮「まぁね? でも、どうだろなー…そっちのイプシロンに比べたらレアリティは落ちるのかも? ちなみにまゆも持ってるわ、一緒に買いに行ったの」
智絵里「なるほどー、あの時のユニットがMasque:Rade(マスカレード)だったから……あ。じゃあ、まゆちゃんもLBXバトルを?」
加蓮「ううん、あの子はバトルせずに飾ってるだけね。 ……その代わり、真っ赤なペイントを物凄く丁寧にしてあって、いつ見掛けても塵一つ付いてないわ」
智絵里「まゆちゃんらしいというか、さすがですね……っ!」
加蓮「ちなみに本来のマスカレードJのカラーはオレンジ色よ。 私も自分らしさを出そうと思って塗ったのよ」
智絵里「綺麗ですっ。 なんだか透き通るような色合いで、神秘的で…加蓮ちゃんにすごく似合ってると思いますっ」
加蓮「お褒めに預かり光栄です、なんてね。 さ、どれだけ褒めてもバトルは手抜かないからね!」
智絵里「もちろんですっ。 思いっきりやりましょうっ」
バ ト ル ス タ ー ト
>>>智絵里のイプシロンはいつも通り、ダガー・氷皇ブリザードエッジを構える。
加蓮(見た目はただのナックル……けど智絵里は、状況次第で剣としても斧としても使いこなしてたーーー油断はできない!)
>>>加蓮のマスカレードJはブラッディレイピアを構え、舞い踊るようにイプシロンの周りを回る。
智絵里(早い…しかもレイピアしか装備せず盾が無いから、たぶん機動力を更に高めてる……ストライダーかなぁ)
加蓮「ーーーはっ!」
>>>加蓮のCCM入力速度が加速してゆく。
>>>それに合わせてマスカレードJは更に速度を上げ、回転しながら時折レイピアでの突きを放って来た。
智絵里「まずい……っ! 早すぎて回避も受け流しも間に合わないっ…!!」
加蓮「…あれ? これならアタシ、もしかして古城アスカや神谷コウスケにも勝てるかな?」
>>>喋りながらも加蓮のCCM入力は止まらない。むしろ尚加速し続ける一方だ。
>>>智絵里も入力速度自体には目を見張るものがあるのは確かだがーーー相手の攻撃のタイミングと軌道が見えないまま回避する事は出来ない。
>>>肩や膝、ボディを突かれる度に、イプシロンのライフポイントは減少していく。
加蓮「あれあれ?智絵里、手ぇ抜いてなーい? このまま勝っちゃうよ私〜」
>>>軽口を叩きつつも、加蓮のマスカレードJはスピンと攻撃の手を緩めない。 それもそのはずーーー
加蓮(あれだけのバトルを魅せられる人間の実力がこの程度のワケがない、たぶんどっかで急に爆発して逆転の方法を思い付く…!)
智絵里「加蓮ちゃんの、LBX…早い、です………」
智絵里(ぁ、あれっ…? なんか、CCMのカメラ映像がーーー薄暗く、なって……来ーーーーー)
ドサッ!
>>>突然大きな物音がしたので、加蓮はマスカレードJをイプシロンから離して前を見るとーーーー頭を抱えてうずくまる智絵里の姿がそこにはあった。
加蓮「ーーー智絵里! ウソ、大丈夫!?」
智絵里「す、すみませっーー視界が何だかチカチカして……うぅ」
加蓮「バトルやめるよ、いいよね! それから智絵里はすぐ横になって!自分の部屋なんだからほら早く!」
智絵里「は、はい……さすが加蓮ちゃん、看病のスペシャリストですねっ……」
加蓮「厳密には、される側だったけどね。 熱はー……無いし、やっぱり熱中しすぎてCCMの画面酔いかなぁーーーーうん?」
>>>加蓮は自分の手を智絵里の額に当て熱が無い事を確認し、手を離した。
>>>その時、一瞬だけ薄目を開けた智絵里の瞳の中にーーー何か光の筋のようなものが走ったのが見えた…気がした。
加蓮(気のせい……かな?)
>>>智絵里はすやすやと眠り始めた。そのまま彼女が起きる約1時間くらいの間、加蓮はずっとそばについてあげていた。
加蓮(あれだけハードなバトル、しかもメディアに映る場面ーーー絶対に失敗できないバトルをやり切ったばっかだってのに、アタシったら勝手にテンション上がって振り回して……ごめんね智絵里)
>>>ふと、棚の上に等間隔に並べられたピカピカのデクー達へと目をやった加蓮。
加蓮「この無骨なデクーのこともかわいいって言ってあげられるような子なのに…。 バトルが強い事と、バトルが好きな事は、イコールじゃないよね」
>>>加蓮は、そのデクーのひとつをそっと手に取った。
加蓮(後でちゃんと戻すから、ちょっと失礼……あれっ?)
>>>やけに軽い。 ブロウラーフレームゆえそれなりに重さはあるものの、やはり本来のLBXの重さではない。
加蓮「ホントごめーん智絵里、ちょっと使わせてもらいまーす………」
>>>小声でそう言うと、手に取ったデクーと加蓮のCCMを同期させてみるとーーー
< カスタムエラー >
加蓮(そりゃどうりで軽いわー………。 CPUもメモリもバッテリーもモーターも、何も入ってない、お人形状態…か)
>>>加蓮は改めて智絵里に申し訳なさそうな顔をしながら見ると、デクーをそっと元あった位置へと戻した。
加蓮(智絵里はただ一生懸命にバトルしてただけ……LBXバトルやろうよーってノリの子じゃないもんね、きっと。 確かに芯の強い子だかど、もっと優しい気持ちを持ってるんだ。 そうでないとこんな風にデクーを飾ったりしないでしょ)
>>>等間隔に置かれたデクーは、どれも皆違うポーズを取っている。膝を投げ出してぺたりと座っていたり…腰に手を当てて、ふんぞりかえっていたり…同じ見た目のはずのそれらが、別々の表情をしているように見えた。
智絵里「………あれ、わたし寝ちゃってましたか? すみません…」
加蓮「ああ、気がついた? いいっていいって、大体私が無理言ったんだしーーー」
智絵里「あの…………バトルの続きーーー」
加蓮「大丈夫大丈夫、気にしてないからゆっくり休んで。 またいつかしよ?」
智絵里「い、いえっ…バトルの続きをーーーしたいですっ!」
加蓮「………智絵里?」
智絵里「加蓮ちゃんは、わたしがセレモニーでバトルしてるのを見てーーわたしとバトルすればきっと楽しいだろうなって、思ってくれたんですよね…?」
加蓮「…そ、そうだけど? 智絵里となら、かなり白熱するバトルになりそうだなーって」
智絵里「だったら、わたしっ……その期待に全力で応えたいんですっ」
加蓮「智絵里………」
加蓮(そうだ…智絵里は、この子はーーー何かを途中で、投げ出すような子じゃない………!)
加蓮「わかったわ。 だけど、二つーーお願いがあるわ」
智絵里「お願い………二つも?」
加蓮「ひとつ!もしまた具合悪くなったらすぐに中断すること!」
智絵里「は、はいっ」
加蓮「そしてもう一つ。 完全仕切り直しとして改めて勝負したいから………イプシロン君のリペアを完了させてからバトルを開始することっ!」
智絵里「加蓮ちゃん…! は、はいっ!」
加蓮「知っての通り私のLBXは無傷だから。 今のうちにメンテグリスだけ軽く差して動作確認だけしとこっと」
智絵里「イプシロン………がんばろうねっ」
>>>修復を終えたイプシロンを見つめる智絵里の目は、真剣だった。
加蓮「さあ再開しましょ? 行きなさいマスカレードJっ!」
智絵里「イプシロンっ!」
バ ト ル ス タ ー ト
智絵里「なんだろ………寝て休んだからかな? なんだか、体力が有り余ってるようなーーー今のわたし、力がみなぎってますっ」
加蓮「よーし、相手にとって不足なーし!ってことだよね? 行くよっ!」
智絵里「加蓮ちゃんのとんでもない速さは分かりました………始めからフルパワーで行きますっ、Vモード起動!」
>>>INFO:ADVANCED V MODE
加蓮「へぇー、特殊モード搭載してたんだ…智絵里も」
智絵里「ーーーえっ?」
加蓮「こういうこと〜♪」
Pi!!
>>>INFO:STRIKE MODE
加蓮「こっちも速度アーップ!」
智絵里「コアスケルトンに内蔵?されてないと、Vモードとかは使えないんじゃ……」
加蓮「あらら、知らないの? 専用のチップさえ積めば、簡単に使えるようになるんだよー。 これでこっちも更に早くなった、スピードの差はそう簡単に埋めさせないからっ」
智絵里(さっき気を失う前ーーー何か、掴めそうな気がした………それを信じて、まっすぐ前を向いて、戦うしかないっ!)
智絵里「とりゃぁぁーっ!」
>>>Vモードで出力が跳ね上がったイプシロンはダガーを振るうがーーーマスカレードJには擦りもせずに呆気なく避けられ、ガラ空きの背中に回転蹴りを浴びせられて………地を転がり、土煙が上がった。
智絵里「は、速…………速すぎですっ!」
加蓮「ただでさえバカみたいに速いから、ストライク使うとこっちも一苦労なんだよねー。 ちゃんと目で追って操作できるまで結構練習したんだよ?」
智絵里(速さではそもそも勝てないっ………!)
加蓮「さぁ、またこっちから行くよっ!」
>>>加蓮のマスカレードJが、脚部に付いたホイールで鮮やかに回転しながらイプシロンに近づき、レイピアでの斬撃を開始した。
智絵里(さっき気を失う少し前に感じた、あのーーー周りが暗くなる感じ………今度はCCMのカメラじゃなくて、イプシロンを直接肉眼で見て、意識を集中してっ………)
加蓮「どうしたの、力みなぎってるんでしょ! そんな棒立ちじゃ、さっきみたいにライフがガンガン減るわよー!」
智絵里(ーーー!! 何かが、来た……っ!)
>>>瞬間ーー智絵里の目に映るイプシロンは、何かに押さえ付けられでもしているのか足取りが異常に重くなり………まるでスローモーション映像を見ているようだった。
>>>対して智絵里から見た加蓮のマスカレードJの動きは、残像のようなーーー言うなればピンボケ動画みたいな状態として移っていた。
智絵里(まるで……薄目を開けながら街灯のない夜道を歩いてるみたい………)
加蓮「随分モタモタしてるわね? そろそろ決めちゃおっかなーーーえ!?」
>>>息巻いた加蓮がちらりと智絵里の顔を見て驚愕した。
>>>智絵里の瞳の中で、2本の閃光が波打ちながら駆け巡っていたのだ。
加蓮「ーーち、智絵里!大丈夫!?」
智絵里「問題ありませんから、続けてくださいっ!」
>>>いつもより語気の強めだった智絵里の返答に若干戸惑いながらも、加蓮は攻撃を再開する。
加蓮「ーーーそこっ!!」
>>>マスカレードJの、レイピアから放たれる鋭い一閃。
>>>………その僅かな煌めきが、智絵里の目に映った気がした。
智絵里(見えないけど多分、そこに居るっーー!!)
>>>イプシロンから見て左前方にほんの少しだけ、ちらついた煌めきを頼りにーーー重い足取りのまま上体を僅かに逸らす。
>>>それと同時に、ダガーを握る重い左腕を渾身の力で振り上げ、レイピアがあるであろう何も無い空間に叩き落とす。
ーーーキィンッ!!
智絵里(何も見えないっ………けど、絶対当たった!)
加蓮「えっウソ!?」
>>>実際、そこからマスカレードJの持つレイピアの突きは放たれておりーーー智絵里はイプシロンに突如感じた重みに逆らわず、むしろ合わせるようにして最小の動作で、加蓮の攻撃を弾いたのだった。
加蓮(智絵里の目玉の中が現在進行形でトンデモ現象を起こしてるけどーーーそれと、この突然の操作精度の覚醒具合って………やっぱ関係してるのかな?)
加蓮「気にしてもしょうがない、もう一度ーーーっ!!」
智絵里(前方に居るのは分かるけど、掠れた残像みたいなのしか見えなくて位置を特定できない………それならっ!)
智絵里「必殺、ファンクションっ!」
加蓮(今度は智絵里から、仕掛けて来る!)
アタックファンクション:気功弾
ドゴォォーーンッ!!
加蓮(地面に向けて打った…! 操作ミスーーーいや、目くらましのつもりね?)
加蓮「でも残念、アタシのマスカレードJのカメラアイはコア組み替えの繰り返しで見つけた特別カスタムーーー砂煙の中のイプシロンの影くらい、容易に捉えられるのよねっ!!」
>>>加蓮のマスカレードJが地を蹴って最高速でイプシロンへと迫る。
智絵里(LBXは依然見えないけどーーー砂埃を割いてくるのを感じた……方向は、わかりましたっ!)
>>>智絵里は自分の瞳には何も映っていない、イプシロンの目の前の虚空にサマーソルトキックを放った。
ーーーペキッ!!
智絵里(ブリザードエッジの片方が何かにーーーたぶん加蓮ちゃんのLBXか武器に当たって、折れちゃったっ………!)
ーーーガァン!
加蓮(マスカレードJのボディが、智絵里の蹴りでヘコんだ!? 状態はーーーマズっ、ボディをこれ以上突かれたらモーターまで届いてブレイクされるっ!)
智絵里(だけど、今ので位置はほぼほぼ分かりましたっ)
加蓮(次の手はーーー打たせないっ!)
智絵里・加蓮「「必殺ファンクション!」」
アタックファンクション:ギロチンカッター
アタックファンクション:ストームソード
加蓮「ーーーきゃっ!?」
>>>智絵里は片方だけのダガーをソードに見立て、落下の勢いを利用しつつーーー錐揉み回転しながら、周りを切り刻んでいた加蓮のマスカレードJの起こす風さえ割いて、そのボディに見事斬撃を命中させた。
>>>マスカレードJはブレイクオーバー。 戦闘が終わると同時にーーー智絵里の瞳の中の異変も、視界の異常も、治まった。
智絵里「勝った、勝てました……けど、さっきまでの現象は、なんだったんだろう………」
加蓮「智絵里、瞳の中がさっきまで大変な事になってたわよ?」
智絵里「瞳の………中??」
加蓮「二つの光の線がヒュンヒュン動いてて、何かーーー覚醒!って感じだった」
智絵里「覚醒どころか、途端に加蓮ちゃんのLBXを目で追えなくなって大変だったんですけど………」
加蓮「……どういうこと?」
智絵里「あ、いえっ! 今日は、ありがとうございました。 加蓮ちゃんとのバトル、何だかすごく元気出ました」
加蓮「あら、そう?なら良かった。 またバトルしようね?智絵里」
智絵里「ーーーはいっ…!」
ーーー女子寮・飛鳥の部屋ーーー
飛鳥「…よし、出来たぞ。ボクの新たなLBXーー」
>>>彼女の手の中にはーーー全身迷彩風の塗装を施された、少し不気味なLBXが佇んでいた。
<飛鳥の新LBX>
HDパーツ:オシリス
BDパーツ:オーディーン
AMパーツ:アーミージェネラル
LGパーツ:ウォーリアー(迷彩色)
飛鳥「完成……っと。 名付けて…Dunkelheit(ドンクェレハィト)ーーー<闇>、だ」
ーーー女子寮・未央の部屋ーーー
日野茜「未央ちゃん、気持ちの方はどうですか!?」
未央「……うん! 二人のおかげで私、また立ち上がれたよ! ちえりんにもみくにゃんにも負けない、出遅れたりしないっ!」
高森藍子「私たち三人で知恵をぎゅーっと絞って、完成したカスタマイズ………未央ちゃんの新機体。 改めて、見せてもらえる?」
未央「うんっ!! ーーー行くよ、あーちゃん!あかねちん!」
藍子「おーっ」 茜「お願いしますっ!」
ガシャンッ
>>>未央の部屋のジオラマに降り立ったのはーーーソルジャーカスタムのLBX。
未央「名前、決まりました〜、 ソルジャー真虞那(マグナ)でーっす!」
茜・藍子「おぉぉーーっ」
茜「まさに正統派の聖騎士!みたいな風格ですよねっ! いやぁー素晴らしいです!!」
藍子「やっぱり最終的にアームはトリトーンが1番フィットしたんだね」
未央「うん! 軽くて、かつパワフルなアームを追い求めてたから。 元々ワンオフ機だったらしいし、アーマーの性能は折り紙付きだよ!」
<ソルジャー真虞那(マグナ)>
HDパーツ:ソルジャー
BDパーツ:ソルジャー
AMパーツ:トリトーン
LGパーツ:ソルジャー
武器:煌剣オーラブレード
盾 :オーラバックラー
茜「カッコいい!まさにこの一言に尽きますっ!」
藍子「凛々しいですね、ソルジャーマグナ。 元気いっぱいな未央ちゃんそのものって感じ、かな?」
未央「チッチッチッ…あーちゃん、それはちょっと違いますねー。 このソルジャー真虞那には、私に加えーーーあかねちん!あーちゃん!ポジティブパッション三人全員の想いが乗った………私達を体現している、というか我々そのものといっても過言ではないくらいの一品なのですぞ!」
藍子「わぁ…夢いっぱいの機体なんだね」
茜「我ら二人の想いも乗せて! これから頑張ってくださいね、ソルジャー真虞那さん!」
>>>自信を相当に失い掛けていた未央が佐藤心の助言で、藍子と茜にそれを吐露しーーー数えきれないほど三人でバトルとカスタマイズを繰り返して辿り着いた答えが形となったもの。 それがまさにこの、ソルジャー真虞那(マグナ)なのだ。
茜「これで我々3名でのユニット活動の際も、万全の態勢でLBXバトルが行えますね!!」
ーーー智絵里の部屋ーーー
智絵里「うーん…ダメですっ………」
>>>智絵里は先ほど自身に起こった不可思議な現象を再現しようと何度か試みたのだが………あれを再度発現させることは、結局叶わなかった。
智絵里「あれは…いったい………」
>>>突如、イプシロンの周りの視界が暗転したかのようになりーーー相手LBXの挙動をまるで読む事が出来なくなったのだ。
>>>まるで自分の機体だけーーーイプシロンだけの速度がスローになり、周りの世界が超高速で動き出した………そんな感覚だった。
智絵里「そもそも、さっき勝てたの自体が偶然だし………あれを自由に使えたところで、何の強みになるんだろう」
>>>智絵里は、デメリットしかないような訳の分からない能力の発現に、戸惑うばかりだった。
智絵里「ーーそうだ!プロのアスカさん……! あの人なら、何か知ってるかもっ」
>>>そうと決めると、智絵里はさっそくCCMで古城アスカにメールを送る。 さっき起こった現象を出来るだけ詳細に。
智絵里「プロのLBXプレイヤーだったら………プレイ中に起きる身体の異常とかも、知ってるかもっ」
>>>その日、智絵里はアスカからの返信を待っていたのだが………何だかバトルが終わってからずっと体が軽くて、軽くランニングを済ませーーー夕食も食べずに眠りについたのだった。
>>>続
< 解説‼︎ ダンボール戦機C‼︎ >
(解説ボイス:J)
〜 緒方智絵里の身に起こった異変 〜
北条加蓮とのバトルの最中、緒方智絵里は視界に異常を感じ、一度は気絶してしまった。
そして休息の後、再開したバトルの中で先程智絵里に起きた異変は明確な形となって顕れた。
目に見えて分かる変化でいうと、瞳の中に♾️(インフィニティ)を表すかのような光が発生。
LBXプレイヤーの中には、特異な能力を持つものが、僅かではあるものの存在する。
大空ヒロの、未来が見える事のある<ビジョン>。
世界的に見て未だ使用可能者は少数だが、身体的負荷を掛けてLBXの操作能力を飛躍的に上昇させる能力<オーバーロード>。
しかし今回の緒方智絵里が発現したものは、それとは全く異なり、自分にデメリットしかない未知なる能力。
未だ確認された事のないこの力は、果たして本人にとって活かせるものなのか、それとも………真相は今のところ謎である。
ーーー次回情報も、見逃すな!