インフィニット・ストラトス ~栄光のオリ主ロードを歩む~   作:たかしくん

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オリ主VSドリル前哨戦のお話


第2話 オリ主と女王様と特別室

セシリア・オルコットが席に戻りすぐに授業が始まった。

 

「ああ、その前に再来週行われるクラス対抗戦に出る代表者を決めないとな。」

 

織斑先生がクラス代表の仕事について説明する。つまり学級委員長+クラス別バトル代表って所か。

今更だが俺は闘争を求めてここに来ている。両親のことを思うと、ちょっとアレだが。

バトル代表は別にいいが、学級委員長は勘弁してもらいたい。これはやめておこう。

 

「はいっ。織斑君を推薦します!」

 

誰かが言った。

 

「だったら私は藤木君で!」

 

織斑先生によると自薦他薦は問わないらしい。ヤバイ、俺と一夏しか推薦されて無い。ここは一夏になってもらわないと。

 

「じゃ~あ~、アタイも~織斑君がいいと思いま~す」

 

女の子っぽく言うと一夏がすかさず切り返す。

 

「俺は藤木君を推薦します!」

 

俺と一夏の小競り合いが始まる。そんな時だった。

 

「待ってください!納得がいきませんわ!」

 

金髪ドリルことセシリア・オルコットが机を叩き立ち上がる。

 

「そのような選出は認められません!大体、男がクラス代表だなんていい恥さらしですわ!」

 

男がクラス代表だなんていい恥さらしか…しかしやる気があるのだから彼女にクラス代表になって貰いたい。合いの手でも入れて応援してみるか。

 

「実力から行けば私がクラス代表になるのは必然「そうだ!」それを、物珍しいからという理由で極東の猿にされては困ります!「そうだそうだ!」わたくしはこのような島国までIS技術の修練にきているのであって、サーカスをする気は毛頭ございませんわ!「全くだ!」いいですか!?「よくってよ。」クラス代表は実力トップがなるべき、そしてそれはわたくしですわ!「その通りだ!」大体、文化として後進的な国で暮らさなければいけないこと自体、わたくしにとっては耐え難い苦痛で「そうだぞ!苦痛なんだぞ!」ええい、うるさい!」

 

怒られた。彼女のためにやったことなのに、俺の厚意は正しく受け止めてもらえなかったらしい。

今度は一夏が立ち上がり声を荒げる。

 

「イギリスだって大したお国自慢ないだろ。世界一まずい料理で―うわっ、紀春何すんだよ!?」

 

俺は一夏にひざかっくんをした。一夏のあまりにも的外れな返し方にちょっとイラッとしたからだ。ここは俺のオリ主トークスキルでフォローしよう。これはもうバトルの流れだ、そうオリ主嗅覚が察知した。祭りに遅れてはならない。

 

「一夏、ここは俺に任せろ。」

「えっ?」

「お前じゃこの口喧嘩、力不足だ。」

 

セシリア・オルコットが俺を睨む。もう睨まれっ放しなので耐性がついた。もう怖くない。

俺は彼女に微笑みかける。さぁ、始めよう。

 

「出ましたわね、藤木紀春!さっきから見てましたがいつもヘラヘラして、自分で情けないとは思わない―「感動した!!」ええっ!?」

「感動したよ!オルコットさん!君は実に素晴らしい勇気の持ち主だ!」

 

クラスメイト達は「何言ってんだコイツ」って感じで俺を見る。

 

「何を…言って…」

 

セシリア・オルコットがたじろぐ、俺は強気に攻めた。

 

「素晴らしい勇気だ!このクラスに居る人間のほとんどは君が言うところの極東の猿だ!しかし君はそれに臆することなく自分の意見を言った!それだけじゃない、君は極東の猿が作ったISに乗るためにこの極東の猿が多く生息する日本にやってきて、極東の猿に教えを請おうとしている。その屈辱は俺には計り知れないがそれに耐え抜こうと頑張っているんだね!猿に囲まれて三年間も暮らすなんて俺には耐えられないよ!素晴らしい!さあ、人間としての尊厳を見せてやろう!あそこに強い極東の猿がいるぞ!あの猿に打ち勝ち自分がここの支配者であることを示してやるんだ!大丈夫!強いと言っても所詮猿だ!君なら出来る!」

 

俺は織斑先生を指差しながら告げる。織斑先生の額には血管が浮いており、セシリア・オルコットは青ざめていた。また勝ったな。これで篠ノ之さんに続き二連勝だ。

 

「決闘ですわ!藤木紀春!織斑一夏!あなた方に決闘を申し込みます!」

 

あっ、露骨に話題変えられた。まぁいいか、完全にバトルの流れだし。ここで水差し野郎にもなりたくない。

 

「よかろう。一夏、それでいいか?」

「ああ、構わないぜ!」

 

一夏も乗り乗りだ。やる気が出てきた。

 

「わたくしが勝ったらあなた達二人共、わたくしの小間使い――いえ、奴隷にしますわよ。」

「何っ!奴隷だと!?」

 

奴隷…なんとも魅惑的な言葉だ。

 

「あら、今更怖気付いてももう遅いですわよ。」

「奴隷……つまり…」

「―つまり?」

「つまり鞭で叩いて頂けるのですね!?」

「えっ?―ひぃっ!」

 

おれはケツを向けながらセシリア・オルコット―いや女王様に迫る。女王様はおびえてるようだった。

 

「さぁ!好きなだけ叩いてください!この藤木紀春、女王様の責めなら幾らでも耐え抜いて見せましょうぞ!そして後にご褒美もください!」

「ひいぃぃぃぃぃぃっ!」

「いい加減にしろ。」

 

バシィーン!と音がした。俺はオルコット女王様の鞭を受ける前に織斑女王様の出席簿を頭に受け気絶した。一日二回は初めてだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ぐっ、また記憶を失ってしまった!」

「だ、大丈夫か紀春。」

 

一夏が声を掛けてくる。主人公は俺を心配してくれているようだ。

待てよ…主人公……記憶喪失……っ!今まで散々記憶喪失になっていたのになぜ気づかなかったんだ!?俺は記憶喪失系オリ主だったのか!?

俺は偉大なる二人の記憶喪失系オリ主のことを思い出す。

銀髪のギアス使いとリビドー満載の銀河美少年…俺は彼らと同じ系譜に立っていたのか!?

こうしちゃ居られない!早く彼らのようにフラグを建築しないと死亡フラグが建ってしまう。

女…女はどこだ?あ、周りにいっぱい居る。とりあえず篠ノ之さんでいいか、席隣だし。

 

「ねぇ、篠ノ之さん。」

「今は授業中だ、静かにしろ。」

「俺と付き合ってくれない?」

「はぁ!?」

 

「「「「な、なんだってー!」」」」

 

クラスメイトたちが驚いている。

 

「あ、やっぱ無理?ならいいや。じゃあ、鏡さん俺と付きあっ――うわらば」

 

その瞬間今度は拳骨が落ちてきた。

 

「藤木、授業中にナンパとはいい度胸だな。」

 

当然のように俺は気絶した。一日三回も初めてだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ううっ、また記憶喪失になるなんて…」

「あっ、紀春。やっと起きたのか。」

「あれ、一夏。今何時だ?」

「もう放課後だぞ、そうだ紀春。なんでいきなり箒に告白したんだよ。」

「箒って、篠ノ之さん?いやあり得ねぇだろ、篠ノ之さんはお前の――っ。」

「そこまでだ。」

 

篠ノ之さんがかつてない眼力で俺を睨んできた。多分言ったら殺される。

 

「告白の件は許してやる。しかしそれ以上言ったら……解ってるな?」

「アッハイ。(恐怖)」

「しかし何であんなことしたんだ?」

「いやーそれがですね。その時の記憶がすっぽり抜け落ちていまして。」

「またか。」

「オルコットさんにケツ振って迫った所までは覚えているのですが…」

「ちょ、ちょっと待て箒。またかって何だよ?っていうか二人は知り合いなのか?」

「まず最初の質問からだな。コイツは気絶すると大体記憶喪失になっている。よくあることだから心配するな。そして二つ目の質問だが、コイツと私は中学校の同級生だ。」

「三年の三学期からだけどね。ちなみにそれまでは篠ノ之さんって、ぼっ「おい。」ハイ、スイマセン。」

 

ぼっちは篠ノ之さんの黒歴史だもんね。この話はやめておきましょうね。

 

「よくあることって……本当に大丈夫か?」

「一月もすれば慣れる。私はそうだった。」

「そうなのか…」

 

そんなことを話していると山田先生がやってきた。

 

「ああ、織斑くんに藤木くん。まだ教室にいたんですね。よかったです。」

「あれ?どうしました?」

「えっとですね、寮の部屋が決まりました。」

 

ああ、ここは全寮制だったか。一夏が喚いている。どうやら寮に入るのを通達されていなかったらしい。

 

「ということで、織斑君の部屋は1025室です。藤木君の部屋は…ちょっと事情がありまして、特別室を一人で使ってもらいます。」

「うわ、ズルイ!紀春、部屋変わってくれよ。」

「お断りだ。一人で自家発電をする権利は全ての男性が持つ権利だ!お前以外はな!それをみすみす渡してたまるか!」

「えっ?自家発電?どういう意味ですか?」

「山田先生、人間知らないほうが幸せな事だってあるんですよ」

「はぁ、そうですか。」

 

山田先生はピュアだった。

しかし特別室か、三津村が用意するように仕向けたのだろうか。だとしたらありがたい。

 

「藤木君は私が直接案内します。付いて来てください。」

 

俺は教室から出る山田先生の後を追った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……」

「……」

 

俺と山田先生は寮の廊下を歩いていた。

気まずい…思い返してみれば、あの入学試験のとき以来初めて山田先生と二人きりの状況になるのだ。

何か話して場を持たさないと。

 

「あの、入学試験のときは本当にすいませんでした。」

「あっ、あの…」

「いやあ、アレしか勝ち筋が思い浮かばなくて…」

「……」

「……」

 

また沈黙に逆戻りだ。

 

「あの、私は大丈夫ですから。だって私は先生ですし。」

「そう言って頂けると気が楽になりますよ。」

 

山田先生の言葉に安堵する。特別室は寮の一番端にあるらしい、もうすぐ到着する。どんな部屋だろう?今から楽しみだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なんじゃこりゃあ!」

「やっぱり…怒ってますよね?」

 

特別室は、確かに特別だった。しかし悪い意味で。

 

板張りの床に布団が一つ敷かれてあり、天井からはビニール紐につなげられた懐中電灯がぶら下がっていた。それ以外には三津村が俺のために用意したであろう生活必需品が入ったダンボールが三つ。それだけだった。

俺は学園にここまで嫌われていたのか。

 

「なんなんですか!?この待遇は!俺は囚人になった覚えはありませんよ!」

「ひぃっ!ごめんなさい!今寮の増築工事をやっていますんでそれまで我慢してくださいっ。」

「…その増築工事はいつまで?」

「最低でも一ヶ月は掛かるかと…」

「マジかよ。」

「これでも頑張ったんですよ。教職員を集めて、この物置部屋を掃除するのに一週間掛かりましたし。」

「やっぱり物置部屋だったのか。しかし俺は頑張りが足りなかったと思いますよ。」

「やっぱりそう思いますよね。」

「そもそもシャワーはどうするんですか?大浴場も使えないんじゃ俺はこの学園で序々に臭くなるしかないんですが。それとも海で洗って来いと?」

「シャワーは織斑君と篠ノ之さんの部屋に借りてくださいとのことです。」

「はぁ、そうですか…っていうかあの二人相部屋なんですか。」

「ええ、そういうことでお願いします。改装は自由に行って良いそうなので頑張ってください。では私は会議があるので…」

 

山田先生は逃げるように特別室から出て行った。あっ、この部屋コンセントも無いや。携帯の充電どうしよう。

三津村にお願いするか、いやここはIS学園の学生寮だ。簡単に入ることは出来ないし、三津村の業者が来るにも申請に時間が掛かるだろう。自分でなんとかするしかなさそうだ。

 

俺は携帯電話を取り出し、着信履歴から楢崎さんの電話番号を呼び出す。

 

「……あっ、楢崎さん?明日までに揃えてほしい物があるんだけど。…うん。寮の部屋が悪い意味で特殊でね。改装しようかと…うんお願い。えーっと欲しい物は、テレビと冷蔵庫、あとノートパソコンとそれを置くための机と椅子。それと簡単に移動できるベッドも。それと小さめの箪笥。今日送られてきた服が入るくらいでいいや。あと物置用の棚に電動ドリルと金槌と電動ドライバー。あと工事とかに使うホッチキス、…鋲打機?ああ多分それ。うんそれも電動のやつで。あと穴を埋めるため使うのに…樹脂を注入する注射器みたいのがあるよね?それと延長コードを十個。あと忘れてた、照明器具もお願い。それで以上かな?…いやある意味一番大事なものを忘れてた。山吹色のお菓子も持ってきてくれるかな?うん、こんどこそそれで終わり。じゃよろしくね。」

 

よし、準備は終わった。早速だが一夏の部屋に行こう。1025室だったっけ?シャワーを借りに行かないと臭くなってしまう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なんじゃこりゃ?」

 

1025室の扉は穴だらけだった。恐る恐るドアをノックすると、篠ノ之さんが顔を出す。

 

「藤木か、何の用だ?」

 

篠ノ之さんは不機嫌そうな顔をしている。一夏と同室になって大喜びしていると思っていたが何があったのだろうか?

 

「ああ、俺の部屋シャワーが無くてね。山田先生がここで借りて来いって。」

「シャワーが無い?一夏からお前の部屋は特別室だと聞いたぞ。」

「悪い意味で特別なんだよ。一度見に来るか?ってとりあえず部屋に入れてくれないかな?ずっとここに立ってると目立ってしょうがない。」

「解った、入れ。」

 

篠ノ之さんと共に部屋に入る。そこには一夏の死体があった。

 

「死んでる!?篠ノ之さん、君がやったのか!?」

「やったのは私だが一夏は死んでないぞ。」

「なんだ、ならいいや。シャワー借りるね。」

「ああ、いいぞ。」

 

俺はシャワールームに入る。充分に湯を堪能した後着替えてシャワールームを出る。

一夏はまだ死んだままだった。

 

「ああ、篠ノ之さん、携帯の充電させてもらえないかな?俺の部屋コンセントなくて。」

「むしろお前の部屋には何があるんだ?」

「布団と懐中電灯…それだけ。」

「それは……すまない、今お前になんて言えばいいか解らない。」

「笑えよ篠ノ之さん。」

「………」

「すまん、もう帰るわ。」

 

妙に寂しい気持ちになりながら1025室を出る。そんな中、俺は懐中電灯の明かりしかない特別室に帰っていった。




数多のSSでセシリアのあの一連の台詞に多くのオリ主が様々な反論をしてきましたがウチのオリ主はこんな感じでした。

全てのSSを見てるわけでは無いのでアレですが、傾向として珍しい部類に入っていると信じたい!


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