それではお楽しみください
「相手をよく見ろ!次の動きを常に予測するんだ!」
「味方の位置は常に把握しろ。ボールを持ってない奴は、次の動きを考えて動け」
花咲川のグラウンドでは、咲真たちがいつも通り練習に精を出していた。いや、いつもよりも気合いが入っている。
というのも、もうすぐ日本一を決める夏の大会、インターハイの県予選がスタートするのである。この予選で優勝できなければ、日本一を決める本戦に進出出来ない。
花咲川は去年、咲真たちの活躍もあり全国に駒を進めた。つまり、去年の県予選の優勝校なのである。今年入った1年生たちもそのことはもちろん理解しているため、学校の名前に泥をつけないよう気合いが入っているのである。
「はぁーい、そこまで! 10分間休憩でーす!」
和泉の言葉で、全員が練習を中断し休憩に入る。
「ふぅー」
日に日に夏が近づき気温も上昇していく中で、厳しい練習が続く。それでも誰一人弱音は吐かない。と、思いきや……
「暑いー、まだ夏じゃないのに何でこんなに暑いんだよー。しんどい、帰りたい……」
「しっかりしろ、この時期からそんな弱音を吐いていては大会まで持たんぞ」
弱気発言をする佐々木に、日向が喝を入れる。
「日向先輩の言う通りだぞ、佐々木。大会までやる事はいっぱいあるんだから」
日向に便乗し、蒼夜も佐々木に言葉をかける。
「にゃはは〜、佐々木っちはだらしないな〜」
「そんなんじゃ佐々木先輩のポジション、オレが圧倒言う間に奪っちまうッスよ!」
さらに、こんな中でもいつもと変わらず元気な猫神と片桐が佐々木に追い打ちをかける。
「うるせぇ〜、人には向き不向きがあるんだよ。冬になれば俺はキビキビ動く」
「そんなこと言って〜、冬になったらなったで寒い〜って言って動かないよね〜佐々木は」
言い訳もすぐに彩瀬によって論破され、佐々木はうぐっと声を詰まらせる。
「とにかく、大会はもうすぐなんだしっかりしてくれよな、次期エースストライカーさん」
咲真も皆に乗っかり佐々木に声をかける。勘弁してくださいよ〜と、漏らしながらトホホといった表情を見せる佐々木。
そんな佐々木を見て、皆が笑っていると監督である本郷が皆に集まれと呼びかける。
「休憩中にすまないが全員集まってくれ」
本郷の呼びかけに気づいた咲真が、「集合!」と声をかける。すると、全員が駆け足で本郷の元に集まっていく。
「お前たちに報告がある」
監督が全員の整列を確認してから報告の内容を話し始める
「急ではあるが、今週の土曜日に練習試合が入った」
「練習試合ですか?」
「ああそうだ。大会が近づいているからな、そろそろやりたいと思っていたのだが、何分うちは去年の優勝校だからな手の内を見せまいと中々試合を組んでくれるところが見つからなかったのだが、なんとか一校相手をしてくれるところを見つけた。羽丘高校だ」
「っ⁉︎ 羽丘…」
羽丘高校と言う言葉を聞いて、2、3年生の雰囲気が少し変わった。変わった雰囲気を感じた1年生はどうしたことかと首を傾げる。
「お姉ちゃん、羽丘高校ってどんなチームなの?」
茜が姉である日向に説明を求める。日向はすぐに茜の質問に答える。
「ああ、羽丘高校は去年私たちが県予選の決勝で戦ったチームだ」
日向の言葉に、1年生たちの表情が驚きの表情に変わる。
「決勝で戦ったって事は...前は勝ったんですよね...?」
水瀬がオドオドしながら咲真たちに尋ねる。
「ああ、去年は勝ったがギリギリだった。かなり強敵だ、できれば大会でも最後まで当たりたくない相手だな」
全国へ行った先輩たちにそこまで言わせる相手に水瀬は息を飲む。すると……
「ハッ、そんなん関係ねえだろ。どっちみち倒すんだから」
羽丘の強さを聞いて、黒騎はいつものように強気な発言をする。
「そうだな、どっちみち倒さないと先に進めないんだ。それにそんな相手と練習試合ができるってことは、更にレベルアップするチャンスってことだ。全員気合い入れてやるぞ!」
咲真の言葉に全員の表情が勇ましいものになり、全員に気合いが入る。
「「「「「おお!!」」」」」
全員の声を聞いて、監督はうんうんと何かを確かめたように頷いた。そして続けて全員に話かける。
「では、早速だが練習試合のスタメンを発表する」
監督の言葉に緊張が走る一同。
「では奥沢、頼む」
「はい」
監督に任された咲真は、以前から監督と話し合っていたスタメンを発表する。
「まずはFW、水嶋と佐々木」
「おう!」
「うす」
呼ばれた2人はお互いいつも通りに返事をする。
「続いてMF、彩瀬、日向、俺、そして水瀬」
「は〜い」
「ああ」
「っ⁉︎ は、はい...!」
彩瀬と日向は変わらずだが、1年で名前を呼ばれた水瀬は驚きながら返事をした。
「DF、氷川、紅城、河野、猫神」
「はい!」
「はい…」
「うむ」
「はぁい!」
呼ばれた4人はそれぞれ返事をする。
「最後にGK、岩隈」
「はい!」
最後に呼ばれた岩隈も気合いの入った返事をする。
「チッ…」
「あー、スタメンは無理か〜」
呼ばれなかった水瀬以外の1年4人は肩を落とす。そんな4人に声をかける咲真。
「今回スタメンに呼ばれなかったやつも、練習試合ではどんどん交代して行くから、準備を怠るなよ」
「「「「っ!」」」」
咲真の言葉に全員がはい!と気合いの入った返事をする。
「今回呼ばれた奴も、2、3年だからと言って油断しないように能力の高い奴がスタメンになる。そのことに学年も立場も関係ない。そのことをしっかり頭に入れといてくれ」
咲真の言葉に全員の表情が硬くなる。咲真の言葉はそれだけ全員の心の中に強く根付いた。だが、それは咲真自身も同じで、キャプテンだからと言って油断などしなかった。
「よし!じゃあ試合に向けて今言ったメンバーでフォーメーションの確認をしながら練習を始めるぞ!」
「「「「「はい!!」」」」」
咲真たちは練習を再開した。先程よりも更に気合いの入った練習が続くのだった。
〜練習試合当日〜
土曜日の朝、俺たち花咲川サッカー部は羽丘高校に来ていた。
元々距離はそこまで離れていないため、全員が遅れることなく校門の前に集まっていた。
「よし、行くぞ」
咲真の掛け声に続いて校門を潜ろうとした時、突然……
「凌平さ〜〜ん♡!!」
「ぐはッ!!」
突如現れた女の子が、岩隈に抱きついた。抱きつかれた岩隈は、そのまま後ろに倒れた。
「イッテテ〜、なんだ?」
頭をさすりながら起き上がる岩隈、抱きついて来た女の子の顔を確認する、綺麗な水色の瞳に左目が隠れるように伸びた銀髪ロングヘアーの女の子は岩隈の顔を見るなり嬉しそうに微笑んだ。
「お久しぶりです!凌平さん!」
「
「はい!」
どうやら岩隈の知り合いらしい、こいつ、松原といいどれだけの女の子と知り合いなんだ…?
全員が岩隈と氷麗と呼ばれた女の子との絡みに唖然としていると、学校の方から、長身で、男にしては長めの髪を後ろで結んだ男が駆け足で咲真たちの方に向かって来た。
「ったく、いきなり走ったと思ったら何他校の人たちに迷惑かけてんだ。さっさと離れろ、仰木」
その男に首根っこを掴まれ、岩隈から引き離された女子は少し不満そうな表情で後から来た男に声をかける。
「もう〜、何するんですかキャプテン」
「こんなところでいきなり抱きつく奴があるか。花咲川の皆さんが戸惑ってるだろ」
男に注意された女の子がはぁーいと返事をすると、2人は俺たちの方を向く。
「うちの部員がいきなりすまなかった。俺は
キャプテンの暁に続いて岩隈に抱きついた女の子が挨拶をする。
「初めまして皆さん。私は
そう言って挨拶をした仰木という女の子は岩隈に向かって首を傾かせながら微笑む。それに対し岩隈は引きつった笑顔を見せる。
先に挨拶をした2人に対し、咲真はすぐに自分から名乗った。
「花咲川サッカー部キャプテンの奥沢咲真だ。今日はよろしく頼む。」
そう言って右手を前に出す咲真。出された手の意味を理解した暁も同じように右手を前に出す。
「久しぶりだな、暁。またお前と試合ができて嬉しいよ」
「こっちこそ、待ちわびたよ。去年のリベンジができるこの日を」
ガシッと握手を交わす両チームのキャプテン、その目の先にはバチバチッと火花が散っていた。
「さぁ、時間がもったいない。早速更衣室に案内しよう。仰木、女子を女子用の更衣室に案内してくれ」
「わかりました」
俺たちは男女に分かれて、2人についていく。
そして、早速ユニフォームに着替えた俺たちは、グラウンドに足を運んだ。
今回はここまでです。試合スタートは次回からになります。
今回初登場キャラ
暁恭平(artisanさん)
仰木氷麗(鳳凰院龍牙さん)
の2人が登場しました。
次回で羽丘高校のメンバーは全員登場させます。(詳しいメンバー紹介は分けてやるかも)
※キャラ募集はまだまだ行なっております。というか、集まっておりません。参加お願いします。