「深海棲艦とちょっとドンパチしてくる」「おいちょっと待て」 作:神影 森羅
待て、話し合おう、待て待てm…許してください何でもしますから
~語り・紅蓮
──────さて、少し時間を戻そう。
俺は鍛練を始めた。
メニュー?すまない、さすがにそこまでは覚えていないんだ。辛うじていろいろ1000回ぐらいだったとしか。
閑話休題。
もちろん今すぐ強くなれるなんて思っちゃいない。俺より強いやつはごまんといる。実際御年90にして俺ら抱き抱えて軽々しく走るじいちゃんがいたしな。
でも、たとえ小さな積み重ねでも、それで澄華を守れるなら。そんな、純粋な決意
再び、さっきまでの時間に戻すことにしようか。
このころでも鍛練は続いていた。
ただしそれははたから見れば異常なもので、食事も睡眠もとってはいたが、その時間は圧倒的に少なかった。
まぁこんな非常識過ぎる毎日において同じような過ごし方出来るのはあれだ、脳筋バカこと零斗ぐらいだ。
…ついにここまで減ってしまった。
確かに周りの皆の喜びを理解出来たのは、とうとうここまで一度も無かった。
それでも皆が流す涙はずっと見てきたし、感じてきた。
名前なんてろくに知らないがそれでも自信をもって仲間だと言えた。
そんな仲間が減ってしまえば、悲しかった。
柄じゃないのは十二分に理解してるさ。昔も、今も。
…そして次の日。
──────都合よくいつまでも。そんなのあるわけ無かった。
俺達は人間だ。睡眠という最大級の隙は少なからず存在する。
そんな隙をつかれる、当たり前の結果だった。
むしろ今までが運が良すぎた。
そこにいたのは人の形をしたなにか。ただし長く黒いしっぽがあり、一瞬にして異形の仲間だと確信した。
─レ級。いろは歌からとられた名前の通常種戦艦。ただし通常種トップクラスの戦闘力をもつ個体。穏健個体はしっぽが白色。…おっと、少し語りすぎたな。
でもそいつはぼろぼろ、下は安定した地面の筈なのにすぐ沈んでいきそうな不安定感があった。
そして慣れた様子で弾を撃つ。
だが
─────全く、愚かなものさ。
自分がつけた力の意味。
それを忘れればどうなるか…君たちもなんとなくわかるだろ?
ドォン
刹那。
理解した。してしまった。
『きゃあぁぁぁぁぁ⁉』
『澄華‼』
…正直そこからはあまり覚えていない。
気が付けば病室で。
ここはかなり内陸部で少なくとも1ヶ月は安全なことと
そして
澄華が助かる為には、まだ一度も試していない、深海棲艦のゲノムデータを適用する、ギャンブル的治療法しか無いことがわかった。
──俺は。
見殺しにしてしまった。
純粋な人間としての澄華を。
…ははっ、全く。
『わかりました。…出来れば、その施術を僕にもお願いします。』
我ながらにして、愚かなものさ。本当に…ね。
紅蓮編はこれで終わりかな。