インフィニット・ストラトス ~栄光のオリ主ロードを歩む~   作:たかしくん

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金髪ドリルと戦うんやで。


第5話 激闘!オリ主VS金髪ドリル!

『試合終了。勝者――セシリア・オルコット』

 

一夏の試合が終わった。一次移行(ファースト・シフト)終了後、ビームサーベルみたいな剣でセシリア・オルコットに切りかかる寸前に試合が終わってしまった。

一夏が戻って来て、織斑先生から説教を受けていた。あのビームサーベルは『零落白夜』という一夏のISの単一仕様能力(ワンオフ・アビリティー)らしい。

そしてその『零落白夜』はシールドエネルギーを消費してシールドエネルギーを無効化する攻撃らしい。おいそれ危なくねぇか?

俺の群馬で学んだISオリ主知識では単一仕様能力(ワンオフ・アビリティー)は通常二次移行(セカンド・シフト)後に発現するはずだ。一夏は相変わらず主人公だった。

 

「負け犬」

 

帰ってきた一夏に、そう篠ノ之さんが言った。一夏は織斑先生と篠ノ之さんに責められっぱなしだ。山田先生は織斑先生に意見できなさそうだし、俺がフォローしてやろうか。

 

「いやいや、俺はよくやったと思うよ。」

「紀春……そう言ってくれるのはお前だけだよ…」

「一夏、お前IS稼働時間、何時間ぐらいだ?」

「今の戦い込みで、一時間くらいかな?」

「一時間であそこまで動ければ大したもんだよ。織斑先生や篠ノ之さんはお気に召さないようだけど。」

 

織斑先生と篠ノ之さんの視線が痛い。それを気にせず一夏が俺に質問してきた。

 

「そういえばお前のIS稼働時間って何時間なんだ?口ぶりからして俺より多いのはわかるけど。」

「俺か?俺は二百時間くらいだな。」

 

その場にいた全員が驚いているようだった。まぁ当然だろう。俺がISを動かしてまだ一ヶ月と一週間ぐらいしか経ってない。

驚いてくれるかなって期待していたのでこの反応は嬉しい。

 

「お前がISを動かしてまだ一ヶ月と少ししか経っていないはずだぞ。いつの間に?」

 

篠ノ之さんが俺に聞いてきた。

 

「んー、じゃあ篠ノ之さんだけに解るヒントをあげよう。」

「何だ、そのヒントは?」

「ヒントは『温泉旅行』群馬にいい温泉があったのさ。卒業式の後も行っちゃたよ。じゃ、俺そろそろ試合なんでさよーならー。」

 

俺は四人の下からカタパルトへ移動した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カタパルトに出て打鉄・改を呼び出すと、早速不動さんから通信が入ってきた。

 

『よーし、今からが私達の戦いだよ。』

「…よし、行こうか。」

『はいはい、戦闘中は通信できないからもう切るね。』

「わかりました。では、また後で。」

 

そう言うと通信が切断された。

 

さあ、俺の望んだ闘争の始まりだ。無様な真似は許されない、全力で戦い勝利しよう。

 

突突を展開し盾を構える。カタパルトに乗り数秒後、カタパルトが動き出す。

最初の一撃が肝心だ、集中しよう。

 

「藤木紀春、打鉄・改、行くぜ!!」

 

カタパルトから飛び出した瞬間、俺は瞬時加速(イグニッション・ブースト)を発動させた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うおおおおおおおお!!」

「沈みなさい!!」

 

その声と同時にレーザーライフルとミサイルの雨が俺を襲う。それを俺は盾で防ぎながらまっすぐにセシリア・オルコットの居る場所を目指す。

 

「速い!?でも!」

 

セシリア・オルコットに迫ろうとした時、追加でミサイルが飛んできた。それは盾で防げたものの、爆炎で前が全く見えない。俺は狙いも定めることが出来ないまま突突を突き出した。

爆炎を通りすぎた後、目の前にはセシリア・オルコットが居た。突突は空しくも彼女の脇腹を通り過ぎ、俺はそのままの勢いで彼女の腹部に激突した。

 

「きゃああ!!」

「ちいっ!」

 

俺達は絡まりながら地面に激突した。

最初の作戦…プランAは失敗だ、しかし諦めてはいけない、プランBが残っている。

俺は突突を捨て、左手で彼女を逃がさないようにがっちりホールドし、切り札を使用した。

 

「この!どきなさい!」

「うわっ!?」

 

セシリア・オルコットが強烈な膝蹴りで俺の鳩尾を抉る。さらにそれに合わせてビットで攻撃をしてきた。おれはその衝撃で彼女を離してしまい、その間に彼女は十メートルほど距離を開ける。

 

「全く、忌々しい。やはり不動さんもわたくしを嵌めようとしていたようですが、そうはいきませんわ。あなたの策は破りました、わたくしの勝ちですわね。」

 

不敵な笑みでセシリア・オルコットが笑う。彼女はは気づいていないようだった、もう一つの策に。

 

「それはどうかな?」

「虚勢を張っても無駄ですわ――きゃあっ!?」

 

俺はそれを全力で引っ張った。それに合わせて彼女が転倒した。

 

「レッドライン…コイツの名前だ……女王様、拘束プレイのお時間ですわよ。」

 

彼女の左腕に手錠が付けられていた。それは赤い糸(レッドライン)を通して俺の右腕に繋がっている。

 

「この赤い糸は特別製でね、生半可な攻撃じゃ切れないぞ。」

 

実際は糸ではない、直径二センチのワイヤーだ。でも赤い糸って言ったほうがお洒落だろ?

 

「くっ、このっ!」

 

彼女がライフルを構えるが、その瞬間俺は赤い糸を引く。照準が大きく外れレーザーは明後日の方角へ飛んでいった。

 

「無駄だ。両手持ちでその銃を撃っても当たりはしない。片手で撃て。」

「―っ!」

 

今度は片手で撃とうとする、素直な奴だ。俺は赤い糸を強く引く。照準が外れレーザーは俺の二メートル左上を通り過ぎていった。

 

「そもそも、銃は使わないほうがいいんじゃないのかな?」

「くっ、ブルーティアーズ!!」

 

今度はビットが飛んできた。俺はビットから繰り出される攻撃をあえて受けた。

 

「おお、痛い痛い。でも隙だらけなんだよ!」

「きゃあああっ!!」

 

俺はスラスターを吹かし、セシリア・オルコットにボディーブローを食らわせた。彼女が吹っ飛ぶが赤い糸が張り詰め、十メートル飛んだところで地面に倒れた。

 

「何か他に無いのか?」

「………」

 

彼女は無言で立ち上がる。長い金髪は土埃で見る影もないが、俺を睨みつけてくるその瞳には確かに闘志の炎が宿っていた。彼女はまだやる気だ。

 

「インターセプター!」

 

彼女がショートソードを展開した。

すなわちこれから行われるのは近接戦闘、これからハンドカフマッチが行われるということだ。

手錠にワイヤーがついてるため行動範囲はハンドカフマッチの割りに結構大きいが。

 

「そうだ、多分それが正解だ。」

「藤木紀春、貴方を倒します!」

「望む所だ、やってみろ。」

 

俺は霧雨を展開し、彼女を迎え撃った。

 

彼女の攻撃をいなし、自分の攻撃を当てる。彼女は代表候補生の専用機持ちではあるが、近接戦闘での技量は俺に大きく劣っていた。

ここでも群馬の経験が生きてくる。彼女は射撃型のISで戦っているためか、近接戦闘の技量は低いわけではないがそれでも射撃より得意ではなさそうだ。

それに対し俺が群馬で主に乗っていたISは打鉄、主武装は近接ブレードだ。

俺と彼女の技量差は決定的だった。そろそろ終わらせよう。

 

「これで、終わりだ。」

「……っ!」

 

霧雨の突きがセシリア・オルコットの鳩尾を突き刺す。その瞬間試合終了のブザーが鳴った。

 

『試合終了。勝者――藤木紀春』

 

俺が望んだ最初の闘争はこうして幕を閉じた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その日の夜、俺は特別室で寛いでいると訪問者がやってきた。

 

「お邪魔いたします。」

「邪魔するんなら帰って。」

「いえ、本当に邪魔しに来たわけではないのですが。」

 

彼女、セシリア・オルコットにこのノリは通用しないらしい。

 

「いや、冗談だから。で、何の用?」

「いえ…今までの非礼をお詫びしようかと…」

 

非礼!?お詫び!?彼女の口から俺に対してこんな言葉が発せられるとは、何か悪いものでも食べたのだろうか?

しかし、この状況を茶化してはいけない気がする。ちょっと真面目に対応しよう。

 

「いや、非礼なんて…どっちかって言うと俺の方が非礼な態度を取っていたわけだし。」

「それでも、わたくしがあなた方に礼を失した言動を取っていたことには変わりませんわ。」

 

なんかしおらしいな。俺に殴られすぎて頭がおかしくなってしまったのだろうか?ヤバイ、お詫びでは済まない問題になってしまいそうだ。

 

「こんなことを聞くのはマナー違反なんだろうけど聞かせて欲しい、どういう心境の変化だ?」

「それは…」

「いや、言いたくないんならそれでいいんだ。ただの好奇心で聞いただけだし、別に答えなくていい。」

 

室内が沈黙と少々の緊張に包まれる。少しして彼女がまた口を開いた。

 

「わたくしの父は、弱い人でした。会社を幾つも経営していて強かった母にいつも媚びて生きている。わたくしにはそんな印象しかありませんでした。」

 

弱い人『でした』、『強かった』母、そんな印象しか『ありませんでした』。…そういうことですか。

 

「で、それを男全体の印象と勘違いしてしまったと?」

「大まかに言えば、そういうことですわ。」

「そうか。じゃあさ、俺や一夏と戦ってみてどう思ったんだ?印象は変わった?」

 

変わっていないわけが無い。そうでなければ彼女が俺の部屋に来るなんてありえない。

 

「はい。わたくしに向かってくる一夏さんは……なんでしょう、上手く表現できないのですが、瞳に強さを感じました。それに貴方は本当の意味で強くて…」

 

一夏さん…ですか。オルコットさんは心なしか恋する乙女の目をしているような気がする。この手の読みを俺は外したことが無いので自信がある。さすが主人公、やるね。

 

「ははは、ごめんね。アレしか勝ち目が思いつかなくてさ。考えたのは不動さんだけど。」

「やはり、あの策は二段構えだったのですね。」

「そういうこと、一つ目は不動さんから聞いたでしょ、それを迎え撃ってもらう必要があった。二つ目を成功させるためにはオルコットさんに動いてもらっては困るからね。」

「オルコットだなんて、わたくしのことはセシリアと呼んでいただいて結構ですわ。周りの方はそう呼んでいますし。」

「そう?ならセシリアさんって呼ぶね。俺のことは好きに呼んでくれて構わないよ。」

「でしたらわたくしは紀春さんと呼ばせていただきますわ。」

「それでいいよ。ところでセシリアさん、一つ質問があるんだけどいいかな?」

 

せっかくだし、あの質問いってみよう。

 

「はい、わたくしに答えられることでしたら何でも。」

「イギリスのIS関連の機密とかでも?」

「それは流石に…」

 

セシリアさんが困ったような顔をする。まぁこれは枕詞みたいなもんだ。あまり本気にしないでいただきたい。

 

「冗談だよ。俺はいつでもこんな感じだ。適当に流してくれ。」

「そうですか、努力しますわ。」

「努力するようなことでもないんだがなぁ。まぁいいや、今度こそ質問するぞ。」

「はい、答えられるとは限りませんが。」

 

ちょっと警戒されてしまった。

 

「一夏のどこが好きになったんだ?」

「一夏さんって………なっ、なななんでその事を知っているのでしょしょうか!?」

「俺、この手の事に関しては敏感なんだよ。」

 

俺は最上の笑顔でそれに答えた。セシリアさんは混乱しているようだ。

 

「えっと……一夏さんはですね……」

「いや、やっぱり答えなくていいや。実はそんなに興味ないし。」

「それは酷くありませんか?」

「好意的に捉えてくれよ、乙女の秘密を根掘り葉掘り聞いてはいけないってね。」

「そうですか。」

 

そうだ、セシリアさんと話さなくてはいけないことがある。クラス代表の件だ、俺とセシリアさんが戦った後アリーナの使用時間が過ぎたとかで俺と一夏の試合が行われないままクラス代表決定戦は終わってしまった。織斑先生が話し合って決めろと言っていたので、彼女と決めてしまおう。

 

「話は変わるけど、クラス代表の件どうしようか?」

「順当に行けば、紀春さんが代表になるのがふさわしいのではないですか?一夏さんはわたくしに負けてしまいましたし、そのわたくしは紀春さんに負けてしまったわけですから。」

「前も言ったと思うけど、俺クラス代表やりたくないんだよね。正直面倒だ。」

「そうなるとわたくしですか…わたくしも負けてしまった以上クラス代表になるのには少し抵抗が…」

「…だったら、答えは一つしか無いようだな。」

「一夏さんですわね。」

「敗者に拒否権は無い。それでいいだろう。」

「賛成ですわ。」

 

俺達は黒い笑みを浮かべる。彼女とは仲良くなれそうだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「では、一年一組代表は織斑一夏君に決定です。あ、一繋がりでいい感じですね!」

 

朝のSHRで山田先生がそう言った。一夏は仔馬のようにプルプル震えていた。

 

「一夏、おめでとう!頑張れよ!」

 

爽やかな笑顔で俺は一夏に言う。一夏はまだ震えていた。

 

「どうしてこうなった。」

「どうしてって、結局織斑先生が話し合いで決めろって言っただろ。だから話し合いをして決めたわけだ。」

「誰が、誰と?」

「俺がセシリアさんと。」

「俺は?当事者なのに…」

「あっ、そういえばお前居なかったな。ほら、アレだよ。お前疲れてただろうし俺達なりの優しさってやつ?」

「全然優しくねぇよ!」

 

一夏が立ち上がり俺にまくし立てる。そこにセシリアさんが現れる。

 

「まぁまぁ、そんなに怒らなくても。これはわたくしと紀春さんが一夏さんのためを思ってやったことですわ。」

「ん?なんか二人の距離感縮まってないか?」

 

一夏がそんなことを言う。この主人公、そういう所は目聡いのな。

 

「いやぁ、昨日話して解ったんだけどさ。セシリアさん結構いい人だったよ、人間言葉が通じれば解り合えるもんだね。」

「そういうことですわ。その話し合いの中で一夏さんをクラス代表にと…」

「だからどうしてそうなる。」

 

一夏がうなだれる。ここは親切に説明してあげないとダメなようだ。

 

「仕方ない。どうしてこうなったか解りやすく説明してやろう。」

「おう、頼む。」

「俺、めんどくさい。セシリアさん、いまいちやる気出ない。そうしたらお前しかいないだろう。」

「何で俺になるんだと。」

「敗北者に拒否権など無いのだよ、負け犬。」

「ぐっ!!」

 

一夏は心の傷に塩を塗られたようで、苦しそうにしている。

 

「まぁ、さっきもセシリアさんが言ったようにこれはお前の為でもあるんだよ。」

「どこに俺の為になる要素があるんだよ。」

「クラス代表になれば戦う機会も増える。そうすればお前も戦いの中でレベルアップすることが出来るわけだ。俺とお前はこの学園に二人しか居ない男だ、弱いままだと要らぬ恥をかくことになるぞ。俺はお前に強くなって欲しいんだ。」

 

ちなみに、この話は今適当にでっち上げたものだ。以外にしっかりした内容に自分でも驚いてる。

 

「学園に二人しか居ない男って事ならお前でもいいじゃないか。」

 

まだゴネるか、こいつは。

 

「私のIS稼働時間は二百時間です。君とは天と地ほどの実力の差があるのですよ。」

「あっ、それがあったか。」

「納得してもらえたようだな。ということでクラス代表頑張ってね。」

「結局逃げられないのか…」

 

 

そんな感じで一夏がクラス代表に決まった。めでたしめでたし。




武装設定

レッドライン:打鉄・改の右腕に装着された手甲。手甲の先端が変形し、手錠の輪になる。手錠の輪は赤いケーブルで手甲に繋がっており手甲内部のウインチでケーブルの長さを調整できる。ケーブルの耐久性は高く、生半可な攻撃で切ることは出来ない。

名前の元ネタは赤い糸、及びワンピース、レッドライン


最初からやることが決まっているため戦闘シーンが短いのが悩みの種です。
次戦う時はもっと長いのが書けたらいいなと思います。

以前アナウンスしましたが、番外編は本編に組み込まれてしまったのでまた書き溜めを開始します。一週間以内には再開できるように頑張りますのでお待ちください。





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