カリスマの無いガルマ【完結】   作:ノイラーテム

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第七話(前編)

●スカベンジャーハント

 ポケットタンクの脅威を取り除いてきたノリスを、みなで盛大に称えることにした。

想わぬ強敵を速攻で倒してくれた事もあるが、無茶を言ったし、様々なキーワードを蒔いておきたいのもある。

 

 ガウなんて名前を付けてしまった以上、自分が介入者であるのはバレバレだろう。

ならば憑依者・転生者にだけ判るキーワードをばらまき、かつ、無邪気にガルマを演じている様に見せておきたい。

ギレン閥でもキシリア閥でもそのうち伝われば良く、ネタのボールを返してくれば、そいつが怪しくなって来る。

 

「パーフェクトだノリス大佐。時間重視という制限がありながら、見事、奪取にも成功するとは」

「ありがとうございます」

 感謝の極みとは返さないか。

まあヘルシングネタじゃあ、知っている可能性も低いしな。

「いずれ陸戦用のJS型が回ってきたら君が使うと良い。私が持って居ても宝の持ち腐れだからな」

「そんな事は無いと思いますが、ありがたく使用させていただきます」

 Sザクは可能な限り高性能のはずだが、限界と言う物がある。

放射能汚染や電磁波攻撃を遮断するのはかなり面倒で、隔壁や電磁遮断に少なからぬ処理を施して居る。

条約で核を使わなくなった以上、その部分を削って新たに再設計すれば、もっと強くなるだろう。

 

 そうこうする内に、報告書を作成したマ・クベが手を挙げた。

 

「タンクはどうしますか? 対処するにしても回収するにしても厄介ですが」

「そうだな……。生産ラインを抑えるまでは、表面上のテストだけを『見せて』おいてくれ」

 バラして研究対象にするところまでは決定だ。

しかし奪ったタンクを運用するには数が少ないし、有効な兵器と思われても困る。

研究するまでも無く、後ろから撃たれたり、足回りを狙われるとモビルスーツが弱いことは判って居るのだ。

「正面から装甲を抜けない姿を見せて、無意味な兵器だと思わせるのですか?」

「ああ。使えないからという理由で、警備用にでも放置しておいてくれ。ただ……そうだな。『独自のルート』があったとしても、無理に報告させる必要は無い」

 無用の長物として扱ってくれれば恩の字だ。

どのみち生産ラインを奪えなければ、こちらで使い道を考える意味は無い。

あえて言うならば相手が隠す場所を想定する訓練用だが、別にソレはゲリラ兵サイズでも十分に想定できる。

 

 それに、独自のルート……エルランを使うのは早計だ。

もし奴が連邦側の介入者か、それに近い筋だとカウンタースパイとして嘘の情報をこちらに流される可能性がある。

あくまで情報源の一つとして利用しつつ、エルランの事を知って居るぞとマ・クベに思わせておけばいい。

……まだ近づいて居ない可能性もあるけどな。

 

「今後の方針だが君はオデッサの再稼働を頼みます。マダガスカルならば臨時の司令部に十分機能してくれるでしょう」

「はっ」

 望遠・通信機能に優れる艦である。

どのみち一隻残す必要があるならば、参謀としての能力込みで原作通りコイツが相応しい。

オデッサの要塞化が終われば、マダガスカルだけ別方面に動かす事もあるだろう。

「私とギニアスは宇宙港周辺の確保。地球用のカーゴベイが届き次第、本隊に合流します」

「調整の方は任せておいてくれ」

 ガウとケルゲレンの搭載量は、実のところ艦の方ではない。

カーゴ・ユニットを使うことで増量して居るのだが、これは降下には使用できず、当然ながら宇宙用と地球用では別物である。

本国から送ってもらった後で、ギニアスがミノフスキークラフトを調整しないと使い物にはならないのだ。

「では私はこのままケラーネ少将と共にでよろしいのですね?」

「勝利の女神が付いて居るならば心強いってもんだ。どうかな、この後で一杯?」

「その辺の交渉は後でしてください。強制さえしなければ止めはしませんから」

 本隊はユーリが率いて、そのままヨーロッパを西進する。

シーマと海兵隊はオデッサ攻略戦と同じく、相手の防備が薄い場所を突く予定になっていた。

二人は作戦の第三段階になっても、そのままベルファストを目指してもらう。

相手に多少の戦力があってもこの戦法で有れば突破し易いし、……対処の為に均等に配置してくれれば、増援として我々が駆け付けられる。

 

(……問題はポケタンみたいな戦力がどの程度まで影響を与えるかだな。場合によっては第三段階を捨てざるをえん)

 北京やキリマンジャロ以南は最初から諦めているが……。

相手の抵抗次第では、アフリカ方面そのものを捨てるのもアリだろう。

上層部が許可を出すかは別にして、針鼠のような武装があった場合は、無理に攻めると原作の二の舞になってしまう。

そのくらいならば戦線を最初から押し上げずに、ピッター隊にオデッサを任せてしまう方が良い。

(どの道、アフリカには穀倉地帯が無いしな。鉱山資源は惜しいが無理するとヨーロッパの確実な維持ができない)

 とはいえアフリカ大陸を完全に連邦の手に残すわけにもいかない。

ダカールやシエラレオネと言った大都市を落としておいて、港沿いに水泳部を動かす路線を本格的に検討すべきだろうか?

 

 作戦書を見ているとギレンの野望と言うよりは、シヴィライゼーションを思い浮かべてしまいそうだ。

もしそうならば、ジオンが目指して居るのは限定勝利か、文化的勝利というところだろうか。

 

●シュバルツシルトの戦い:前編

 結局のところ上層部は、マダガスカルを指揮管制用に送れと指示を出した。

中途半端な気もするが、その意味ではヨーロッパ制圧の方が重要なので間違いではない。

組み立てた通常兵器を載せて送ることで、せめてもの援護に回すということらしい。

 

 そしてユーリ達が西進する中、東欧を占拠した私達も増援に向かうことに成った。

ギニアスはノリスを私に預けて予備戦力となり、何も無い間は工業地帯の再始動を始めて通常兵器を生産を始める。

原作の様に反応炉を使って工場の機能を高めるのだろうが、研究熱心に成り過ぎないように釘は刺しておいた。

 

「では私は第二線として制圧に加わりますが、いざとなったら増援を頼みます」

「それまでにはマゼラアタックくらいは用意しておくよ。出来れば陸戦型も用意したい所だが」

 ザンジバルが半減するのは痛いが、兵器数も足りない。

彼が研究者であり、ケルゲレンの反応炉があれば、出力の足りない工場でも素材加工ができるというならば仕方無いだろう。

「そういえばアイナさんも呼び寄せるのですか?」

「ああ。イフリートモドキ(イージーエイト)のテストが終わったそうだから、丁度良いだろう」

 JS型や普通のJ型、そしてギャロップの建造パーツを持って降りて来るらしい。

彼女達が到着すれば、補充兵込みで戦力もかなり充実した物に成るだろう。

 

 こうして西進組に加わった私は、二度目の邪魔に出くわした。

暫くあんな面倒なことは無いと思ったのだが、そうは問屋が降ろさないということか。

ザンジバルを揺るがせるほどの衝撃が、空に木霊していくのが聞こえる。

 

「なんだ、何が起こった!」

「ザクが一撃で吹っ飛びました! 山の稜線からの砲撃です!」

 既に旧型になっているとはいえ、ザクが木っ端微塵であった。

要塞砲か何かが運悪く直撃したのかと思ったが、甘い考えの御代りというべきか。

実に嫌らしいモノがこちらを睨んで居るのが見える。

「61式よりも大型の戦車が曲射攻撃を行ったようです。二台ずつで連動し、諸源を割り出しながら測距射撃を行った模様」

「それにしても一撃とは、随分と火力が強いですな」

「……嫌な予感がする」

 ノリスの疑問に汗をかきながら応えた。

大型戦車といえばガンタンクだが、間に合わせたならば脱出機構はないだろう。

いや、それともモビルスーツへの過渡期として、ヒルドルブに近い形状かもしれない。

 

「映像出します!」

「あれは……」

「やはりミノフスキー核融合炉対応型の大型戦車か……」

 結論から言うと予想通りだった。

専用のキャノン砲が一門、副砲としてポケットタンクの砲が一門という絞った構成だが、低い重心の通常モードと高い重心の駆逐モードが存在する可変戦車だ。

強襲用ガンタンクとヒルドルブを参考に、最低限の機能を持たせたという所だろうか?

大型過ぎずキワモノでもなく、連邦製の兵器として相応しい形状をして居ると言えなくもない。

「ノリス大佐。今度は捕獲を前提に頼む。やつの融合炉を確かめ、モビルスーツ開発に転用できる物なのかを調べる必要がある」

「はっ! お任せください!」

 冗談はやめてよねと言いたい。

しかしこちらが技術の進化を早め、ルートを絞って促進している以上。

連邦が出来ないと考えるのは間違いだろう。

ガンタンクが完成してないだけ良かったと言うべきか、それとも量産向きの形状に絞られているのを厄介と言うべきだろうか。




 少し足りないのですが、1000字くらいの戦闘を足しても寂しいので分割。
毎日投稿の方を重視してみました。よって次回が戦闘回に成ります。
本日は忙しいので、二回投稿は無い筈。

●スカベンジャーハント
 文字通りゴミ拾いです。
相手の装備を拾い、情報を拾い……。
介入者が絞れて来たのと、派閥単位で考えれば同じなので
あえて特定せずに待ちの態勢。
あと疑惑で殺し合いに突入するよりは、先に和解を探る感じ
まあ他に介入者が居るとか考えずに、ガウとか名前を付けてしまいましたので。

 本編で書いていますが、エルランに関しては安心できません。
といういか相手にも介入者居るんだから、当然監視して居るよねという話。

●経済戦と文化勝利狙い
 相手がゲーム脳でギレンの野望をやるのに対し、こちらはシヴィライゼーションで対抗。
穀倉地帯・鉱山地帯・工業地帯を抑え、地球連邦にとっても持久戦はよろしく無い点を突いて居ます。
この作品では他のコロニーが友好的なので、志願兵も居るのでジオンも多少マシになっています。
(それでも勝てないので、要所だけ抑えてますが)

連邦に残るのは南米・オーストラリアの一部・アフリカ大陸の一部・東アジア。
頑張って人口を支えてくれ! という作戦になります。
もちろん食料を生産できない様に、いやがらせはしますけれどね。

●78式戦車。連邦での愛称は『100式戦車』、ジオンでは『ディアブロ』
 ミノフスキー核融合炉搭載型の戦車です。
簡易変形で背を高くして、戦車の上面装甲を撃ち抜く事も出来ます。
連邦の介入者はこの車両に関してはガンタンクを目指したというよりは
既存の技術に対して融合炉を組み込む事で、他者の反対を受けずに
小形融合炉を研究することを進めた模様。

 武装は主砲x1、副砲x1と非常にシンプル。
あまり大きくせずに61式よりも強く堅く、簡易変形とか凄い機能付き。
更に副砲はポケットタンクと共通化することで、量産に向きますよというコンセプト。
衛星砲撃リンクは存在せず、ケーブルで僚機とリンクして連動射撃を行います。

アイデアソースとしてはヒルドルブの正当進化と
TRPGのメタルヘッドに出てきたKKKロイヤル、バトルメックのデモリッシャー重戦車になります。
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