カリスマの無いガルマ【完結】   作:ノイラーテム

30 / 40
第二部・第八話:中編

●凄いあいつがやって来た!

 アプサラス計画の運用に際し、自分なりに練り直してから参謀団に渡してみた。

その結果は『ハンニバルですか?』とか『古典ですね』と言われてしまった。

パクリ疑惑を受けてしまったが、別方面のパクリそのものなので仕方あるまい。

 

 作戦その物は古典の流用であること。

そして今やって居る航空機の牽制とあまり差が無いので何とか認められた。

実際の成果はギニアス次第なので何とも言えないが、五倍の戦力差から三倍に、そして二倍を目指す程度の策にはなるだろう。

既に原作よりも攻められる方角や戦力は減って居るのだ。何を恐れることがあろう。

 

「なん……だと?」

 これで何とかなる。

そう思った矢先に、楽観論を覆す出来事が耳に入った。

「間違いありません。南部方面を抜かれました」

「馬鹿な……。前線を下げた分、こちらが救援に行くまで十分な戦力があったはずだろう」

「それが……」

 目を反らせたいが、とうとうその日がやって来た。

提出された望遠画像には、見慣れたロボットが表示されている。

白をベースに赤青黄。いわゆるガンダムカラーだ。

「連邦はビーム兵器を投入しました。凄まじい攻撃力でザクの装甲を一撃で融解させます」

「信じられないでしょうが本当の出来事です。J型は旧型よりも装甲が厚い筈なのに……」

「新型に加えてこちらを上回る新兵器か」

 いや、知ってたけどね。

しかし、コレどーすんだよ。

詳細な資料を確認したら、頭おかしいほどの戦力だった。

ガンダムが四機、ガンキャノンが二機、んで補助は全部陸戦ガンダムと陸戦ジムとか。

 

 こんなの絶対おかしいよ!

そう叫べたらどんなに楽だろう。

だが、司令官がそれをやったらおしまいである。

私は初めてガルマに憑依したことを後悔しそうになった。もうちょっと責任の無い一部隊の司令官だったならば。

せめてギレンかドズルに相談できる場所なら。

 

「ショックなのは判りますが落ち付いてください。まずは対処案を……」

「それよりも本国に報告しなくては……」

 現実逃避しかかった自分の前に居たのは、冷静な様で居て、微妙に冷静ではない参謀団だ。

「先にする事があるだろう! 敗残した部隊のメンバーは無事か!? 基地も兵器もどうでも良い!」

「これは戦争なのです。犠牲者が出るのは止むをえません」

「少なくない戦死者が出たのは確かですが、我々はまだ連邦よりも勝っているのです」

 そういえば原作でも崩れ始めるとこんなもんだったなーとか思いつつ。

自分よりも慌てているメンツを見ると、なんだか冷静になれる。

溜息をついて抑えるべきところを抑えることにした。

 

「ビーム兵器ごときにうろたえるな! 我軍が先に使っていただろう! それよりも怪我人を後送し、無事な者を呼び寄せて詳細な情報を集めよ!」

 私が今更に戦死者にショックを受けて居ると思っているのか?

そりゃまあ人を数字をして見れないから、いちいち衝撃を受けて居たけどな。

それだって慣れることはできる。別に慣れたくもなかったが。

だが現代日本人の感覚と、戦乱の宇宙世紀の感覚の差くらいは自覚してしまった。

 

「南部方面はもう一つラインを下げることを前提に組み直す! それに合わせて長射程砲とビーム撹乱膜の用意を急げ!」

「撹乱膜を? それですとビームが……いえ実弾タイプの用意を急ぎます!」

「キャノンザックやマゼラトップ砲が通じたかどうかを、急ぎ確認してまいります!」

 私の指示で一気に状況が動き出した。

なんだかMMOやTRPGで想定外の動きや、独断行動的なプレイヤーが出た時のことを思い出す。

大きなショックを受け固る人間と、一回転して落ち付く人間がいるが、私は幸いにも後者だった。

「専用機の問題でギニアスにコントロール装置を頼んで居た筈だ。その一環で小型化や長距離放射タイプがあるかもしれん」

「そういえば、開発は三系統から用意してましたよね。問い合わせてみます!」

 ただ失敗したのは専用機の話題を出したことだ。

適当に誰かが思い付いて探しに行くのと、私が声を掛けた事で変わる運命もある。

 

「また、防御力も生半可な攻撃は効かんように設定してあるだろう。どうしてもの場合は、大型武器や体当たりに寄る衝撃を行え」

「行う前に撃たれるでしょうが……。それでも対処できないよりはマシですか」

「対策が用意できるまで戦わないべきですが、現われた時の為に通達しておきます!」

 とはいえこのままでは突貫作業で作りあげられた専用機に乗って、私が相手することになりかねない。

相手はアフロかもしれない。どうしよう?

倒そうにもガンダムがこれだけ居たら倒せない可能性があり、足止めに専念しても経験値を献上するだけだ。

まあこの時は思い付きもしなかったんだけどな。

 

●対決か、それとも交渉か。あるいは……

 南部の詳細を確認する段階でおかしいことに気が付いた。

この時期、連邦はまだ三機編成で指揮車両や援護車両を加えて四機編成なのだ。

それが既にモビルスーツだけで四機、隊内援護はキャノン型で、完全な援護専用部隊は別個に存在して居る。

 

(こいつは介入者の部隊か。……後に連邦が四機編成でこちらの三機編成に打ち勝つことを知って居ないと今、決断する事はできん)

 ベルファストの時は生き残りが合流しただけの可能性もあったが……。

今回ばかりは確定的だろう。似た様なカラーリングのガンダムやガンキャノンも居るしな。

(少し慌ててしまったが、早々に特定できたなら少し対処が変わってくるか? ……いや、先ほどの指示自体は問題無い筈だ)

 そもそも介入者を倒すべきなのか?

それとも反乱を促す為に行動するべきなのか?

確実に居るとは判らないことから、結論を先延ばしにして居た。

そのツケが出たと言えるだろう。

 

 キリシアは穏健派ポイのと宇宙で無関係だし、今はいいやと放置して居たのが仇になったか。

いいや、逆に考えるんだ。今ここで断定が出来た事に意味があると!

今は時間稼ぎで間を置きつつ、対抗手段を模索。対等に話し合える状態で、交渉するなり利用するなり、無理なら倒せばいい。

ここは情報収集に徹するべきだな。

 

「ガルマ様、どうかなされました?」

「何でもないよ、アイナ。……ただ別件と絡めて、南部方面の指揮官が気になったんだ」

 アイナやシローはともかく他の参謀の前でこの結論は出せない。

適当な理屈を考えつつ、不自然でないように情報収集を命じる必要があるだろう。

「この司令官は装備や編成の更新に対して理解があるようだね。今後を考えれば、危険な相手だ。背景や可能な限り考え方の癖を調べておきたい」

「……背景ですか? そうですね。補給や認可も考えればコネクションも重要ですし、可能な範囲で調べてもらいましょう」

「性能に任せてゴリ押しするタイプなのか、確実性を期す為に使うのかでも違ってきますからね」

 アイナは質問の段階で気にして居た様なので、何となく納得してくれたようだった。

参謀たちの言葉も聞きながら、今後の為に一つの指針を立てておく。

倒すか交渉するかはべつにして、いずれくる対決の為に用意が必要だと言う事だ。

 

 悪逆非道で後ろ指されないことはもちろん、舐められない様にしておく必要があるだろう。

その意味では長距離砲撃で牽制し、ビーム撹乱膜で抑え込むのは悪い手段ではないだろう。

そうすれば相手の動きを止めつつ、こちらは次の準備ができるのだから。

 

「ビームライフルとでも呼ぶべき兵器は避けるか、シールドをその都度に捨てて行く必要があるだろう。その上で使いこなせるのは、まだこの部隊だけとはいえ、今後も注目しておいてほしい」

「はい。転戦する可能性やビームを使いこなせる機体の増強に注意いたします!」

「本国に対ビームコートを塗ったシールドの要請を行います。上手くすればオデッサ戦までには間に合うかと」

 派閥の論理を越えて動かすだろうか?

それとも自分の元で確保し、発言力の向上を狙うか?

今はその点から性格を読み解きつつ、対処手段を探ることにしよう。

そしてもう一つ、やっておかねばならない事とがある。

「本命がオデッサを勝ち抜くことだと悟られる訳にはいかん。消極策だけでは限界がある。早急に攻める場所を策定せよ」

「はっ! 海兵隊やフェンリル隊との共同も視野に入れます!」

 インドそのものは効率的に良い訳ではない。

だがこの広さを利用して陣地戦を挑む事には変わりなく、時間を稼ぐ為の戦いが必要だ。

でなければこちらの糸が丸判りになり、消耗戦を避けるなり、次の戦いに重要な場所を積極的に抑えられてしまうだろう。

 

 守りの為の積極性。

この矛盾する目的のために、インド北部を奪還する事にした。

アフロが怖いと笑いたければ笑え! 今はジオンの勝利のために名誉など捨てて見せるとも。




 と言う訳で中継ぎ回です。
前・中・後になるかもしれないと言いましたが、早速。
ビームライフル対応機に驚かない筈もないし、かといって原作で知って居るのだから、立ち直るのも早い感じ。
その辺のバランスを出すのと、かといって消極的に行くとバレバレなので、予定通りに狙い易い場所を探した感じです。

●対ビ-ム兵器
 先に対策の伏線を張って無いと唐突で不自然なので、此処でお湯制しておきます。
序盤の段階で未完成ながらも制作されているとしたビーム撹乱膜。
そこから派生しようとして、なかなか開発されないビームコート付き盾(ゲルググのアレ)。
他に何かないかと探した挙げ句、結局は長距離砲撃で牽制し続けるしか無い感じですね。
一般兵相手ならまだ避けられるのですが、相手がエースだと普通に当てて来るでしょうし。
もっともソレをやると、普通はありえないほどの砲門を集める必要があるので、奇襲にもならないし、他が薄くなるだけの話です。
その意味もあって、北部の再制圧に向かって居ます。

●介入者
 対等に話せない雑魚と交渉しますか?
しませんよね。では対決だ。
と言う事です。
どこかでガルマの実力と、そこから来る発言力を見せつけないと話もできないわけで。
仮に相手が真面目に人類の将来を見てる人でも、ギレンの言うことに右往左往する人間ですと意味は無いので。

 と言う感じで決断はしたものの、まだ準備が足らないので足止めだけしておきます。
ガルマの腕ではガンキャノン用の長距離ライフルで狙撃されて一撃かもしれませんんしね。
なおここまで考えておいて、ワイアットさんがどう出るかは全くの不明。
その意味でも対決が必要だと認めたのは良いことであり、早期に倒し切るべきか悩んでいるのは悪い選択かもしれません。

 次回はインド北部の部隊と戦闘予定。
中央部に攻め行ってもアムロが来たり、囲まれても困るからという普通の理由から始まります。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。