平塚先生に頼まれていた資料を運んでいるとき、曲がり角で誰かとぶつかった。
盛大にドンッとぶつかったため私は尻餅をつく。
「oh,sorry.Are you okay? Are you injured?」
「へ……?」
綺麗なソプラノ声で紡がれた突然の英語に私は驚く。
きょとんとしている目の前の綺麗な彼女。しばらくすると、ああと一人納得したようで改めて私に話しかける。
「大丈夫? 怪我はない?」
「え、うん。大丈夫だよ。そっちこそ怪我はない?」
「うん。別に怪我はないよ」
髪を耳にかけながらそういう彼女はどこか見覚えがあって、思わず口出てしまった。
「……ゆきのん?」
「? ゆきのん? 誰?」
まただ。
また、どこかゆきのんに似ているところがある。
ふと、よく見れば髪の色も顔の形もよく似ている。性格はゆきのんに比べて少しドライで髪も少しゆきのんより短いけど、そこを除けばほとんどゆきのんとあまり変わらない。
「ん? ああ、もうこんな時間。ごめんなさい、私はもう行かないといけないから。じゃあ、またね」
腕時計を確認してから彼女はそう言い、くるりと身をひるがえしてこちらを一切振り向かずにどこかへ向かっていった。
本当に彼女は、雪ノ下雪乃とよく似ていた。
◇ ◇ ◇
「ふむ、なんというのか……
デスクの上に置かれている書類を見れば、雪ノ下雪乃にとても似た女子生徒の写真が貼られているものが一枚置いてある。
その書類を見て私はため息をつく。
イギリスの学校から来た書類を見ると、「
これがすべて物語っているように、彼女には協調性のかけらがまるで見られない。多数で行動するよりも一人で行動することを好む。まるで目の腐ったあの生徒のように。
となると、彼女も「
「失礼します。平塚先生はどちらにいらっしゃいますか?」
「ここだ」
噂をすればなんとやら、と呼び出していた彼女が来たらしい。とりあえず適当に理由をでっちあげて入れるとしよう。
「それで、どうしてここへ私を? というより、私は一応ここの学生ですけどまだ正式に入っているわけではないはずですけど。一応今日は下見としてきているだけだというのは先生もご存じのはずですが」
相変わらずのこの態度である。教師に対して敬いの一つすらないとは。
「いや、君言うことがあってだな」
私の言葉に頭に?を浮かべながらこちらを見つめる夏乃。
「たった今、イギリスの学校から君の資料が来たのだがな。うむ、君は少し人格面で問題があるようだ。となると、君にはとある部活動に入ってもらうことにする」
「……それ今適当に作った理由とかじゃないですか? まぁ別に私としてはどちらでもいいんですけど」
彼女は、こちらをジト目で見ながらため息を吐き、うなずく。
「君は次の週から学校に来る予定だったな」
「ええ、そうですね。とはいっても残り三日ぐらいですけど」
皮肉を込めながら返してくる。相変わらず愛想がない奴め。
「では、その時に部室へ案内するとしよう。では気を付けて帰りたまえ」
「わかりました。では失礼します」
そういって彼女は職員室から出ていく。
彼女も彼と出会ったら変わっていくのだろうか。
少し楽しみな私もいる。