インフィニット・ストラトス ~栄光のオリ主ロードを歩む~ 作:たかしくん
アカチャンではやることがほとんどありません。
カズトさんに予告された通り、そこは日本だった。第一の人生と同じような技術レベルだと思う。現代と言ってもいいだろう。
俺はベビーベッドに寝かされずっと天井を見続けていた。視力が足りないためかぼんやりとしか見えないが聴力は問題ないようだ。流石に生後数ヶ月では今の状況を正確に知ることが出来ない。
耳をすまして情報を収集する。遠くで流れるテレビの音や会話などから今日が1月2日だということが解った。そして我が家では新年の宴会が行われているらしい。たまに俺の部屋に誰かが入ってきて俺のことをノリ君だとかノリハルとか呼んでいるので、どうやら俺の名前はノリハルだそうだ。どう書くかは解らない。
前世とは全く違う名前にはまだ違和感を覚えるがこの名前と一生付き合っていくわけだ。ぶっ飛んだ名前でもないし、悪くは無い。常識的な両親の下に生まれることが出来たようで安堵する。
そんなことを考えていると、また部屋に誰か入ってきた。どうやら女性らしい。彼女はベビーベットに手を伸ばし俺を抱きかかえた。
「ノリくん、おなかすいちゃったかな? 今おっぱいあげますからねー」
ぼんやりとした視界に彼女の顔が映る。ああ、この人は母さんだ。
母さんは胸を露出させ、俺の口元にもってくる。もちろん俺はそれに吸い付く。
転生者ノリハル精神年齢21歳。母乳は現在唯一の食料だ。深く考えたら負けだ。俺は生きるために母の乳首を吸い上げる。
「フユコ、居るか?」
「あら、ケンジさん」
「ああ、ノリハルに授乳してたのか」
「ええ、この子ったら吸う力が強くって……」
「元気でいいじゃないか。父としては嬉しいよ」
「ちょっと痛いんですよね」
俺に疚しい気持ちは一切無い! 生きるためなのだ!
ちょっと待て、父がケンジで母がフユコだと!?
アイエエエエ! ニンジャ!? ニンジャナンデ!? と叫びそうな心を21歳の自制心で抑える。よく考えろ。俺の名はノリハルだ。トチノキではない。さらにはオリ主だ。戦闘技能持たない子供のままマルノウチ・スゴイタカイビル中層のセルフテンプラ店で死ぬことも無いはずだ。
いや、ナラクニンジャのニンジャソウルが俺に憑依しないとも限らない。俺がオリ主な以上、俺がニンジャスレイヤー=サンになってしまう可能性はゼロではないのだ。
とにかく外の景色が見たい。ここがネオサイタマかどうか確認しないと。
俺は母の乳首から口を離し、あまり動かない首を必死に振り母さんを窓際まで誘導しようと試みる。
「うっ、うーっ」
「ノリくん?」
「外の景色が見たいのかな?」
ナイスだ親父!
その言葉を聴いた母は窓際に移動する。
「ほーら、お外の景色ですよー」
俺は待望の外の景色を見る。
「……」
生後数ヶ月の視力では何も見えなかった……
いや待て、外の景色が明るいことは解る。つまり重金属酸性雨が降ってはいないということだ。
耳からは雨音も聞こえない。ここがネオサイタマではないことが解りまた安堵する。オリ主として闘争と栄光と愛を望んだ俺だったが、それでもマッポーの世は御免被る。
冷静になると、カズトさんが現代日本に転生すると教えてくれたのを思い出した。あのマッポーの世は現代日本じゃねーよな。
しばらくすると俺はベビーベッドに戻される。
今はとにかく寝よう。寝て時が過ぎるのを待とう。ちゃんとした視力と自由に動ける体を獲得してから、この世界のことを調べよう。
しばらく目を閉じていると睡魔が襲ってくる。おやすみなさい。
そんなこんなで転生オリ主ノリハル0歳の冬は過ぎていった。
1442文字書くためにアカチャンの視界について調べたり、授乳描写のあるエロ同人を読んで参考にしました。(参考にしてもごらんの有様だよ。)
こんだけ書くのでもけっこう大変です。
しかし、書いていると時間がすぐ過ぎますね。なんだかんだで楽しいです。