インフィニット・ストラトス ~栄光のオリ主ロードを歩む~   作:たかしくん

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第84話 ゴールドフィンガー

「おらあああああああっ!」

「だらあああああああっ!」

 

俺とイーリスさんの拳が交錯し、それが両方の頬を抉る。そして俺達両方が豪快に吹っ飛んだ。

 

「ああー、効くねぇ! 気を抜くと意識が飛んじまいそうだ!」

『だ、大丈夫?』

「大丈夫、大丈夫! さて、体も温まったしそろそろ仕掛けようか!」

 

そして俺は再度突撃を仕掛ける、そしてそこにカウンターパンチを放ってくるイーリスさん。

しかし俺はそれを前かがみで避け、更にカウンターのアッパーカットを放つ。だがそれもイーリスさんに避けられ、そこから怒涛の連続攻撃が俺に向かって放たれた。

 

「ちっ、ちょこまかと!」

「見えるっ! やっぱり今までやってきたことは無駄じゃなかったんだ!」

 

その連続攻撃を俺はかわし続ける、本当に織斑先生には感謝だ。そして俺達は攻撃の流れで首相撲へと移行する。

 

「うっ、うおおおおおっ!」

「はっ、力比べじゃ勝てないか?」

 

強い! 織朱の全力を出しているはずなのに徐々に押されていくのが解る、この機体がパワー負けするなんてありえないはずなのに……

 

「貰ったっ!」

「がっ」

 

首相撲に押し負けた俺はそれから一瞬開放された後、頭部を脇に抱えられヘッドロックの体勢に移行させられる。これがまた痛い、ISのパワーをもってしたその攻撃はプロレスごっこで受けるような攻撃とは格段に違う威力を持っていた。

 

「どうした、ギブアップなら早めにした方がいいぞ? お前の頭が砕けちまう前になぁ!」

「ぐっ、まだまだっ!」

 

ちょっと痛いからってギブアップは情けない、それに俺の策はまだ始まっちゃいない。そしてこの体勢は俺の策を始めるのに非常にいいポジションでもあるのだから。

そして、俺はその策を実行するためにゆっくりと手を伸ばしていった。

 

「なっ!?」

「ほう、いい乳してまんなぁ?」

 

俺は左手をイーリスさんの腰から左胸へと伸ばし、その乳房をがっつりと掴む。そしてそれに対し当然のように困惑するイーリスさん。今回の策、それは相手の身体への直接的なセクハラである。

 

「な、なにやってんだテメェ!?」

「あー、やわらけー。しかも揉み甲斐があるいい大きさだ」

 

そんなやり取りをしている間も俺は乳を揉み続ける。実はこの策俺にとってもダメージが激しい諸刃の剣だったりする、特に息子に対して大ダメージだ。そしてダメージを受け腫れ上がった息子を見られようものなら今度は俺の精神がダメージを受けてしまう。

しかしそこはIS学園で培った鋼の精神力で耐える。今まで俺はあそこであらゆる性的魅力と戦い続け紳士であるかのように振舞ってきた。

 

紳士であるかのように振舞ってきた。

 

紳士であるかのように振舞ってきたつもりだ。

 

紳士であるかのように振舞ってきたのかな?

 

紳士であるかのように振舞ってきたと思う。

 

紳士であるかのように振舞ってきたのかもしれない。

 

……どうなんだろう? なんか違う気がする。

 

まぁいいや、話の腰が折れたが紳士であるかのように振舞ってきたという事にしておこう。

 

そしてその中で鍛えられたその手のものに対する耐性のお陰でなんとか息子を自在にコントロールする術を身につけたのだ。

あっ、でもちょっとヤバイ。

 

「どうだい、俺のテクは?」

「ふっ、ふざけんなあああああああっ!」

 

その言葉と共にヘッドロックは解除され今度は俺の腰に手が掛る、そしてそのままイーリスさんは俺を持ち上げた。今度はバックドロップを仕掛けようというのか。

 

しかし俺はその後ろに投げる力を利用して一回転しながら腰のロックを外し着地、尻餅をついている所にパズソーキックをお見舞いしようとするがイーリスさんはそのまま寝そべりこれを回避、俺の蹴りを外した隙に大きく後退した。

 

「……ちっ」

「テメェどういうつもりだ!?」

「別に、ただロックを外そうとしてたらたまたまそこに乳があっただけさ」

 

登山家が山を登る理由がそこに山があるからだと語るように、おっぱいマイスターの俺が乳を揉む理由もそこに乳があるからに決まっている。

うん、我ながらいい考えだ。

ところでイーリスさんはかなりいらついているようだ、ならばこの策をどんどん進めていけばいずれ決定的な隙が生じるはず。あとはエムロードでどかっとやれば試合終了というところだろうか。

 

「さて、続きをしようぜ。楽しませてくれよ?」

「くそっ、面倒臭せぇ奴だ……」

 

イーリスさんは戦闘態勢を取るものの一向に俺に向かってこようとはしない、多分警戒しているのだろう。しかしそっちがその気ならこちらから攻め込むまで、という事で俺は再度迅雷跳躍でイーリスさんの前へと躍り出た。

 

「おらぁ、どうしたどうした!! 攻めなきゃ勝てねぇぞ!?」

「ちっ……」

 

俺の連続攻撃に防戦一方のイーリスさん、俺からのセクハラ攻撃を警戒しているんだろうが流石に攻めに対して消極的過ぎる。このまま押し切れば本当に勝てるかもしれない。

主に上半身に向けたラッシュはほとんど防がれているが時たまいいところに当たる、これも織斑先生から教わった流れに乗るというのを意識してやった結果だ。先生には本当に感謝しかない。しかしそれだけじゃつまらない、ここで俺のオリジナリティってのを出していくのも重要なはずだ。

 

「足元がお留守ですよっと」

「うわっ!?」

 

上半身に意識を集中させておいてからの水面蹴りは面白い位に見事に決まり、イーリスさんが転ぶ。そして俺はマウントポジションを取るためにイーリスさんへと一気に飛び掛った。

 

「そいつを……待っていたっ!」

「はえっ? ……ぐっ、ぐわあああああああっ!」

 

俺が飛び掛った瞬間、イーリスさんは脚部装甲の展開を解除し飛びかかる俺の腕を取り、さらにその両脚が俺の首と腋の下に絡みつく。いわゆる三角絞めというやつである。

 

「がっ、がはっ……」

「おいおい、もがくともっと苦しくなるぜ? まぁ、このままお前が眠るまで面倒みてやるよ」

「がっ、ぎっ……」

 

俺はフリーになっている掌でイーリスさんの乳を再度揉もうと試み、鷲掴みにする。しかしイーリスさんの表情はまるで変わらなかった。

 

「おう、好きなだけ揉んでいいぞ。その代わり死ぬほど苦しんでもらうがなぁ!」

「があああああっ!!」

 

頚動脈が絞められ、俺の視界が少しずつ暗くなっていくこれはマジでやばい……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「決まった! あれを食らったら流石の藤木君も終わりね」

 

またしても狭い観客席の中、ナターシャの声が響く。その声は少し嬉しそうでもあった。

 

「終わり? どういう事だ?」

 

そんなナターシャに対し、ラウラが不満気に返す。今見せ付けられている展開が面白くないのだろう。

 

「ええ、ファング・クェイクの特性上イーリはストライキングが得意と思われがちだけど実際はそうじゃないわ。彼女が本当に得意なのはグラップリング、そしてあの三角絞めは今だ誰も抜け出せた事がない必殺技とも言える技。それにイーリにもうセクハラ攻撃は通用しないわ、ならもう無理じゃないかしら?」

 

饒舌に喋るナターシャを冷ややかな目で見るラウラ、しかしそこに楯無が割って入った。

 

「……そうでしょうか?」

「えっ?」

「藤木君はこんな所で終わるような男じゃありませんよ、それに彼の隠し玉はこれだけじゃありません。だからまだ終わりませんよ」

「それは……どういう」

 

困惑するナターシャにドヤ顔の楯無、ナターシャには楯無が何を考えているのか一切理解ができなかった。

 

「まぁ、見ててください。あえて言うなら……そう。このポジションは諸刃の剣であるという事に気付いていないんですよ、彼女は」

 

そう言いながら楯無は紀春へと視線を送る、その表情は少し笑みを浮かべていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……っ!」

 

閃いた! この技を脱出する方法を! そしてまだまだ俺の策は通用するという事実を!

 

「どうした!? 抵抗が弱くなってんぞ!」

 

しかし、どうして気付かなかったんだ。いやそんな事はどうでもいい、閃いた所で俺が不利なのは事実。早く策を実行に移そう。

 

「……ふっ」

「……なんだよ?」

 

俺はイーリスさんに向け笑顔を向け、それを見たイーリスさんは一瞬困惑の表情を浮かべる。さて、第二章スタートだ。

 

「くんくんくんくんくんくんくんくんっ!!!!」

 

俺は顔面をイーリスさんの股間に押し付け、音を鳴らしながらその匂いを全力で嗅ぐ。これが俺の策その2である。

 

「なっ、やめろおおおおおおおっ!!」

「うーん、ほんのりチーズのかほり」

「死ねコラアアアアアッ!!」

 

そんな言葉と同時に三角絞めは解かれ、至近距離からのドロップキックが放たれ俺は大きく吹っ飛ぶ。

 

「はぁ、はぁ、はぁ……テメェ……」

 

息を荒くするイーリスさんに対し、さも余裕であるかのように立ち上がる俺。少々のダメージを受けてはしまったものの三角絞めから脱出する事が出来た、やはりイーリスさんのセクハラ耐性は完璧なものじゃなかったようだ。

 

「おいおい、どうしたんだ? あと少し我慢すれば勝てたものをみすみす逃すなんて随分余裕なんだな」

「お前があんなことするからだろ!」

「いかんのか?」

「いかんだろ!」

「何言ってんだ、ISの競技規則に相手の股間の匂いを嗅いじゃいけないなんて書いてなかったはずだぜ? それに俺達はISLANDERSなんだ、甘い事言ってんじゃねーよ」

「くっ……」

 

正論、圧倒的正論! もちろん競技規則に相手の乳を揉んじゃいけないとも書いてないし、俺達は今後ルール無用の戦場に降り立つのだ。故にイーリスさんの言っている事は甘すぎる。

まぁ、こんな経験初めてだろうから動揺してしまうのも致し方ないだろうが。

 

「さて、二度目の仕切り直しだ。今度は全力でいかせてもらおうか?」

「はっ、今更強がりかよ。情けねーな」

「そう言っていられるのも今の内さ。さて、この織朱の真の力を見せてやろうじゃないか!」

『という事は私達の出番ね!』

『待ちくたびれましたよ……そもそもさっきの三角絞めだって、私達を使えば簡単に抜け出せたはずなのに……』

「そんな事すっかり忘れてた! さて、行くぞおおおおおおっ!」

 

俺の言葉と共に左右のビットが切り離され、それぞれが独自の機動でイーリスさんへと向かっていく。そして俺はエムロードⅡを展開、二人の後を追うようにイーリスさんへと向かっていった。

 

「話には聞いていたが……これはっ……」

「どうした、そっちも本気出してこいよ!」

 

俺達の連携攻撃によってイーリスさんがまたもや防戦になる。しかしそれも致し方あるまい、本来ビットは一人の人間の意志の元に操られている関係上どうしてもその動きにパターンや統一性というものが出てくる。しかし俺のビットは個々が俺の意思とは関係なく自由に動かされその動きにいい意味でのムラが出来る。それゆえビットの動きを予想するのは困難になるのだ。

 

「……っ、見えたっ!」

「遅いっ!……あれっ?」

 

次の瞬間、イーリスさんが瞬時加速(イグニッション・ブースト)で俺の方に迫る。

俺はそれを回避していせたものの、イーリスさんは再度瞬時加速(イグニッション・ブースト)を掛け、俺の真横をすり抜けて行った。

 

「連続で瞬時加速だと!?」

『もしかしてあれが個別連続瞬時加速(リボルバー・イグニッション・ブースト)かしら?』

「はえー、すっごい。どうやったら出来るんだろ」

『うーん、私達じゃ無理ね。プラズマ推進翼は仕様上瞬時加速は出来ないから』

「つまり俺達は迅雷跳躍(ライトニング・ステップ)で頑張ろうって事ね」

『そんな話はいいから助けてくださーい!!』

「ん?」

 

イーリスさんは三発目の瞬時加速を発動し天高く舞い上がる、そしてその先には霊華さんが居た。

 

「さっきから観察していたが片方のビットの動きが鈍いようだな! まずはこっちから破壊させてもらう!」

「れっ、霊華さん逃げてー!!」

 

ゆうちゃんより技量の劣る霊華さんは確かに比較的ビットの制御が下手だ、しかしそれはあくまでゆうちゃんと比べてという事であるのだが……

 

『ひいいいいいいいっ!』

「逃げんなコラァ!!」

 

イーリスさんが四発目の瞬時加速で一気に霊華さんへと迫る、俺も迅雷跳躍で霊華さんを助けようとそこへ急行するが間一髪の差でイーリスさんが霊華さんを捕まえる。そしてそのまま地面へと急降下していく。

 

「これでタッチダウンだ!!」

『きゃあああああっ、やめてえええええっ!! 私のIntelがっ!!』

 

心配するところはそこなんだろうか? まぁ、霊華さんが何を喚こうとその声はイーリスさんに届くことはない。

そして霊華さんとイーリスさんは地面に激突し、そこに大きな土煙を作る。

 

そして数秒後、その土煙が晴れるとクレーターの中心に佇むイーリスさんと粉々になった霊華さんが居た。

 

「だ、大丈夫なのか?」

『ビットが壊れても霊華の命がどうこうなるわけじゃないから大丈夫だとは思うんだけど……』

 

問題は彼女に搭載されているIntelとその他諸々である、あそこには霊華さんが趣味で書いているホモ漫画が保存されているはず。そして見る限りそれも粉々にされたっぽい。

 

「さてと、まずは一機だな。もう一機も頂いちまおうか」

『…………』

 

俺達を得意気に見上げるイーリスさんとは対照的に何も喋らない霊華さん、本当に心配である。

 

『……殺す』

「ん?」

『殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる。藤木君、今すぐあの腐れヤンキーを殺してやりましょう。私の命より大切な努力の結晶を粉々にした奴は万死に値する罪を負いました、しかし私は優しいので殺すのは一回で勘弁してあげます。だから殺しましょう。さぁ、今すぐ。ハリー! ハリー! ハリー!!!!』

「お、おう……」

『ぶち切れてるわね、霊華』

 

息巻く霊華さんに対してやけに冷静なゆうちゃんの突込みが入る、そしてその勢いは俺も圧倒する。しかし霊華さんがこんなに取り乱しているところを見るのは初めてだ。

まぁ、その位怒っているんだろう。

 

『藤木君、まず私の残骸を回収してください。そうしないと何も始まりませんから』

「お、おう。しかし霊華さんの残骸はイーリスさんの足の下だぜ? どうやって回収すれば……」

『ゆうちゃんに隙を作らせます、出来るわね?』

『う、うん。短時間なら囮は出来るけど……』

『ではそういう作戦で行きましょう、散開っ!』

 

俺とゆうちゃんは霊華さんに言われるがまま、距離を開ける。そしてエムロードⅡを一時収納しなおし、強粒子砲を展開する。

 

「霊華さんに何か秘策があるのだろうか?」

『わかんないけどなんだか今の霊華には逆らわない方が良さそうね、とりあえず従っておきましょう』

『そこっ、無駄話しない!!』

「……はい」

 

俺とゆうちゃんは二手に別れ、各々がイーリスさんへと射撃を行う。しかし流石に読まれているようでそれはいとも簡単にかわされる。

そしてイーリスさんは二つ目のビットを破壊するため、ゆうちゃんの元へと接近した。

 

「二つ目もいただきだっ!」

『うおおおおっ、気合の迅雷跳躍っ!!』

「なにっ!?」

 

イーリスさんのパンチがゆうちゃんに直撃する、と思った瞬間。イーリスさんが前のめりにバランスを崩し、その隙にゆうちゃんはその場から離れる。

 

「残像だと……ビットの癖に生意気なっ……」

『うぇーい、残像は私の専売特許だもんねー!!』

 

そしてそんなやりとりが二人の間でされている最中、俺は粉々になっていた霊華さんを回収ていた。

 

「よし、回収完了。で、次はどうすれば?」

『とりあえず私を織朱に取り付けてください、もう私は自律行動も出来ませんから』

「ほいほい」

 

というわけで俺は粉々になっている霊華さんの一部である織朱とビットのジョイントパーツの部分を手動で織朱の右肩に取り付ける。そこが霊華さんのいつもの位置である。

 

「よし、それで次は……」

『ゆうちゃん! 至急戻って来て!!』

『あいさー!!』

 

霊華さんの呼びかけに、イーリスさんの攻撃を凌いだゆうちゃんも戻ってくる。そして今度は俺の左肩にゆうちゃんが停まる。

 

「もうビットは終わりか?」

「らしいね、これからどうなるんだろ?」

「はぁ? なんか考えてたんじゃないのか?」

「いや、そうでもないんだよね」

「お前アホか?」

「……かもしれない」

 

しかしここからの作戦は全部霊華さん任せなんだ、もう俺ではどうしようもないのも事実である。

 

「霊華さん、これからどうすんの?」

『決まっているでしょう? 力押しです。ゆうちゃん! 力を合わせて!』

『おっ、PK? PKなの!?』

『うん、PK!!』

「PKってなんですか?」

『PKファイヤー的なアレです!』

「おお、解りやすい」

『というわけでいきます! あの腐れヤンキーに天罰を!!』

『おっけーい!』

「あっ、俺やる事なさそうだわ……」

 

次の瞬間、アリーナに地響きが起こる。そしてそれにイーリスさんも驚いているようだ。

 

「なっ……地震か?」

「いや、地震じゃないぜ?」

「もしかして……お前……」

「ほう、ちゃんと予習してたんだな。その通り、これが俺の全力全開だあああああっ!」

 

俺のその言葉と同時に地面が割れ、無数の土塊(つちくれ)が俺の周りを浮遊する。これも全て二人の力だ、故に俺の全力全開というわけではないのだがそんなことどうでもいいや。

 

『射出します!』

「いっけーーーーーーーーーっ!」

 

俺の号令と共に土塊がイーリスさんの下へと殺到する。所詮土と言えどこれには二人の力が篭っている、当たれば大ダメージは必至だ。

 

「ちっ、そんなモノでっ!」

「避けきれるかい?」

「避ける必要なんて……ねぇっ!」

 

イーリスさんは土塊に向かって拳を突き出す、そしてイーリスさんに向かって飛ぶ一番最初の土塊は粉々に砕け散った。

 

「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄ッ!」

 

そして殺到する土塊も全てその拳が粉砕していく、俺の視点では土煙でイーリスさんの姿は完全にかき消されていた。

 

「おいおい、大丈夫か?」

『まだまだ弾は充分に残っています、むしろこれからですよ』

「それも、無駄だっ!」

 

次の瞬間、土煙と土塊の雨嵐の中から土塊を砕きながら姿を現すイーリスさん。そのスピードは凄まじく、俺は一気に距離を詰められてしまった。

 

「こいつを、食らえっ!」

 

イーリスさんは、土塊の一部を握り締め俺へと拳を突き出す。突然の事態に驚いた俺はそのパンチを顔面で受け止め、大きく吹っ飛んでしまった。

 

「がああっ、目が……目がああああっ!」

 

土が直接目に入り悶絶する俺、そしてお陰様で視界は土と涙で何も見えなくなってしまった。この状況で視界が奪われるのは敗北と同義、それでもなんとかならないかと手足を振り回してみるがイーリスさんに当たった感触は一切感じられなかった。

 

「さて、これで終わりだ。お祈りは済ませたか?」

「があああああああああっ!!」

 

最後の一撃を決めようとするイーリスさんに対し、俺は必至でもがく。すると右手が何か柔らかいものを掴んだ。

 

「はぁ、またそれかよ……」

 

気配からして目の前に居るイーリスさんが溜息をつく、そしてこの感触は明らかにおっぱいだ。

 

「もう充分堪能しただろ、というわけで今度こそ終わりだ」

「まだだ、まだだああっ!」

 

まだと言った所で俺に出来ることは何もなかった、傍から見れば見苦しい光景なのかもしれない。

そして俺は空いた左手で必死の抵抗を試みる、するとまた何かを掴んだ。しかし今度はおっぱいではなく、なにか別のものだった。

 

「何っ!?」

「だらあああああっ!!」

 

イーリスさんの反応からイーリスさんにとって何かまずいものを掴んだのではないかと直感的に思った俺はそれを力任せに引っ張る、するとそれは少しの抵抗の後、ビリッという音と共にその抵抗を失った。

 

「あ、あ、あああ……」

「ん?」

「死ねコラァ!!!」

「はうっ!?」

 

直後、俺の股間に史上最大の痛みが走る。その痛みのせいで膝をついた瞬間、待ってましたと言わんばかりに側頭部に衝撃と痛みが走り、俺は吹っ飛ばされた。

多分このまま俺は負けてしまうのだろう、そんな事をやけに冷静に考えながら俺の意識は黒く染まっていった。




オリ主が最後に何をやったのかは察してほしい。

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