物語の中で明かされます。
同時にタイムスリップ。
道場に通ってから早、数ヶ月。この所、式神使い用の稽古が終わると藤乃森さんと稽古するようになった。
お互いに剣術での実戦用の稽古だ。藤乃森さんは技術面もあるけど押し込んでいくタイプ、逆に俺は見切りと受け流しを使うタイプの剣術を使う。
「このおお!」
「うっ!?しまった、受け損ねた!うわあ!」
受け流しが間に合わず、そのまま押し込まれた俺は道場の壁に激突してしまった。
少し背中が痛かったが、なんとか動けないほどじゃなかった。
「ちょっと、大丈夫!?受け流されてたから、つい」
「だ、大丈夫。受け損なったけど、大した事ないから」
竹刀を支えにして立ち上がるがこれ以上の稽古は危険だという判断をして、帰宅することにした。
「そう。それじゃ、明日ゼミでね?」
「うん、じゃあ明日!」
◇
帰宅した枢木神社の境内は夜になると誰もいない。だからこそ、鍛錬の場所になる。竹刀を取り出し、身体を温める準備運動をした後に素振りを始める。
同じ動作をずっとし続ける。素振りは忍耐と体力、そして集中力を養うための訓練だ。
師範からは稽古の後は千本の素振りをしろと言われているため、日課になるまで続けた。
二百辺りから汗が滝のように流れ、腕の感覚が無くなってくる。それでも続けていく。
「はぁ、800・・・はぁ、801!802!」
素振りを繰り返していると竹刀を握りこんだ掌から血がにじみ出てくる。それは稽古中に出来た血豆が潰れたものだった。
それでも、素振りを止めるつもりはない。規定回数を満たすかそれ以上でなければならないからだ。
「999・・!1000!はぁ・・・はぁ!」
手から血が滲んだ竹刀が滑り落ちる、未だにこれだけはなれない。鍛錬している証なのだが、手からは限界だと知らせる震えと痛みが来る。
「っ・・・手当して寝よう」
今夜はさほど眠れない事を覚悟しながら就寝についた。明日は普通に大学へ行かなくちゃ。
◇
翌日、講義とゼミを終わらせた後、藤乃森さんに声をかけられた。何でも実家にある歴史物を一緒に研究したいとの事だ。
藤乃森さんは電車で大学に通っている。片道30分だが、往復で一時間を考えるとかなりタフな方だ。
「遠慮しないでいいよ。家族には大学の課題を一緒にやるって言ってあるから」
「ああ、うん・・・お邪魔します。何処に収められてるの?」
「こっちの離れよ。何でも初代様が使っていた武器の片割れらしいんだけど」
そう言いながら、藤乃森さんは厳重で重そうな扉を開ける。そこにはブーメランを半分に割ったような物が祀られており、俺には懐かしく、見覚えのあるものだった。
「(これ、飛来骨の片割れだ。現代にまで残っていたなんて)」
「なんでも、飛来骨って言うらしいよ?初代様はこれを使って妖怪退治をしていたとかって、お婆ちゃんから聞いたんだ」
「(きっとそれ・・・珊瑚さんだ)」
「私の名前にも意味があるのかな」
そうだ、ずっと苗字で読んでいたから気にならなかったけど、藤乃森さんの名前を知らなかった。
「ねぇ、藤乃森さん。藤乃森さんの名前って?」
「そういえば教えてなかったね。フルネームは藤乃森 珊瑚っていうんだ」
「!!!」
なんという奇縁なのだろうか、戦国の世で恋した相手と全く同じ名前の女性が身近にいたなんて。それなら仕草などが似ていることにも納得がいく。
「なんでも、私の家系では長女が産まれたら代々、珊瑚の名前を継承するんだって。私がこの家の長女だから、この名前なんだ」
「そうだったんだ・・・」
二人は一緒に飛来骨へと近づいていく。掴み手の飾りはボロボロだが、飛来骨自身は手入れされているのか、さほど古びているような状態じゃない。
「(珊瑚さん・・・)」
未だに引きずっている恋、初めて心から恋した人だった。あそこまで本気で異性を意識して恋したことはなかっただろう。
初恋というものは成就しないという考えが強い。でも、その通りだった。相手は戦国時代に生きている女性、自分はその未来である現代に生きている人間。叶うはずがない恋だ。
だが、その恋した相手には隣にいる相手がいた。それを見たくなくて飛び出したのに変わらぬ姿で接してくれた。
あの時はまだまだ自分が子供だった。今でも同じ状態になれば逃げ出さないのかと言われれば逃げ出してしまうだろう。それほど自分は強い人間じゃない。
「どうしたの?」
「え?ああ、何でもないよ」
藤乃森さんが声をかけてきて現実に引き戻される。どうしても吹っ切れないのなら己の中に留めておくしかない。そう考え、改めて飛来骨を見る。
「不思議だね。なぜか、これを見てると強くなれる気がして・・・」
「うん、それ・・・分かる気がするよ」
そう言いながら飛来骨に触れた瞬間、光が溢れ出し藤乃森が飲み込まれ始める。
「な、何これ!?吸い込まれる!助けて!」
「藤乃森さん!!」
腕を掴んで引っ張り出そうとするが、全くビクともしない。むしろ自分まで取り込まれてしまった。身体の全てが取り込まれるとどこまでも落下していくような感覚に支配される。
「きゃああああああああああ!」
「うわああああああああああ!」
落ちつつも真嗣はどこかで懐かしさを感じていた。どこまでも落ちていくこの感覚に。
◇
某時刻・戦国
一行は奈落が復活した原因を考えていた。犬夜叉は前回の襲撃してきた妖怪から確かに奈落の匂いを嗅ぎとったと言った。
「もしかしたら、何処かで回復するのを待っていたんだろうね」
「厄介な事に奈落には結界がありますからな、それも間違ってはいません」
「四魂の玉も消えておらぬからのう・・・嫌な予感は当たってしまんじゃー」
四魂の玉とは欲望に忠実な人間や妖怪などが狙うもので、己の力を高めることが出来る。現在はかけらとなって全国に飛び散っており、一行はそのうちの二つを所持している。
「けっ!奈落が復活したってんなら何度も倒す!それだけだ!」
「犬夜叉らしいわね」
この一行は復活した奈落との因縁が強い。犬夜叉は桔梗との縁、かごめは四魂の玉、弥勒は自身の呪いである風穴、珊瑚は囚われた弟の琥珀といったように。
「おお、皆そろっておるな」
「んだよ、楓婆。何かあったのか?」
「皆に頼みたい事があってな。枢木の里は覚えておるか?」
「枢木の里って・・・入口が封印されていた里よね?今はもう解放されて交流が出来てるけど」
「さよう、その里に通ずる鳳凰山の麓の村で大変な事が起こったそうだ」
「大変なこと?」
かごめが首を軽く傾げて聞き返す。楓は頷くと再び言葉を発した。
「うむ、何でも協力な妖怪が現れたそうだ。村の者達は捉えようとしたそうだが、出来ずにいるというでな」
「もしかしたら四魂のかけらを使ってるのかしら?」
「そうだとしたらマズイですな。一刻も早く参りましょう」
「そうだな!」
「急がないとね」
「オラも行くぞ!」
かごめは犬夜叉におぶさり、弥勒と珊瑚、七宝は変化した雲母に乗って村へと向かっていった。それを見届けた楓は自分の仕事をしようとした時、村の外れの森から光を見た。
「あれは?」
◇
村外れの森では男女二人が草むらの上に倒れていた。男の方は目を覚ますと周りを見渡した。
「ここ・・は?この風景・・・もしかして戦国時代に!?」
その正体は真嗣だった。本人としてはタイムスリップしてきた自覚は薄い。以前はウツギという要因があったのだが、今回はそうではない。
「なんだか、身体の感じが変だ。妙に軽い。はっ!?そうだ、藤乃森さん!」
隣に視線を移すと藤乃森が倒れていた。その格好は現代の服のままだが、姿が若干若い。
「藤乃森さん、藤乃森さん!しっかりして!」
「ん・・・う・・・真嗣・・くん?」
「良かった。気が付いて」
「ねぇ・・・ここは何処?」
「落ち着いて聞いてね?ここは現代じゃないよ」
「え?じゃあ、何処なの!?」
「ここは恐らく、戦国時代だよ」
戦国時代と聞いて藤乃森は驚愕した。いきなり現代から戦国時代に跳ばされたとあっては驚きしかないだろう。
「せ、戦国時代って・・・初代様が生きていた時代!?私達・・・タイムスリップしちゃったの!?でも、なんで真嗣くんはそんなに冷静なのよ!?」
「言ってなかったけど、俺は中学生の時に一回、戦国時代に来ちゃった事があるから・・ね」
「な、何それ!?」
「おそらく此処は・・・楓の村の外れにある森・・・一度、楓の村に・・っ!?」
『人間の娘を寄こせ、喰わせろおおお!!』
目的地を伝える前に下級妖怪が二人の前に現れた。どうやら藤乃森を狙っているらしく唾液をダラダラと垂れ流している。
「きゃあああ!な、何よあの化物!?」
「あれは妖怪だよ。この時代は妖怪も生きていたからね」
「よ、妖怪!?」
戦国時代に跳んだ事を確認する為に式神を発動させる。現代と比べて霊力も妖力も満ちており、自然が溢れ返っているこの時代では式神の力が現代と比べて強い。
「(やっぱり、戦国時代に来たんだ。現代で使うよりも式神の質が高い)」
『娘を寄こせえええええ!!』
突進してくる妖怪を見据え、式神の属性を頭の中で選択する。相手は虫型の妖怪だ、それならばと掌に自然の気を集中させる。
「揺らめく炎よ・・・怒りの刃となり貫け!」
獅子の姿をした炎は突進してきた妖怪に噛み付くように包むと火柱を上げた。断末魔を上げる前に灰となって消えた。
「ふう・・・大丈夫?藤乃森さん」
「な、なんで・・・あんな化物を倒せたの・・・?アンタも化物なんじゃ!?」
「あ、ごめん・・・いろんな事隠してて」
「近づかないでよ!化け物!」
「っ・・」
藤乃森は混乱の極みに達していた。無理もない、いきなり戦国時代に飛ばされた上に妖怪が出てきて、その妖怪を真嗣が不思議な力で焼き払ってしまったのだから。
「藤乃森さん、ここは危険だから着いてきて。その後で幾らでも責めて良いから」
「っ、わかった」
警戒を解かないまま藤乃森は真嗣の後を着いて行く。途中、妖怪が現れたりしたが真嗣が撃退し、楓の村までたどり着く事が出来た。
「すみません、楓様はいらっしゃいますか?」
村人に話しかけると少しだけ怪訝な顔をしたが、村人はすんなり答えた。
「楓様なら長の家にいるはずだ。さっさと行きなよ」
「ありがとうございます」
言われた通り、長の家へと向かっていく。どうやらタイミングが良かったらしく、楓が前から歩いてきた。
「ん?お主は・・・!まさか、真嗣か!?」
「久しぶり、楓ばあちゃん」
「本当に久しいのう、実に五ヶ月振りか?」
「化け物、このお婆さんは?」
藤乃森は真嗣を名前で呼ばず、楓の事を聞いてきた。真嗣は気にした様子はなく紹介を始める。
「この人は村の長で巫女でもある、楓ばあちゃんだよ。妖怪にも詳しいんだ」
「む?この娘は?」
「一緒にこの世界に来ちゃったんだ。だから、ここまで来たんだけど」
「ふむ、かごめと同じか。ならば落ち着くまでこの村に居るといい」
「そうします・・・」
「お主、名は?」
「藤乃森です・・・」
「藤乃森か。そう、警戒することはない。この村は大丈夫じゃ」
「はい・・・」
少しは落ち着いたが、藤乃森はどうしても警戒が解く事ができなかった。見知らぬ世界に来てしまい、知り合いも、友人も、家族も居ないのだから。三時間程、時間が経つと楓が何かを感じ取って立ち上がった。
「どうやら、みんな帰ってきたようじゃな。ワシが出迎えた後に声をかける故、その後に出てくると良いぞ」
「え?ああ、うん」
◇
犬夜叉達が村に戻って、楓の家に向かってくるのを見つけると楓は一行を出迎えた。
「おお、みんな。帰ってきたな」
「楓お婆ちゃん!」
「なんだ、出迎えなんて珍しいじゃねえか。楓婆」
「たまには、な。それで妖怪は倒したのか?」
「ええ、いささか手こずりましたが」
「鎧を身につけていたものね」
「全くじゃ」
家に到着すると楓は家の前で待つように言い。跳んできた二人に声をかける。
「二人共、出てきて良いぞ」
「!行こう・・」
「うん」
真嗣と藤乃森は簾を潜ると、外に出た。楓は少しだけ笑みを浮かべながら一行の顔を見る。
「みんな、懐かしい人に会えるぞ」
「あ?懐かしいって、どういう・・・!おめえ・・・!」
「どうしたの?犬夜叉・・・!あ・・!」
「二人共、一体何が?・・・っな!」
「なんじゃ、なんじゃ?・・・ああっ!」
「どうしたのさ?一体・・・っ!アンタ・・・!」
「みんな、久しぶり・・・!元気だった?」
真嗣の顔を見た犬夜叉一行は驚きを隠せなかった。かつての仲間と再び再会することが出来たのだから。
「真嗣じゃねえか!!」
「真嗣くん!久しぶりじゃない!!」
「どうやら、元気そうでなによりですな・・!」
「真嗣!久しいのう!会いたかったぞ!!」
「本当に久しぶりだね。まさか、また会えるなんて!」
犬夜叉一行に笑顔が溢れた。犬夜叉は肩に手を回し、悪友がじゃれあうような格好になっており、かごめは笑顔でそれを見ていて、弥勒と珊瑚も笑みを浮かべている。
「俺もみんなと会いたかったよ」
「え?俺?真嗣くん、自分を僕って言ってなかった?」
「え?だって俺、もう19歳だよ?」
「はぁ?何を言ってやがる、俺達と出会った時と変わってねえじゃねえか」
「え・・」
真嗣はそれを聞いて、かごめにある物がないか頼み込んだ。
「かごめさん、鏡持ってない?」
「鏡?あるわよ。少し待って」
かごめは手鏡をリュックから取り出すと真嗣に渡した。それを使って自分の顔を映し出すと、今度は真嗣が驚きの声を上げた。
「な・・・ええええ!?これ・・・16歳の時の俺の姿だーー!!」
「なんと!?」
「どういう事なんだ!?これ?」
「うーん、骨喰いの井戸の原理と同じじゃないかしら?」
「それはつまり、こっちに跳ばされてきた影響で若返ってしまったって事?」
「それしか考えられないわ」
驚愕する真嗣をよそに、かごめは冷静な答えを口にする。何度もタイムスリップしているので慣れてしまっているのだろう。
「あの・・・この人達は?」
「あ・・・ごめん。この人達が、この世界で一緒に旅をした仲間だよ」
「へ、へえ・・・」
話に割り込んできたのが藤乃森であった。犬夜叉達の事を見て驚かないのは、妖怪のインパクトが大きすぎて、感覚が麻痺してしまっているのだろう。
「真嗣くん、この子は?」
「俺と同じく跳ばされてきちゃった現代人、名前は藤乃森さん」
「よろしく」
「よろしくね、私は日暮かごめ。で・・こっちが犬夜叉。法師が弥勒様、その隣にいるのが珊瑚ちゃんで、この子が七宝ちゃん」
「よろしくな」
「よろしくお願いします」
「よろしく頼むぞ」
「よろしくね」
「よろしく・・・って。珊瑚・・さん!?もしかして初代様?」
「え?そういえば・・・藤乃森さんって珊瑚ちゃんにすっごく似てるわ」
かごめは珊瑚と藤乃森を見比べて、思ったことを口にしていた。そこへ弥勒が藤乃森の目の前に立ち、手を握りながら話しかけてきた。
「珊瑚に似た娘さん。私の子を産んでは下さらんか?」
「!?いきなり何言ってるのよ!このヘンタイ!」
「ぐぼっ!?」
藤乃森は平手打ちではなく、グーパンチで弥勒を殴り飛ばしていた。それを見ていた珊瑚以外の全員が呆れ顔をしている。
「本当に懲りねえやつ」
「全くじゃのう・・・・」
「アハハ・・・」
「懐かしいなぁ、この流れ」
それをよそに珊瑚は藤乃森に近づいてきた。二人が並ぶとどっちがどっちなのか、分からなくなる程に似過ぎている。
「あんた、藤乃森・・といったよね」
「え?あ・・・は、はい」
珊瑚を目の前にして藤乃森は緊張と同時に冷静さを取り戻していた。無理もないだろう、憧れになりつつある相手と出会えたのだから。
「あたしの事、初代様って言ってたけど、どういう事なんだ?」
「え・・・そ、それは」
「恐らく、それは藤乃森が珊瑚、お主の生まれ変わりか、子孫であるのかもしれぬな」
「何だって!?」
楓が考察を口にすると同時に珊瑚が驚きを隠せない。何故なら自分の子孫か生まれ変わりの相手が目の前にいるのだから。
「実は私の名前も珊瑚・・・なんです。私の家では長女、つまり最初の女の子供が生まれたら珊瑚の名を付けられるんです」
「なるほどね・・・桔梗とかごめちゃんと同じようなものか」
「それと、家では飛来骨という武器を祀っているんです。それが妖怪退治をしていた初代様との繋がりだと」
「飛来骨をか・・・ますます気になってくるね」
「落ち着いたらちゃんとお話しします」
「そうだね。それよりも・・・本当に私と変わらないね?髪が波打っているくらいかな?」
珊瑚と藤乃森が並ぶと本当に変わらない。だが、そこへ楓が問題点を指摘してきた。
「しかし、ややこしい事になったの?二人が同じ名では、どちらかわからなくなってしまう」
「確かに、そうですね。それなら楓お婆さんが、この戦国での私の名付け親になってくれますか?」
「ワシが、か?」
「はい!」
「ふむ、そうか。ならば少しだけ刻をもらえぬか?名を考えるからのう」
「分かりました。お願いしますね」
「うむ」
そういって楓は自分の自宅の中へと入っていった。そこへかごめが手鏡を手に話しかけてくる。
「藤乃森さん。もしかして・・真嗣くんと同い年?」
「え?ああ・・・うん、そうだけど」
「やっぱり、はい・・これ」
「鏡?え・・・ええええ!?私も若返ってる!?これ16歳の時の私だ!」
「気づいてなかったんだ・・・」
かごめは呆れながらも、二人の変化に驚いていた。そこへ七宝が声をかけてきた。
「のう、かごめ。オラもうヘトヘトじゃ」
「そうね、積もる話は楓おばあちゃんの家の中でしましょう!」
◇
家の中に入り、真嗣と藤乃森が現代では大学生をしている事、飛来骨が祀られていることなどを話した。途中でかごめが大学生をしていたのなら勉強を教えて欲しいと二人に言ったのは言うまでもない。
藤乃森も戦国に突然来てしまった不安などいつの間にか消えていた。この人達は信用できると。
「藤乃森よ。お主の名が決まったぞ。お主の名は『彩水(あやな)』じゃ」
「彩水・・ですか?」
「うむ、珊瑚は海に関するであろう?水に関する名であれば珊瑚との繋がりがあると思うてな」
「ありがとう!楓お婆さん!」
「なんのなんの、これくらいは構わぬて」
「じゃあ、今からは彩水だね。よろしくね?彩水ちゃん」
「うん、珊瑚・・・ちゃん」
やはり自分が名前にしていたので呼びづらくあるのだろう。自分で自分の名を呼んでいるようなものなのだから。
「少しずつ慣れていけばいいさ」
「うん」
同じ姿、同じ年齢、生まれ変わりと前世との邂逅はかごめにとっても新鮮だった。
「まさか、藤乃森さん・・・ううん、彩水ちゃんが珊瑚ちゃんの生まれ変わりだったなんて」
「まるで、かごめ様と桔梗様のようですね」
「うん、経緯は全然違うけどね」
「でも、本当に二人はソックリじゃのう?名前が違ってなければ分からんぞ」
「そうか?」
その夜は再会と歓迎会を兼ねた宴となった。色々と語り合い、交流を深めながらの夕食はとても楽しいものとなり、夜は更けていったのだった。
戦国へ飛びました、ふたり揃ってです。
藤乃森の詳細はオリキャラ図鑑に書きますので!
戦国時代に跳んできた二人。新たな名前と共に彩水は珊瑚に己を鍛えて欲しいと頼み込む。
次回、戦国お伽草子、犬夜叉。
「彩水と珊瑚の特訓」
お楽しみに!