白黒の方が楽。
ここは愛知県。不死身の町の外れにある。
殺人鬼と呼ばれる謎の存在は三重で確認された。僕らは電車に乗ってそこへ向かった。
そして、僕らは三重の中にある深い森の中へと入っていった──。
◆
「こんな所にいるのかなぁ?」と僕は嘆いた。
なんせ森が生い茂ったこの中は広い。それに視界も悪い。そもそも、殺人鬼がここにいるのかどうかも分からない。
みんな一緒になって行動してる。前を歩く僕に、着いてきている葵と紗來と……。あれ?愛がいない。
「あれ?愛は?」
「っ?まさかはぐれたのか?」と葵。
「戻りましょう!」と紗來。
そして、来た道を戻っていくのだった──。
うちは他のみんなよりも歩幅が短い。だからか、すぐに遅れてしまう。特に、こんな森の中じゃまともに歩けない。
「……。」
一人の少女がうちを見る。いや、本当にうちを見ているのかは分からない。
「誰…?」と思わず口が出た。
「そちらこそ、誰?」
「
その少女の名前は明里と言うようだ。彼女は片手に
「うちは愛。非公認で祓魔師やってるの!」この言葉を言った瞬間、明里は何か独り言を呟き始めた。
「……。分かった。」そう言うと、うちに向かって木刀を振り回す。
うちは木の陰に回り込みながら、避けることに専念した。何がなんだか分からない。
思わずうちは呪いの目をおおっぴらにした。─が、何故か明里には効いてない。その時に起きた動揺から動きが一瞬鈍った。
明里はうちの後ろに周り込み素早い刀捌きを魅せる。圧倒的な強さに手も足も出なかった。
「ウサ…… 分かった。もう終わりにするね……。」
…
……
………
「えっ?なにこれ?」
多分速く歩き過ぎたからはぐれたと考えた僕らは、道を引き返した。そして、愛を見つけることは出来たものの……。
愛は無様にやられていた。その姿が瞼に焼き付く。そして、怒りがこみ上げてくる。
「おい?大丈夫か?」と葵。
「……。う…うん、うちのことは気にしないで」と目を瞑りながら愛は言う。
───弱々しい声が僕らを余計に怒らせる。
そこに現れた一人の男。
上半身裸の厳つい男だった。ただ、年齢的に僕らと変わらないように見える。
「お前ら安倍祓魔師のやつらだろ?俺と勝負しろ!!」
その男は空を切るように手を振る。そうすると、斬撃となり僕らを襲う。当たりはしなかった。これは、宣戦布告の意味を持っていた。
「俺は
「何のこと?」と僕は言う。
「知らないのか?やはり、プライドもないのか?まじで癇に障るなぁ!」
僕らも苛立っているが、透も何故か苛立っている。その理由は分からない。何か理不尽な理由な気がするが。
「俺は愛をこんな目に合わせた殺人鬼を追う!」と葵。
「どういうことです?」
「あいつは愛をこんな目に合わせた奴ではないんだ!」
「そうなんですか?」
「まあ、アイツは綾に対して個人的に恨みを買ってるらしいし、相手をしてくれないか?」
「ええ?」
そう言うと葵はこの場を離れた。
そうして、僕と紗來で透を止めることになった。
「もう一度喰らわせてやるよ!」先ほどの斬撃をするらしい。
「喰らえ『三日月の斬撃』!!」
僕らは飛ぶ斬撃を避ける。もう腹を括って戦うしかない。その前に一つ言わせて欲しい。"ネーミングセンス無さすぎだ…"。
アイツじゃない!愛の受けた傷跡を見るにアイツではない。
武器は棒のようなものだろう。そういう跡がある。透と名乗るアイツは棒のようなものを持っていない。それに、アイツも祓魔師なら殺人鬼とされないはずだし、しないはずだ。
俺はふと地面にある足跡に気付く。愛をこんな目に合わせた殺人鬼はそっちの方へ逃げたんだ。
俺は追いかけることにした。ここは、綾に任せた方がいいと思ったんだ。
「俺は愛をこんな目に合わせた殺人鬼を追う!」
「どういうことです?」と綾。
「あいつは愛をこんな目に合わせた奴ではないんだ!」
「そうなんですか?」
「まあ、アイツは綾に対して個人的に恨みを買ってるらしいし、相手をしてくれないか?」
俺は殺人鬼の残した足跡を頼りに見つけ出そうと必死になって走った。
◆
足跡の終着点……。そこにいたのは、一人の少女だった。
虚ろ気な目。少しだけ赤が混じった茶髪の、長い髪に唐紅の髪飾り。赤いチェックのミニスカート。パーカーつきの白い上着はミニスカートの丈まで伸びてあるぐらいに大きめ。
そして、片手には兎の小さなぬいぐるみを抱え、もう片手には
木刀に足跡の終着点にいたこと──。殺人鬼かどうかは別として、愛をあんな目に合わせた犯人に間違いなかった。
「お前ぇが……。愛をあんな目に合わせたんだな?」
「……。あの女の仲間…。……なるほど祓魔師…。倒すしかない……」
いきなり襲いかかってきた。俺は鉄パイプによって攻撃を受け止めた。
「お前。"殺人鬼"だよな?」
「そう言われているらしい……」
「それじゃあ、手加減はなしでいいな!」
どこを眺めているのか分からない。多分、俺を見てはいないだろう。そんな感じだった。
俺はそんな殺人鬼に向かって言う。
「俺は祓魔師のバイトをやってる"葵"だ!お前を捕まえる。」
「……明里…。こっちはウサ…。」
俺と殺人鬼である明里との勝負が始まった。
俺は自身の世代の中で3番目に強いとされていた。そして、殺人鬼とまで評された程の実力を持つ明里。お互いに一筋縄ではいかない。
俺の方が威力は高い。
まず俺は鉄パイプで明里は木刀。さらに、俺は両手で振っているのに対して、明里は片手。何より、男と女では力の差がある。
受け止めることなど出来ない。
だからか、明里は俺の攻撃を受け止めようとはしなかった。木刀を上手く扱って俺の攻撃をいなしている。
一発が重い俺の攻撃は隙が出来やすい。明里はその隙を狙って攻撃する。俺の体は木刀に撃たれ傷ついていく。
───ここで倒れる訳にはいかない。
順調に糸は張り巡らせれている。このままいけば、明里を捕らえることが出来る。
「…。糸?」
俺は明里のその言葉を聞いて動揺してしまった。ついに、糸の存在に気付いてしまったのだ。
明里は巧みに俺の糸を
「仕方ないな!次の手を打つしかない!」
俺の
「見せてやるよ!」
「……。…」
「『
もう俺の眼中に──明里はいない。地面や木に向かって攻撃するだけ。途中で邪魔が入るのなら吹き飛ばすだけだ。
吹き飛ばすための攻撃は上手くいなされるが、そんなものどうでもいい。このフィールドに糸を張り巡らせることさえ出来れば──。今や敵に攻撃するという概念などどうでもいいことなんだ。
「さあ完成だよ……」
「…糸のフィールド……。…」
「ああ、そうだ。もうここは俺の
「『
俺が暴れていたのは全てこの為だった。俺に有利な状況を作ること。
糸は地面や木によって折り返して、この近くは糸が張り巡らされている。所々にある糸を踏んでいくことによって、空中戦に持っていくことが出来る。
糸が邪魔になることでむやみやたらに動けなくする。俺は糸の位置を全て覚えている。糸は邪魔にならない。
敵は動けないのに俺は動ける。これなら、勝てる……。
俺はこのフィールドで自由に動く。明里は動けない…。と思っていたが、何故か糸を上手く利用している。
明里はこのフィールドで華麗に動く。ただ、完全に網羅している訳ではなく、俺の動きには劣る。俺の攻撃をいなすが、そこに出来る隙を狙った攻撃は出来ていない。
「まさか、このフィールドに適応するとは……
さすが殺人鬼と呼ばれる程だ。まさに、プロだな」
それでも、このフィールドに適応しているのは"さすが"と言わざるを得ない。
争いは激化する───。
今、殴り合いが
そう、これはよくある喧嘩と同じだ。
───
──
─
「どうだ!」と三日月の斬撃(笑)を魅せてキメ顔の透。
僕と紗來はネーミングセンスのなさに「ださっ!」と声を出してしまった。
「うっ…うるせぇ」慌てふためく透。
「まあ、殺人鬼じゃないなら帰って欲しいかな」とやんわりと帰らせようと持っていった。
「陰陽師の恥さらしめっ!俺はお前が気に食わない。その面を是正してから帰ってやる!」
「まあいいよ。僕はまだアルバイトだしね……」
《アルバイト》という言葉が駄目だったらしい。
「祓魔師は非公認じゃ許されないだろうがぁ!!
全国にある祓魔師会社は俺らの会社を含め5つ!そして、国。なのに、段々増えていく祓魔対象。まさに、人不足。
アルバイトのような非公認は許されない。が、取り締まれない状況を利用して許されない行為をしてるんだな?だよな!?
俺は祓魔師の一員として、祓魔師の原点であろう陰陽師の代表する一員として、安倍一族との正式なライバルとして一言言わせてもらう!!」とここまで早口。
僕は全くついていけない。
「お前にはプライドがないのか!!?」
「・・・ない。」いや、考えたけど、それしか思いつかなかった。
僕にプライドなんかないし、そんなこと考えたけことなかった。
《ない》という一言がさらに透を怒らせた。
ついに、僕を殴ったのだ。眼鏡は割るし、痛いし、頭にきそうだ。
「今日は三日月。そして、昼。満月の夜じゃなくて良かったな!」と上から目線で言われた。
ムカついた。僕は殴り返した。
するとどうだ?結構ダメージを食らっている。だから、僕は言い返してやった。
「そっちも同等じゃないか?」
透は再び殴る。僕も殴る。そして、小競り合いが始まった。
─
──
───
殴られたから殴り返す。そして、始まる小競り合い。後から思い返せば、くだらない喧嘩であった。
喧嘩は僕の殴りによって、透は戦意喪失となり、僕の勝利で終わった。
「体力テストの結果がEでもやれる時はやるんだよ!」
そんな言葉で締めくくった。
「それ威張るものじゃないし、それと馬鹿のお遊びは終わったの?」紗來は呆れている。
「勝ったよ…僕」
「だから?小学生みたい…」その一言が、僕の心にグサッと来た。
「まあ、先に行った葵を追いかけようよ」と話を転換させた。これ以上は僕の心が持たない。
「愛を運ぶのお願いするわ」
「分かりました」
僕らは葵を追いかけようとした。
「おいっ!まだ終わりじゃねぇぞ」と透の声。
まだやる気の様子。さっきまでノックダウンしていたのに……。
「負けたんだから引いてくれる?」
「俺はまだ本気を出していない」
「何?」言い訳に聞こえた。
もう一度、戦おうとするのかなと思ってしまった。無駄にプライドが高いから有り得ない話でもない。
「俺は狼男なんだよ!」
透はそう言うと、何やら毛のようなものが現れていく。
透は新たな力を解き放とうとしていた。リベンジのために、また戦闘になると腹を決めた。
「魅せてやるよ!狼男の力をな!!」透の低い音が響き渡る。
────to be continued────
キャラ紹介
ライバル:芦屋 透
【身長】183cm
【外見】野性味に溢れた普通の男性
【年齢】19歳。綾と同学年か1、2つ違うかぐらい
【趣味】釣り
【能力】邪気。霊気。元気
【技】狼男化。憑依召喚、憑依操。回転スーパー蹴り。