●戦後処理と、再編成
ヨーロッパ戦線は無事に収束を迎えた。
暫しの停戦の間に、ユーリ率いる主力をロシアの守りに向かわせる。
後はザンジバルさえ修理できれば……という状態なのだが。
どうしても介入者の存在による、新たな火種が不気味に感じられた。
「まさかとは思いますが、そういう事でしたら……。あの二人には早い段階で声を掛けるべきだと思います」
「私もそう思います。兄やシーマ様はむしろ本部の結束が固まってからの方が良いかと」
シローとアイナを側近に迎えて、最初に懸念を話した。
勿論あくまで、内通者が居るか、議会ですら反対する大事を企んでいるというレベルだが。
そして二人からは、司令部改め統括本部に務める、直轄部隊の隊長達にも話すべきかどうか、率直な意見が提案された。
「兄には目標が、シーマ様には家族とも言える部隊を養う必要がありますから」
「確かに本部の意見が一つにまとまって居なければ、勢力にすらならないからな。それなのに協力してくれとは言えんか」
私一人ではいつ話を切り出すか。
イアン・グレーデンはともかくジャコビアス・ノードはどうするか。
色々と不安でいつまでも話さない可能性があるし、考える切り口も増える。
二人を協力者に選んで相談したことは、何よりの成果だったかもしれない。
そしてウジウジと悩まずにさっさと行動する事が、成果を発展させる可能性もあるだろう。
何しろ私が動かない間に、連邦と内通した連中は、自分達の勢力を広げられるのだから。
ギレン閥であればガトー達をドズルの元から引き抜くだろうし、キシリアであればキマイラ隊やNT部隊などを、だ。
(シャアに付いても話し合うべきか。しかしその場合は正体を告げざるを得ん)
その正体であるキャスバル・レム・ダイクンはジオンにとって爆弾だ。
時期によっては有効なカードにも、致命的なカードにもなる。
伏せて置いたままにしたいが、他の介入者が公開する可能性もあるので時限爆弾と言えるだろう。
「ガルマ様。どうなされました?」
「いや、大したことでは……」
「問題無いのであれば話していただけませんか? 我々はもう、一蓮托生ではありませんか」
先延ばしにしようとした所で、アイナが気が付きシローが攻めて来る。
できればアイナに一蓮托生と言って欲しかったなーとか思うのは贅沢だろうか。
ふうと溜息を吐きながら、どこまで話すか整理する。
そして息を呑んで決意を固めると、一気に話し始めた。
「ダイクンの御曹司がジオンに居る可能性がある。できるだけ放っておいてやろうにも、気付いているのが私だけとは限らん」
「それは……。確かに判断に悩みますね」
「でしたら、さしあたっては匿うと約束するとして……その方の為になることに協力してはいかがでしょうか?」
悩む事に同意するシローとは逆に、今度はアイナが攻めて来た。
難しい事を言ってくれる。私に殺されろとでも言うのだろうか。
「さすがにそれは……。っ!? いや、その通りだ。アイナ、よくぞ言ってくれた!」
「が、ガルマ様!?」
発想の転換に至り、私は思わずアイナの手を握り締める。
その事にも気が付かず、彼女と手を繋いだことよりも想像した事に興奮してしまった。
そうだ。シャアは思いつめて行動し、その後になって、むなしくなるタイプだ。
ならば介入者であると告げるかはともかくとして……。
事故で死に掛けた時、以前の自分は死んだとでも言っておこう。
言葉の綾ではあるが、精神的な死で価値観が一変し、宇宙市民のことはともかくザビ家などどうでも良い。
シャアが総帥になりたいなら後押しをするし、私を操りたいなら好きにしろと言うことにしよう。
(奴が嘘を見抜いたとしても、ガルマの中身が死んだことも、ザビ家がどうでも良いのも本当だしな。ドズルはともかく他の二人はアレだし)
ギレンとキシリアはどちらかが介入者の可能性があり、そうでない方も極端な独裁者だ。
シャアが復讐するならばまあ、手を貸す事自体は悪くない。
少なくとも介入者を排除する段階で、どちらかとは戦わねばならない。
(問題なのは内通してるし、キシリアが介入者である可能性が高いことかな。その場合は奴を排除した時にシャアの正体がバレると、ギレンから一緒に始末されかねん)
一番良いのはギレンが介入者で、キシリアと一緒に排除する事なんだけどな。
小説でもホワイトベース隊と手を組んでるし、話し合う余地があるだろう。
「いずれにせよコレは極秘事項だ。確証が取れるまでは誰にも内密……そうだな、協力してくれそうなランバ・ラルに会う事があればくらいか」
「了解しました。接触するとしても気を付けておきます」
こうして内密の話を終えると、事務処理を行いながら今後の話を進めることにした。
●アプサラスの完成にも、発想の転換を
ジャコビアス・ノードとイアン・グレーデンは、驚きつつも協力を約束してくれた。
やはりベルファストを落とした時に、明らかにありえない物を見た衝撃が大きかったこともあるだろうか。悩んで居た自分が馬鹿だと思えるほどだが、アイナ達の助言が大きかったと思おう。
そして東欧から機材を回収したギニアスを迎えることで、流れは一気に加速する。
彼が仲間になれば、それなりの戦力になる。シーマ様も頷いてくれる可能性が高まる筈だ。
0083の時はスレているし未来への見通しが立たなかったが、今ならば綺麗なまま。
そして、こちらが正当派なのだから。
「連邦のフレームを見せてもらったが、面白いアイデアだ。君はどの程度を見込んで居る?」
「今の段階では数%。ですがこれは成果を積みあげるモノでしょうね」
肝心の話をしたいのだが、まずは彼のネタに乗っておく。
不機嫌な状態よりもノリの良い時に話を持ち掛けるべきだし、私ならばアプサラスにGoサインを出すとすれば協力してくれる可能性は高い。
「機動性のみに絞れば相当な物でしょうが、全体では二割という所かな? しかし最大のポイントは開発力でしょう」
「その通り。フレームが自ら動くことで機動性が増すが、別個に開発して、幾らでも炉心やセンサーなどを搭載できる」
まあ、一つ一つはその辺のモビルスーツでも可能だ。
無茶な機動ができるのは大きいが、黎明期の今は使いこなせるパイロットの方が居ない。
むしろ最初から入れ換え可能で、完成品を即座に組み付けられるのは大きいだろう。
「やはり面白いのは発想の転換でしょうね。これの流用を考えていたのですが、貴方に見せてもらったアプサラスでも応用できそうです」
「ほう……。それはどんな方法かな? 先にこのフレームを見た者の感想を聞きたい」
やろうと思えば可変機も可能なのだが、絶対に脇道へそれるので黙っておく。
そしてアプサラスの話題に移すと、案の定、ギニアスはノって来た。
開発に関しては自分の方が専門家という自負はあるだろうが、発想の転換と言う言葉を出した後だ。実際にフレームという概念を見て、自分ならどう使うか考えているのだろう。
「そうですね。この計画にGoサインを出すならば、名目上はそのままアプサラス計画としてください。その上でアプサラス・ユニットをアイラーヴァタ、船体をインドラとでも名付けましょうか」
「船? それに、その名前は確か……」
モビルアーマーの開発計画なのに、船の名前を出されてギニアスは面食らった。
だがインド神話から取ったコードネームを思い返す事で、少しずつ理解を強めて行く。
そう。アプサラスは別に、モビルアーマーである必要はないのだ。
ジャブローに直行できる移動力、周囲を薙ぎ払えるメガ粒子砲以上の火力。
それを兼ね備えるのであれば、別に軍艦でも構うまい。
「ははは! なるほど、それならな今すぐにでも炉心と砲門を用意できる!」
「その通りです。そして少しずつ小型化してモビルアーマーに搭載しても、メガ粒子砲を越えるハイパーメガ粒子砲として『ザンジバルに接続』しても良いはずです」
ザンジバル改にカーゴベイが接続された様に……。
別にメガ粒子砲を強化して搭載しても良いじゃない。
炉心・ミノフスキーユニット・砲門と最初から揃っているし、後は改良を重ねるだけだ。
(まあ、アーガマのハイパーメガ粒子砲がモデルなんだけどな)
小型化に始まって、収束しての貫通攻撃、あえて収束させない拡散型。
その辺の制限を付けず、少しずつ改良を重ねて行けば良いだろう。
全部を一遍に改良しようとするから開発が遅れるのだ。
まずは戦艦の追加砲台から初めて、砲門だけをひたすら改良すれば良い。
エネルギーの安定やら何やらで困って居ただけのギニアスだ、早期に何とかしてくれる可能性は高い。なにしろ、スキウレ砲レベルの技術は既に開発済みなのである。
「……では本題に入ろう。どうすればアプサラス計画を認めてくれる? いや、ザンジバルを解体する許可をもらえるかな?」
「アイナからある程度は聞いていると思います。私はジオンを立て直したい。反乱軍ではなく、私に付いていただけるなら、戦略目的と手段を入れ換えても良い」
ニヤリと笑って私達は握手を固めた。
こういう時、マッドは話が早くて助かる。
勿論、期待を裏切らなくてもパトロンの掛け持ちくらいは平然としそうなので、注意が必要だが。
その意味で爺やであるノリスが居るのはありがたい。
「損傷して居るザンジバルの片方を二個一で、先に完全修理させるといのはいかがでしょうか? これで本国への名目が立ちます」
「それならば分解するのはケルゲレンの方が相応しいな。この際はカーゴ・ユニットもバラして、リリーマルレーンをザンジバルⅡに近い形にしてしまおう」
カーゴベイからカタパルトを外し、リリーマルレーンへ設置する。
その際に大型ミサイルを外す必要があるが、ガウも必要として居ないし問題無いだろう。
そして分解したケルゲレンはドック入りということで、ベルファストの追加炉心とすればいい。
ついでに言うと、どっちを先にするか皆で悩んで居る状態だ。
リリーマルレーンを推薦すれば、シーマ様に少しでも貸しができるかもしれない。
あとは新しいマハルを建設する可能性が出た時に、協力すると言っておくことにしよう。
「それで、残ったフレームの方はどうする? 本国にはもう送ってあるのだろう?」
「ええ。連邦に撃墜されない為と称して、複数ルートでドズル兄さん宛てに。……そうですね。一存では決められませんが、色々試してしまうとしましょうか」
フレームと壊れた陸戦ジムを、もみ消されないようにして本国へ送った。
それでもまだ数機分はある。試せるだけ試しておけば、実験くらいは可能な筈。
ルナチタニウム製のフレームは増やせないにしても、いずれ超鋼スチール製のフレームなら生産出来る日も来るだろう。
やはりここはドムやゲルググを前倒しにした設計を頼んでも良いが……。
モデルにするとしたら性能重視のザクⅢか、装備優先のゼク・アインやギラ・ドーガというのもアリだろう。
どうせ今はザクを基準に少しずつ進めて行くしかないのだ。
ヨーロッパの統治を混乱なく進めるだけでも手いっぱい。ゆっくりと、だが確実に進めて行くとしよう。
という訳で戦後処理です。
ベルファストにあるビックトレーを接収、ダブデの生産中止。
ペガサス級は分解してデータ収集予定。この辺は陸戦ジムの残骸やなんかも同じ。
無事な機体やフレームの一部は、本国送りになっています。
その辺を認める代わりに、ヨーロッパ戦線の戦力は無事にインド・中国へ。
一部はオーストラリアに渡ったり、連邦側の基地から宇宙へ上がっていることでしょう。
連邦側の介入者も状層に逆らう様子を見せて無いので、どこで戦力を集めるかは不明。
とはいえギレンの野望風に何か起きるとしたら……。
オーストラリアと宇宙基地のどこかで反乱残すんでしょうね。
同じ様にジオン側も、グラナダとオデッサと……と言う感じだと思います。
●幕僚と軍団の編成開始
アイナとシローが居るお陰で、早期に決断が出来ました。
イアン達もですが、もしシャアと会話する機会があれば協力を要請するかもしれません。
とはいえ第二部があるかは不明なので、あくまでその決断をしたくらいです。
どちらかといえば、アイナの手を握る方が目的。
凄い発想の転換でもしないと、握り締めるとかしないでしょうしね。
●アプサラス計画
モビルアーマーではなく、ザンジバルで実現します。
改ザンジバル級『インドラ』と、砲撃ユニット『アイラーヴァタ』
と言う感じで改修が行われ、もし小型化したら改めてアプサラスと名前が付くかと。
あるいはガルマが夫であるガンダルヴァ、アイナが嫁であるアプサラス……とかいう合体マシンかもしれませんが。
これは08小隊が劇中作だった場合、アプサラスの正体ってザンジバルだよね……。
だってⅢとケルゲレンはほぼ同時に落ちてるし……とか思ったのが発想の始まりです。
●フレームの使い道
オーパーツ過ぎて何に使うか決まって居ません。
頭・バックパック・腕部の武器とか、色々入れ換える実験はすると思いますが
・ドムトローペン・Ⅱ
・ゲルググA・B・C
・ハイザック → マラサイ → サクⅢ
・ゼグアイン → ギラドーガ
この辺の知識を元に、ゆっくり話し合うんじゃないでしょうか?
テスト機ができても。間違いなくガルマは乗らないと思います。本人普通なので。
ないとは思いますが提案がある場合は、感想では無く、メールや活動報告でお願いします。
ちなみにジオン本国では
S型生産終了 → JS型・RS型設計終了 → ドムの骨格が組み上がるかどうか
(ホバーはまだ完成してないが、ハードポイント制なので何とかなる)
と言う感じで、フレームという概念に阿鼻叫喚中。
どの道、取り入れるとしてもゲルググからですね。
下手にドムに取り入れると、設計のやり直しになるんで。