インフィニット・ストラトス ~栄光のオリ主ロードを歩む~   作:たかしくん

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最近忙しくて書き溜めが出来ない……
師走だし仕方ないのか……


第18話 彼女は……

現在、IS学園ではとある噂のせいで大変浮き足立っていた。

 

『月末の学年別トーナメントに優勝した者は織斑一夏と交際できる』

 

そんな何処から出たのかも知れない噂で女子連中は盛り上がっていた。

まあ、彼女達も所詮は高校生なので色恋沙汰の噂の一つや二つで盛り上がっているのも仕方ないことかもしれない。

 

俺はそんな噂の渦中にある一夏、そしてシャルル、篠ノ之さんと共に第三アリーナに向かっていた。

第三アリーナに近づくにつれてあたりの様子が慌しくなる、なにかの騒ぎが起きているらしいと誰かが言うのを聞く。

 

「騒ぎって、なんだろうな?」

「とりあえず見に行く? 観客席からの方が早く見に行けるけど」

「そうだな、まずは様子だけでも見に行くか」

 

俺達はシャルルの提案に従い、とりあえず先にアリーナ内の様子を確かめるために観客席に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おお、やってるね」

 

アリーナの中では激戦が繰り広げられていた、セシリアさんと鈴がラウラ・ボーデヴィッヒ相手に二対一の戦いを仕掛けているのだが、二人の方が押されているようだった。

 

まあ、当然だろう。俺の懸念が正しいのであれば奴が強いのは当たり前だ。

 

しかし、二人の攻撃はほとんどラウラ・ボーデヴィッヒに当たっていない。

よく見ると、機体の前方で攻撃が止まっているようだった。

第三世代特有の不思議兵装なのだろうか、奴は余裕そうにしている。

 

今度はラウラ・ボーデヴィッヒが攻撃を開始した。機体から触手のようなものが伸び、セシリアさんと鈴が拘束された。

奴は俺より高度な触手プレイが可能なようだ、その技術に俺は少し嫉妬した。

 

ラウラ・ボーデヴィッヒは二人を拘束したことをいいことにボコボコにしている。あれはどう考えてもやりすぎだ。

そんな時、一夏が俺に声を掛ける。

 

「紀春、援護頼む」

 

一夏は奴の暴挙を止めようというのだろう、それには俺も賛成だ、それに友人が傷つけられて何もしないほど俺は薄情者ではない。

 

「任せろ」

 

俺と一夏は同時にISを展開する。

 

一夏が零落白夜でアリーナのシールドを切り裂き、アリーナに突入する。

俺も後に続きヒロイズムを展開、ラウラ・ボーデヴィッヒが操る触手を撃ち抜こうと射撃をする。

あれ? 普通に触手撃ち抜けちゃった、俺の実力も上がってきたということか。

 

その隙に一夏がラウラ・ボーデヴィッヒに突撃するが、一夏は奴の目の前で停止する。

やはり第三世代の不思議兵装か、どういう機能なのかは解らないが厄介そうだ。

しかし、奴が一夏に集中している今がチャンスだ。俺からドギツイ一撃をお見舞いしてやろう。

 

俺は両手にサタデーナイトスペシャルを展開し、奴に向けて構える。

当たりにくさは接近してカバーする、そう思って撃とうとするとシャルルもISを展開し俺の動きに追従してアサルトライフルを撃つ。

 

「ちっ……。雑魚が群れたところで……」

 

一夏の拘束は解けたようでそこから離脱するが、今度は俺とシャルルの弾丸が奴の目の前で停止する。

奴の不思議兵装は見えないシールドなのだろうか? そう思っていると奴の肩についてる大型カノンがシャルルの方向へ向く。

 

俺はとっさに盾を構え、シャルルの前に立つ。大型カノンの弾丸が盾に着弾し俺は大きく吹き飛ばされる。

 

「紀春っ!!」

 

シャルルの声が聞こえたような気がしたが、俺は吹き飛ばされた先の壁に激突し意識を失ってしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

目を覚ますと目の前には割りと知ってる天井が見えた。

俺はどうやら気絶するたびにお世話になる保健室に居るらしい、ってまたか。

 

薄く目を開けると、保健室は大賑わいのようで大勢の女子が一夏とシャルルに詰め寄っていた。

何か嫌な予感がする、俺はとりあえず寝たフリを続けておいた。

 

女子達の話を聞くに、月末の学年別トーナメントはタッグでの試合形式になるらしい。

つまり彼女らは男子と組みたいがために二人に詰め寄っているということか。

 

しかし彼女達の現実は非情なものだった、シャルルが女だとバレるのを危惧したであろう一夏はシャルルと組むと言い出したのだ。

いい判断だ、俺が一夏の立場でもそうしただろう。

断られた女子達は不満そうにしているが、他の人と組まれるよりマシだと思ったのか諦めたみたいだ。

 

寝たフリをしていてよかった……俺が起きてたら女子の次の標的は俺になってしまうだろう。

そう考えながら寝たフリを続けていると、本当に眠くなってしまい俺はまた眠りについた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「紀春、起きてる?」

 

そんな声とドアの開けられる音で俺は目を覚ました。

声の主はシャルルだ、俺はベッドから起き上がった。

 

「また寝すぎて頭が痛い……」

「大丈夫? 水持ってきたけど」

「ありがとう、貰うよ」

 

そう言い、シャルルからペットボトルを受け取る。

窓の外は暗くなっており、あれからかなりの時間が経ったことが予想される。

飲み込んだペットボトルの水は冷たく体に染み入るような感覚を覚えた。

 

「さんきゅ、結構のど乾いてたみたいだ」

「大丈夫?」

「ああ、大丈夫。気絶なんて俺にとっては日常茶飯事だから」

「日常茶飯事な時点で大丈夫じゃないね……」

「よせやい、照れるぜ」

「僕、別に紀春のこと褒めてないからね? それにカノン砲を受け止めるなんて無茶すぎるよ」

 

シャルルが呆れた様子で俺に話す、確かに無茶をしたと思う。

でも体が勝手に動いちゃったんだもん仕方ないじゃないか。

 

「正直言って、あの時は無我夢中でね。俺も無茶したとは思ってるよ」

「本当に、もう少し考えてよ」

 

シャルルは不満を言うが、その割には嬉しそうな態度を見せる。

何か良いことでもあったのだろうか?

さて、今この場には俺とシャルルしか居ない。

早速だが、好都合なので今のうちにシャルルの未来について話しておこう。

 

「唐突だがシャルル、お前にとって悪いニュースと多分良いニュースがあるんだがどっちから聞きたい?」

「本当に唐突だね、何かあったの?」

「前に独自に動いてみるって言ったろ? その結果が出たので報告しようかと」

 

その言葉にシャルルは顔色を変える、幾分真剣な表情で俺に言葉を返した。

 

「だったら、悪いニュースからにしようかな?」

「おっ、先にそっちから行くか。さてはお前、好きなものは最後に残しておくタイプか?」

 

もしそうだとしたら奇遇だ、俺もそのタイプなのだ。

 

「前置きはいいから、話してもらえるかな?」

 

場を和ませようとして言ったことだが、少し悪い空気にさせた。

どうやらふざけてる場合ではないようだ。

 

「……じゃ、悪いニュースからね。近々発表があると思うんだけど、デュノア社は存続の危機を迎える」

「そんなの今更じゃないか、それがどうしたの?」

「今までとは桁外れに存続の危機なんだよ、三津村によるデュノア社買収の計画が進行しているんだ」

「三津村って、紀春の居る会社だよね。なんでまた落ち目のデュノア社なんかを……」

 

落ち目って……一応お前の親父の会社だろうに。

どうやらシャルルには自分の会社に対する忠誠心は欠片ほども無い様だ。

 

「どうやら三津村はデュノア社を足掛かりにイグニッション・プラン参入を画策しているようなんだ。あっ、今からデュノア社とか三津村の株とか買うなよ。インサイダー取引になるから」

「そこまではしないよ。で、次の良いニュースは?」

 

シャルルも話が早いな、彼女はいい三津村になれそうだ。スカウトしてみようかな?

 

「じゃ、次のニュースね。シャルル、お前の牢屋行きを免れることができるかもしれん」

「えっ? どういう事?」

「お前が男性IS操縦者であることは正式に公表されてるわけじゃないだろ? 三津村がデュノア社の口を塞ぐことが出来ればお前のことは何とかなるはずだ」

「でも政府が黙ってないはずだよ」

「それが黙らせることが出来るんだよ、フランス政府はお前の男装を見破れなかった。つまりこれはフランス政府の失態でもあるわけだ。そこを突けば人一人の身柄ぐらいどうにでも出来る」

「そんなに上手くいくかなぁ?」

「足りない力は金で補えばいい、三津村はそれが可能だ」

「でも、僕自身に三津村がそこまでする義理は無いはずだよ。どうして?」

「俺が交渉したからに決まってんだろ」

「紀春が? 何でそんな事を?」

「俺とお前が友達だからに決まってんだろ。友達が困ってる時には助けてあげなさいってお母さんに教わらなかったのか?」

「あっ……」

 

シャルルは困惑しているようだ、死んだお母さんを引き合いに出したのは不味かったか。

場の空気が重くなるのを感じる、何か良い話題でこの空気を一掃したいところだ。

そうだ、シャルルに三津村入りを持ちかけるのを忘れてた。

 

「シャルル、一つ提案なんだが」

「何かな?」

「三津村に入ってみる気はないか? デュノア社が無くなればお前の生活も安定しなくなるだろう、三津村で糊口を凌ぐってのは悪い手じゃないと思うんだが」

「えっ、でも……」

「いや、今すぐ返答が欲しいわけじゃないから追々考えてくれればいいよ。決心したら何時でも言ってくれ、俺にだって人一人会社に捻じ込むぐらいの権力はある」

「うん、ありがとう。考えておくよ」

「よし、じゃあこの話終わり! そろそろ帰ろうかな」

 

そう言い、ベッドから降りる。

するとシャルルが紙袋を差し出してきた。

 

「着替えもって来たよ、いつまでもISスーツ着たままじゃ気持ち悪いだろうからって」

「おっ、気が利くね。さんきゅー」

 

俺はシャルルから紙袋を受け取る。

 

「……」

「……」

 

シャルルはそのまま保健室に留まっている。

 

「紀春、どうしたの? そんなに僕を見つめて、流石に照れるよ」

「いや、出てけよ。それとも俺の生着替えでも見たいのか? 見たいって言うんなら見せてやってもいいぞ」

「あっ、そうだったね。ゴメン、僕もう帰るから」

 

シャルルは赤面し、保健室から出て行った。

あいつ意外とスケベだな。いや、別に見せるぐらいなら良いんだけどね。

そう考えながら俺は着替えを始める。さて、タッグパートナーを探さないとな……




フラグ? こんくらいやってとけば充分だろ(適当)

大台突破が現実的な感じになってきました、正直嬉しい。

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