インフィニット・ストラトス ~栄光のオリ主ロードを歩む~   作:たかしくん

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更新についてのお知らせです。

本編五話投稿後、番外編一話を投稿するとしていましたが番外編の内容が本編を大きく引き摺っています。そのため番外編を本編六話に変更します、それにより本編五話終了後はまた書き溜めをすることになりました。ごめんなさい。



第3話 匠 オリ主のビフォーアフター

「体のあちこちが痛い…疲れも全然取れなかったな…」

 

食堂までの道のりでそんなことを言ってみる。すると周りの女子達はそれに反応し、あることないことを騒いでくる。IS学園は脳みその腐った乙女の巣窟だった。

 

特別室の寝心地は最悪だった。板張りの上に直接敷かれた敷布団は妙に薄いのだ。今日の放課後には家電や工具が到着するので、帰ったら改装がんばろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いやー、朝食バイキングってなんかテンション上がるよね。たくさん取っちゃったよ。」

「すごいね…藤木君。」

「ん?そうか?ちょっとハッスルしちゃった気はするけど別に食えないって程じゃないだろ。」

 

食堂に行くと一夏と篠ノ之さんが飯を食っていたので、席を確保してもらいその間に食べ物を取ってきた。

席に戻ると二人の他に谷本さん、鏡さん、布仏さんが居た。ちなみに谷本さんと鏡さんは初日に一緒に狩りをやった狩友だ。ついでに言うと最後の一人は岸原さんという。一度狩ったら友達なのだ。毎日狩ったら兄弟だ。

 

「でも、それは多いんじゃない?織斑君の二倍はあるよ。」

「一夏の二倍でも食えなくは無いよ。一夏だってこのくらい食えるだろ?」

「まぁ、食えないことは無いな。多いけど。」

「私は先に行くぞ。藤木、携帯返すぞ。」

「おっ、さんきゅー。今日はもう大丈夫だと思うから。」

「そうか、じゃあな。」

 

篠ノ之さんは食事を終えてどこかに行ってしまった。

なんか不機嫌な感じだな。昨日部屋に行ったときもそんな感じだった。まぁ痴話喧嘩に介入してもいいことは無い、生暖かい目で見守ろう。

 

「なんで篠ノ之さんが藤木君の携帯持ってるの?」

「それには聞くも涙、語るも涙な悲しい事情があるんだよ。」

 

谷本さんの質問に俺は曖昧に返す。

 

「いつまで食べている!食事は迅速に効率よく取れ!遅刻したらグラウンド十周させるぞ!」

 

織斑先生の声だ。みんなが急いで食事を再開する、今日もがんばろう、特に改装を。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一夏は相変わらず青い顔をしているが、本日も授業がつつがなく進行する。休み時間になって織斑先生が俺達二人に声を掛けてきた。

 

「織斑、お前のISだが準備まで時間がかかる。」

「へ?」

「予備機がない。だから少し待て。学園で専用機を用意するそうだ。」

 

また周りが騒ぐ。

さすが主人公だ。何もしなくても専用機を頂けるようだ。俺とは大違いだ、俺は専用機を手にするためにあの暗い部屋の薄い布団で寝なきゃならなかったのに。それでも自分が恵まれてる人間だって解ってんだけどさ。まぁ、主人公だもんな、当然だよね。

 

「そして藤木、お前の専用機の調整が完了した。放課後IS開発室まで行ってこい。」

「うっし!」

「お前、何をした?」

「季節外れのサンタクロースに頼んだんですよ。」

「やはり三津村の差し金か。」

「世界中に通用する、俺史上最高のコネですからね。出し惜しみはしませんよ。」

 

織斑先生の目つきが怖い。織斑先生は俺のことを良く思ってなさそうだ。まぁ、三津村がIS学園に対して行った仕打ちを考えるとそれも止む無しか。ISの強奪に整備課主席の強奪。多分俺の存在がすぐに公表されたのもIS学園にとっては面白くないはずだ。

 

その後、篠ノ之さんが篠ノ之束の妹であることが織斑先生によって告げられる。篠ノ之さんはチヤホヤされたのが気に入らなかったのか、急に怒り出した。

もうちょっと愛想よくしろよ、またぼっちに逆戻りだゾ。(クレしん)

 

また授業を挟み、昼休みになると今度はセシリア・オルコットがやってきた。

 

「安心しましたわ。まさか訓錬機で対戦しようとは思っていなかったでしょうけど。」

「対戦?誰が誰とするんだ?」

「あなた、やっぱりわたくしを馬鹿にしていますの?」

「そうわよ。」

 

セシリア・オルコットが俺を睨む。しかし、対戦なんていつ決まったんだ?この口ぶりからすると俺がセシリア・オルコットとするみたいだが、俺が気絶してる間に決まってしまったのだろうか?

 

「一夏、対戦ってどういうこと?」

「お前が気絶してる間に決まったんだよ。俺達三人で対戦して勝ったらクラス代表だってさ。」

 

やっぱりか。

 

「クラス代表ねぇ…俺やりたくないんだけど。」

「やっぱり怖気づきましたの?」

「俺を煽るなよ。アンタの話に付き合うのは面倒なんだ。」

「あなたがわたくしを煽ってるのでは!?」

「もういい、この話おしまい。で何の用?さっきの口ぶりからすると自分が専用機持ちだって自慢しに来たのか?」

「やっぱり、あなたという人は…」

「もう勘弁してくれよ…一夏飯いこうぜ。」

 

俺は一夏の返答を待たずに教室を出た。

その後、一夏は少し遅れて篠ノ之さんと食堂にやってきた。篠ノ之さんは相変わらず不機嫌そうだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

放課後、俺はIS開発室に来ていた。俺の専用機を受け取るためだ。

IS開発室に入ると白衣の女と一機のISがあった。彼女が例のスカウト(強奪とも言う)された人か。

 

「やぁやぁやぁ君がわが社の希望の星、藤木紀春君か。」

「はい、ではあなたが昨年度の主席さん?」

「そういうことになるね。私の名前は不動奈緒 、これからよろしくね。」

「よろしくお願いします。で、不動さん。早速なんですが。」

「あ、やっぱり気になる?」

「こんなもの目の前に置かれて無視できるわけ無いじゃないですか。」

 

目の前の機体を見る。カスタム機と聞いていたが、どの量産機にも似つかない外見だった。

 

「そうだね。じゃ、早速紹介しよう。この機体こそが私達昨年度三年整備課の血と汗と涙と青春の結晶。その名も、打鉄・改よ。」

「名前普通!そして打鉄の面影一切無いですね!」

「名前は先生に勝手に付けられたんだよ。そして打鉄の面影あるじゃない。この盾とか。」

「片方しか付いてないじゃないですか。しかも大きさとか形とかが明らかに違うじゃないですか。」

 

その機体は、打鉄・改と呼ばれていたが打鉄の要素を感じることは出来なかった。

打鉄の一番の特徴である二つの盾は左側に一つだけになり、あの特徴的なスカートも無くなっていた。その代わりに体のほとんどが装甲に覆われる構造で、露出する部分は頭と二の腕くらいだった。

そして背部についた四つの楕円形の非固定浮遊部位(アンロック・ユニット)が目立つ。

 

「まぁ、半分趣味みたいな感じで作った物だからツッコミだすとキリがなくなるよ。」

「キリが無くなるほどツッコミ所があるんですか、この機体。」

「まぁね、さてそろそろ機体の説明に移ろうか。」

「お願いします。」

 

打鉄・改。この機体のコンセプトは単純だった。

攻撃力、防御力、スピード、この三つを同時に備える機体。一見すると完璧な機体に思えるが、しかしそれには大きな犠牲を伴っている。それは…

 

「曲がらない。」

「曲がらない?」

「ええ、旋回性能がほぼ無いわ。一応曲がる方法はあるんだけど、かなり難しいわ。」

「PICがあるでしょ。それはどうなってるんですか?」

「姿勢制御や減速に使えるくらいね。当てにはならないわ。」

「へぇ、つまりそれを覚えないとこの機体を扱えないってことか。」

「そういうこと。そうそう、そういえば君、イギリスの代表候補生と戦うんだって?」

「お耳が早いですね。不動さん、もう三津村が板についてますね。」

「よせやい。照れるぜ。」

「褒めてるわけじゃ…なくも無いのかな?」

「結局どっちなのさ?」

「どっちなんだろう?」

「もう訳解らなくなってきた。まぁいいや、話を戻そう。イギリスの代表候補生、確かセシリア・オルコットだったっけ?君が戦う相手。」

「そうですね、俺が気絶している間に戦うことが決まっていたんでよく解りませんが。」

「まあ、いいわ。その相手に勝つ方法、考えてきたわよ。しかも曲がらずに。」

「曲がらずに!?」

「まぁ、一次移行(ファースト・シフト)してから教えるわ。明日アリーナを抑えておいたから適当に動かして来なさい。話はそれからよ、武装の説明もね。」

「明日からですか、まぁこっちのほうが都合いいのかな?今日は部屋の改装しないといけないし。」

「改装?」

「ええ、俺の部屋、布団と懐中電灯しか用意されてなくて…」

「なにそれひどい。」

「でしょ。ということで今日は帰ります。また明日来ますんでよろしくお願いします。」

「ええ、じゃまた明日。」

 

その言葉を聞き、俺はIS開発室を出た。さて改装ガンバルゾー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一夏を部屋に入れる。今日の改装の手伝いをしてもらうためだ。

 

「何だよ、この部屋。」

「それは俺が聞きたいんだがな。」

 

楢原さんが届けてくれた荷物が入っているので多少賑やかになってはいるが、この特別室は相変わらず殺風景だった。

さて、改装を始めよう。

 

「一夏、とりあえずお前にはテレビや冷蔵庫とかのダンボールを外してもらいたい。俺は隣の部屋でやることがあるんで、ここは任せた。」

「隣の部屋って、普通の部屋だろ?何しに行くんだ?」

「交渉さ。」

 

俺は荷物の中からある物を取り出した。そして特別室を出て、隣の部屋をノックする。部屋から女生徒が出てきた。

 

「あれ?君は藤木君!?私達の部屋に何か用なの?もしかして…夜這い?」

「ははは…それはまたの機会に取っておくよ。今日はちょっと別の用事でね。」

「用事?何かしら?」

「俺、この部屋の隣に住んでんだけど、その部屋、コンセントが無くてね。ちょっと貸してもらおうかと。」

「コンセント?…でも隣の部屋って言ったって、この入り口から藤木君の部屋のドアまでケーブル渡すの?ちょっと遠いけど延長コードとか大丈夫?」

「いや、ちょっと言い方が悪かった。コンセントを俺が隣の部屋に住んでる間ずっと貸してほしいんだ。」

「ずっと!?それはちょっと、ドアが閉められなくなっちゃうし…」

「だから、ドリルでこの壁の一部をぶち抜く。ああ、心配ないよ改装の許可は取ってあるし、開けた穴は延長コードを通したあと埋めるから。」

「ええっ!?それちょっと無茶苦茶だよ!」

「やっぱりか…ああ、そうそう。このお菓子あげるから、なんとかならないかな?きっと気に入ると思う。」

 

俺はお菓子の入った箱を渡す。女生徒はそれを受け取るが、微妙な顔をしていた。

 

「いや…お菓子って…」

「一個食べてみてよ。絶対気に入るから。」

 

女生徒は渋々、箱を開け二十個入っている饅頭の一つにかぶりついた。

 

「これは…」

 

饅頭の具に違和感を感じたのだろうか、女生徒はその具を手でつまみ取り出した。

 

「美味しい?」

「…凄く美味しいわ。こんなの私初めて食べたわ。」

「コンセント二つ、頂けるかな?」

「ええ、好きにしてちょうだい。」

 

饅頭の具は、福沢諭吉先生が描かれた紙だった。俗に一万円札とも言う。

俺は特別室に戻り電動ドリルを持ち隣の部屋の中に入り、コンセント近くの壁に直径十センチほどの穴を開け、そこに延長コードのプラグを通しコンセントに刺した後樹脂で壁の穴を埋めた。

隣の部屋の二人は満足そうにしていた。

 

部屋に戻ると、一夏が呆れた顔をしていた。

 

「お前、無茶苦茶するなぁ。」

「必要なことなんだから仕方ないだろ。さぁ続けよう。あとで余った饅頭あげるから頑張れ。」

「いらねぇよ。」

「そうか?美味しいのに。」

 

そんな会話をしながら作業を続けた。

二時間ほどで作業は終了し、一夏は帰っていった。

余った饅頭は隣の部屋の二人にあげた。更に喜んでくれたようだった。

 

部屋に文明的な明かりが灯る。テレビはテレビ自体が電波を受信してくれるようで、すぐにテレビ番組を見ることが出来た。ベッドは移動式の安物だがもうこれで体の痛さを感じながら寝ることは無くなり、携帯の充電も不自由なく出来る。パソコンも使い放題だ。これで未成年は見てはいけないあんなサイトやこんなサイトも見ることが出来、自家発電し放題だ。

あっ、ドアに鍵つけるの忘れてた。今日は残念だが我慢しよう。自家発電を見られたら今度こそ自殺してしまう。

 

心地よい疲れを感じながらベッドに入る。

 

「……っ………でさー…………でしょー」

「………っさ!……………っ!ははは!…」

 

開けた穴は樹脂で塞いだはずなのにそこから妙に隣の声が聞こえる。

完璧に塞げてなかったのだろうか…

 

俺の自家発電ライフはまだ遠いようだった。




ビフォーアフターする話ではなく、賄賂を渡す話になってしまいました。

セシリアの会話部分でオリ主が面倒だと言ってましたが、面倒になったのは私です。
あの一連の会話は五回くらい書き直すことになりまして、もうこれでいいやと……

オリ主のISの本格的な話は次回で……

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