カリスマの無いガルマ【完結】   作:ノイラーテム

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第二部・第九話:中編

●全てが台無しになった日

 あの日から連邦はビームライフルの使用を控えるように成った。

こちらにビーム撹乱膜があることが悟られた? いや、見られてはいない筈だ。

ではフェンリル隊の後方撹乱が上手く行った? 残念ながらそこまでの影響は無い。

 

 理由は簡単、雨期に突入した為、土砂降りの天気が多いのにビームを使う馬鹿は居ない。

もちろんガンダムならば使える筈だし、エース用に強化すれば陸戦ジムでもできるだろう。

しかしバズーカで十分勝てるんだから無理をする必要が無い。

 

(まさかこんなに雨期が強烈だなんてな。道理で連邦の他の部隊は使って無かった筈だよ)

 ウッキーと頭をかきむしりたい気分だ。

雨期の事を忘れていたというか、これほど酷いと思って居なかったのは、我々宇宙市民や乾いた土地の出身者。民族解放戦線の連中なんか、私の勇気が雨を呼んだのだから神の加護がある。

だから攻めようと言うくらいに妙な事を言っている。カリスマは無い筈なのに、妙な信仰が芽生えてしまった。

(もっと早く知ってたら、戦略に利用できたのか? いや、連邦は気が付いていたし……ウチの参謀団も一人二人は知ってても、無視したんだろうな)

 準備が台無しになった半面、判ったことも一つだけある。

駄目な時は何をやっても駄目なのだ。

スッパリと色々な物を切り捨て、自分の目的のために全てを引き連れて行く位のつもりが良いのだろう。こないだの戦いだって、ガンダム相手のチキンレースだとか、新型機を試すつもりだったのならば十分に成功じゃないか。

 

 そんな後ろ向きな事を考えながら、私は覚悟を決めて捨拾選択をすることにした。

憑依してから第二の人生なんだ、もっと気楽でいいじゃないか。

アイナを手放すとかは無理だが、名声だとか功績だとかその辺は捨てても構わない。

キシリアを見ろ。好き勝手に生きているじゃないか。

ザンジバルや新型モビルスーツだって、私用じゃなくてその名目で自分の軍を用意する一環だったに違いない。

 

(そう思えば見えて来るモノがあるな。結果的にジオンが連邦と原作よりも有利に講和できるならば、勝利の必要も無い)

 オデッサだって無理に勝利をもぎ取る必要なんかないんだ。

つまり……オデッサなど要らーぬ。

フフフ、連邦め目に物見せてやろう。

もちろん核兵器なんか使わないぞ、オデッサの中に引きずり込んでフルボッコにしてやる。

(となると今からその準備だな。まだ間に合うと言うか、今からなら丁度良いか)

 連邦はオデッサの中枢部に入り込めば、ソレでこちらは終わりだと思っている。

だが、どうせ戦闘中は鉱山として使えないし、負けたら使い続けるなんて無理だ。

もちろん核兵器で吹っ飛べば何も残らないし、名声どころか悪名でその後も苦しくなるだろう。

 

 しかし、相手が勝利条件だと思っている事を、あくまで戦いの入り口にしてしまえば判断は変わって来る。

オデッサ戦における戦闘法は幾つか考えられているが、その内の一つをこのアイデアに沿って修正して提案してみよう。

例えばドダイYSは空から攻撃するだけじゃなく、連邦がこじ開けた防備の穴を、もう一度遮断する為に使うのだ。

ここを突破すれば戦いが終了すると思っている連中の横顔を、思いっきり殴りつけてやる。

例えばビックトレーやペガサス級を座礁させてでも、その穴を確保したとしよう。

その上に爆雷を落とし、拠点として使おうと思っている連中の前で、補給を断って日干しにしてやるのも良い。

 

「フェンリル隊と海兵隊に指示を出す。これから送るアイデアを元に、オデッサで取り得る選択肢を増やす為に修正案を考えて欲しい」

「了解しました。ひとまず作戦室でお待ちしております」

 もしかしたら意味は無いかもしれない。

作戦案が甲乙ある内の、乙に関わり、甲へ多少修正する程度かもしれない。

だが、自分の手で戦局を動かした。

そして、これからも関わり続けることで、微妙に変化させることが出来るだろう。

それは流されるより良いことだと思うし、得意な方法として磨く事も出来るだろう。

間違っているならアイナやシロー達が忠告してくれる。

その言葉に耳を傾ける度量を忘れない限り。

(となると、アプサラスで排除しておく敵戦力も考慮が必要になるな。通常兵器のついでにジムを潰すよりも……)

 思えば原作のガルマはモビルスーツの有用性を認めつつも、通常兵器も重視していた。

これこそ本道に帰るというやつか。

 

 ガンダムやアムロに正面から勝とうと思うからいかんのだ。

名誉を捨てて、航空爆撃で叩き潰せばいい。

原作ではジャンプで潰されたが、あくまで短期的な包囲網を抜ける為。

爆撃戦略そのものを単騎で叩き潰す様な性能は無い。あったとしても、網なりアッザムリーダーで足止めすればいいんだ。

モビルスーツで挑むよりも、ビームライフルの餌食には成り難いだろう。

 

(ジムを削る必要なんてない、航空機だけをアプサラスで叩き潰す。それなら無理に地上に降りる必要なんてない)

 その上で連射は無理、またはガンダムがジャンプしてビームライフルを使ってくると考えよう。

ビーム撹乱膜を用意して、ハイ=メガ粒子砲を一発撃ったら防御に徹して逃げれば良いのだ。

(となると無理に航空機の数を狙うよりも、対空戦闘機をまとめて薙ぎ払えればそれでいいな。無茶をせずともザンジバルとドップで落とせる)

 面白いことに意志を固めて布石を考えると、その後に続くアイデアが次々と湧いてきた。

布石を一つ石を置いて考えを決めると、連続して石が決まって来るのだ。

例えばアプサラスでセイバーフィッシュ等を薙ぎ払った後は、ガンダムへの囮として動かさない。

無理せずに後退すればハイ=メガ粒子砲の修復(?)も早まるだろうし、ガンダムの推力ならば可能と知っている向こうの介入者を引っかけることも可能な筈。

 

 また、アプサラスが未完成で威力が無かったとしても、戦闘機の装甲ならば問題ないだろう。

これは範囲も同様で、無理してジムを含めた戦車群を狙ったり、航空艦隊全てを狙えば危険かもしれない。だが戦闘機のみならばレンジに入り次第に撃てばいいし、相手の空母を水泳部に見張らせれば何度も御代りは無いだろう。

 

(参謀たちが認めてくれたアイデアの範疇だからGOサインは出せるだろう。……あとは連中がこの襲撃に気が付くかな?)

 こっちがガルマだから、航空機を重視するのは判るかもしれない。

だがアプサラスほどの力を、ガンダムではなく戦闘機に使うとは思うまい。

ならば後は、露骨に誘導せずに、向こうの選択肢を奪う程度の手を打てばよいだろう。

その為のフェンリル隊であり、海兵隊、そして民族解放戦線の情報網だと言えた。

(これでジム百機と戦車隊、こちらはザクを中心に五十機と戦車隊ってとこか? 砲台やドダイの爆撃を考えれば十分に採算は立つな)

 オデッサの地形で分断出来るだろうし、爆撃と砲撃で耐久力を削ることもできるだろう。

籠城戦はそもそも防御側が有利だし、突破すれば勝てると思っている所に、逆包囲を掛ければ心理的なダメージも大きい筈。

こうすれば後期型のジムが、陸戦ザクやグフ……仮にドムより強いとしても、何とかなる範囲だ。

 

「ということはその路線に向けて推測されない。それで居て影響を与える手を打つべきだな」

「「……ガルマ様?」」

 考えをまとめる間は喋らなかったが、落ち付いてきた事でつい言葉に出してしまったのだろう。

シローとアイナが同時に疑問の声を上げた。

私は苦笑しながら、どこまで話すべきか話さないでおくべきかを考える。

「いや。最終目的に向けて算段がたった。二人にはその相談をしたいと思ってね」

「是非ともお聞かせください」

「不足があれば我々で補います」

 彼女達には詳細を伝えるにしろ、スパイや捕虜になった場合を考えれば参謀たち全員に伝えるのはどうだろうか?

それとも、最重要な部分以外は全て話してしまう方が、ガルマらしくて良いのかもしれない。

そこを含めて、最初から順序立てて相談する事にした。

 

 こうしてジオンは連邦に対する最終局面に向けて走り始める。




 と言う訳で、最終作戦に向けて準備が始まります。
これまではギレン(?)の用意した筋道に従って、参謀団が考えた範囲での戦いでした。
その為の準備そのものは行っていますが、ここからガルマ主導で微調整していくことになります。

 雨期の話題はあんまり必要ないですが、ガルマが切れて、一周回って平静に戻るのに必要でしたので
前回の成果を何もかも無かったことにしました。
大失敗しないと成長出来ない人間も居る感じです。

●二階に上げて階段を外し、アシバースト作戦
 今回、ガルマが思い付いたと言うか、既存の作戦を調整した物です。

1:連邦の攻めて来るルートを固定する
2:航空艦隊の一部をアプサラス計画で薙ぎ払う。無茶はしないこと前提
3:オデッサの一部が落とされることも前提に、奥へ引き入れて地形を利用して分断
4:更に原作で連邦がやった航空爆撃を、ジオンが実行する
5:砲台や爆撃で耐久力の減ったジムを各個撃破し、場合によっては正面からは戦わない
6:戦闘が必要な場合、相手の精神的支柱に対して仕掛ける(おそらくはレビルの本隊か、護りに来たガンダムになると思われる)

7:上記の戦いが、最終戦闘になる?

 と言う感じですね。
コードギアスのアシバースト作戦よりはクリーンで、原作に沿った内容
かつ航空機を潰して、地上に専念するとか元の作戦に近い
となっております。

 まあそのままやっても上手く行かない可能性もあるので、場合によってはオデッサ前衛も放棄。
探索戦闘や持久戦に成った場合に備えて、次回からその為の準備に入ります。
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