インフィニット・ストラトス ~栄光のオリ主ロードを歩む~   作:たかしくん

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第25話 JUST A RESONANCE

「嫁よ、兄はまだ来ないのか?」

「いや、一緒に行こうとしたんだけどさ。準備があるって特別室に篭っちまったんだ、紀春は先に行けって言ってたから俺一人でここまで来たけど」

「でも、もう三十分も遅刻だよ。大丈夫かなぁ」

 

週末、僕とラウラは駅前の商業ショッピングモール『レゾナンス』に居た、一夏も買い物がしたかったらしく先日一緒に行くとこに決まりここに居るのだが、それに誘った紀春はもう約束の時刻から三十分も遅刻していた。

 

その時、ある人が僕たちに声を掛けてきた。

 

「おう兄ちゃん、可愛い子連れとるやんけ。二人も居るんやからワイに一人くらい分けてくれんか?」

 

その人の身なりは、大きめのサングラスを付け頭に派手なワークキャップを被りそのワークキャップからは明るめの茶髪が飛び出していた。その割りにシンプルなTシャツとジーンズを着ていて頭だけ重装備なちぐはぐな印象を感じた。

 

「何だ? ナンパか?」

 

一夏が警戒をし、更にラウラが続ける。

 

「お前、何者だ? ナンパをするなら他所でやれ、お前では嫁や兄の足元にも及ばん」

「ひどいな、ラウラ。まあ、お前達がその反応なら一応成功ってことでいいか」

 

茶髪の男は、ラウラに馴れ馴れしそうな反応をする。あれ? 何でこの人はラウラの名前まで知ってるのだろう?

 

そんな事を考えていると、その茶髪の男はサングラスを外した。

 

「あっ、兄ぃ!?」

 

ラウラが素っ頓狂な声を上げる、ラウラとはまだ短い付き合いだがこんなにもうろたえたラウラを見るのは初めてだ。

 

「どうだ、中々違った印象になるもんだろ?」

 

その茶髪の男は紀春だった、そう言えば確かに聞き覚えのある声だったように思えたがサングラスと帽子でここまで印象が変わるとは……

 

「お前、その髪どうしたんだよ。染めたのか?」

「いや、これはカツラだ。お陰様で頭が蒸れて蒸れて、いつか本当にカツラが必要になる日が来ないことを祈るよ」

 

そう言い、紀春はサングラスを付け直す。

 

「でも、紀春。なんでそんな格好なんかを?」

「俺って結構有名人じゃん? 大勢の人が居るところではこれくらいするよ。しかし、一夏。お前はいつも通りだな、少しは気を使った方がいいぞ」

「た、確かに……」

「自覚しろよ、世界初の男性IS操縦者織斑一夏君」

 

確かに紀春は有名人だ、ISが操縦できることを知られ三津村はいきなりあんなド派手な記者会見を打ち出し紀春は世界に名前を轟かせた。僕の居るフランスでもその様子はニュースで流されており、僕も紀春に会う前から紀春の顔と名前は知っていた。ラウラはそうでもなかったみたいだけど……

 

それに、ここ日本での紀春の知名度は更に高い。

昨日何気なくテレビを見ていると、テレビに紀春が映り刺身を食べている様子が流れていた。

どうやらそれは三津村電機の冷蔵庫のCMで、他にも三津村自動車のCMでトラックを運転していたりする。トラックのCMでの紀春はやたらガテン系だった。

正直言って、何で紀春が冷蔵庫のCMとかトラックのCMに出ているんだろうと思う。男性IS操縦者の要素がそのCMからは全く感じられなかった。

 

対する一夏だが、紀春に比べられるとその知名度は落ちる。

紀春が言ったように一夏は世界初の男性IS操縦者である、しかしテレビCMに出ているわけではないし代表候補生とかがよくやる雑誌の取材を受けることもしていない。

その影にはどうやら織斑先生の暗躍があるとか無いとか噂されているが、真偽の程は謎だ。

 

しかし、それでも有名人であることには変わり無い。メディアにやたら出てる紀春の対比で一夏はミステリアスな魅力があるとかで、ネット上の人気はかなり高い。

一夏はIS操縦者になる前は一般人だったわけで、その頃の写真とかがネットにはいくつもあることをラウラが教えてくれた。

 

「と言うわけでこれやるよ」

 

そう言って紀春は、自分の被っていたワークキャップを一夏の頭に乗せる。

 

「さらに、コイツもプレゼントだ」

 

今度はカバンから黒縁の伊達メガネを取り出して、一夏に渡した。

一夏は紀春に言われるがまま、帽子を被り、メガネを付けた。

 

「うーん、こんなモンでいいのか?」

「おお、普段と違って知的な印象だぞ。こんな嫁もアリだな」

「普段と違って知的って……まあ頭いいつもりはないけどさ」

 

メガネをつけると知的に見える、なんて事はないとは思うがそれでも一夏の印象はがらりと変わった。

これなら悪くない変装だと僕も思う。

 

「よし、こんなモンで大丈夫だな。まずはラウラの服だな、行こうか」

 

ラウラが現在着ている服は僕が貸したものだ、ラウラは本当に軍服と制服以外の服を持っていなかったのだ。

 

僕達は紀春の号令に従って歩き出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「兄よ! これはどうだ!」

「可愛いな! 買おう!」

 

「これもいい感じだな!」

「セクシーだな! 買おう!」

 

「これは私に最高に似合う服だ!」

「そうか? でもラウラがそう言うなら買おう!」

 

ラウラは試着室から出たり入ったりを繰り返し、俺はその服を全て買っていった。

その度にラウラは俺にニコポを繰り出し、俺はもうラウラにメロメロだ。

ラウラが踏み台転生者である事実はもうどうでもよくなっていた、俺の現在の使命はこの笑顔を絶やさないようにすることだ。

もうラウラのためなら死ねる気がしてきた。

 

「紀春、お前金は大丈夫なのか?」

「余裕余裕! ラウラのためならこれくらいどうってことないぜ!」

 

すでにラウラの服で二十万は使っているが、普段金を使う機会が購買くらいしかないので俺の財布は常に暖かい。

たまに自分の趣味の物とか服とかを買ったりはしているが、ゲームソフトはは一回買ったら長く遊べるし、別にブランド志向でもないのでそんなに俺自体に金を使っているわけでもなかった。

つまり、俺の財布は現在無尽蔵だ。

 

「しかし、いい加減持ち運ぶには嵩張る量になってきたな。この辺で切り上げるか」

 

最初にラウラの服を買ったのは失敗だったと思う、三十着以上を買ってしまいこれでは移動するのも大変だ。ということで、ラウラの服は宅急便でIS学園寮まで送ってもらうことにした。

 

「さて身軽になったしもう一回ラウラの服を買いに行くか」

「兄よ、有難いのだがもう充分だ。これ以上増えると、クローゼットに収まらなくなってしまう」

「そうか、なら仕方ないな。ええと次は……」

「水着、買いに行ってもいいかな?」

 

シャルロットが提案する、確かにここに来た目的の一つに水着の購入がある。

 

「そうだな、男と女は売り場違うし一旦ここで別れるか。シャルロット、ラウラを頼むな」

「兄よ、私はもう子供ではないぞ」

「愛しの妹の心配をするのは当然のことじゃないか」

「兄……私はそこまで愛されていたのだな」

「当たり前だろ? 俺達は家族なんだ」

「あっ、兄いいいいっ!」

「ラウラあああっ!」

 

俺とラウラは固く抱き合う。守りたい、この笑顔。

充分にラウラを堪能した後、俺はラウラを解放した。

 

「さて、いつまでもこうしていては日が暮れてしまう。水着買いに行くか」

「そうだね……」

 

シャルロットは何故か不満そうにしている、俺とラウラの兄妹愛に嫉妬しているのだろうか?

しかし、仕方ないじゃないか。俺は既にニコポの奴隷なのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「俺のマッスルボディに映えるのは、やはりこの水着か」

「お前そんな水着を着るのかよ、ホモっぽいぞ」

 

俺と一夏はシャルロットとラウラと別れ二人で水着を物色していた、俺は真っ赤なブーメランパンツを見つけてみたが一夏には不評のようだ。

 

「確かに、ホモっぽいのは駄目だな。特にIS学園ではヤバイ」

「ああ、ヤバイな。彼女達は俺達で何処までの妄想をしてるんだろう?」

「一夏、考えすぎると精神が汚染されるぞ。程々にしておけ」

「そうだな……」

 

俺達はホモの影を振り払い、各々に水着を選んだ。

俺の水着はダークグリーンのサーフパンツだ、地味だと思われるかも知れないが男の水着なんてこんなもんでいいだろう。

 

「さて、約束の時間までかなり時間があるな。女性用水着売り場ま行って待ってるか?」

「いや、せっかく時間があるならちょっと付き合って欲しいところがあるんだが」

「ん? 何処に付き合えばいいんだ?」

「家電売り場にね」

 

俺はそう言い、家電売り場に向かって歩き出した。

そう、これから始まる臨海学校。アレを入手せねば、俺的にはお話にならないのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「で、何でカメラなんだ?」

「お前、頭沸いてるのか? 臨海学校だぞ、我々のクラスメイト達はその日に向かってすんごい水着を用意しているに違いないわけだ。そんな姿を激写しないなんて失礼だろう?」

「お前……最近俺に対して酷くないか?」

 

確かに俺の一夏に対する評価は篠ノ之さんの付き合う事件以来駄々下がりだ、そして俺は一夏の言葉を華麗にスルーする。

 

「織斑先生の水着姿もしっかり激写してやるから期待しておけよ、まあ着てたらの話だけど」

「なっ!? 何でそこに千冬姉が出て来るんだよ」

 

一夏が驚きと共に顔を染める。

えっ? もしかして一夏はあんなにもてていながら実姉狙いだとでもいうのか!?

流石主人公、俺とは恋愛の格も違ったようだ。

 

そして俺はデジタルカメラを購入した、店員に「一番いいやつを頼む」と言ったら店員は苦笑いしながら最新のデジタルカメラを進めてくれた。

少々お値段もいい感じだったが、大切な思い出を記録するためだ。そこに出費は惜しまなかった。

 

「さて、そろそろ合流しようか」

「そうだな、もういい時間だろう」

 

そう言いながら歩き、女性水着売り場に到着する。

そこにシャルロットとラウラは居なかった、試着室にでも入っているのだろうか?

あたりを見渡してみるとある人を見つけた。

 

「あれ? あの人山田先生じゃね?」

「そうだな、山田先生も買い物か」

 

山田先生も水着を買おうとしているようでやたらカップの大きい水着をしげしげと眺めている。

そんな会話をしていると、ちょっとした悪戯心が湧き出す。

ちょっと山田先生で遊んでみよう、多分山田先生なら許してくれるだろう。

 

「ちょっとナンパしてみるか、面白そうだし」

 

現在俺は変装してしており、普段と違う自分になっていることで気が大きくなっているのだと思う。

 

「おいおい、止めておけよ。教師をナンパなんて」

「大丈夫、大丈夫。変装してんだからバレないって」

「俺はやらないからな」

「チッ、ヘタレめ。いいさ、俺一人でやってやる」

 

俺は買ったカメラを一夏に押し付け、山田先生の下へ歩いていく。

 

「よう姉ちゃん、ええ乳しとるやんけ。ワイと一緒に遊ばへんか?」

「ええっ!? ど、どちら様ですか?」

「そんなんどうでもええねん、ワイと遊ば――ぐえええっ!?」

「藤木、教師をナンパとは中々度胸あるじゃないか」

 

俺は突如現れた織斑先生にアイアンクローを受け悶絶する。

 

「ギブ! ギブアップ! ってなんで俺だって解るんですか!?」

「声で解った、ちなみにこれはアイクイット・マッチだ。ギブアップでは試合は終了しないぞ」

 

アイクイット・マッチとは基本的にシングルマッチで行われる試合に採用される形式で、3カウントやタップアウトで決着せず、対戦相手の関節技や大技を食らって肉体的、精神的に限界に達して"I Quit!"(=「まいった」「降参だ」)と叫んだ時点でそのレスラーの負けとなる試合形式だ。(ウィキペディアほぼ丸コピペ)

 

そしてその間も俺は織斑先生のアイアンクローを受け続けていた。

しかし、織斑先生はこんなマニアックな試合形式を知っているとはね。プオタなのだろうか?

 

「I Quit! I Quit!」

「ちっ、仕方ない」

 

●藤木紀春 vs 織斑千冬○

 

0分18秒 織斑千冬のアイアンクローにより藤木紀春が降参。

 

「酷い目にあった……」

「自業自得だろう。それより、お前達も買い物か? 遠くに織斑も居るが」

 

織斑先生がそう言う、確かに一夏が遠くで俺達の様子を窺っている。

しかし、一夏も簡単にとはいえ変装しているわけで。しかも、遠くに居るもんだからここから見て普通は誰か解らないだろう。

やはりこれは愛の成せる技なのだろうか?

そんな事を考えているとまた俺はアイアンクローに襲われる。

 

「ぎゃあああっ!? 何でまた!?」

「お前、今失礼なこと考えていただろう?」

「何で解るんですか? エスパーですか!? 学園の教師するよりテレビに出た方が儲かるんじゃないですか? って早く外してえええっ!」

「兄を虐める奴は誰だ!? 私が許さんぞ! ――教官っ!?」

 

俺の叫びを聞いたのかラウラが試着室から飛び出す、しかしラウラの格好は凄まじいものだった。

 

「……」

「……」

「……」

 

俺と織斑先生と山田先生は絶句して何も出来なかった、歴戦の勇士織斑先生もこの状況には驚いているのか口をポカンと開けていて馬鹿っぽかった。

 

「ボーデヴィッヒ……」

「はい、何でしょう教官?」

「……いや、藤木。頼む、何か言ってやってくれ」

 

織斑先生も困り果てていて俺に助けを求める、こんなこと初めてだったが織斑先生がうろたえるのも仕方ないように思える。

 

だってラウラの着ているものはスリングショット、俗称ブラジル水着と呼ばれるものだったからだ。

 

「ラウラ……」

「何だ兄よ」

「その水着は止めときなさい、正直引く」

「兄好みではなかったのか、しかし今回は嫁のための水着だ。幾ら兄の言うことでも聞いてやれないこともある」

「織斑先生。俺、駄目でした」

「諦めるの早すぎじゃないか?」

 

確か、ラウラは一夏のためにすんごい水着を買うとは言っていた。

しかし、スリングショットはないだろう。セクシーを飛び越えてド淫乱だ。

 

そんな時、奴が現れる。もちろん我らが主人公織斑一夏だ。

 

「ラウラ……」

「おっ、嫁か。どうだこの水着、中々いいと思うのだが」

「その水着は止めときなさい、正直引く」

「……そうか、嫁が言うのなら仕方ないな。ではスク水にするか」

 

ラウラの中では俺より一夏の言葉の方が重い様で、俺と同じ台詞を言ったにも関わらずラウラの態度は正反対に変わる。

いや、ラウラは一夏に惚れているわけだし別に構わないんだけどね。

でもお兄ちゃんちょっと寂しい……

 

しかし、スリングショットの代わりにスク水というのもおかしすぎるだろう。

 

「ラウラ、スク水もやめときなさい。ネタにしかならんぞ」

「しかし、クラリッサが個性を出していけと!」

 

謎の人クラリッサ、何者なんだ? 少なくとも我が妹ラウラに悪影響しか与えてないと思う。

いや、そのクラリッサのお陰で俺とラウラは兄妹になったわけだし全て悪いと言うわけではないか。

 

「クラリッサって誰なんだよ……」

「私の部下だ、色々相談に乗ってもらっていて感謝している」

「部下? ってことは織斑先生の教え子でもあるわけか?」

「そうだな」

 

ラウラの受け答えを聞き、俺は織斑先生をじっと見つめる。

 

「何だ? 藤木」

「ISとか教える前にもっと重要なことを教えるべきじゃなかったんですかね? 一般常識とか」

「確かにな……でも仕方ないじゃないか、私だって初めて人に教えるということで張り切っていて、そんな事は忘れていたんだ。誰にだってミスはあるものだろう?」

 

織斑先生の視線が泳ぐ、もう織斑先生のライフは限界ギリギリのようだ。

 

「とにかく、スリングショットもスク水も禁止だ。シャルロットに選んでもらいなさい」

「しかし、シャルロットの選ぶ水着は普通のビキニとかワンピースとかだぞ。それではあまりにも個性が……」

 

俺的にはラウラの個性は踏み台と妹であるだけで充分だと思う、しかしコイツはまだ個性を追求するのか。正直言って欲張りすぎだと思う。

 

俺とラウラの議論が平行線を辿っていると、織斑先生が鶴の一声を発した。

 

「ラウラ、言うことを聞け」

「……はい」

 

ラウラも織斑先生の言うことには逆らえなかったらしく、がっくりとうな垂れる。

ラウラは残念そうに試着室へと戻り、比較的普通なビキニを購入していった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「と、いうことがあったのさ」

「へぇ、僕が別の試着室に篭っている間にそんなことが……」

 

現在、俺はレゾナンスのフードコートでハンバーガーを食べながら女性水着売り場での騒ぎの顛末をシャルロットに語っていた。

あの騒ぎがあった時、シャルロットはまた別の水着売り場にいたらしく故に参加できなかったというわけだ。

 

ちなみに現在俺と同じテーブルに居るのはシャルロット、ラウラ、山田先生の三人である。

織斑姉弟は山田先生が気を利かせて二人きりで行動中だ、ってかデート中だ。

 

「さて、これからどうしよう。買い物は大体終わったし……」

「ええと……」

 

シャルロットが何か言いたそうな感じであるが中々言おうとしない。

多分プレゼントのことだろう、それを解っていてあえて言わない俺も中々性格が悪いと思う。

まあ、アホな考えばっかりしていると話が先に進まないので俺から切り出そう。

 

「そうだ、プレゼント買ってなかったな。食い終わったら買いに行くか」

「うん!」

 

その言葉でシャルロットの表情は明るくなる。

俺は結構なおごりたがりであるので素直に喜んでもらえることは嬉しい。

 

そして、俺とシャルロットを他所にラウラと山田先生はなにやらヒソヒソと話をしている。

 

「何やってんですか?」

「あっ、いえ。私とボーデヴィッヒさんはちょっと用事があるので食事の後は別行動させてもらえませんか?」

「ん? 何かあるんですか? 折角だしご一緒しますよ。そうだ、山田先生もプレゼント要りませんか? 結構お世話になってますし何か贈らせてもらいたいんですが」

 

俺は結構山田先生に迷惑をかけていると思う、口説いたり、口説いたり、口説いたりしているので先生には大変だろうと思う。

その反面、特別室に入れられたり、特別室に入れられたり、特別室に入れられたりしているわけど、それはそれ、これはこれだ。

 

「いえいえいえいえ、そんなの気にしなくていいんですよ。それに教師が生徒から物を貰ったりしたらそれはそれで問題ですから」

「……確かにそうですね、考えが足りてませんでした。すいません」

「別に謝るほどのことじゃないですよ、教師としてはとしてはお勉強を頑張ってくれるのが一番のプレゼントですから」

「お勉強ですか……山田先生、俺の中学時代の成績知ってるでしょ? はっきり言って俺滅茶苦茶頭いいですよ」

 

ちなみに俺は転生知識+群馬知識のお陰でIS学園一年生の中でもかなりのインテリだ。

IS学園には中間試験はないので未だに俺の実力は測られてはいないのだが、期末試験には結構いい成績を残せると思う。

しかし、俺の通知表はIS学園にも渡っているはずだ。副担任である山田先生が俺の中学時代の成績を知らないはずはないのだが……

 

「ああ、そうでしたね。ではISの方を……」

「言いたくないですけど、かなり強いほうだと思いますよ。俺」

 

強くてお勉強の出来る問題児、それが俺だ。

改めて思うと凄まじい踏み台臭がしてくるが、踏み台転生者はラウラであり、俺は歴としたオリ主だ。神がそう言っていた、神はホモでうそつきだけど。

 

「だったら……生活態度の方を……」

「山田先生には解らないかもしれませんけど、自分と一夏以外全員女の中で生活するのって結構なストレスなんですよ。多少のヤンチャは大目に見てくださいよ」

「ううっ……デュノアさん、藤木君に何か言ってあげてください……」

「ええっ!? ええと……」

 

山田先生はシャルロットに助けを求めるが、急に振られたシャルロットも戸惑って何も言うことが出来ない。

 

「まあ、そんな与太話は置いといて買い物の続きでもしますか。山田先生、ラウラをお願いしますよ」

 

そう言いながら残ったフライドポテトを口に流し込み、さらにコーラでそれも流し込む。

 

「ええ、任せてください。あ、今更ですけど今は職務中ではありませんから無理に先生って呼ばなくてもい大丈夫ですよ」

「おう、そうか。じゃ、ラウラを頼んだぞ山田」

「何で急に上から目線で呼び捨てなんですか!?」

 

山田の言うことを聞いて、先生と呼ばないようにした途端にこれだ。

山田も理不尽だった。

 

そんな山田の言葉を俺は華麗にスルーし、シャルロットと共にプレゼントの買い物に出かけた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「しかし、プレゼントか……何か欲しい物あるか? こんなこと初めてだから勝手が解らん」

「へぇ、初めてなんだ」

 

シャルロットは上機嫌そうに俺に言う、まあプレゼントってのは誰だって嬉しいものだ。俺だってそうだ。

 

「悪かったな、彼女居ない歴=年齢なんだよ」

 

実際はそれプラス21なわけだけど、それは内緒だ。

 

「紀春って彼女できたことないんだ、結構ガツガツしてるって思ってたけど」

「ガツガツって、失礼な。確かにIS学園来る前は彼女作るぞーって意気込んでたんだけど、現実は結構厳しいもんだよ。言い寄ってきた奴なんてハニートラップしか居やしねえ」

「……へぇ」

 

シャルロットが何故か遠い目をする、何かあったのだろうか?

 

「まぁ、ハニトラなんてどうでもいいんだよ。何が欲しい?」

「急に言われると、ちょっと悩むね。紀春は何かないの?」

「何も思い浮かばなかったから聞いてるんだろ?」

「確かにそうだね」

 

悩みながら歩いていると、アクセサリーショップが目に付いた。

女の子に送るプレゼントの定番だが、何も思いつかないのでこれでいいだろうか?

 

「おっ、アクセサリーはどうだ? たまたま目についただけだけど」

「でもここ、高そうだよ?」

 

目の前にあるアクセサリーショップは、中々綺麗目の外観でいかにも高いですよってオーラを撒き散らしている。

しかし、問題ない。何故なら俺はカチグミサラリマン並の給料を貰っているのだ。

 

「金のことは気にするなって、ここにするぞ」

 

そう言い、俺は店内へ入る。

店内にあるアクセサリーは外観どおりお値段で、一番安いのですら五桁はいくようなものばかりで、高いものは八桁まで行くものもある。

 

「いや~、中々いいお値段ですな~」

 

貴金属の価値なんて俺には解らない、たかが綺麗な石ころがなんでこんなに値段がするのだろうと思う。

いや、希少性とかそんなものもあるのだろうけど。

 

「紀春、別に無理しなくてもいいんだよ?」

「無理してねぇって、流石に七桁からは厳しいけどね」

 

財布の中にはまだ福沢先生が大勢いらしゃる、まだまだ俺はやれるはずだ。

 

「で、どれがいいんだ? 金のことはマジで気にしなくていいから」

「うーん、どれにしよう?」

 

そう言いながらシャルロットは店内にあるショーケースを物色していく、色々なアクセサリーを眺める彼女に俺は黙ってついて行った。

 

「じゃあ、これにしようかな?」

 

五分くらい経っただろうか、シャルロットは銀色のブレスレットを指差した。

 

「これでいいのか? やっぱり金のこと気にしてるだろ?」

 

彼女が選んだブレスレットはお値段的にも手頃な物で、この高級そうなアクセサリーショップのアクセサリーの中でもそのお値段は底辺に位置するものだ。

 

「ううん、気にしてないよ。僕はこれが欲しいんだ」

「まあ、そこまで言うんならそれでいいけど」

 

俺は渋々店員を呼び、ブレスレットを購入する旨を伝え会計を済ませた。

店員がブレスレットの入った箱を包装しようとするが、シャルロットはそれを止めその場でブレスレットを付け、箱だけ貰って俺達はアクセサリーショップを出た。

 

その後俺達は一夏達と合流し、IS学園へと帰って行った。

ブレスレットを付けたシャルロットはいつになく上機嫌だった、俺的にはお値段に不満がない訳では無いのだが、彼女が喜んでくれることが一番だろう。

そう思い自分を納得させる。

 

さぁ、明日は臨海学校だ。荷物の準備もしないと。

主にカメラとかカメラとかカメラとか……


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