●コロニーが落ちる時
マハルが阻止臨界点を越えた時点で、ジオン軍は一時休戦を提示した。
落ちる決め手になったのは連邦の攻撃だが、要塞として持ち込んだのはこちらである。
地球へ質量爆弾を落とす気は無いと、ブ厚い面の皮で共同処理を申し出たのだ。
もちろん現時点で有利なのはジオン軍であり、ここで時間稼ぎをして増援を待ちたいのは連邦軍である。結論を出す前にジリジリと時間が経つのは織り込み済み。
しかしながら放置すればコロニーはそのまま南米に落下と時間は無く、そして頼みの綱である援軍はというと……。
ルナ2方面軍は遅滞作戦と本拠への核攻撃ゆえに、これ以上は来ない可能性があり、ジャブローからの打ち上げはコロニーのせいでもう出来ないのだ。
(
グワジンで開かれる、簡易的な祝勝会に私は招待された招かれていた。
片手にワイン、片手でマハルの残骸に敬礼と気取って窓際に居たのだが……。
「おっ。本体が崩れ始めましたな……。被害は北海とオセアニアの海軍くらいですか? これならばもっと足元を見ても良かったですなぁ」
「無事でもユカタン半島だったようですし……まあジャブローでないならば停戦で良いでしょう」
(下種め……。だが、予想して止めなかった時点で、私も同罪か)
いわゆる大人の会話を聞きながら顔を背けようとしたが……。
ザビ家が関わって居ないというアピールの為にそちらに歩みを進める。
「コロニーの落下で連邦の戦力を削ろうと、それは望んで得た戦果ではありません」
「それは……まあそうなのですがね」
「いやいや、流石はザビ家の御曹司。確かな覇気ですなあ」
正論を口にすることで、私は知らないよ。とアピール。
実はそれが狙いだったんですよ。と口にしたい馬鹿は苦笑を浮かべ、もう少し頭の良い奴はおべっかを使ってきた。
「勝利と人類の革新の為に必要ならば、ルナ2でもフィフス・ルナでも落とす為に改めて挑めば良いではありませんか。今は我々の為に犠牲に成ってくれたマハルに感謝しておきましょう」
「老朽化したコロニー、最後の奉仕ですか。それはそうと昇進おめでとうございます」
イエスマンばかりだったのか、それとも馬鹿を操るサクラが居たのか?
結局はそいつに追随する形で次も勝ちましょうとか、将来が楽しみだとか、こちらが苦笑したくなる話題に移り変わった。
そして無実アピールが無事に終了したかと思った時……。
同じ様に招待されていたらしい、シーマ様が目礼して去っていくのが見えた。
(あー。海兵隊も功労者だし、っていうか、マハル出身だから招かれるよな)
物凄い居心地悪かったろうなー。とか思う。
アピールは適当に造った綺麗事でしか無かったが、せめて心労の一つでも消せた事を祈りたい。
(というか綺麗といえば、せっかく綺麗なシーマ様状態なんだ。恨みとか持ちませんように)
そんな他愛ないことを想いつつ……。
シーマ様が軍服だったことを残念に思う。
この当時ならばドレス姿でも綺麗だと思うんだよねえ。
●
一時休戦を受け入れたレビル将軍であったが、当然捕虜にはできてない。
そのまま適当な休戦期間を経て、史実とは異なる意味で地球降下作戦が開始される。
「ガルマよ。お前を中将待遇としパンゲア作戦の司令官に任ずる」
「はっ! 必ずや成し遂げて見せます」
既定路線に従って地球方面軍を編成。
ガルマはあくまで横並びのメンツを従えて、序列の上で優先を付けただけだ。
「判って居るな?」
「はい。若輩者ゆえ先達の指導を仰ぎたいと思います。むろん、ザビ家に恥をかかせる様な事はしません」
ギレンの言いたいことは単純だ、他は同様に待遇だけ上がった者が参謀役。
実質的な司令官には元から少将だった者が指導する形になる(はず)。
彼らがモメごとを起こした時にザビ家の名前を出し、まとめるのが自分の役目だ。
そして、この戦いは地球占領作戦などではない。
ゆえに勝って名声を高めたり、ましてや支配領域を広げることに意味は無いのだ。
「スペースノイドの自治を制限し、地球圏にしがみつく連中に目に物見せてやりましょう!」
「それが判っているならば良い。お前には改ザンジバル級機動巡洋艦を与えよう」
改ザンジバル級機動巡洋艦……いわゆるザンジバル改は搭載量を強化したモデルだ。
ガウ攻撃空母の代わりどころか、実質的に上位互換である。
そして編成する方面軍と、場所に関して原作よりも絞られていた。
(まあ狙って無い分だけ、コロニーの残骸で与えた被害も少ないから、相手の戦力も多いしな)
ユーラシア大陸の東半分には最初から攻め込まない。
戦力の殆どはヨーロッパ戦線とアフリカに注ぎ込み、北アメリカは維持するだけだ。
そしてオーストラリア等は足止め部隊で牽制し、守備隊が必要だと思わせるに留めている。
何かやるにしても、ジオン水泳部ができてからだろう。
その狙いは工業力と穀倉地帯の確保。
ジオン軍の継戦能力を高めつつ、コロニーで水耕栽培される食糧の価値を高める為。
要するに一年戦争の反省と、0083以降の事情を踏まえた上で、適当な所で手内の停戦と発言力向上狙いで持久戦を狙っているのだ。
(戦いは政治における手段の一つに過ぎない……か。とはいえ他にも居るのはこれで確定だな)
ジオンの敗北も含めて計算し、確実に目的を果たす。
その為に余計な欲を切り捨て、ダーティーな手段も部分的に封印して居る。
さらに一年戦争を見て来たかの如き割り切りは、あきらかに異常だった。
(しかもそこに至るまでの道筋も、違和感がない様に誘導されてるからな。相当上に居るぞ……)
まあ、それは良い。
他に憑依者・転生者が居て、ジオンの勝利……。
いやスペースノイドの自治を目指して居るならば安心だ。
協力を求められれば手を貸そうとは思う。
(問題はギレンの本音と……連邦側の介入者だよな)
ギレンが建前だけ受け入れて、事実は絶対支配者を狙っている。
その場合はガルマとして殺される可能性が常に付きまとうし、正当化の為ならば手段を選ばないだろう。
そして一番厄介なのは連邦軍の方で、仮にギレンが転生者に協力的だったとしても、敵側の方が強ければ意味がない。
(ともあれ今は、ベルファスト攻略目指して頑張らないとな)
そう、今回の目標はヨーロッパの確実な確保。
オデッサを中心に堅実に抑え、無理してジャブローなんか狙わない。
ゲームならば全ての資源が一括で入手でき、空いてる基地の施設で何でも生産できる。
だが北米と西ヨーロッパを完全に落とせば工業力はガタ落ちする。
ジャブローのある南米はともかく、オーストラリアと東アジアだけで十分な生産が可能だとは思えないのだ。
あと、敵勢力はオセアニアとジャブローのラインに固めておけば、本当にコロニー落としを狙った時にやり易いからだろうな。
その意味では相手に利する事があろうと、敵地に味方は居ない方が良いということだろう。
(まっ、想像だけどな)
実際にギレンに聞かされた訳でもないので詳細は不明だ。
乏しい知識と編成表を眺めて、ヨーロッパ重視だからそう思ったに過ぎない。
(とりあえず呉越同舟な仲間達に挨拶して来ますか)
無事に任命式やら作戦説明を終えたので、そのまま次の予定に移る。
グワジンでのささやかな祝勝会とは比べ物にならない、壮行会が開かれる予定なのだ。
もちろん主役はガルマである自分であり、参謀団や司令官達でもある。
と言う訳で宇宙での戦いはサクっと終わりました。
次からモビルスーツ戦とか起きるので、今までのペースではない可能性があります。
ルナ2や地球に戦力残ってるので、余計な場所には攻め込みません
余計な手を広げない理由、持久戦をしても原作よりも大丈夫な理由に成って居ます。
毒ガスやら使わなかったり、コロニーが原作よりもズレた上に、かなり壊れてるので連邦の被害が少ないのもあります。
その分だけジオンの側も手が綺麗なので、各サイドからの受けも良く志願兵も居る模様。
●現在の判明している編成
『地球方面軍総司令官』
ガルマ・ザビ中将待遇大佐
以下、各種参謀
マ・クベ少将待遇大佐
ギニアス・サハリン少将待遇大佐
ノリス・パッカード大佐
シーマ・ガラハウ大佐待遇少佐
『ヨーロッパ戦域司令官』
ユーリ・ケラーネ少将
『アフリカ戦域司令官』
ノイエン・ビッター少将
以下、ガルマの縁が薄い名前が続く。
/艦船:
改ザンジバル級『ガウ攻撃空母』
ザンジバル級x3『マダガスカル』、『ケルゲレン』、『リリーマルレーン』
陸上戦艦ダブデ(予定)
陸戦艇ギャロップx2
ファットアンクル初期型(前面扉型)x10
ファットアンクル改(早期に生産予定)
(ギャロップとファットアンクルは持ち込み、後は現地生産予定)
主要モビルスーツ
MS-06J陸戦ザクⅡ数機(十機未満)
MS-06S指揮官用ザクⅡカスタム『グフ』数機
その他、MS-05ザクやMS-06Cなどが多数
陸戦ザクの追加は、生産予定。
(グフは生産としては存在せず、データを元に指揮官用ザクのカスタムモデル)
幾つかある資料の整合性を取りつつ、一部原作よりも地位が高い人・低い人が居ます。
●●待遇の人は同格の人より発言力が低いので、一応は普通の人が格上になります。
シーマ様の地位が高いのは、マハルを犠牲にしたとか、ガルマを守ったあたりの功績ですね。
とりあえずケラーネ隊・ビッター隊が主力で、ガルマ以下はヨーロッパに待機して占領工作をしつつ、火消しとかベルファスト攻略に向けて動く予定。