●突入! インド戦線
とあるアニメにこんな表現がある
此処には今まで見たのと同じ数だけの敵が居るのか? と。
少なくともモビルスーツに関してはそうだった。
インドが近くなって本拠地の一つが近くなったのもあるだろうが、改めて連邦のチートぶりを知る思いだ。
「ジムだけで三十は居ますね」
「断言しても良いが、陣地を奪わない限り明日また同じ数が出て来るぞ」
最初にザニーの集団と戦った時を思い出す。
あの時は十機ほどの小集団を釣り出したこともあり、簡単に修復された。
今回はそれよりも多いので壊滅させれば、流石に無理だろうが……。
逆に言えば小競り合いで消耗させても意味が無い。
遭遇戦で小隊ごと殲滅するか、大規模な戦いなら二割以上を潰さねばならないだろう。
「司令は余裕ですね。アイナ……様のお陰ですか?」
「本人は呼び捨てで良いと言っていたぞ? ……まあ実際、今回は余裕だからな」
シローも毒されて来たな。とか思いつつ適当に言い返しておく。
事後現場で二人きりになって丸三日とかやられない限りは、NTRされないはずだ。
「余裕……ですか?」
「此処は主要街道ではあるが母艦のある我々には関係ない。それに、もうインド付近になったからな」
まだオデッサ作戦は始まっても居ないが、遅延作戦用の案は使い始めても良い。
それに民族解放戦線のツテもあるので、現地民からの情報が得易いのも助かる。
「もし迂回しても拠点確保を優先したと思うだろう。まあ、ここでは別の手段を使うが」
「ニューデリーやアフマダバードの占拠を目的と思わせても良いですしね。それで、どの手を使われますか?」
原作ではさっさと突破してインドを占拠しているが、歴史が変わって居るのでまだだ。
目の前に居る連中の一員として、シローが向こうに居た可能性もある。
面白い物だと思いながら、報告書の一つを取り出した。
「天候予測では数日後に見え難くなるらしい。もし外れたら、ありったけのスモークで代用だな」
「切り込みますか? 相当な被害が出る可能性もありますが」
場合によってはそうなるが、まだ早い。
被害を出す事を許容せねばならないのが司令官の役目だが、それはもっと後だ。
「いや、母艦潰しを仕掛けて見せる。艦が落ちなくとも、移動力か補給能力を落とせればいい」
「ガッチリ固めさせてから移動ですか? 連中、乗って来ますかね?」
ザニー部隊に出逢った次の日に思い付いた作戦だ。
相手に装甲や弾薬の予備があり、移動力があるから困るのだ。
落とせれば良し、無理なら叩くだけ叩いて相手の動きを拘束する。
「……その時は改めて切り込みだな。どちらにせよ後方のマダガスカルも呼び寄せておいてくれ」
「陣形の不備でも見つかれば良いんですけれどね」
この間の戦いで判ったことだが、ジムはまだ弱い。
RX計画が進んでコンピューターや出力が向上すればともかく、まだ普通に戦える。
兵士の操縦技術もさることながら、何処を攻めるか? というポイントを選べればこちらが有利に立てるだろう。
さすがにガップリ四つの正面戦闘では難しいが、相手が陣形を組んで持ち場を離れないならば何とでもなる。
問題なのは有利であっても、こちらに被害が出るのを避けられないと言うことだ。
「ともあれ、今言った案をベースに修正を頼む」
「了解しました!」
司令官の思い付きはあくまでベース案に過ぎない。
もっと良い案が出ればそちらを採る事は普通にあるし、修正案で優先度が前後する事もあるだろう。
ちなみに今回の場合は、同時に行うことになった。
当たり前だが、天候の変化を相手が完全に知らない訳でもないらしい。
あるいは敵の司令官が、思ったよりも臆病だからだろうか?
陣形を縮小して、街道全体の守りよりも母艦の守りを固めたのである。
●砲戦と、接近戦と
砂塵が吹き荒れるが、見え難いと言うほどでもない。
仕方無いのでスモークを焚きつつ、接近戦を挑む事になる。
しかも相手の陣形に不備など無いので、有利な点と言えば、攻めるポイントとタイミングをこちらが選べるということだけ。
……に見える。
馬鹿正直にまともに戦えばそうなるし、相当な被害が出るだろう。
実際にはそこまで攻め込まず、相手が固めた防御を逆用させてもらうだけだ。
陣を狭めた分だけ、こちらも無理すれば色々できるようになった。
「予定通りです。連中の陣形に変化はありません!」
「罠では無い様だなっ。では突撃を開始! スモーク弾と支援砲撃の弾着と共に切り込むぞ!」
歩兵での潜入偵察を行い、左右の陣形の内で大型戦車が少ない方を選ぶ。
そして煙で視界を遮った後、古式ゆかしく砲兵支援の後に突っ込む形となる。
これが第一段階で、相手次第で二択になる予定だ。
「グリンウッド、万が一の場合は頼むぞ」
「はっ! 相手が陣形を動かした場合はお任せください!」
仮に攻め込むのが相手の右翼として……。
こちらは相手の右翼だけに、二十機以上を振り分けるという単純な作戦だ。
左翼が回り込んで来たらグリンウッド隊が止めるのか?
それは違う。彼は左翼が空いた隙に、空き巣狙いで左翼側から母艦に迫る予定だった。
動か無い場合は大人しくして、撤退時に相手が動かなくさせるための支援になる。
「総員突入! グレーデンの隊が所定ポイントに辿りつくまで、引きつけて見せろ!」
「了解です!」
「おう!」
今回の本命はイアン・グレーデン以下、砲撃戦が得意なメンツとマゼラアタック隊。
彼らはスモーク弾と支援砲撃を行った後、煙に紛れてポイントを変更。
可能な限り近づいて、母艦周辺を洗いざらい吹っ飛ばす予定だ。
本来であれば貴重な砲撃支援可能な連中を前には出せないので、その間は我々本体が囮になる。
「着弾! 今!」
「それでは後ほど! 御武運を!」
「そちらも油断するなよ!」
ポイントに辿り付きさえすれば、相手の姿が見えなくとも砲撃というものは当てることが出来る。
指定した諸源に撃ち込めば、突風でも不可ない限り必中なのが面白い所だ。
もちろん機動目標には当てることが難しいが、動か無い母艦と陣地なので問題は無い。
「ガルマ様! ジムが迎撃に出ます!」
「総員、ここで奮起せよ! たが先は長い、命だけは無駄にするなよ!」
シロー達のマリーネスタイルのドムを先頭に一気に距離を詰める。
そこには右翼だけで十機近いジム、そして隊長機である陸戦ジムが見受けられた。
もう見ないかと思ったがザニーの在庫がジムとの中間まで改良されているので、実に十五機近い数が居ることになる。
グエーデン達を除いても、これで二十対十五。
(やれやれ。まるで近藤和久版のガンダム漫画だな。次々、敵が現れる)
ジムの接近戦が弱いと言う訳ではないが、戦い慣れて無い連中が多いので練度が異なる。
それにマシンガンは当て易いが決定打に掛けるので、どうしてもヒートサーベルやヒートロッドの方が火力が高いのだ。
これがグフを正式採用して居ればこれほどの数は無いが、選択武装をハードポイントに付ける制度なので余裕がある。
最初の砲撃支援のダメージと数の差も含めて、一時的ではあるが戦力比二倍を確保できた。
「二機一組なのを忘れるな! 左右の戦友に気を配れ! スコアの事は忘れて、いまは確実に葬れよ」
「そんな訳にはいくかっての! 次ぃ!」
「勝手なことをするな! 確実に倒せ!」
問題児は問題児のままだが、シローがフォロー出来ているようだ。
数を削るのはそれで問題は無い。問題なのはこちらの損害が出ること。
「司令! 何機か喰われました!」
「無理はさせるな! ペアの片方がやられた組は、そのまま後送させろ! 場合によっては機体を捨てても構わん!」
流石に余裕が無いと無理だが、何機かこちらも倒して居る。
二機一組で確実に潰している分だけ、同レベルの推移であってもこちらの方が被害が少ない。
だが戦死だけはさせる訳にはいかない。
今は推して居る時だけに機体の補充は間に合うが、熟練のパイロットは簡単に補充できないのだ。
「手持ちが半数を割りました。後送に割り当てた中で、無事な機体をもう一度前に出しますか?」
「戦闘中に編成し直しというのは難度が高いな。グレーデンが取りつくまで保たせるだけでいいっ」
損害は中破が何機かだが、一緒に下げているのでペースが早い。
相手の数が多くなければ、占拠の為に残すのだろうが、戦死を避けるためなので仕方が無かった。
まあこれだけやっても死ぬ時は死ぬので、どこかで割り切るしかないのだが。
「ガルマ様! 発光信号! 時間です!」
「撤収準備! 前に出て来る機体だけを叩け!」
薄くなって来たスモークを切り裂く様に、発光弾が打ち上げられる。
敵母艦群の周囲に砲撃が着弾し始め、誘爆こそしていないようだが、それなりのダメージを与えたのが判った。
もちろんこれがビックトレーやペガサス級相手では物足りないだろうが……。
狙っているのは輸送機であるミデアなのだ。十分以上のダメージを与えられたと思う。
それに、狙っているのは心理的なダメージと動きを硬直化させることだしな。
そう思っていた所に、ジムが突っ込んで来た。
どうやら中央か左翼の援軍が、陣形内部を通って合流したらしい。
その影響もあって、今まで守って居たジムが出てきたのだろう。
「撤収! このまま後退するぞ!」
「了解!」
「ちぇっ良い所なのにさ!」
飛び込んで来たジムを切り捨てながら、態勢を崩したところで腰のハードポイントに手をやる。
クラッカーを放りながら下がり続け、可能な限り破損させるようにしておいた。
それだけで倒せるとは思わないが、他の機体も同じことをやっているので幾らかは損害を与えられたと思う。
「ガルマ様! グレーデンたちも撤収に成功したようです!」
「砲戦の準備を行いながら順次後退! 全員、揃っているな!?」
「潰れた機体がある以外は問題ありません!」
見れば陣の反対側でも多少の火が上がっている。
こちらの撤退を支援する為、グリンウッド達が仕掛けたようだ。
戦果を確認すると言うよりは、次のポイントに移動する為に急いで母艦の方へ引き上げることにした。
次に日になって確認すると、敵は陣形を襲撃に備える形で再編。
破壊したミデアの修理や、モビルスーツの修理の為に堅く守りを固めたのが判る。
なお、こちらも相当数がやられ、避けては居たが負傷者も続出。
とはいえマダガスカルやファットアンクルで後方に送れる範囲だったので、再編して前進する事にした。
という訳で、とうとう大量のジムが出て来ました。
とはいえままだ運用とか、熟練度が低いので一般兵相手では困ることは無いです。
問題なのは相手の母艦とか基地を放置すると、壊した数だけ復活する事でしょうか。
なので煙に紛れて、ミデア潰しに行った感じになります。
今回の作戦は、最大射程だと狙えないよね。
なら接近して砲撃すればいいじゃない。
それでも撃沈は無理だけど、ダメージが出ても損害出ないなんてゲームの中だけ。
荷降ろしした母艦の周辺に撃ち込めば、それで十分な損害と心理ダメージ狙いと成ります。
次回は拠点を避けて、占領の為に移動……と印章付けたので逆用。
という展開になります。というかそうしないと、相手の数が多過ぎてガッツリ戦闘でき無いので。