ダンボール戦機 C(シンデレラ)   作:ぱりぱりィ!

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ダンボール戦機 C(シンデレラ) 05

ダンボール戦機 C(シンデレラ) 05

 

 

 

<< 第5章 カスタムマニア!?飛鳥登場 >>

 

 

 

 

―――キタジマ―――

 

 

>>>ゲームセンターで、白坂小梅との激闘を繰り広げた智絵里達。

 

>>>イプシロンの謎がまた一つ増えた。 それは<Vモード>……

 

>>>事のいきさつを子ども達から聞いた店長の小次郎は、意外な答えを返した。

 

未央「えぇっ! 店長、Vモード知ってんの!?」

 

みく「Lマガにも載ってなかったのに…さすが店長にゃ」

 

小次郎「知ってる、というか…話で聞いた事がある、って感じかな」

 

沙希「ブイモード… んー?どっかで聞いた事あるようなー…」

 

みく「にゃにゃっ!? 沙希さんまで知ってるのにゃぁ!?」

 

未央「まさか条件を満たすと発動するLBXの隠しコマンドが……!?」

 

小次郎「いや、通常のLBXにそんな機能は搭載されてないはずなんだが……」

 

小次郎(しかし智絵里のこれは贈られてきたんだったな。いったい……)

 

未央「これ、通常のLBXじゃないでしょ!てんちょー!」

 

みく「たぶんどこかでフルスクラッチされたパーツにゃ。こんなの見た事無いにゃあ」

 

未央「市場に出回ってないって事は! 超レア物って事でしょ!」

 

小次郎「うーむ……」

 

小次郎(見た事無いLBX、そしてそのLBXを貰った経緯、更にはVモードの搭載……)

 

小次郎(これは一旦、バンにそれとなく聞いてみるべきだな)

 

小次郎「ちょっと心当たりがあるんだ。知合いに、その件は聞いておこう」

 

小次郎「それにしても、あの子……小梅と、お前達が戦ったなんてなあ」

 

未央「うめちゃんの事知ってるの?もしかしてここの常連?」

 

小次郎「いや、滅多に顔は出さないんだが………」

 

小次郎「…お前達、聞いた事無いのか?小梅のLBXの噂」

 

みく「それって、もしかして<箱の中の魔女>ってやつにゃ!?」

 

小次郎「いや、そっちじゃない……まあ、似たようなものだけどな」

 

小次郎「……<オンナ仙道>、だ」

 

みく「ふにゃ? オンナセンドー?」

 

未央「仙道って、まさか…あの―――!」

 

智絵里「未央ちゃん、知ってるんですか?」

 

未央「うん!アルテミス出場経験2回、ジョーカーを使わせたら右に出るものはいない…」

 

みく「でも確か2回目の出場時は……あっ」

 

未央「そう、郷田ハンゾウさん! あの人とタッグを組んで出たんだよ!」

 

未央「プロメテウス社の御曹司、ハンゾウさん! 私の憧れのLBXプレイヤー!」

 

小次郎「その郷田と組んでた仙道って子だが………」

 

小次郎「結構残忍なLBXバトルを好む事やつでな」

 

小次郎「その巧みなCCM操作で、多くの強者をブレイクオーバーに追い込んだ実力者だ」

 

小次郎「彼の特徴は、ジョーカー3体を同時に操ってバトルする所なんだが……」

 

小次郎「話を聞いた限り、小梅もそれが出来るらしいな。だからこそ、そのあだ名があるのかもな」

 

みく「オンナセンドー……、おっかないにゃぁ……」

 

小次郎「とにかくVモードの件は、オレの方で確認を取っておく」

 

小次郎「未央、LBXを貸せ。オレが新品同様のメンテナンスをしてやる」

 

未央「店長、それマジ…? やった、ありがとう……!」

 

小次郎「次来る時までにはキッチリ直しておいてやるから、元気出せよ」

 

小次郎「それから、智絵里。 ウォーリアーの仇をよく取ってくれたな」

 

小次郎「初心者なのに、よくやったじゃないか」

 

智絵里「いえ、わたしは……イプシロンが一人で、がんばってくれただけで……」

 

小次郎「それでも、だ。 逃げずに、よく立ち向かった」

 

小次郎「今日は大盤振る舞いだ! 好きな武器、持ってけ!」

 

智絵里「えっ、い…いいんですかっ?」

 

沙希「ええ、モチロン!その代わり、今後もウチをよろしくね!」

 

みく「智絵里チャン、よかったにゃー! 好きな武器を選ぶにゃあ!」

 

智絵里「そう言われても…いっぱいあるので、どれを選べば……」

 

未央「私達が持ってない武器選ぼうよ! ね?」

 

みく「それがいいにゃ。 最悪、智絵里チャンにはみく達のお古を使ってもらえばいいにゃ」

 

智絵里「んー………」

 

未央「まずはジャンルから選ばないとだね。 遠距離、近距離……」

 

みく「智絵里チャンはどんな武器を使いたいのにゃ?」

 

智絵里「え、えーっと……」

 

未央「自分の好きなのを選べばいいんだよ!LBXは、武器のチョイスでも個性が出るからねー」

 

智絵里「わたしが好き…かどうかは、分からないんだけど……」

 

智絵里「<ナックル>は、外したくないな……って、思ってますっ」

 

みく「それだったら、みくの持ってないのを選ぶといいにゃー♪」

 

小次郎「っていってもみくの武器はナックルだらけだろ? うーむ……」

 

小次郎「そうだ。こないだ入荷したアレなんかどうだ? 沙希ー」

 

沙希「あいよー、ちょっと待ってね~」

 

ガサガサ……カチャカチャカチャ……

 

沙希「あったあったー。 あんた、これだよね?」

 

小次郎「まったく…在庫整理くらいきっちりやっといてくれよな」

 

小次郎「ほれ、智絵里。 こんなの、どうだ?」

 

みく「んにゃあ! ソレ、もしかして新製品なのにゃー!?」

 

沙希「こらこら。気持ちはわかるけど、これは智絵里ちゃんへのプレゼントだからさー」

 

智絵里「きれい……。 この武器、とってもきれいですっ」

 

小次郎「お!気に入ってくれたか。それならよかった」

 

未央「てんちょー。ちなみにこれ、名前なんていうのー?」

 

小次郎「えっと…<氷皇(ひょうこう)ブリザードエッジ>って書いてるな」

 

未央「ひえ~、見た目に反して何かおっかない名前だねー」

 

小次郎「俺に言われてもなぁ。文句はメーカーに言ってくれ」

 

智絵里「あの、あのっ……わたし、これっ、これにしますっ」

 

小次郎「よし!じゃあ智絵里には、そのブリザードエッジをプレゼントだ!」

 

智絵里「ほ、ほんとにっ、ほんとにいいんですかっ?」

 

小次郎「もちろんだとも!」

 

沙希「その代わりー……今後ともウチを、ごひいきにねー♪」

 

智絵里「は、はいっ。 これからも、お世話になりますっ」

 

 

―――――キタジマ前―――――

 

みく「ふー、あれから結構いろいろ買っちゃったにゃあ~……」

 

未央「それにしてもよかったね、ちえりん!」

 

智絵里「は、はいっ…!」

 

智絵里「ブリザードエッジ……大事に、しますっ」

 

未央「後は遠距離武器だねー。 未央ちゃんのお古で良ければ、あげるよ~」

 

みく「申し訳にゃいけどみくは近接武器しか無いからにゃぁ……」

 

智絵里「とりあえず、女子寮に帰りましょっ」

 

未央「よし、者共帰宅するのじゃ! 話はそれからだ!」

 

――――――――――

 

??「店長、沙希さん、ひさしぶりー」

 

小次郎「おぉ、バン!」

 

沙希「ホントに久しぶりだねーバン。 何だか忙しいらしいじゃん?」 

 

バン「俺がLBXの技術指導だなんて…今もちょっと照れくさいや」

 

バン「うーん。 もう遅い時間だし、アミやカズ、ヒロやランも居ないよね…」

 

小次郎「とても相手になるとは思えないが、俺でよかったらバトルするか?」

 

バン「いいの!? 久しぶりに思いっきりバトルしたかったんだ!」

 

小次郎「おっと、その前にバン…お前にいくつか聞いておきたい事があってな」

 

バン「聞いておきたい事? 俺に?」

 

小次郎「あぁ。 常連の子の友達が持っていたLBXが、とても珍しい物でな…」

 

バン「珍しい…って? 一点ものとか?」

 

小次郎「バン、<イプシロン>って名前のLBXに覚えはないか?」

 

バン「え…イプシロン?」

 

バン「イノベーターとの最終決戦に父さんが用意してくれた、LBXだけど……」

 

小次郎「そうか…。 つまり山野博士お手製、ってわけだな……」

 

小次郎「それから、Vモードについても聞いておきたいんだが……」

 

バン「Vモード? あれはAX-00に搭載された、試作段階のモードだけど」

 

バン「どういうこと? その人のLBXがイプシロンで、Vモードも搭載されてるっていうの?」

 

小次郎「ううむ………」

 

バン「今はイノベーターもディテクターも居ない」

 

バン「平和になった今、父さんが新たにイプシロンを作るなんて考えられないけど…」

 

バン「父さんに直接、は無理かもしれない……今でも父さん、忙しいから」

 

バン「でも拓也さん達にも聞いてみるよ。 何か分かるかもしれないし」

 

小次郎「そうか、変な事を聞いてすまなかったな。 さて!」

 

小次郎「今日は俺達、夫婦総出で相手するぞ! 沙希、クノイチ弐式は?」

 

沙希「調整バッチリ! いつだって暴れられるわよ!」

 

バン「よぉーし、思いっきり楽しむぞーっ!!」

 

バン(イプシロン…Vモード……もしかして、新たなテロ組織が…!?)

 

 

―――――後日、事務所にて―――――

 

飛鳥「へぇ、これが噂の……」

 

智絵里「飛鳥ちゃんも、LBXやるんですか?」

 

飛鳥「ん?まぁ…ね。 でもソレ、事務所でちょっとした噂になってるよ?」

 

智絵里「噂……です、か?」

 

飛鳥「そう怖がるような顔をする必要は無いさ。 悪い噂じゃないからね」

 

飛鳥「ウチの事務所に、正体不明の激レアLBXを入手した子が居る…っていうものさ」

 

飛鳥「あの未央にその噂の真偽を尋ねたら、あっさり教えてくれたよ」

 

智絵里「そ、そうでしたかっ」

 

飛鳥「話によれば、相当強いそうじゃないか…智絵里」

 

智絵里「わたしじゃなくて、多分この子の性能がいいんですよっ」

 

飛鳥「キミさえ良ければ、真偽の程を……確かめてみたいんだが」

 

智絵里「えっ……バトル、って事ですか?」

 

飛鳥「早い話、そういうことなんだ。 で、返事は…どうかな?」

 

智絵里「えっとっ……レギュレーション、は?」

 

飛鳥「キミの好きな物を選ぶといい」

 

智絵里「え、えと…えっと………」

 

飛鳥「どうしたんだい?」

 

飛鳥「…もしかして、LBXを手にしてからまだ日が浅いのか?」

 

智絵里「うん。 わたし、これまでLBXは触った事も無くてっ」

 

飛鳥「わかったよ。 それじゃあ練習も兼ねて、ストリートレギュレーションで行こう」

 

飛鳥「……待てよ? キミ…未央や、みくに勝ったんじゃ……?」

 

智絵里「え? あ、はい。 二人とも、強かったですっ」

 

飛鳥(どういうことだ…あの二人はそれなりに腕も立つのに………)

 

飛鳥(規格外の強さなのは、智絵里本人か…それとも、このLBXか……)

 

飛鳥(バトルで確かめるしか、他に手は無い……かな)

 

飛鳥「ちなみにボクのLBXは…これさ」

 

智絵里「おぉっ、この子がですかっ」

 

智絵里「…あれ? こんなLBX、Lマガで見た事無いなぁ……」

 

飛鳥「Lマガかあ。 アレ、よく読むのかい?」

 

智絵里「い、いや…未央ちゃんの持ってたバックナンバーを借りて…ちょっとだけ」

 

飛鳥「当然自身のペイントで、ある程度個性は出せるけど―――」

 

飛鳥「―――ボクは、言ってしまえば…<レアパーツ>オタク、ってやつなのさ」

 

智絵里「レア、パーツ……って?」

 

飛鳥「LBXには、何かの記念で数量限定や期間限定で生産されたもの―――」

 

飛鳥「―――その他にも、セレモニーなんかで手に入るパーツなんてのもある…」

 

飛鳥「智絵里には合わないけど、ジャンクパーツを取り扱ってるような店も路地裏にあったりする」

 

飛鳥「そういうのを違和感なく組み合わせて…でもちょっと不自然で、不完全な感じに……」

 

飛鳥「ボクのこのエクステと同じさ。 LBXだって、どこまでもこだわり抜く事が出来る」

 

飛鳥「少し喋り過ぎてしまったかな……さて、バトルを始めようじゃないか」

 

飛鳥のLBXのカスタムネーム:ズィエル

<構成パーツ>

>>>HDパーツ:ジョーカーMk2(黄)

>>>BDパーツ:ソルジャー(黄)

>>>AMパーツ:リュウビホウオウ(黄)

>>>LGパーツ:デクーエース(青)

 

智絵里「よろしくお願いしますっ。 イプシロン、行きますっ」

 

飛鳥「さあ標的が現れたぞ……ズィエル、出撃!」

 

<フィールド:草原>

 

 

  バ ト ル ス タ ー ト

 

 

飛鳥(ナイトフレームか…? 装備は……ナックル―――のダガータイプか)

 

智絵里(見た目だけで強そうです…! でもイプシロンがいればわたし、負けない…っ!)

 

飛鳥(イプシロン、か…。 成る程。 間違いなくアイツは、「レア」だね…)

 

飛鳥(今までボクが聞いた事もないんだから…。 その性能、ボクは知りたい!!)

 

智絵里「い、行くよっ……飛鳥ちゃんっ」

 

飛鳥「あぁ、どこからでもかかっておいでよ……ふふ」

 

飛鳥(まずは様子見……両手銃で、相手の出方を見ようか)

 

<飛鳥操作・ズィエル装備一覧>

装備枠1:ウィングサイスⅡ

装備枠2:メガレーザーキャノン(両手銃<単発>)

 

>>>両手銃で牽制をかける飛鳥。

 

>>>智絵里はジオラマの地形を活かし、飛鳥との距離を縮めようとする。

 

飛鳥「そのダガーで、ボクのズィエルを切り刻もうってのかい?」

 

飛鳥「でもお生憎さま……こっちもただでやられるつもりは、ないさ」

 

智絵里(―――! たぶん、近接武器に切り替えてくる……っ!)

 

>>>飛鳥の行動を予想した智絵里は、イプシロンをバックステップさせて距離を取った。

 

飛鳥「…おっと。 用心深いねぇキミは」

 

飛鳥「でも構わないさ……それなら、こっちから仕掛けるまで―――!」

 

>>>飛鳥は猛ダッシュで智絵里との距離を一気に詰めようとしてきた。

 

智絵里(先制する気ですね、飛鳥ちゃんっ。 だったら…迎え撃ちますっ)

 

>>>飛鳥のズィエルが、智絵里のイプシロン目掛けて一直線に駆けてくる。

 

>>>智絵里は、飛鳥のLBXのもう一つの装備枠に、近接武器をセットしていると推測していた。

 

>>>そして……その推測は、正しかった。

 

>>>飛鳥はイプシロンの至近距離まで近付いたところで、武器を切り替えた…!

 

智絵里(やっぱり…っ! あれは槍―――でも素早さならこっち、ナックルの方が早いですっ)

 

>>>飛鳥が接近したその瞬間、智絵里のイプシロンがダガーで攻撃を試みた。

 

>>>交差する、鎌と短剣。 そして―――

 

飛鳥「おおっと、これは一杯食わされたね」

 

智絵里「え、えっと……ど、どうなったの?」

 

飛鳥「ボクのLBXは今、状態異常中だ」

 

飛鳥「<フリーズ>という表示……キミにも見えるだろう?」

 

飛鳥「後でコアパーツを見てみるといい。 それか、その武器の効果かもしれないけどね」

 

飛鳥「フリーズは、一定時間経過か相手に攻撃される事によって、解除されるんだ」

 

智絵里「な、なるほどっ」

 

飛鳥(どうやらLBXに関して基礎的な知識も、からきしのようだね……)

 

飛鳥(このフリーズもそうだが…彼女は、リアルラックだけで勝って来たのか?)

 

飛鳥「さあ、攻撃してごらんよ? 手を出した瞬間、ボクは動き出すけどね」

 

智絵里「う、うぅ……どうすればっ」

 

<INFO>ズィエル:フリーズ解除

 

飛鳥「―――――はあっ!!!」

 

>>>フリーズが解除されたのと同時に、飛鳥の鎌の一振りがイプシロンに命中した。

 

飛鳥(やはり智絵里は、LBXの操作に関してはズブの素人と見て、間違いなさそうだな……)

 

飛鳥「悪いがこの勝負、勝たせてもらう! 追撃だズィエル!!」

 

>>>バトル慣れした飛鳥の槍裁きに、智絵里の操作がついていけていない……

 

>>>しかし智絵里は持ち前のセンスで、飛鳥に食らいついてゆく。

 

>>>それでも、どうしても経験の差は埋まらない…

 

飛鳥(初心者にしては、なかなかやるね………)

 

飛鳥(それでも、未央達には悪いが―――この程度の相手に負けるとはねぇ)

 

智絵里(この手慣れた感じ……飛鳥ちゃん、相当ベテランって感じがしますっ)

 

飛鳥(手っ取り早いのは、力押し。鎌を使って打ち上げる方法だが………)

 

飛鳥(それでまた凍らされたんじゃたまったものじゃないし―――)

 

飛鳥(ここは、慎重に接近して、着実にダメージを与えていこうか)

 

>>>飛鳥のCCM操作が激しくなり、ズィエルが智絵里に再び接近してくる。

 

>>>しかし、ただ近づいているだけではなかった。

 

>>>ジオラマの地形、遮蔽物の死角などを利用して、動きを読まれにくくしたのだ。

 

智絵里(ま、まずいですっ……どっちから攻撃して来るか、わかんないよぉっ……)

 

智絵里(駄目駄目……冷静でいなくちゃ)

 

―――――キィンッ!!

 

飛鳥「なっ―――――!?」

 

智絵里「あぶなかった………ほっ」

 

飛鳥(な、何なんだ今のは…!?)

 

飛鳥(たしかに確実に、死角から攻撃したのに………)

 

飛鳥(なぜ反応出来た…? 動きを読まれてたのか…?)

 

飛鳥(間違いなく智絵里の後ろを取って、背後から奇襲をかけたのに……どういうことだ)

 

>>>飛鳥が驚くのも無理はない。

 

>>>完全に死角となった背後を取った飛鳥のズィエル。

 

>>>しかし、智絵里は後ろを見もせず、拳だけを後方に突き出した。

 

智絵里(よ、よかったです……賭けが当たりましたっ)

 

>>>蓋を開けると、どうということは無い話だった。

 

>>>LBXのカメラアイの映像は、CCMの画面に映し出される。

 

>>>左右をきょろきょろしていた智絵里だったが、飛鳥のLBXの気配すら感じなかった。

 

>>>そこではっと思い、背後にいるんじゃ…と慌てて拳を突き出したのだ。

 

>>>それが結果としては、飛鳥の攻撃を防ぐ形になった。

 

>>>まさにリアルラック、そのものである。

 

飛鳥(駄目だ…冷静さを失っちゃいけない、立て直さないと……)

 

智絵里(ここで――――― 一気に、畳み掛けますっ!!)

 

ガァンガァンガァンッ!!

 

>>>イプシロンの連続パンチが、ズィエル目掛けて飛ぶ。

 

飛鳥「おっと…冷静さを欠いているのはキミの方だったようだね、智絵里」

 

飛鳥「こちらは鎌なんだよ?ナックルの攻撃を防御する事なんて容易」

 

飛鳥「力業でどうにかしたいなら、斧を持ってくるべきだったね…!」

 

智絵里「違いますよ………」

 

飛鳥「えっ? 何を言ってるんだい智絵里」

 

飛鳥「キミの攻撃は一度も、ボクのズィエルに命中していない!」

 

飛鳥「ボクが鎌で、全て防いでいるからね―――!!」

 

智絵里「違います………」

 

ガァンガァンガァン!

 

>>>イプシロンの猛攻は続くが、攻撃は全て鎌に遮られる。

 

>>>しかし、智絵里の目は自信に満ち溢れていた。

 

>>>その瞳は、勝負を諦めた者のする目では無かった。

 

>>>そして―――――

 

ガァァァァンッ!!!

 

>>>一際大きい音を立てて、イプシロンの拳が―――――

 

>>>―――ズィエルの持つ鎌の、「柄」に命中した!

 

>>>成す術なくバランスを崩し、ズィエルの手から鎌が放り出される。

 

飛鳥(しまった! そうか…智絵里は、これを狙っていたんだ…やられたっ!)

 

>>>飛鳥は、自身のLBXの片腕がビリビリとスパークしているのを確認し、唇を噛む。

 

 

>>>LBXにはあらゆる面で、目には見えない耐久値が存在する。

 

>>>ズィエルが鎌を持ち続けられなかったのには、ちゃんと理由があった。

 

>>>バランスを崩したからではない。 手から外れてバランスを崩したのだ…。

 

>>>智絵里の攻撃は、決して無駄などでは無く、大きな意味を成していた。

 

>>>イプシロンの、ナックルで繰り出す重いパンチの連続。

 

>>>その衝撃は、鎌の柄を伝わって……ズィエルのアーム部分に響いていた。

 

>>>そして一定以上の衝撃が加わり、アームが限界に達し悲鳴を上げた。

 

  

>>>智絵里にそこまでの考えやLBXのメカニズムは知らなかったが―――

 

>>>武器を弾き飛ばして、そこから攻撃を仕掛ける……というイメージだけはあった。

 

飛鳥(こうなったら―――――こちらも、迎え撃つ…!)

 

>>>飛ばされたウィングサイスⅡを諦め、両手銃を即座に構えて発射。

 

>>>至近距離なので、攻撃しようとしていたイプシロンに命中。

 

>>>弾が当たったのはアームLで、イプシロンの左側のナックルが飛ばされる。

 

智絵里「…………!!」

 

>>>しかし智絵里は動じなかった。 集中していたのだ。

 

>>>極限まで研ぎ澄まされた智絵里の感覚が、イプシロンを突き動かす。

 

智絵里「ふ―――――ッ!!!」

 

>>>なんと右手に残ったブリザードエッジを片手剣のように構えた。

 

>>>繰り出される一閃。  そして―――――

 

\ ピコーン! /

 

飛鳥「完全敗北、といったところかな……」

 

>>>飛鳥は静かに、自分のLBX・ズィエルを回収した。

 

飛鳥「じつはね智絵里……ズィエルってのはドイツ語、<Ziel>…標的って意味なんだ」

 

智絵里「標的………ですかっ?」

 

飛鳥「そう、標的。 ターゲットは逃さず、必ず仕留める……って意味を込めて、ね」

 

飛鳥「標的にされてたのは―――どうやらボクの方だったみたいだね」

 

飛鳥「初心者だと、侮ってすまなかった。ああ、言い訳するつもりは無いよ」

 

飛鳥「素晴らしいバトルをありがとう、智絵里…!」

 

智絵里「こ、こちらこそ……ありがとう、ですっ」

 

>>>こうして、智絵里と飛鳥の熾烈なバトルは、智絵里の勝利で終わったのだった……。

 

 

>>>続

 

<< オタクロスのオタ知識 >>

 

オタクロス「オタクロスのオタ知識、デヨ!」

 

オタクロス「今回は、こちらデヨ~!」

 

< ズィエル(飛鳥専用ジョーカーMk-2カスタム) >

 

オタクロス「飛鳥クンの使ってるLBX…その名はズィエル、デヨー」

 

オタクロス「ドイツ語で標的という意味!」

 

オタクロス「狙った獲物は逃さないという飛鳥クンの強い意志が感じられるデヨ!」

 

オタクロス「ちなみに、LGに使われているブルーの<デクーエース>のパーツじゃが……」

 

オタクロス「噂によると、ジャンクパーツの山から何時間もかけて探し出したとか!」

 

オタクロス「そんな飛鳥クンのカスタマイズ・ズィエルから、これから目が離せないデヨ~!」

 

オタクロス「では、次回もお楽しみにデヨー!」

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