カリスマの無いガルマ【完結】   作:ノイラーテム

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前半、少しギャグが入ります


第八話(前編)

●戦力比の逆転

 デザイナーは『キュベレイの中身はザクっすよ』と言ったらしい。

言われてみれば、特徴のあるアーマーを外すとなるほどザクのスタイルだった。

ウイングを外したショルダーはザク独特の四角さで、フロントアーマーやファンネル・コンテナを外した腰も同様だ。

 

 何が言いたいかと言うと、目の前にガルマ専用ザクがある。

御丁寧にキシリア姉上が造らせたものらしい。

お陰でノリスに渡せなくなったので、彼へ渡す機体はギニアスの元に受け取りに行かせるしかない。

 

「ガルマ様に似せて調整しました、カルラと申します」

「東洋の鳥神だったかな? 返礼に姉上へ……そうだな。カリョーヴィンとでも名前を付けた機体でも贈ってくれ」

 そのモビルスーツには、やはり特徴的な装甲がある。

将校用のハーフコートに似たショルダーバインダー、クルクルできそうなヘッドホーン。

さすがにファンネル・コンテナはないが、足にホバーモドキ(回避ステップ専用)が付いている。

「ええと、東洋の詩鳥でしたっけ?」

「カーウイン嬢はその歳で物知りだな。外見は姉上に似せておいて欲しい」

 疲れた表情を隠すので手一杯。

凄腕の技術者……しかもロリだよー。が来た事を喜ぶ事もできなかった。

できればこんな物よりも、陸戦ザクがもっと欲しかったとです。

戦いは数ですよ姉上……。

 

「まあいい。君らが持って降りたパーツで建造出来る機体と、アフリカから合流する機体で戦力は揃うだろう」

「そうですね。キシリア様は精鋭である、ウルフ・ガー隊を送るとおっしゃられていました」

 ……たしか犯罪者中心の部隊じゃ無かったかな?

謀ったなキシリア! と言いたくなる気持ちが高まって行くのを感じた。

闇夜のフェンリル隊は来ねーのかよ。と言いたいが、居てもオーストラリアの足止めだろうな。

ビッター司令がロイ・グリンウッドかロンメル派遣してたらラッキーだと思おう。

「こちらが名簿と機体のリストになります」

イフリートモドキ(イージーエイト)と姉上の親衛隊はともかく……志願兵?」

 嫌な顔を見た。

イフリートに似せた陸戦ザクはまあ助かる。というか前に聞いた。

ショットガンとかホバーモドキがあるから、戦力としてはかなり強そうだ。

 

 問題はメンバー構成にある。

犯罪者の代わりに志願兵になっているが、腕前を前提にしたことで別の問題が発生したのだ。

隊長のヘンリー・ブーンはキシリア親衛隊だが反乱疑惑持ち。

一人は言うまでも無くアイナで、軍属から軍人決定。死ぬかもしれない任務なのに。

一人はトーマス・クルツで確かにエースなのだが、性格的に問題があり過ぎる。

そして副官役に任命されているのが、サイド2士官学校出の……色んな意味で重要人物であった。

 

「腕の立つ方ばかりですよ?」

「アイナは知っているし、この副官もサイド2で見たことはあるさ。しかし連中が名家の跡取りを良く手放したな」

 何故此処に来る、シロー・アマダ。

しかもアマダ家はサイド2の名家って……。

「ガルマ様もザビ家の出ではありませんか。ならなおかしなことはないかと」

「君もな。ふむ、サイド2も、いよいよジオンに……いや宇宙市民の為に立ちあがる気に成ってくれたか」

 しかし、言われてみれば納得できる。

設定では休暇中に家族とバカンスしててガスを撃ち込まれた筈だ。

それに劇中作補正を削った後でも処刑されないとしたら、名家の出で殺すわけにはいかないというのは理由に成るだろう。

 

 なるほど、宇宙世紀のロミオとジュリエットだったわけである。

 

(……くそっ。こんなことならギニアスと仲良くして、婚約とは言わんが前提に付き合っておくべきだった)

 いや、そうしたらNTRされていたというのか?

落ち付け。まだだ、まだ終わらんよ!

(まだ遅くない。というか下手に引いたら後押しになる。自分を信じるんだ……)

 そもそもアイナとシローが仲良くなっているとは限らん。

キリマンジャロの戦いで接近しているかもしれんが、私はもっと前から仲良くしているじゃないか。

(……この世に自分程信じられんモノがあるか!?)

 思わずヨコシマな気持ちが爆発しそうになったところで、まずは落ち付くことにした。

良く良く考えれば『いいなー。仲良くしたいなー』とは思っていても、アイナに惚れて居た訳じゃない。

 

 そんな言い訳をしながら、成り行きに任せることにした。

現実逃避したとも言う。

それになんだ、馬鹿話に振り分ける暇などなくなってしまう。

 

「ガルマ様! 前線から急電です!」

「ユーリからか!? それともシーマからか?」

 できれば片方からにして欲しい。

そうは思いつつも、モビルスーツが待ち受けていたのだろうなと予感した。

結果として、想像以上の被害が出て居たことを知ることになる。

「フランス・エリアに入城させまいと、モビルスーツ隊が展開。これを側面から叩こうとした所へ、ザンジバルが狙撃されたそうです!」

「なっ……! ザンジバルは、いや、シーマと海兵隊は無事なのか!?」

 装備も惜しいが人材はもっと惜しい。

ザンジバルはともかく、所詮、旧ザクと対核装甲を外して居ない旧バージョンだ。

 

 彼女たちが居れば、また海兵隊を再結成できる。

そういう意味では、綺麗なままのシーマ様と、熱烈な信者の揃う腕っこき達。

その無事が危ぶまれたと言っても良いだろう。

 

●孤立する戦場:前編

 各方面に伝達を飛ばし、急いで情報の精査を始めた。

通信室を確保できたところで、まずはユーリから話を聞くべきだろう。

 

「シーマが着いたら災難だったな。と言っておいてくれ。俺の方から全員にビールを奢るとも」

「私の方で半分持ちますよ。……ところで戦況は?」

 ユーリの表情は芳しくない。

その様子から相当な物だと理解はできた。

だが形式上で名ばかりとはいえ、総司令である以上は聞かざるを得ない。

「連中は性能を捨てたぞ。雑魚の数を揃えてテルシオを組みやがった」

「……簡易ファランクスですか? 新編を補う為でしょうね」

 テルシオというのは中世が終わり、銃を組み入れることが始まった時代の編成だ。

新時代の編成という意味であり、その中核は陣形を揃えた歩兵。そして銃に寄る援護を前提にして居る。

この場合はモビルスーツで陣形を組み、戦車……大型戦車の援護を指して居るのだろう。

 

「とてもまともには突破できん。そこで迂回をシーマに頼んだら、雪山で狙撃された様だな」

「……地元を雪崩に巻き込んでまで? 連中、正気なのか?」

 送られて来た資料を眺めると、反撃で倒したザニーのパーツが見つかったらしい。

まだ雪の残る山でドンパチやったお陰で、周囲の村では大ごとになっているのだとか。

「仕方ありません、直ぐに第二戦線を押し上げます。それで敵の一部を引きつけましょう」

「すまん……いや、申し訳ない。本来ならば総司令にやらせる仕事じゃないんだが……」

 間も無くドイツ・エリアの制圧が終わる。

見つかる事を前提に、奇襲だけは避ける道を通れば大丈夫だろう。

そうすれば敵も部隊を割かざるを得ず、密集する事で練度を高め、火力を集中させている連邦の戦力を削げる筈だ。

 

 とはいえ暫くザンジバルはガウ一隻。

改だからカーゴベイがあるといっても、ミノフスキークラフトの分だけ宇宙よりも少ない。

こんな時に頼りになるノリスは、JS型の受け取りと慣熟訓練で帰って来ない。当然、我儘なエースは言う事を聞かない。

心もとなくなった手持ちの戦力を確認し、溜息を吐かざるを得なかった。

 




 と言う訳で本格的にモビルスーツが出て来ます。
次回は戦闘ですが、大幅に減った戦力で何とかする必要が出て来ました。
あと一週間くらいは増援来ないのに、今、戦力が重要だから総司令が前面に出ると言う。
これも空気を読まずに専用機を送って来たキシリアが悪いんや。

●シロー・アマダの扱い
 サイド2士官学校に通っていたボンボンで、劇中では連邦軍に参加。
この作品ではサイド2がジオンに協力することになったので、彼はジオン軍の志願兵である。
何気に名家の出身であり、アイランド・イフィッシュに彼の家が管理する屋敷があるという設定にしてます。

●新ウルフ・ガー隊
 ゲームでは犯罪者中心ですが、本編で書いた通り志願兵中心です。
それも腕前があることを前提にしたので、みんな一癖も二癖もあると言う。
トーマス・クルツは亡命者であり、志願せざるを得なかったので、この部隊に参加して居ます。

●JS型
 対核隔壁・電磁波防護・宇宙用の装置などを取っ払い
代わりに装甲・出力・推力を全体的に強化したモデル。
ハードポイントに加えて、このモデルからバックパックの変更が可能になっている。
変更可能なのは通常のバランサー・ザック、キャノン・ザック
そして強化バーニアであるジャンプジェット・ザック。
イフリート・モドキはジャンプジェット・ザックを選択肢、足にボバーモドキ(ステップ回避)を設置し、ショットガンやサーベルで戦う駆逐仕様である。
 他にはイアン・グレーデンが使う対空用のラピッドタイプ、ガルマのカルラが存在する。
ジャコビアス・ノードが居るなら、やはりキャノンだろうか。

●カルラ
 ガルマにそっくりなザク。
キュベレイの肩が少し短く、空は飛べずにホバーモドキが付いている感じ。
武装はキャノンザックをベースに、マゼラトップ砲とハルバードのコンパチ。
色も茶色なので、パっと見には量産型キュベレイに見える。
 モデルはRPGガンダムだったか、そんな感じの雑誌に載って居た
キシリアに献上される予定だった、カリョーヴィンというモビルスーツ。

●ザニーのテルシオ
 性能向上なんか投げ捨てて、数を頼んで戦闘。
というよりも早期に建造、大量生産の為に、予め融合炉・武装・盾・装甲を別目的に量産して居たので、調整が追い付いていません。
これを補う為に、密集隊形で圧倒します。
(ジオン側に大型砲が無いので問題無い)
四方には大型戦車による援護を付けて、訓練期間中も生き残れるように配慮されて居ます。

●明らかに来ない人達
 闇夜のフェンリル隊、ヴィッシュ・ドナヒュー、ランバ・ラル隊。
彼らは北京 → インドネシア ←オーストラリア という足止め・戦線収縮の為に頑張ってるでしょう。
あとシャアは居ても方陣突破に向かないのと、下手に功績あがっても困るので来ません。
コードネームは鶏肋と言う感じで、厳重に管理されている模様。
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