自分もかなり好きなキャラなので、うまく書ける様に頑張ります。
それではどうぞ〜
土曜日の午前6時、俺は朝から走り込みの為にこの時間から家を出る。靴紐もきつく結び、邪魔にならないようBluetoothのイアホンを付けて音楽を流す。玄関の扉を開けると、昼とは全く違う冷えた空気が肌を刺す。軽く準備運動をしてから、早速ランニングを始める。
「ハッ……ハッ……ハッ……」
大会も近くなり日に日に興奮が高まってくる中、まだまだ足りなりものが多いと、少し前に始めたこの早朝ランニング、今では平日休日関係無く行なっている。冷たい空気と少しずつ身体を照らしてくる太陽を感じながら、まだ人気の少ない街の中を走るのは中々楽しい。
両耳のイアホンからは、ハローハッピーワールドの曲が流れている。あまりランニングには向いてないが、こころの楽しそうな声とハロハピの演奏は俺にとってこれ以上無いほどのBGMなのだ。俺はこの時に聞くハロハピの音楽が好きでランニングを続けているのかも知れない。それほどに気に入っている。
それともう一つ、俺がこのランニングを気に入っている理由がある。それは……
「ハッ…ハッ……ふぅ、クンクン……良い匂いだ」
俺はある店の前で立ち止まり、そこから匂う香ばしい小麦の匂いに舌鼓を打つ。その店の看板には、「山吹ベーカリー」と書かれてある。すると……
カランッカランッ!
店の扉が開き中からエプロンをした1人の女の子が出てくる。茶色の髪のポニーテールに青い瞳をした美少女と呼ぶべき顔立ちをしたその女の子は、店の扉にかけてあったcloseと書かれたプレートを裏返しopenに変える。
「よしっ!……あっ!おはようございます。いつも早いですね、奥沢先輩!」
すると俺に気づいた女の子は、俺を見るなり笑顔になって挨拶をしてくれる。なんだこの出来た娘は……可愛いかよ……
「おう、おはようさん山吹」
そんな事を思いながら、俺はその女の子、山吹沙綾に挨拶を返す。
山吹沙綾、花咲川の1年生で俺の後輩。そして、このお店の看板娘である。
「はい!どうぞ入ってください、今パンが焼きあがりましたから」
山吹はそう言って扉を開け、俺を店の中へ案内する。
俺がランニングを気に入っている理由、それはこの店「山吹ベーカリー」の焼きたてのパンが食べられるからである。
店の中へ入ってすぐ、俺の鼻には香ばしいパンの良い匂いがこれでもかを入ってくる。店を見渡すと、多種多様なパンが綺麗に並べられている。
すると、店の奥から1人の男性が出てくる。
「おや?奥沢君じゃないか、いつもありがとうね」
この人は山吹ベーカリーの店長、つまり山吹の親父さんだ。
「いえ、ここのパンは本当に美味しいですからね。もうこれが目的でランニングをしていると言っても過言じゃないですよ」
「それは嬉しいな、ゆっくり見ていくと良い。私は中に戻るから沙綾、接客は頼むな」
「わかった、任せて」
そう言って親父さんはそそくさと店の奥へ入っていった。どうしたのだろうか、いつもなら開店したてはそこまでお客さんも来ないからゆっくりするはずなのに……
俺はそう思い、山吹に聞いた。
「何かあったのか?」
「えっ⁉︎」
突然質問をされた山吹は驚きながら、何で分かったのかといった表現をしている。
「いや、親父さんいつもより余裕が無いように見えたからな。開店したてはまだそこまで忙しくはないからどうしたのかと思って」
俺が疑問に思った理由を話すと、山吹は眉を下げ申し訳なさそうに笑う。
「アハハ〜、すごいなぁ奥沢先輩は...何でもお見通しか〜」
乾いた笑い声をする山吹に、俺はもう一度何かあったのかと聞いた。すると山吹はゆっくりと俺に話してくれた。
「実は...ここしばらくお母さんの体調が良くなくて、休んでもらってるんです。その分お父さんの仕事が増えてしまって....」
「なるほどな...」
前に聞いた話だが、山吹のお袋さんは元々身体が弱く体調を崩す事が多いらしい。そのため、山吹もこうやって休日も店の手伝いをして、平日も学校が終わるとすぐに帰って店の手伝いをしているらしい。
話して行くうちに、山吹の顔が不安の色に染まっていく。
「………」
それを見かねた俺は山吹の頭に手を置き、頭を撫でた。
「うぇッ⁉︎/// 奥沢先輩ッ⁉︎///」
急に撫でられた事に驚きながら、慌て出す山吹、俺はそんな事御構い無しに山吹の頭を撫で続ける。
「そんな顔するなよ山吹。お前がそんな顔してたら、お袋さんも、元気になれるもんもなれねえぞ」
「先輩...」
山吹は少し泣きそうな目で俺を見てくる。俺はそんな山吹を放って置けなかった。そして、ある案を思いついた。
「そうだ、山吹」
「な、何ですか?///」
「俺をここでバイトととして雇ってくれないか?」
「ええーッ!!」
俺の頼みに山吹は大きな声で驚き出した。その声に反応した山吹の親父さんがドタドタと慌てて戻ってくる。
「ど、どうした⁉︎ 沙綾!」
俺は戻って来た親父さんに、さっき山吹に言った事と同じ事を親父さんにも言った。
すると、親父さんはうーんと頭を悩ませている。
「私たち的にはありがたいのだけれど...本当にいいのかい?確か奥沢君って部活のキャプテンじゃ無かったっけ?」
「はい、そうですよ」
「大会も近いだろうし、3年生だから進路とかも考えなきゃいけないのに大丈夫なのかい?」
親父さんは、自分たちの状況が厳しいにもかかわらず真剣に俺の心配をしてくれている。
「確かに忙しいのも事実ですけど、自分は今までバイトしてなくてそろそろ自分でお金を稼がないとって思ってたんですよ。それに、無理はしてませんよ。無理をすれば心配する妹がいるので....」
俺の話を聞いて、悩んでいた親父さんは顔を上げる。
「分かった...ならお願いしよう。うちで働いてくれるかい、奥沢君」
そう言って親父さんは真っ直ぐな目を俺に向けてくる。俺はそれに答えるように目線を合わせる。
「こちらこそよろしくお願いします」
俺より答えに、親父さんはうんうんと頷いた。すると、隣にいた山吹が俺に声をかけて来た。
「奥沢先輩....ほんとにいいんですか?」
「ああ、俺が決めた事だ。これからよろしくな山吹」
そう言って俺はもう一度山吹の頭を撫でた。
「は、はい///」
その光景を親父さんは微笑ましい目で見ていた。
ランニングの後だった事もあり、本日はパンを買って帰る事になった。バイトは後日開始という事らしい。
俺は店の前で山吹と話をしていた。
「改めてこれからよろしくな、山吹」
「……」
「山吹?」
「あ、あのッ!///」
山吹がいきなり顔を赤くして声を張る。そして、少し弱々しく俺に聞いて来た。
「わ、私のこと名前で呼んでくれませんか?///」
顔を真っ赤にしながら上目遣いで聞いてくる山吹。こんな事をされて断れる男などいるのだろうか...いや、いないだろ....
「わ、分かった。沙綾...?」
俺はこれでいいかと確かめる様に山吹...沙綾に聞いた。
「は、はい!/// よろしくお願いしますね咲真先輩!///」
「ッ!//」
いきなり笑顔で名前を呼ばれ、俺も頬を赤くなるのを自覚した。
「じゃ、じゃあまたな」
「は、はい!また!」
そう言って俺は沙綾と別れて家に帰った。
「えッ、お兄ちゃんバイト始めたの?」
家に帰った俺は、美咲にバイトを始めた事と始めた経緯を話した。
「確かにあそこのパンは美味しいし心配だけど、私はお兄ちゃんが無理する方が....嫌」
美咲は少し顔を暗くする。本気で俺の心配をしてくれているのだろう、俺も美咲には心配をかけたくない。
「大丈夫だ。親父さんにも言われて極力シフトは入れない様にしているし、無理はしないって約束する」
「まぁそれなら良いけど....」
渋々だが美咲も納得してくれた様だ。
正直言うと、美咲に強く言われると俺は断れない。前に俺は無茶をして大怪我をした時がある。その時見た美咲の心配する泣き顔は今もはっきり覚えている。あの時は怪我をした時よりも美咲のその顔の方が俺には辛かった。だから……
「美咲を悲しませることは絶対しない。約束するよ」
そう言って俺は、気づけば美咲の頭を撫でていた。それに気づいた時、今日は良く頭を撫でる日だなと心の中で思った。
おかしい....この小説のヒロインはこころのはずなのに....
というわけで、山吹沙綾が登場しました。
沙綾って可愛いですよね〜。とりあえず、沙綾にはサブヒロイン的な立ち位置についてもらうつもりです。
もしかしたら今後もサブヒロインは増えるかも?笑
読んでいただきありがとうございました〜!