犬夜叉 時を繋ぐもの   作:アマゾンズ

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大気の精霊との一騎打ち。

犬夜叉との修行。



四神の一太刀、炸裂!朱雀の息吹!

「うわああ!」

 

『ぬん!』

 

真嗣が振り下ろした刀の一撃が、大気の精霊の持つ刃に受け止められる。影打ちと言われている刀が、大気の精霊との打ち合いに使えた。これには驚きしかなかった。本来、精霊というものは実体を持たない霊体のため、刀では捉える事は出来ない。

 

影打ちの刀は五色五行刃の一部から打たれた刀だったのだ。見た目ではただの無名な刀でしかないが、この戦いにおいては、どんな名刀よりも頼りになる存在になっていた。

 

「ふう・・ふう・・」

 

『一体何を望む?確かにお主の心には力を盲信している事も、何かを倒そうとする念も感じられぬ。ならば何を求める?』

 

「大切な人や仲間を守りたい・・じゃあ、答えにならないかな?」

 

『何?』

 

「俺は人間だからね、感情に勝てない。だけど信念さえ持てれば人は成長できるんだ!たあああ!」

 

『はっ!!』

 

真嗣は斬りかかっていくが、大気の精霊は軽々と真嗣を吹き飛ばしてしまった。あまりの突風で崖から落下しかけ、咄嗟に刀を突き刺し、落下を阻止して這い上がったが武器を失ってしまった。

 

「武器はない、式神も使えない・・・それでも!」

 

空手の構えを取り、大気の精霊と対峙する。命を投げ打つ覚悟はしきれていない。倒せなくても一撃くらい報いてみせると。

 

『諦めぬ心、不屈か。だが、足りんぞ!』

 

「!うわあああ!」

 

風で岸壁に叩きつけられ、真嗣は意識を徐々に失い始めていった。立ち上がろうとしても力は入らず、瞼が重くなっていく。

 

 

 

 

 

「ろ・・・きろ・・・起きろ」

 

「う・・・誰だ?」

 

「久しいな?真嗣」

 

「!う・・ウツギ!?」

 

目の前に居るのはウツギ、かつて自分を戦国の地に呼び寄せ、魂を奪おうとした人形であった存在。奈落に式神の力ごと身体を乗っ取られ。最後は魂込めの術によって人間となり、枢木の里に葬られた。

 

「大気の精霊はお前の心を試している。闇雲に戦っても意味はない」

 

「でも、どうすれば!?」

 

「今のお前には届かせる為の神具があろう?」

 

「え?」

 

ウツギの隣に一人の巫女が立っていた。長く艶やかな黒髪を水引きと呼ばれるもので結っており、巫女装束に身を包んだその姿は桔梗と同じ雰囲気を漂わせている。

 

「だ、誰?」

 

「やはり、この年若い姿では解らんか・・・。わたしは覚樹だ。お前の中の式神を目覚めさせたあの老女よ」

 

「え、ええええええええ!?か、かかか覚樹ばあちゃん!?」

 

「お前からすれば、確かに婆ちゃんと呼ばれても仕方ないが、流石に応えるな」

 

「え・・あ・・・だ、だって。それに此処は?」

 

どう見ても、桔梗やかごめさんと同年代くらいにしか見えない。これが婚姻前で現役の巫女だった時の覚樹ばあちゃんなのか?

 

「話が逸れたな、ここはお前の精神の中だ。ウツギの言う通り、大気の精霊との戦いは意志のぶつかり合いだ。お前は相手が精霊というだけで自分が各下だと思い、心が後退している」

 

「え・・・だって、俺はもう」

 

「五色五行刃を使え、あれには鋒に変わる力がある。お前の意思を込めてぶつけろ」

 

「!分かったよ」

 

「ではな」

 

ウツギと若き姿の覚樹は背を向けると同時に姿が希薄になっていく、その姿に真嗣は声をかける。

 

「覚樹ばあちゃん!ウツギ!二人共、ありがとう!会えて嬉しかったよ」

 

「・・・ふ」

 

「そうか。ならば勝て!お前は必ず勝てる。私も久々に会えて嬉しかったぞ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

意識を取り戻すと大気の精霊は何処かへと行こうとしていた。真嗣の様子を見て戦いは終わったと思ったのだろう。

 

「待・・・て・・・まだ・・・・俺は・・・やれ・・・る!」

 

『ほう?不屈で向かってくるとはな』

 

「(五色五行刃、今はこれを使うしかない!)」

 

鋒の無い五色五行刃を手にして構えると、大気の精霊も再び人型となって刃を構える。

 

「(頼るな・・切り開く事を考えろ・・・相手は精霊。だからこそ自ら挑む!)」

 

真嗣の一瞬の決心が伝わり、五色五行刃が脈動する。鋒の無い箇所に真っ赤に焼けた鉄のような色をした物が、鋒になった。それと同時にはめ込まれている小さな水晶の玉が朱色に染まっていき、五色五行刃が脈動する。

 

「!?五色五行刃から鳥の鳴き声?」

 

確かに聞こえたのは鳥の鳴き声だ。それもアカショウビンに近いもので、五色五行刃から聞こえてくる。

 

『む?』

 

「確か、五色五行刃には」

 

 

 

 

 

 

「これは五色五行刃といって、式神使いの為に作られた刀らしいの」

 

「そうなんだ、うわ!重っ!刀なんて初めて持ったからびっくりした」

 

かごめから初めて受け取った時を思い返す。五色と五行、二つの力の他にも力があるといって言っていた。

 

「この刀にはね・・・さっき言っていた力以外にも四つの力があるらしいの、確か・・・だって」

 

最後の部分が思い出せない。炎と鳥・・・それから連想できるのは不死鳥、ほかにも思い返していく。

 

「そうか!この刀の力の一つは!」

 

思いついた途端に五色五行刃の脈動が早くなっていく。大気の精霊は既に攻撃を仕掛けようとしていた。

 

『はああああ!!』

 

「!四神一太刀、朱雀の息吹!!」

 

『なんと!?』

 

横薙ぎから発せられた鳥の姿と鳴き声を伴った衝撃波は大気の精霊が起こした真空の刃を巻き込み、大気の精霊へ向かう。何度も傷つけられようと、倒されようと復活してくるそれは、さながら不死鳥の如く。

 

『うおおおおおお!?』

 

「っ・・・はぁ・・・はぁ」

 

気力を持って行かれたのか、真嗣はその場で片膝を着いてしまった。無理もない気絶させられる程の衝撃や真空による切り傷が数え切れないくらい、全身にあるのだから。

 

真嗣は気づいていないが、強風だった風は穏やかになっており、大気の精霊も先程までとは違って殺気がなくなっている。

 

『お主の心の一撃、しかと受け止めた』

 

「っ・・大気の・・・精霊?」

 

『五色五行刃に我が力を授けよう。勾玉の樹実を二つ持っていくが良い』

 

「二つも?」

 

『いずれ、必要になる時が来よう』

 

伝える事を伝えきると大気の精霊は五色五行刃に宿った。それはあくまでも半身であり、本体が宿った訳ではない。それでも力の差は無く、五色五行刃の柄巻きに色が浮かび上がった。

 

「戻ら・・・ないと」

 

真嗣は岸壁に手を添えながら犬夜叉達が待つ場所へと向かっていく。なんとかたどり着いたが、犬夜叉達は真嗣が全身傷だらけなのを見て大声を上げた。

 

「真嗣くん!?大丈夫!?全身、傷だらけじゃない!」

 

「おい、真嗣!大丈夫か!?」

 

「やっぱり無茶しおったか!」

 

「大気の精霊との戦いとはいえ、七宝の言う通り無茶し過ぎですよ!」

 

「みん・・・な・・・ごめ・・ん」

 

それだけ言うと真嗣は気を失ってしまった。手には五色五行刃と大気の精霊が持たせたのだろう、折れた影打ちの刀が握られている。

 

「みんな、つづみの村に行きましょう。そこで休んでから楓の村に帰る方が良いと思うの」

 

「そうだな、おめえらも休まねえと」

 

「そうじゃな」

 

「では、行きましょうか」

 

気絶した真嗣を犬夜叉が担ぎ、鳳凰山を下山する。その途中でウツギと若かりし頃の覚樹が一行を見守っていたのを知る由もなかった。

 

 

 

 

 

 

また、二日かけて楓の村に戻る頃には傷もだいぶ回復し、歩けるようになっていた。途中、妖怪などにも襲われたりしたが、それらを倒し楓の村に帰ってきた。

 

同時に帰ってくるのを待っていたかのように、刀々斉が楓の村で一行を出迎えた。

 

「刀々斉さん?」

 

「おう、真嗣。おめえ・・・試練を乗り越えちまったんだな。刀を見ればすぐに解るぜ。約束通り五色五行刃を鍛え直してやるから刀を渡しな。影打ちの方もな」

 

「分かりました」

 

「なんだ、おめえ。勾玉の樹実まで取って来ちまったのか?こりゃあ、完璧に鍛え直しと打ち直しが容易だぜ」

 

「取ってこいって言ったの、刀々斉さんでしょ?」

 

「そうだっけか?まぁ、いいや。四日もあれば完全に鍛え直せるぜ、特別に鞘も作っておいてやる」

 

「ありがとうございます」

 

「いいって事よ。それじゃあな」

 

刀々斉は真嗣から五色五行刃、影打ちの刀、勾玉の樹実を受け取ると帰っていった。五色五行刃を完全に直せるのは刀々斉だけなのだ。信頼して待つしかない。

 

「傷は治ってるし、簡単な鍛錬だけでもしておこうかな。彩水さんだって珊瑚さんに鍛えられてるし」

 

「お?おめえ修行するのかよ?」

 

珍しく犬夜叉が声をかけてくる。着替えは楓に仕立ててもらった簡素だが色彩が綺麗な着物を着ているが、簡単な鍛錬はできるだろう。

 

「うん、空手のね」

 

「空手?なんだそりゃ?」

 

「あー、解りやすく言うと無手で戦える方法って所かな」

 

「それなら、そう言えってんだ。で?どこでやるんだ?」

 

「え?犬夜叉も来るの?」

 

「あったりめえだろ?せっかく二人なんだし、組手もできるだろ?」

 

「それもそうか、じゃあ少し離れた森に行こうか?」

 

「おう」

 

犬夜叉と真嗣は村のすぐ近くの森に入り、犬夜叉は鉄砕牙で素振りをし真嗣は身体を解す準備体操をした後に正拳突きを現代で教わった型を構えてから始める。

 

「はぁ・・・はぁ・・・999、1000!」

 

「おめえ、それをずっとやってるのか?汗だくだぞ?」

 

「はぁ・・・はぁ・・まあ、ね」

 

「拳のキレが普通の人間よりも速え、かごめと同じ国で修行してたのか?」

 

「修行・・・とは少し違うけど、鍛えてはいたよ。もう、日課になっちゃってるけどね」

 

犬夜叉は着物の裾から時折見える真嗣の腕を見て、鍛えていた事が嘘ではない事を見抜いていた。

 

若返ったとはいえど、鍛えていた肉体が戻る事が無かった。仮に戻ったとしても今の真嗣はもう一度戻そうとして鍛え直すだろう。

 

「まぁ、足手まといにはならねえみたいだしな」

 

「犬夜叉、挑発して鉄砕牙の相手をしてもらおうなんて考えなくても大丈夫だよ」

 

「うぐっ!?そ、そんなんじゃねえよ!」

 

真嗣は肉体は16歳だが、頭脳と知識は現代の20歳を迎える寸前の19歳だ。ある程度は考えている事が分かってしまうのだろう。

 

「じゃあ、組手しようか?あ、式神は使わせてもらうからね?」

 

「俺も久々に無手で戦うか」

 

犬夜叉は指を鳴らして、構えを取る。お互いに本気は出すが全力は出さない。あくまで修行なのだから。

 

「行くぞ!おめえとはいっぺんやり合ってみたかったからな」

 

「行くよ、犬夜叉!」

 

犬夜叉が素早く殴りかかってくるが、今の真嗣にはそれが見えている。初めて戦国時代に来た時の自分では完璧に負けていただろう。

 

「ここだ!」

 

「何!?おわっ!」

 

真嗣は犬夜叉の攻撃の呼吸を見切り、合気道の投げ技を使って犬夜叉を叩きつけた。叩きつけられはしたが、妖怪にやられるよりは、はるかに威力が弱い。犬夜叉からすればまるで攻撃を受け流された為に幻惑されたのかと思っただろう。

 

「今のは・・・!?」

 

「今のは相手の向かってくる力を利用して叩きつけたんだ。力任せに来ればその分、相手へ返す力も強くなるんだよ」

 

「式神の力じゃねえのか!?」

 

「うん、これはただの体術だよ。式神の力は防御にしか使ってない」

 

犬夜叉の目からしても式神は防御に特化している緑色しか見えていない。だが、真嗣は確かに自分よりもはるかに強い犬夜叉を地面に叩きつけたのだ。

 

「こんな体術があるんだな、俺にも教えてくれねえか?」

 

「良いけど、身を守るためにしか使えないよ?」

 

「構わねえ、頼む!」

 

「分かった。まずは」

 

犬夜叉が真嗣に合気道を教わろうと考えたのは、自分が人間になってしまった時の対処のためであった。相手の力を利用して相手を倒す。これほど魅力的なものはなかったのだろう。

 

半妖である自分は特定の日に妖力を失ってしまう。そのため、鉄砕牙も使えず身体も傷つきやすい、野盗にも負けてしまうのではと思えるくらいだ。

 

真嗣が自分に使った体術を身に付ければ多少なりとも身を守ることができる。そう思って今の真嗣に教えを請いた。

 

「犬夜叉、慌てちゃダメだからね?」

 

「わーってるよ!」

 

それから二人は夕方になるまで合気道の修行を続けた。体術に関しては飲み込みが早く、犬夜叉は真嗣から教わった合気道の基礎を瞬く間にマスターしてしまった。

 

「そろそろ帰ろうぜ、真嗣」

 

「そうだね、お腹も空いたし」

 

土まみれになりつつも、二人は修行を終えて仲間達の待つ家へと帰宅していったのだった。




若かりし頃の姿で覚樹さん(女性)を出してみました。

若かりし頃の覚樹さん(女性)はゲーム内でかなりの美人だと明記されていましたが、どんな姿だったんでしょうかね?

誰か、お姿を描いてくれないものか・・・(期待)



妖怪退治屋の里で修行に励む珊瑚と彩水、仕上げとなるその日に突如として妖怪の襲撃を受けた。

そんな時、一つの武器を託される。

次回、戦国お伽草子、犬夜叉!

「月下に輝く刃」

お楽しみに!
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