〈凍結〉イナイレ×バンドリ 笑顔を護る英雄   作:夜十喰

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後半が終わらなかった〜〜!!
すみません!試合の展開を考えながら、自分の書きたいシーンを書いていたら思いの外長くなってしまい、これ以上書くとグダグダの話が出来てしまいそうだったので、キリの良いところで今回は終わらせました。決着は次回となります。


練習試合-後半其の壱-

1点ビハインドで前半が終了し、咲真たちはハーフタイム中にもう一度作戦を立てていた。咲真、日向、蒼夜を中心にそれぞれのポジションから見た羽丘の選手一人一人の動き、特徴を全員に共有しつつ打開策を考える。

 

「で、どうだったんだ氷川、あの夢原って奴は」

 

日向が前半終盤に茜と氷川からボールを奪った夢原について蒼夜に問う。

 

「はい、かなりの実力者だと思います。一対一だと勝てるかどうか...」

 

「蒼夜がそこまで言うなんて、相当だね〜」

 

隣にいた彩瀬が改めて夢原という選手の脅威をその身に感じる。

 

「ほんと凄かったんだよ⁉︎ 寝てると思ったらイキナリ動きが変わるし、ボクどうやって取られたのかわからなかったもん!!」

 

その身をもって夢原のプレーに触れた茜も警戒の色を強める。

 

「さて、どうしたものか....」

 

全員に暗いムードが漂ってきた時、パンパンッと手を叩く音がベンチに響く。

 

「お前ら暗いぞ、まだ負けたわけじゃないんだからそんな顔するなっての」

 

そう言って咲真は、茜の頬を摘み強制的に笑顔を作る。

 

「いひゃい、いひゃい!! なにふるんへふか〜!!」

 

そんな茜の表情を見て、誰かがプッwと吹き出す。それを皮切りに、花咲川ベンチに笑いが連鎖して起こる。

 

「むぅ〜〜〜!!!」

 

笑われたことが恥ずかしかったのか、茜は摘まれた頬と同じくらい顔を赤くしながら膨れっ面を咲真に向ける。

 

「悪かった、悪かった」

 

さっきまでの重たい空気は何処へやら。咲真の行動と茜の反応に全員の顔に余裕が見え始める。

 

「よし、まずは1点取り返す!勝ちに行くぞ!」

 

「「「「「おう!!」」」」」

 

咲真の言葉に気合が入る。そして、監督の本郷から後半の作戦が伝えられる。

 

「後半からはメンバーを入れ替えていく。フォーメーションが変わるのは、相手にとっても厄介だが同時に自分たちにもそれなりの対応力が求められる。だが、お前たちなら大丈夫だ。思う存分力を発揮してこい」

 

「「「「「「はいッ!!」」」」」

 

 

花咲川は後半の頭から選手を交代……MFの水瀬に変わってFWの片桐が入る。

 

これで花咲川のフォーメーションは3-3-4に変わり、攻撃の枚数が増えた事により、先ほどよりの攻撃よりになる。

 

 

 

ピーーーーーーッ!!

 

 

花咲川ボールで後半が開始される。

 

「いっくぜ〜!!」

 

ボールを受け取った片桐がいきなりトップスピードで敵陣深くへ切り込んでいく。

 

だが、片桐のスピードに反応した羽丘のディフェンスがすぐに行く手を阻む。

 

「ここを通りたくば、拙者を抜いて見せよ」

 

「通さないよ!」

 

片桐に反応したのは大和と綺良星の2人だった。2人はそのまま片桐からボールを奪おうと片桐に詰め寄る。

 

が、ディフェンス2人に詰め寄られる片桐はスピードを落とさないまま右にボールを蹴る。蹴られたボールは凄いスピードで抜けていく。

 

パスカットをしようと足を伸ばす仰木だったが、スピードにより足がボールに触れることは無かった。

 

この弾丸パスはそのままサイドラインを割るかに思えた。が、次の瞬間、凄まじいスピードでボールの先へ回り、弾丸パスを受けた人物がいた。

 

「さっすが華蓮ちゃん! ナイス弾丸パス!」

 

それは、片桐と常日頃からスピード争いをしている、茜だった。

 

「これぐらいのスピードについてこれなきゃ、オレのライバルって認められねえからな!」

 

片桐も茜が弾丸パスを受けると分かっていたようだ。

 

「まっ、チームNo. 1のスピードのボクにかかればこれくらいのパス余裕だよ!」

 

「ざけんなッ!No. 1はオレだ!」

 

「ボクだよッ!」

 

試合中にもかかわらずいつものように意地の張り合いをする片桐と茜。そんな2人に咲真はやれやれ...と声をかける。

 

「お前ら、それぐらいにしとかないと日向に説教されるぞ」

 

咲真の言葉に2人がビクッと震え、錆びた機械人形のような動きで味方コートの方を向くと、鬼の形相をした日向が2人を睨んでいた。

 

「「ヒッ!!」」

 

2人はよっぽど恐ろしかったのか、すぐに前を向き震えた声で

 

「よ、よし...!こ、このまま..い、行くよ...! 華蓮ちゃん...!」

 

「お、おう...! や、やってやろうぜ...!茜...!」

 

と、意地の張り合いを辞め、互いにスピードの乗ったパスを出しながら攻め上がっていく。

 

勢いそのままに、敵チームのゴール前まで来た2人、このままシュートを打とうとしたが、突如、美鷹が2人の前に立ち塞がる。

 

「忠告...簡単に抜けると思わないで...」

 

2人に冷たい視線を送る美鷹、2人は日向とはまた違った悪寒を感じ、方向転換をしようとしたが……

 

地面に手をついた美鷹が、透き通るような赤い目を2人に向け必殺技を放つ。

 

「アイス...エイジッ!!」

 

美鷹の地面についた手を中心に地面が凍てつき、気温が氷点下にまで下がる。

 

「ナニッ⁉︎」

 

「冷たッ!」

 

一瞬にして2人の足が凍りつき、動きを封じられ、ボールを奪われる。

 

「ナイスー、ウララン♪」

 

「ローズ...攻めるよ....」

 

「OK!いっくよー!」

 

そう言って美鷹はエルスターと共にドリブルで上がっていく。

 

「行かせんぞ」

 

日向がボールを奪おうと2人の前に立ち塞がる。

 

「邪魔...押し通る...」

 

美鷹と日向による攻防が繰り広げられる。美鷹が振り解こうとするが、日向がピッタリとマークに着いて離れない。

 

「....ハァ」

 

すると突然、美鷹の動きが止まりため息をついた。

 

「(なんだ...ため息..?)」

 

いきなりため息をついた美鷹に日向は少し困惑しながらも警戒を強める。

 

「流石です...やっぱり貴女に勝つのは....私1人では無理....まだまだ実力が足りない....」

 

どうやら美鷹は日向を抜くことが出来ない自分に呆れため息を吐いたようだ。

 

そして、ポツリと呟いた瞬間、美鷹は持っていたボールを後ろにいたローズへと戻す。

 

「勝ちたかった....『コート上の皇帝』と呼ばれる貴女に....でも....私1人じゃ無理....だから....今回はみんなで勝つことにする......」

 

そう言い残して美鷹は自分のポジションへ戻っていった。

 

その言葉を聞いて日向は……

 

「今回は....か、言ってくれるじゃないか。俄然負けたくなくなったな」

 

今度は勝つという美鷹の宣言を聞き、静かに闘志を燃え上がらせていた。

 

 

 

美鷹からボールを受け取ったエルスターは綺良星にパスを出し、下がらずにその場に留まった。

 

エルスターからパスを受け取った綺良星は、前線の選手に指示を出しながらボールをキープしている。

 

「おっと、司令塔は自由にしたらダメだよね〜」

 

そこへ彩瀬が現れる。

 

「私からしたら貴女が一番自由にしたらダメだと思うよ?」

 

「そうなことないよ〜」

 

互いに軽口を挟みながら、様子を伺う。集中力を切らさないように神経を使いながら、チャンスを伺う両者。その均衡を破ったのは、彩瀬だった。

 

「フッ!!」

 

彩瀬はゆったりした動きから一瞬で素早い動きへと緩急をつけボールを奪いにいく。

 

そんな彩瀬の動きになんとか食らいつく綺良星、なんとかボールをキープし続ける。その時だった……

 

 

 

背後から現れた片桐が綺良星の持つボールを奪いにかかる。

彩瀬に夢中になっていたため、片桐が迫っていることに気がつかなかった。完全に不意をつかれた綺良星は片桐を間一髪で躱すも気が逸れた隙に彩瀬にボールを奪われる。

 

「しまった!」

 

「へへ〜、いただき〜!ナイスアシスト〜華蓮ちゃん!」

 

「オッス!」

 

綺良星からボールを奪った彩瀬はそのままドリブルで駆け上がる。ゴール前は現在、夢原と美鷹の2人のみ彩瀬は警戒しつつ一気に攻める。

 

「水嶋先輩〜!」

 

「おう!任せろ!」

 

彩瀬から水嶋へとボールが渡る。ボールを受け取った水嶋が猛々しく攻め上がる。

 

「通さない....」

 

美鷹がまたしても必殺技で止めようとする。

 

「アイスエイジ.....!」

 

先ほど同様、地面が凍てつき水嶋の動きを止める。

 

水嶋は足が凍てつく前に後ろへバックパスを出す。そのパスの先には日向が既に待っていた。

 

「っ....⁉︎」

 

「みんなで勝つ...と言ったな、悪いがそちらも負ける気は無い!」

 

日向はピィッ!と口笛を吹く。すると地面からペンギンが生え、日向がボールを蹴り上げるとペンギンがボールに続いて空を飛ぶ。

 

「茜ッ!」

 

「まっかせて! お姉ちゃん!」

 

蹴り上げたボールに合わせる様に茜が足に炎を纏わせながら、回転し、そのままボールと同じ高さになったところで、シュートを放つ。

 

「「皇帝ペンギンF!!」」

 

紅白戦で岩隈からゴールを奪った日向姉妹の必殺シュートが凄まじい威力で羽丘ゴールに向かっていく。

 

「止めるッ!」

 

暁の両腕が光り輝く槍に変化する。

変化した腕を前に突き出し、シュートにぶつける。

 

「ロンギヌスッ!!」

 

輝く槍に貫かれたボールが暁の手に収まる。日向姉妹の必殺シュートが完璧に止められた。

 

「何ッ⁉︎」

 

「ウソッ⁉︎」

 

2人の渾身のシュートを完璧に止めてみせた暁はボールをそのまま思いっきり投げ前線に送る。

 

「悠哉!」

 

暁からボールを受け取った桐ヶ谷が再びドリブルで攻め上がる。

 

「行かせねえぞ」

 

攻める桐ヶ谷の前に立つ咲真、前線からいつのまにか戻って来ていた咲真に少し驚く桐ヶ谷だったが、すぐに切り替え綺良星にパスを出す。

 

桐ヶ谷からのパスを受け取った綺良星、その前にはまたしても彩瀬が立ち塞がる。

 

「また止めるよ〜」

 

再び緩急をつけた動きで綺良星を翻弄する彩瀬、だが………

 

「そう何度もやられっぱなしには行かないよね!」

 

綺良星がそう言ってボールを蹴るとボールが星の形となって綺良星を乗せたまま彩瀬を抜き去った。

 

「スターライド!」

 

「うぇッ⁉︎」

 

彩瀬を抜いた後、綺良星はボールを闇雲へと送る。

ボールを受け取った闇雲はそのまま他のFW2人とともにゴールに攻め立てる。

 

「もう一度決めますよ、撮摩さん!葛城さん!」

 

「「おう!」」

 

そう言って3人は前半と同様に目にも留まらぬ連携で花咲川のディフェンスを外し、ゴール前まで抜けた。

 

「来い!」

 

ボールを持つのは、前半先制点を決めた闇雲だ。

 

「ダークウィング」

 

再び影を纏った強烈なシュートがゴールに迫る。

 

「グレートバリアリーフ!」

 

今度は相手に惑わされる事なくシュートをとめにかかる岩隈。しかし、シュートの勢いを完全に殺すことは出来ずボールを弾いてしまう。

 

「⁉︎」

 

「くっ!」

 

シュートを弾かれた事、シュートを完全に止められなかった事に闇雲と岩隈が同時に顔をしかめる。

 

弾かれたボールをなんとか蒼夜がキープする。だが、キープしたのもつかの間、蒼夜に大和が迫って来ていた。

 

「備中青江……」

 

迫る大和の右手には鞘に納められた鍔の無い五尺余りの刀が握られている。

 

「物干し竿ッ!」

 

その刀を左手で抜刀し、袈裟斬りで蒼夜を吹き飛ばした。

 

「グハッ!!」

 

大和はボールを奪ってすぐ前にパスを出す。

 

「撮摩殿ッ!」

 

大和からのパスを受けたり、今度は撮摩がシュートを撃つ体勢に入る。

 

撮摩の持つボールが真空の膜に包まれ、空中に浮き上がり、それをボレーシュートする撮摩。

 

「ゼロフォース!」

 

ボールは不安定な軌道を描きながら凄まじい威力でゴールに迫る。

 

「ッ⁉︎」

 

変化するボールに岩隈が集中力を研ぎ澄ます。その時、ボールと岩隈の間に入る人影が岩隈の眼に映る。

 

「…止める」

 

その人影は紅城だった。

 

「ボルケイノ…カット」

 

紅城は撮摩のシュートに自らのブロック技をぶつけ、シュートを弾き返した。

 

「なッ⁉︎」

 

シュートを弾き返された事に驚く撮摩、ボールはそのままサイドラインを切る。

 

「ナイスディフェンス、紅城」

 

「助かった、サンキュー」

 

咲真と岩隈が紅城にそれぞれ言葉をかける。紅城はぶっきらぼうにいえ…とだけ答える。するとここで…

 

「花咲川、選手交代です」

 

と、審判が宣言する。ベンチを見るとシャロンがサイドラインの前に立っていた。

 

「どうやら…交代は俺みたいですね……」

 

紅城はいつも通り喋りながらも少し残念そうに呟く。

 

「後…任せます」

 

そう言って勝負を仲間に託す紅城、その言葉に全員がおう!と大きな声で返す。

 

紅城 IN ⇔ OUT 岩隈

 

紅城に変わって入ってきたシャロン、その顔は誰が見ても緊張してるのが分かるくらい強張っていた。

 

「が、がが...が...頑張り...ます」

 

その様子を見た咲真が兄である岩隈に声をかける。

 

「岩隈....シャロンのやつ緊張で産まれたての子鹿みたいになってるぞ。なんとかしろ」

 

「わ、分かりました」

 

岩隈はシャロンの元へ行き、少し屈んで目線をシャロンに合わせる。

 

「お、お兄…ちゃん…」

 

「大丈夫だ、シャロン。怖がる事なんて無い、シャロンの近くにはいつだって仲間がいる。それに、後ろには俺がいる。俺たちの力になってくれ、シャロン」

 

励ましの言葉をかけ、シャロンの頭を優しく撫でる岩隈。岩隈の言葉と頭ナデナデによってシャロンの表情から恐怖が消えたようだ。

 

「うん…私、頑張る…!」

 

 

 

 

花咲川のスローイングから試合が再開される。点差は変わらず1点、後半も折り返しが近づいてくる。

 

猫神がスローイングしたボールを河野がとり、前へパスを出す。

 

河野からパスを受け取ったのは、咲真だ。そのままセンターラインを超え一気に攻め上がる。

 

「行かせないぞ、奥沢」

 

「桐ヶ谷....」

 

咲真の前に桐ヶ谷が立ち塞がる。

 

「随分と大人しいな、去年の決勝の方がプレーに覇気が入っていたように見えたが?」

 

桐ヶ谷が咲真を挑発するように話しかける。咲真は話を聞きながらもパスを出すルートを探すが、他のメンバーには羽丘がぴったりとマークをつけていた。そのため、咲真も中々パスを出すことができない。

 

「そうか?じゃあ1年で俺はそこまで大人になったって事だな」

 

桐ヶ谷の挑発を軽口で返す咲真。だが、桐ヶ谷は更に咲真に言葉をかける。

 

「お前はまだ、実力の半分も出していないだろう。練習試合だからと舐めているのか?」

 

少し声を低くして聞いてくる桐ヶ谷、咲真は若干の怒気を含んだその言葉に、咲真は顔を少し伏せてから返す。

 

「まさか、お前たち相手に舐めるわけないだろ。俺はいつだって本気だよ....本気で日本の頂に立つつもりだからな」

 

ただ...と咲真は続ける。

 

「俺はこのチームが好きだからな。頂に立つ時はこいつらと一緒に立ちたい。だからこそ、俺は自分を後回しにしてもこいつらを強くしたい。頂に立った時、誰かが下から見上げてちゃダメだ。自分は何も出来なかったと後悔するよりも、同じ目線で喜び合いたい。だから、全員で同じ高さに立つ。そのためにも悪いがお前たちには俺たちの血肉になってもらう」

 

咲真の言葉に強い信念を感じる桐ヶ谷、その信念は鋭い刃となって桐ヶ谷に突きつけられる。

 

「っ⁉︎」

 

鋭い刃を突きつけられ、桐ヶ谷に悪寒が走る。

 

「あっ、勘違いするなよ。自分を後回しにしても...とか言ったが、自分の成長を止める訳じゃない。俺も、もっと強くなるぞ!」

 

そう言って咲真は持っていたボールを桐ヶ谷に向けて思いっきり蹴った。蹴られたボールは真っ直ぐ桐ヶ谷の胸の辺りに飛んでいく。

 

突然の事に驚く桐ヶ谷、すぐにボールをトラップしようと勢いを殺す体勢を取ろうとするが……

 

ボールは桐ヶ谷の胸の前で止まった。と、思いきや、ボールはそのまま高速で桐ヶ谷の周りを飛び回り始める。

 

「っ⁉︎」

 

ボールの軌道を捉えきれない桐ヶ谷、するとボールはそのまま桐ヶ谷の後ろへ飛んで行く。その先には、いつのまにか咲真がいた。

 

「バンブルボール」

 

そう言って咲真が指をパチンと鳴らすと、宙に浮いていたボールが重力の影響で咲真の足にストンと落ちる。

 

「俺は勝つ!勝って勝って勝ち続けて、アイツとの勝負に決着をつける!」

 

咲真が呼んだアイツとは、桐ヶ谷には分からなかった。だが、その言葉には先ほどとは違う信念、いや、執念と呼ぶべきものがあった。

 

桐ヶ谷を抜いた咲真はそのまま敵陣内へ単独で切り込んでいく。羽丘のディフェンスを躱しながら、ゴールへ迫る。そして……

 

「フッ!!」

 

ボールを踏み回転をかけてボールを上げる。十分に上がったボールを咲真はオーバーヘッドでシュートする。

 

「ブレイブ...ショット!!」

 

咲真が蹴ったボールは青いエネルギーに包まれ、凄まじい威力とスピードで羽丘ゴールに襲いかかる。

 

「ロンギヌス!!」

 

咲真の必殺シュートを自身の渾身の技で止めようとする暁、両手を槍にしてボールに突き刺すように手を伸ばす。

 

「ウオオオォォォォォッ!!」

 

暁は全力で咲真のシュートを止めようとするも、徐々に押し込まれていき、咲真のシュートが暁のロンギヌスの破りゴールへ突き刺さった。

 

 

ピーーーッ!!

 

 

花咲川 2 ー 2 羽丘

 

 

咲真の必殺シュートで、花咲川は再び追いついた。

 

「流石です!キャプテン!」

 

「ナイスシュート〜!咲真さ〜ん!」

 

「やったな、奥沢」

 

蒼夜、彩瀬、日向を中心に咲真に全員が声をかけてくる。咲真は全員とハイタッチをする。

 

「おう、サンキューな。さぁ、試合はここからだ!逆転して勝つぞ!」

 

「「「「「おう!!」」」」」

 

 

 

 

 

一方羽丘サイドでは......

 

「すまない、また止められなかった」

 

「ドンマイですキャプテン!」

 

「私のミス...止められなかった....」

 

「ウラランもそんなに落ち込まないの!すぐ取り返すよ!」

 

各々が声を掛け合い、勝つために話し合う中、桐ヶ谷だけだ花咲川メンバーに囲まれる咲真を見ていた。

 

「どうした?悠哉.....ッ⁉︎」

 

暁がそんな桐ヶ谷に声をかけ、顔を覗き込むと暁は驚愕する。

 

いつも滅多に表情を変えない桐ヶ谷の顔が、笑っていた。

 

その顔を見た羽丘メンバー全員が暁と同じように驚く。

 

ギラギラと目を輝かせ、まるで獲物を見つけた肉食動物のような表情で咲真を見つめる。どうしたのかと、暁が聞くと……

 

「あれだ...! あの殺気のような執念、去年と同じ....俺が勝ちたかった奥沢咲真だ....!」

 

その言葉を聞いて、暁の脳裏には去年の県大会の光景が映っていた。

 

 

 

 

 

 

県大会の決勝、勝てば全国行きが決まる。スコアは1ー1、延長後半、コートには両チーム合わせ22人がいる。しかし、そのほとんどが、決勝までの試合と決勝の激戦で疲労が蓄積し体力は限界...立っているのもやっとだった。だが、コートの中央、センターライン付近で激しい攻防をする2人の選手がいた…………

 

 

花咲川の奥沢咲真と羽丘の桐ヶ谷悠哉だ。

 

 

2人はとうに限界を超えていながらも、これまでのどの試合よりも白熱した勝負をしていた。

2人は、限界にもかかわらず楽しそうに笑っていた。

 

互いの武器をぶつけ合い、肉を裂き、骨を砕く、野獣のような2人の戦いに、観客も同じコートに立つ他の選手たちも魅了されていた。その戦いが長く続いて欲しい、誰もがそう願った。だが……

 

勝負は奥沢咲真の勝利という結末を迎えた。

 

桐ヶ谷を抜いた咲真が、敵陣を両断するように走り抜けシュートを放った。そのシュートは、ネットを揺らし、花咲川の歓喜と羽丘の悲哀を同時に起こした。

 

 

 

 

 

 

そして時は戻り、現在……

 

 

桐ヶ谷悠哉の表情はその時と同じものになっていた。

 

「勝つ…! アイツに…奥沢咲真に……!」

 

「そうだな」

 

咲真に眼光を向ける桐ヶ谷、そんな彼に暁が声をかける。

 

「勝とう、ただし1人でじゃない。俺たち11人でだ!」

 

暁の言葉に桐ヶ谷を含めた羽丘イレブン全員が奮い立つ。

 

「「「「「おう!!」」」」」

 

 

 

激闘の後半戦……残り15分




読んでいただきありがとうございます。
後半戦を終了できず申し訳ありません。次こそ終わらせます。

サブタイに前半、後半ってつけるのやめよう.....


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