雪ノ下雪乃の妹   作:Ginkaaaaaa

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訂正 10/31


EP.2 彼女と彼の会合

 転校初日。

 平塚先生に連れられて、F組と書かれている教室の前に来た。てかあなたがHRの担当なんですね。

 

「雪ノ下、私が呼んだら入ってくるように」

 

 一言、そういうと先生は教室へ入っていった。

 後姿はなんともかっこよかったけど、普段の様子を思い浮かべると、やっぱりなぁとなる。

 

「では、入ってこい」

 

 これが合図だろう。そう思った私は教室の扉を開けて入る。それと同時に私に向けられる好奇の視線。

 それらの視線を無視して、先生の隣、ちょうど教卓の前まで歩く。

 

「自己紹介」

 

 一言だけそういわれた。単語しかないその簡素な説明に呆れながらも、口を開く。

 

「どうも、雪ノ下夏乃です。変な時期に編入してきましたがよろしくお願いします」

 

 自己紹介はシンプルに。余計な情報は伏せて、必要なことだけを言う。

 これからクラスメイトになるであろう人達を見ていると、何やら待ち望んだ顔をしている。

 まさかだけど、まだ自己紹介が続くとでも思っているのだろうか。

 

はぁ……。以上です」

 

 私がそう言うと周囲からえー、といった落胆の声が聞こえる。

 

「ちなみに雪ノ下はイギリスから来た。いわゆる帰国子女というやつだな。英語が苦手な生徒は聞きに行くといい」

 

 先生の言葉に驚く。余計なことをしてくれたものだ。別に帰国子女ということを隠していたわけではないが、これで本当に英語を聞きに来る生徒がいたらこちらとしても対応に困る。

 

「まだ少し時間が残っているな……。よし、質問時間とする。質問したい人は挙手するように」

 

 先生の言葉に反応するように、いくつか手が上がる。

 

「ではまぁ適当に。由比ヶ浜」

 

 先生に指名された生徒は明るい茶髪のどこか見覚えがある女の子だった。

 

「は、はい! ゆきの、雪ノ下さんは姉か妹はいるんですか?」

「……これって答えなきゃダメで……ナンデモナイデス」

 

 教卓で巧妙に隠れているが、この教師握りこぶしを握っていた。どうやら答えないとそのこぶしを私のおなかにクリーンヒットさせるらしい。

 

「……姉が二人います。とはいっても一人は誕生日が少し違うだけで同い年ですが」

 

 正確には数分。姉がぎりぎり3日で、私がちょうど4日。雪が降る日だったらしいけど私は覚えていない。

 とはいえ、こういう情報を答えるのは好きではないので、最低限の情報だけ答える。

 

「もしかして雪乃って名前じゃ?」

 

 ぴくっときた。

 あまり聞きたいとは思わない名前の一つだ。

 だから思わず声が低くなってしまった。我ながらまだ幼稚だった。

 

「どうしてその名が?」

 

 本当に幼稚だ。

 ただの嫉妬を誰かに当てるなんて、本当に醜い。

 

 教室の空気が明らかに変わった。少し和やかな雰囲気が、冷たく喋る者を刺すような冷たくて鋭い空気に。

 

「……ふぅ。ごめんなさい、少し頭に血が上ってしまった」

「とりあえず自己紹介はここまででいいな。では解散」

 

 先生の言葉にみんなが各々が席を立ったり、机の上に次の時間に使う教科書を用意し始めた。

 

「雪ノ下。言うのを忘れていたが、お前の席はあそこだ」

 

 先生がそう言って指さしたのは伏せている生徒の隣の席。

 

「どうしてあそこだけ空いているのでしょうか?」

 

 廊下側の前から三番目の席って空くことはないと思うんだけど。

 

「それは知らん」

 

 教師としてそれはどうなのでしょうか?

 

 

 

    ◇    ◇    ◇

 

 

 

 目が覚めて、隣を見ると、知らぬ人。

 

 

 川柳ができた。川柳と俳句の違いは季語があるか、ないかだから覚えておくと得だ。それはともかく、目が覚めて隣を見たら本当に知らない人がいた。噂の転校生とやらなのだろうか。

 

 じっと見ているとふと、その横顔には見覚えを感じた。つい最近、ずっと見ていた何かのような感じだった。

 

「人の顔を見て何をしているの? もしかして趣味が人間観察?」

 

 人を小ばかにするような感じの言いように、声音。本当に聞き覚えがある。

 

「聞いているの? 人の話は聞くものよ。小さいころ習わなかったかしら?」

 

 呆れた目でこちらを見てくる彼女に、ようやく言葉が出る。

 

「あいにくと小さいころ教えてくれるような人が身近にいなかったんだよ」

 

 我ながら悲しくなる皮肉。相手に皮肉を吐くと自分にもダメージが返ってくるってどういうことなんでしょうか。

 

「そうだったの。ところであなたの名前は?」

 

 俺の皮肉をそう、の一言でスルーするところ、本当に興味がなさそうですね!

 

「人に名前を尋ねるときはまず自分からって小さいころ習わなかったの?」

 

 先ほど、彼女が言ったセリフを返す。

 呆れた目で見ていた彼女が今度は驚いた眼でこちらを見つめる。

 

「さっき自己紹介したんだけど……。もしかして聞いていなかった?」

「まじ?」

「まじよ」

「…………」

「…………」

 

 しばらく沈黙が流れる。

 そのうち、彼女がため息をつき、口を開く。

 

「雪ノ下夏乃。あなたは?」

「比企谷八幡。……雪ノ下?」

 

 雪ノ下ってあの雪ノ下か? J組の奉仕部部長で、よく人に皮肉ばかり言うあの氷の女王の名字か?

 

「もしかしてお前、姉か妹に雪乃って名前のやついないか?」

「いるよ、姉だよ。本当に何も聞いていないっぽいね」

 

 彼女が首を振ると同時にチャイムが鳴り響く。

 心なしかその顔は険しい。もしかして俺は地雷を踏んだ?

 

 そんな雰囲気を壊すようにチャイムが鳴り響り続ける。今回ばかりはナイスとしか言えない。

 

「知ってる? よく聞く学校のチャイムの音はイギリスのビックベンの鐘の音が元ネタなんだよ」

 

 彼女はそれだけ言うと、前を向いて授業の支度を始めた。

 

 こうしてみると彼女は雪ノ下の妹だけあって、よく似ている。横顔なんてまさに雪ノ下だ。髪の長さはどちらかというが陽乃さんに似ているが、雰囲気は雪ノ下の鋭利な感じにとても似ている。が、陽乃さんにどことなく似ているところがある。

 今のところ、苦手ではないが、得意でもないといった感じだろうか。

 

 まぁどちらにせよ、あまり俺と関わることはないと思うが。

 

 

 

 




 ただの人間です。さん

 ☆9評価ありがとうございます。

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 非公開の二人方もありがとうございます。
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