・ちょっぴり性的な表現を含みます。
・修羅場を楽しむ短編です。
・親友は外道寄り。
・ちょっぴり性的な表現を含みます。
・修羅場を楽しむ短編です。
・親友は外道寄り。
「お前を親友と見込んで、話がある。……いや、違うな。頭を下げるからどうか、俺の相談にのってほしい」
それは、普段通りの下校道。いつも通りに平凡な授業を受け、『今日は何をしようか』と何気ない事を考えながら帰宅していたその時だった。
自身の学園生活でコンビの様につるんでいた、親友。普段は高圧的で、弱味など滅多に見せない男の筈なのだが。
突如として校門に現れたその親友に、いつになく深刻な表情をしたまま肩を掴まれ呼び止められた。そして奴は、人目も気にせず地面に頭を擦り付けんばかりの勢いで頼み込んできたのである。
「いきなりどうしたんだ? お前が下手に出るなんて珍しいじゃないか」
「……実は俺は今、かつてないほどの窮地に立たされているんだ。そしてもう、お前くらいしか相談できる相手が思い付かないんだよ。どうか、どうか俺にどうすれば良いのかを教えてくれぇ」
「うーん……、事情も話さずそんな急に頭下げられても困るだけなんだが」
公衆の面前でむさ苦しい
面倒臭かったから脛を蹴って男を無理やりひっぺがし、改めて向き合って見れば。そいつの表情は、既にまともではなかった。目がくるくる回っていて見るからに切羽詰まっており、口はがくがくと痙攣している。
まるで猫に襲われて逃げ道がなくなったネズミのようだ。事情は分からないが、よほど追い詰められているらしい。
「頼む……っ、俺にはお前が必要なんだ。どうか、どうか今日だけは……」
「────はぁ。ま、そこまで言われたら話くらいは聞いてやるさ。お前とは中学生からの腐れ縁だし、出来る範囲で良いなら助言するのもやぶさかじゃない」
「ほ、本当か!? やった、良かった、恩に着るぜ!! なら今日は俺の部屋に来てくれよ、じっくり話を聞いてほしいんだ!」
「お、おう」
「頼む、一生のお願いだ……。俺に、他者視点の客観的な意見をくれ……」
親友はそう言って、すがるように腰元に抱きついてきた。気持ち悪いので、とりあえず拳骨して振り払う。
……何やら、物凄い面倒ごとの臭いがするぜ。動物的な直感がビンビンと『この馬鹿に関わってはいけない』と言う警鐘をならしている。
だがコイツは中学時代からずっとクラスが一緒で、5年間も仲良く共に学園生活を過ごしてきた親友でもある。そんな男が恥を忍んで、こうして頭を下げているのだ。
ここで力にならなくて、何が親友か。
「分かった。今日は付き合ってやるよ、その代わり良い菓子出せよ?」
「ありがとう、恩に着るぜ!! 心の友よ!!」
少しの逡巡の後、情に負けてヤツの頼みを快諾すると、男は顔面をぱぁと明るくし飛び上がって喜んだ。お前はジャイ◯ンか。
男はそのまま小躍りして喜んでいる。まだ、相談内容すら聞いていないのに。
……そこまで喜ばれると、ちょっと引くわ。というか、怪しいわ。何か裏がある訳じゃないよな?
そんな一抹の不安を抱えながら、焦燥のせいか汗だくで顔色の悪い親友についていくのだった。
さて。どんな悩みを打ち明けられるのかと戦々恐々としながら部屋に入ると、奴は少し時間をおいて「駄賃代わり」と旨そうなケーキを持ってきて並べた。
かなり歓迎してくれているらしい。何度かコイツの部屋に遊びに来たが、
「さあさあ、遠慮せず食べてくれ。お代わりもあるぞ」
「……ありがとう。でもここまで歓迎されると、裏がありそうで怖いんだが」
「いや実際、本当に助かってるんだ。現在進行形でな!」
ヤツはニコニコと笑いながら、自ら持ってきたケーキを頬張っている。まだ何も相談に乗ってないぞ……?
やっぱり、怪しい。どんな落とし穴があるか分からないかは、とっとと事情を聞いてしまおう。
「うん、良いから早く本題に入れ。何を相談したいんだ?」
「聞いてくれるか。実は……、お前、俺の両親が再婚したの知ってるっけ?」
「うん、この前聞いた。何でも、美人な
男の口から出てきたのは、彼の家族の話だった。コイツは中学校に入る前、母親を亡くしたらしい。そのまま男手1つで育てられていたが、最近になってコイツの父親は去年めでたく再婚したそうだ。
そう。このラッキーな男は親の再婚に伴って、連れ子であるひとつ年上の『義理の姉』が出来たのだ。しかもゆるふわ系のおっとり美人で、同じ学校の先輩という完璧ぶり。まるでエロゲやギャルゲの様な展開である。
そして去年から、この男はそんな義姉と1つ屋根の下で生活している。その羨ましすぎる話を聞いて、何度殺意が沸いたことか。
「そうそう、その
「うわ……」
そして何とこの男、ゆるふわ系先輩も同棲するだけに留まらずギャルゲのようなイベントをも起こしていた。なんだよそれ、
でも、これで大体相談される内容が分かった。
「それで? つまり
「ああ、まぁ。俺も一応、何とか話し合いで片をつけようと頑張ってだな──」
……何とも下らない相談だ。一週間も経てば、お互い忘れている程度の些事である。
とは言え、着替えを覗いてしまった義姉と接し続けなければならない本人からしたら大変なのだろう。今すぐ解決するとなると、ふむ、確かにこれは難問だ。
義姉とやらが、どれだけ覗かれたことを気にしているかによって対応が変わってくるが、果たして……?
「そんで色々あってさ、勢いでそのまま義姉ちゃんとヤっちゃった」
「何がどうしたらそうなる!?」
軽い表情で頭を掻きながら、男はそんな爆弾を投下した。
……想定していた前提条件が崩れ去る。義姉の着替えを覗いてしまった挙げ句、発情して襲いかかりやがったなこの馬鹿!
「血が繋がってないとは言え、義姉だぞ!? それで一体、どうするつもりなんだ! ご両親にはもう言ったのか!?」
「言える訳無いだろ! だから困ってるんだよ……。取り敢えずすぐ義姉ちゃんには謝って『今日までに男らしく責任は取る』と宣言したから、今は何とか待ってもらえてる状態なんだ」
「頭が痛くなってきた」
「そしてその義姉は今、俺の隣の部屋で待機しているわけだが……」
「額を地面に擦り付けて土下座しろやもう」
呆れ果ててジトッと馬鹿を見つめると、そのまま『去年まで別々に暮らしてたし、姉と言うよりただのおっとり美人にしか見えなかった』『結構仲も良くなってて、イケると思って魔が差した』等と見苦しい言い訳を始めた。
その結果、近親相姦と言う凄まじい状態になってしまった訳だが────、確か法的には血が繋がってなかったらセーフなんだっけか? 後で調べておこう。
と、言うかコイツ。いやに強引に誘われたと思ったが、二人だけなら修羅場になりそうだったから呼びつけやがったな。親友を盾にする気かこの畜生。
「てか、何でそんな話を相談してきたの? こっちは何も言えねぇよ、そんな異常事態!!」
「いや、最初からお前に相談するつもりじゃなかったんだ。一度仲の良い先輩に相談したんだわ」
「先輩?」
男はしどろもどろになりながら、言い訳を続けた。先に、仲の良い先輩に相談していただと?
何だそれ、聞いてないぞ。この親友を差し置いてまで相談した先輩が居るなら、もうそれでいいだろ。それとも上手い解決策を教えて貰えなかったのか?
微妙に不快な気分になりながら、とりあえず男に話を促すことにする。
「……誰?」
「あーっとホラ、義姉ちゃんといつも一緒にいる生徒会長の人いるじゃん。髪が長くて目つきが鋭いあの人。前に義姉ちゃんが親友って言ってたし、年上だし頼りになると思ってね」
最初は少しイラっとしたが、今の男の話を聞いて納得した。脳裏に浮かぶのはいかにも有能そうな、生徒会長の腕章を腕につけた黒髪長髪の女性だ。今でもあの、凛とした就任演説は耳に残っている。
確か、大きな財閥の令嬢だったっけ? 我ら庶民とは一線を画す、高貴な雰囲気をも纏った女性だ。
なるほど。あの人なら、コイツが相談したくなるのも頷ける。何て言ったって、見るからに頼りがいがあるからだ。きっと、素晴らしい助言を貰えたことだろう。
「あー、あのキリッてした美人の人だろ? 正直な話、ちょっと憧れてるんだよねー。で、さ。どんなアドバイス貰ったの?」
「それなんだけど、あんまり他の人に聞かれたくないから放課後にこっそり相談しようと思ってな。生徒会長以外は誰もいないのを確認して生徒会室に行ったら、何と会長は着替えなさってる最中だったという」
「は? お前、
……何だそれ、やっぱりコイツ
「そこから色々あって、生徒会長ヤっちゃった」
「だから何をどうしたらそうなるんだぁぁ!!」
前提条件が再び崩れ去る。この糞馬鹿エロ猿、生徒会長の着替えに発情して襲いかかりやがったな!!
「姉ちゃんと親友だし! それで何だかんだ俺も可愛がって貰えてたし! イケると思ったんだ!」
「バカじゃねーの、バカじゃねーの、バッカじゃねーの!? イケたらダメなんだよ! 義姉の責任とる話はどうなった!」
ただでさえ痛かった頭が、割れるようにギリギリと締め付けられる。いくら男は下半身で生きているとはいえ、限度と言うモノがあるだろう!?
……ああ、死にたくなってきた。親友だと思っていた男は、美人の下着姿を見ただけで襲いかかる猿だったのだ。こんな屑と仲良く学園生活を送っていた昨日までの自分をぶっ殺したい。
「これヤバイよな……やっぱ。自分でもヤバイと思ったけど、性欲を押さえられなかったんだ」
「死ね、死んでくれ……。そして金輪際二度と話しかけてこないでくれ」
「その会長にもさ、『今日までに男らしく責任はとる』と宣言したから待って貰えてる状態でな。そして今、その生徒会長様は返事を聞きに我が家の1階の客間で待ってるんだ」
「そんな危険地帯に親友を呼び込みやがったのか貴様は!?」
だったらこの家、もう既に修羅場じゃねーか!!
「なぁ親友。俺、どうしたら良いと思う?」
「知るかぁ!! もう詰んでるだろお前!」
そしてこの屑は、自らが助かるために親友を修羅場に召喚し仲裁役をさせようとしていた。何から何まで本当に、まるで救いようがない。
しかもその全てが自業自得じゃねーか!!
「で? 実際どうすんの? 二人に切腹して詫びるつもりなら、介錯くらいはしてやる。ただしそれ以外の貴様の頼みは一切聞くつもりはない」
「……それが、実はまだ話は全部終わっていないんだ。もう少し話を聞いてから判断してくれないか」
「ふざけんなよ、本当にぶっ殺すよ!? お前まーだ何か爆弾
男の話はまだ続くらしい。逃げたい。一刻も早くこの場から逃げ出して、平穏な日常に戻りたい。
今日は本当なら、今頃本屋で立ち読みして家でかーちゃんのうまい飯を食って、寝る前にちゃっちゃと宿題やって────、はぁ。現実逃避はこの辺にするか。
もう、巻き込まれてしまったのだ。この男の卑劣な罠にはまり、
「……良いから。話、続けろよ」
「分かった、続けるぞ。俺も俺なりに、知恵を絞って解決策を模索したんだよ。だけどさ、義姉だけならまだしも、他所様の家庭の娘にまで手を出してしまってはもう『個人間の話し合いで場を収められない』と考えてな」
「そりゃそうだよ。お前、女の親友二人を二股かけるってどれだけ罪深い事か分かってんのか? しかも自分を可愛がってくれてた先輩と義姉て……」
「分かってるって、反省してるってば。だから今回の一件、俺一人で抱え込むのは難しいと判断してだな。とりあえず、身近の人生経験豊富な大人に介入して貰うことにしたんだ」
「む、親に話したのか?」
「いや、流石に両親に話す勇気が持てなかった。それで……」
「……で?」
「それで、担任のゴリ男いるじゃん? 相談相手としてアイツが頭に浮かんだのよ。顔は不細工だけど面倒見良さそうだし」
「……おお。珍しくまともな思考回路じゃん」
なるほど。次は学校の担任教師に相談しに行ったのか。
ゴリ男と言うのはこのバカの所属するクラスの担任で、学年主任でもある
彼の好物はバナナらしく、
ただでさえ顔からして
その結果、彼の授業を受けた生徒の間では『実は教師ではなく学校で放し飼いにされている野生のゴリラではないか』『実は彼にバナナを与えるのはクラスで決められた飼育委員の仕事ではないか』等とまことしやかに噂されている。
そんな感じで半分ネタ、半分ガチで
「それで? ゴリ男は何て言ったんだ?」
「いや、それがだな。放課後、勇気を出してゴリ男のところに行ったんだが──、運悪く昼から出張してたんだよ。それで、結局会えなかった」
「あー……。そういや、今日は昼から見なかったなゴリ男」
「それで俺は考えた訳だ。こう言うプライベートな内容を、担任以外に相談するとしたら誰かってな? それで前々から狙ってた、あの美人な保健教師いるじゃん? 彼女に相談しに行った」
「……ん?」
「思春期の、少し性的な悩みですと前置きして義姉と生徒会長との情事をつつがなく相談したんだよ。いくら保健の先生とはいえ相手は女性、エッチな話をすることにより徐々にそういう雰囲気になってきてだな」
「……ちょっと待て。前々から狙ってたって何だよ!! 何でそこで無関係な女教師に相談するんだよ!」
────全然、まともな思考回路じゃなかった! コイツの頭のネジは、全て緩みきってるんじゃないか? 脳味噌が下半身まで落ちてきてるんじゃないのか!?
自分のクラスの担任居ないなら、他の同じ学年の担任教師とか生徒指導の先生とかいっぱい選択肢あるじゃん! 少なくとも保健の先生は違うだろ!
……というか『前から狙ってた保健教師』って。まさか、お前まさか!
「聞きたくない! そこから先の話を聞きたくない!」
「まぁ聞いてくれよ。俺は保健教師に、相談と称して弱味を見せつつ甘えてだな。狙い通りいい雰囲気になれたので、そのまま保健教師ともヤっちゃった」
「確信犯じゃねーか!!」
「そんな彼女は家庭訪問と称して、この後すぐにウチに来ることになってる」
「もうチェックメイトじゃねーか!!」
他人事とは言えそのあまりに酷い状況に、胃がキリキリと痛み出して血反吐を吐きそうになる。
もうやだ。コイツと話すの、もうやだ。可及的速やかにこの屑は見捨てて、一刻も早くこの場から逃げよう。
「自分でも調子に乗ったと思う、今は反省している。なぁ親友、何とかならんか」
「ならん! と言うか、本日付でお前との親友関係は解消する! 2度と話しかけてくるな!」
「頼むよ。名案が浮かばないなら、せめて俺と一緒に謝るとかさ。俺一人で下に降りると、バラバラ殺人で新聞沙汰すらあり得ると思うんだ」
「自覚があるなら最初からするな! そもそも何で無関係の人間が一緒に謝らされるんだよ! 死ぬなら一人で死ねよ、他人を巻き込むなよこの屑野郎!!」
とりあえず、一喝。もう、この畜生に見切りをつけた。これ以上は1秒たりとも、この馬鹿に付き合ってやる気にならない。
ペッと唾を吐き捨て、このエロ猿との話を切り上げ家に帰ろうと立ち上がった。全く時間を無駄にした。今までの学園生活で、コイツとつるんでいた時間を全て返してもらいたい。
「頼むっ、見捨てないでくれ! 俺にはもうお前しか頼れる相手がいないんだ!」
「この屑野郎、手を離せ! 屑が移ってしまうだろーが!! 死ぬなら一人で死ね、
だが、この男は未練がましく
「お前だけが頼りなんだ。この通り、今日を切り抜けられたら何でも言うこと聞くからさ」
「いや、今さら何をどうしようとお前が刺される運命は変わらんわ! 前もって救急車を呼んでおくくらいしか出来ることはない!」
「そこを何とか。今回の事件に無関係なお前にしか頼めないんだ。何とか、今日の修羅場を致命的な事態にならぬようヘイトコントロールして欲しい。お前になら出来るさ」
「お前どれだけハードなミッション出してるか自覚ある!? ダイ○ードでももうちょいミッションの難易度低いぞ!?」
軽率な行動で傷物にされた女性3人が3股かけられているのを知らされる話し合いを、無関係の人間が平和に場を収めることができたらノーベル平和賞取れるわ。
結論。
引き留める向こうも必死だが、逃げようとするこっちだって必死だ。此処に留まればこの世の地獄を見る羽目になる。
一方でこの馬鹿の手を振りほどきさえすれば、私に平和な日常が戻ってくるのだ。コイツが行方不明になったら、心の片隅で黙祷くらいは捧げてやろう。
────等と、呑気なことを考えていたのだけれど。
この時の私はもっと本気で抵抗すべきだった。恥も外聞もなく大声で叫びながら、全力で助けを呼ぶべきだったのだ。男女の筋力差と言うものを、私は甘く見ていた。
ドサリ、と音を立て。糞馬鹿エロ猿は、おもむろに私に覆い被さった。
「……ん?」
「大丈夫、お前なら出来るさ。いや、お前にしか出来ない」
そう、覆い被さりやがったのだ。
私の手を掴んだ男は、力ずくで強引に私を
「ちょっと待て? お前、何やってんの? 早く私を家に帰せよ」
「大丈夫大丈夫」
強烈な悪寒が、私の背筋に走る。鼓動が早鐘をうち、たらりと冷や汗が額を伝う。
男は何かを見定める様に私の身体を一瞥した後、ゆっくりと私にしなだれかかってきた。流し目で、含み笑いを隠そうともせずに。
そして男の手が、ゆっくりと私の腹を撫で始めた。
────あれ? 私、迫られてね?
「何が大丈夫だ! 何考えてる、何で私に迫ってきてる!? 今までそんな素振り無かっただろ!?」
「何だよ。くく、普段は男勝りなくせに案外うぶな反応するじゃん。────結構、可愛いと思うぜそう言うの」
「おま、お前、お前は馬鹿なのか!? 私にまで手を出したらどうあがいても収拾つかなくなるだろ! それこそ────」
「大丈夫、今はとりあえず俺に身を任せとけ。コトが終わったら、2度と俺に逆らう気が起きない様になってるはずさ。よしじゃあ、いただきます。……目を瞑れ」
「ちょっ、やだっ? ひぃ、どこ触って────」
何やら身勝手な事を言ってその屑は、許可もなく私の太股を撫で始めた。混乱の極致に達し、慌てて叫び声をあげようとするもキスで唇を塞がれてしまって。
「ふむ……いい湿り気だ、頃合いかな? じゃ、挿れるぞ。力抜け」
「にゃぁぁぁぁぁぁぁあ!!?」
強引にベッドに押さえつけられた私は、熱い何かに身体を支配されてしまったのだった────
「────とまぁ、こんな感じで自分の親友まで食べてしまってだな」
「キミは本当にどうしようもないな!?」
そんな惨劇の、数時間後。正座する下半身に魔物を抱えたその男の前に、ちょこんと小柄なおかっぱ頭の女子がジト目で学習机の椅子に腰掛けていた。
その表情からは、侮蔑以外の感情は読みとれない。呆れ果てている、と言った表現が的確だろうか。
「それで、その親友とやらは何と言ったんだい?」
「それがだな……。普段はガサツな癖して、奴も一応は女だったらしい。コトが終わり、いよいよ一緒に謝ってもらおうと交渉を再開したんだが……。その時既に奴の目が据わっていて、何を言っても『ヤったことの責任を取ってもらう』としか言わなくなったんだ」
「当たり前だよ」
「これはまずい、敵が増えちまったと思ったね。で、惨劇を回避するために
「それでボクの家に来られても困るよ!?」
男は心底『困ったな』と言った表情で、自らの年下の
一方で、その男から相談されている従姉妹ちゃんの顔は徐々に青くなり、引きつっていた。彼女はこの後の選択肢を間違えたら、致命的な事態になりうると察したらしい。
「さて。俺はどうしたら良いだろう?」
「取り敢えず、身の危険を感じるから一刻も早くボクの家から出ていってくれ」
従姉妹ちゃんは頭の回転は、決して鈍くはない。目の前の人間がどんな屑かは、先程の本人の話でよく分かった。そして彼女は、この先に起こりうるだろう自分の身に降りかかる不幸を読み切った。
────このままコイツを部屋に留めれば、自分は犯されるだろう。
「何でそんなに冷たいことを言うんだ、お前は親戚の家で殺人事件が起こっても良いのか? 俺達は従姉妹だろう、昔はよく一緒に遊んだものじゃないか。そんなお前まで、俺を邪険に扱わないでくれよ」
「むしろキミを邪険に扱わない女性が居るなら、会ってみたいもんだ。今日をもってキミとは親戚の縁を切るよ、一刻も早くこの部屋から出ていきたまえ。そして金輪際、ボクの家の敷居を跨ぐことは許さないから」
従姉妹ちゃんはそう切って捨て、目をつり上げて男を威嚇した。彼女も彼女で必死である。何せ、貞操の危機なのだから。
「どうしたんだ、何故部屋から出ていかないんだい?」
「それが、出られないんだよ。どうやらアイツら俺を追って、この家のすぐ外で囲むように待機してるみたいなんだ。だからこの家を追い出されるのは、非常に困る」
「そんなことは知らないよ。自業自得と言う言葉を知っているかい? 精々命乞いをして、君が傷つけた人達の前で土下座して謝りたまえ」
許してもらえるかは分からないけどね、と小さく呟いて従姉妹ちゃんはシッシッと男を追い払う。一刻も早く、この男から距離を置きたいのだ。
しかし残念ながら、そんな彼女の強行策は裏目に出てしまったらしい。
「これ、家から出たら八つ裂きだよな……。何とかして従姉妹を説得しないと……。仕方ない、背に腹は代えられん。こうなれば────」
「……ん?」
そして即刻退去を命じられた男は、うんうんと唸った後何かを決心したかのごとく頷いた。その目には、微かに怪しい光が宿っている。
と言うか、明らかに発情している様に見える。
「時の流れを感じるなぁ、ちょっと前まであんなに小さかったのに」
「あわ、あわわ、どどどこを触って」
────もう、彼女は逃げられない。
「……それでは、頂きます」
「うわぁぁぁあ!?」
~完~