カリスマの無いガルマ【完結】   作:ノイラーテム

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第二部・第五話

●偶には執務のことを

 旧パキスタンからインド西部へ。

そこからファットアンクルを母艦に、複数ルートで小隊を出す。

戦力分散は避けたいが、二十対三十では激戦になる。

遭遇戦に持ち込んで各個撃破の構えで序盤を抑える予定だ。

 

 というのもあるが、準備が整っていないフリをしてこのコース迎撃に連邦を集中させたい。

北米とキリマンジャロは多重要塞化計画を進めているし、ロシア戦線は安価に戦線を停滞させる切り札を建設中だからだ。

 

「マ・クベにインドシナの足止め部隊を休ませろと伝えてくれ。適当な所でインド東部を叩いてもらう」

「インド全域の占拠を狙ったと思わせるのですね?」

 アイナの質問に頷きながら、ユーコンの手配を行っておく。

用途は二種類。一つは先ほど行ったの、インドシナ戦線組の転戦手配。

もう一つは南部~西部沿岸の町へ、ようやく開発に成功した水泳部を向かわせる為だ。

「既定の通りインドは通り過ぎるが、占拠はしない。だからといって略奪を行う者には、相手が誰であれ銃殺刑もありえると伝達しておいてくれ」

「ノリスが居ないので不安ですが、厳しく当たると伝えます」

 所構わずイチャつく高校生カップルの気持ちが判る。

しかし兵士達に綱紀粛正をさせる手前、ガッつく訳にもいかない。

それになんだ。アイナは愛情こそ欲しいとは思っても、エロイことはまだだろう。

とか言う言い訳をしながら、もう一つ手配をしておくことにする。

「まあそれだけでは問題を起こす者も出よう。金銭や物資で購える者に関しては、業者の斡旋を軍の方で面倒を見た方が良いだろうな。グリンウッドとシローにそっちの手配は任せる」

「了解であります!」

「りょ、了解しました……」

 グリンウッドはともかくシローにはすまん事をした。

アイナの目線が痛いが重要なことなんだ。

シモの関係もあるが、……主にララァ発掘関連イベントとかな。

 

 御大の趣味なのか、そういう場所に偶然いたのか。

ララァはシャアが飛ばされてこっち方面で流離った時に、出逢った女性スタッフとのことだ。

まあ小説版とかオリジン版とかでも違うけどね!

……都合良く見つかるとは思えないが、この方面には以前、オーストラリアに撤退した司令官が寄って居る。

もし奴が介入者であれば、ララァを捜索した可能性もあるだろう。

キシリアもサイド6辺りを探して居るだろうが、可能性は少しでも多い方が良いと考える筈だ。

 

(追い詰められない限り、現状で動くとは思えない。動くなら……オデッサでこちらが迎撃に成功してからだな)

 もし介入者であるならば、ララァを探して居る可能性がある。

そして自分が群雄割拠を愉しみ、歴史を動かす事を愉しんでいる様に行動する可能性は高い。

妙に品行方正なキシリアの動きも気になるが、ここは様子を見るしかないだろう。

(しかし……ここからは戦死者や損害を抑え続けるのは難しいだろうな)

 これまで海兵隊やギニアス隊はともかく、本隊の損害は少なかった。

総予備であり戦局に合わせて選べる立場にあった。

それに相手のモビルスーツは居ても雑魚ばかりだ。よほど無茶をしなければ問題は無かった。

だがベルファスト戦でケルゲレンを守った連中がアッサリ倒された様に、相手も同レベルならそうもいかない。

 

「ガルマ様は精いっぱい、兵士の事を思いやっておられます」

「アイナには誤魔化せないな。だが、可能な限り努力するのは司令官の務めだ。でなければ死を命じることはできん」

 これまで覚悟が出来て居なかったと言える。

憑依だか転生だかで気楽にゲーム感覚な面もあった。

だがこれからは、本当の意味で兵士に死ねと言わねばならない。

しかも彼らは勝てるつもりで戦いに挑むが、我々上層部は無理な事を知って居るのだ。

可能な限り敗北を先延ばしにして、耐え続ける連邦官僚どもの足元を蹴り付けねばならない。

「古代は温かい飯を食わせ、できるだけ殺さないのが仁君らしいが今の世の中では普通の事だ。可能な限りの事はしてやりたい」

「承知しております。私もガルマ様と共に生き、共に地獄に落ちるつもりです。……例の件だけは釈然としないものがありますが」

 ああ、『あの件』か。それに関しては苦笑するしかない。

新婚数日目にいきなり申し込まれたからな。驚いたし、アイナが微妙な顔をするのも無理は無い。

 

 ちなみにさっきの娼館の話じゃないよ?

山羊を五十頭と羊を百頭を持参金に、嫁候補が数人送られて来たんだ。

政治取引みたいなもんだから第二夫人でも良いと言われたが、候補の中には十歳未満も居るし、流石に新婚なのでノーサンキューである。

 

●苦い勝利

 そして分散進撃作戦が始まった。

もちろん港町襲撃も同時に実行しており、連邦側が判断に迷うことを確信してから仕掛けた。

現地民の協力者経由で情報も集めながら、可能な限り相手の戦力が居ない町を落としながら進んで行く。

 

「ガルマ様! ジムが三機と指揮車両です」

「通常編成だな。よしっ、増援を呼ばれないうちに片を付けるぞ!」

 私自身、小隊を率いて小さな町を落としに向かった。

もちろん比較的に安全な場所を優先させてもらってはいるが、絶対は無い。

相手にエースがいれば、いつでもひっくり返る状態だ。

「まずは全機で指揮車両ないし、信号灯を持って居そうな敵を叩く!」

「了解です!」

 相手の機体だけではなく、動きを見てエースが居ないと判ってホっとする。

だが時間を掛けては次が来るし、もし罠であるならば速攻で倒して撤収しなければならない。

油断などできるはずもないだろう。

 

 そしてマゼラトップ砲を持った機体と、専用機のキャノン砲で後方に居る指揮車両を狙い討ち。

走り込みながらだったので普通に外したが、次の射撃で直撃した。

 

「反応が遅い! 先頭の腕効きは無視しろ!」

「はっ!」

 この状況で仲間を護る為に突っ込める奴とまともに戦う気は無い。

シールドで我身を守りながら、他の二機と共に後方の機体を射撃。

今度は止まって居ることと、先ほどは牽制していた二機も居るので難なく命中。

一機を大破させ、もう一機のシールドを砕くことに成功した。

『お前は下がれ! 仲間を呼ぶんだ!』

「後退などさせんよ!」

 この状況で指示する事など一つだろう。

ミノフスキー粒子で通信など判らないが、適当に合わせて後退しようとするジムに砲火を集中させる。

 

 このまま行けるかと思った時、部下から切羽詰まった通信が来た。

 

「ガルマ様!」

「どうした!?」

「あちらをご覧ください!」

 お肌の触れ合い回線で伝えられたのは、彼方に上がる信号灯だった。

連邦が使うモノもあるが、我軍のモノもある。

こちらのモノは『敵部隊発見』、あちらは『集結』だ。

これが意味するのは明白……。

「ちっ。こいつらは先遣隊だったか。さっさと倒して合流するぞ!」

「了解!」

 先ほどまでは安全に倒そうとしていたが、時間を掛けては居られない。

三方に散ってシールドを迂回しつつ、速攻で沈めることにした。

『クソっ、クソクソッ!』

「判断は良いが……無駄に往生際の悪い!」

 そいつは一縷の望みを掛けて身を翻す。

そして背中を見せる危険も構わずに、必死でブースターを吹かせていた。

 

 どうせシールドがないから、いずれやられるとの判断だろう。

だがこちらとしては良い迷惑だ。

焦る気持ちを抑えながら、キャノンザックの照準を合わせた。

 

「時間を取らせおって! 友軍と合流するぞ!」

「はっ!」

 マゼラトップ砲の機体と共に砲撃し、何度目かの射撃で成功。

相手が逃走に専念して居たこともあり、こちらを確認できない背中越しと相殺してようやくといったところだ。

そして信号灯が上がった場所に辿り着いた時。

掛った時間に相応する、気分のよろしく無い状況だった。

「申し訳ありませんガルマ様。一人死なせました」

「……その状況ならば褒めてやる。合流して叩き潰すぞ!」

 相手は九機中、二機撃墜。

こちらはシローの隊の他にもう一隊が駆け付けており、六機中の同じく二機がやられていた。

九対六で同等とは褒めてしかるべきだが、本部中隊初の戦死者とあって気分は最悪だった。

もちろん先ほどの小隊込みで考えれば大戦果だが、そんなことは慰めにもならない。

 

 七体七でこちらは残り三機が来る。

どちらが有利に戦えるかは言うまでも無いだろう。

戦いに関しては、割愛しておこう。

 

「俺が殺したんだ……。俺が無茶なツッコミを掛けなけりゃ」

「貴様を任命したのは私だ」

 成長を期待して、小隊長を任せた問題児……。

例の一番の小物が反省して居た。だが反省だけなら猿でも出来るとCMであったな。

辛いが事実を元に反省会を終えてしまおう。

「大将……」

「全ての責任は任命者にある。だがら貴様がすべきことは、残った部下を生かして帰す事だ!」

 結局、悪いのは私だ。

だが、嘆いても仕方が無い。

どうせ死ぬ、運が悪ければ奇襲されて今夜にでも死ぬだろう。

だからコレはケジメの問題であり、少しでも次の成功率を上げる為の反省会だ。

 

 それでこの問題児が少しでも成長し、部隊の役に立つならば何でもするべきだ。

死にはなれないが、私自身が割り切る訓練も必要だろう。

そして……リスクのある作戦を判って居て立てた、自分自身を修正する覚悟もだ。




 と言う訳でインドに突入。有利な時にだけ戦っていた本部中隊にも戦死者が発生。
ニューデリーから放埓な進軍を行い、連邦軍の目を引きつける為に数隊に別れて移動。
途中で合流・分散を繰り返しながら、大都市や複数の小町を次々に陥落させています。
でないと三十機が固まったままですからね。
もっとも……今回倒した十二機も、直ぐに補充されてしまいますが。

 ちなみに東部から侵入した闇夜のフェンリル隊はというと……。
発見しても交戦せずに戦死者・大破なしで荒らし回っています。
陽動部隊で町を落とす必要が無いとか、最初から戦う気が無いとかもあります。
ガルマに経験が無いから判断が付かなかったのもありますが、方針そのものが違うからですね。

●ドムの開発
 スタイルとしては高機動・ビームキャノン・マリーネの三つ。
高機動型は開発に難航し、宇宙用専用のバリエーションに成りそうな予感。
ホバーが開発に成功すれば、ジャンプジェットパックに入れ換えて高速移動が出来る程度でしょうか?もちろんホバーの開発はまだまだ遠い状態です。
 ビームキャノン型は対象的に成功して居るのですが、今の戦況で出す理由が無いのでお蔵入り。
結果的に装甲重視で通常兵装で戦うマリーネ・スタイルが活躍して居ます。
本格生産はまだですが、先行量産されるときはこのタイプが回されてくるでしょう。
なおキシリアに派は儀仗兵スタイルというのがあり、ギャンやガルバルディみたいな恰好良いスタイルのガワが開発されるでしょう。
ちなみにビームサーベルはハードポイントに追加しないと使えませんが、これが必要ない様に開発するよりも、大型化してビームランスを作る方が遥かに簡単だと言うオチが……。

●ララァ
 まったく、発見、できませんでした!
と某調査隊みたいな状態です。
なにしろサイド6説、インド説、東南アジア説などなど。
いろいろな発見場所の説がありますので。
ただ、何処かの司令官も探していたと言うのは判明できたようです。
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