〈凍結〉イナイレ×バンドリ 笑顔を護る英雄   作:夜十喰

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今回は前回の続きのような感じです。
そして、今回も初登場のバンドリキャラが数人いますので、どうぞ楽しんで行って下さい。

それではどうぞ〜


バイトと出会いと約束

あの朝の面接?から数日後、俺は山吹ベーカリーでのバイトを開始した。仕事は主に、接客、レジ、パンの補充と言ったシンプルなもので、沙綾が丁寧に教えてくれたこともあり、大体のことはすぐに覚えることが出来た。

 

そして、今俺は沙綾と共にレジで会計をやっている。

 

「カレーパンが一点、メロンパンが一点、チョココロネが二点、合計四点でお会計450円になります」

 

「いつもありがとうございます」

 

「こっちこそ、いつも美味しいパンをありがとね」

 

今パンを買ったお客さんはお店の常連さんらしい、沙綾とも話が弾んでいるようだ。

 

「それより...またお母さん体調崩されたんですってね。大丈夫なの?」

 

どうやらこの常連さんは、沙綾のお袋さんの体の事を知っているらしく、心配そうに沙綾に聞いている。

 

すると、沙綾は一瞬顔を伏せたが、すぐに顔を上げいつもの笑顔で

 

「大丈夫です。頼りになるバイトさんも入りましたから!」

 

そう言って沙綾は俺の方を向く。俺は沙綾に、そうだな...と返し、常連さんの方向く。

 

「俺が出来ることは少ないかもしれませんが、このお店の力になれるよう全力を尽くしますよ」

 

自信たっぷりに言った俺の言葉に、常連さんは「そうかい...そうかい...」と何度も頷いた。

すると突然……

 

「良かったね〜、沙綾ちゃん。こんな頼りになりそうな彼氏さんで」

 

いきなり爆弾発言をしてくる常連さん、その言葉を聞いた沙綾は耳まで真っ赤にしながら慌てて否定する。

 

「ち、違います!/// 咲真先輩はか、彼氏じゃ無くて、ただの学校の先輩ですから!///」

 

沙綾がどれだけ否定しても、常連さんは微笑ましそうにするだけ。

 

「照れなくてもいいのよ〜!で、いつ結婚するの?」

 

懲りずに再び爆弾を投下してくる常連さん、遂に沙綾の顔は隅々まで真っ赤に染まってしまう。

 

「け、結婚⁉︎/// だから違うんですって〜!///」

 

必死に否定する沙綾、そろそろ限界だろうと思い俺は助けを出す。

 

「あんまりうちの先輩をからかわないで下さいよ」

 

俺の指摘に、常連さんは、あらあらととぼけた態度を取る。それを聞いた沙綾も、えっ⁉︎と驚き目を見開いている。

 

「あら?気づかれちゃったかしらw ごめんなさいね〜沙綾ちゃん」

 

「えっ、え〜〜〜⁉︎///」

 

沙綾はからかわれていた事を知ると今度は別の羞恥で顔を赤くした。常連さんはそのまま店を後にして、自分の家へと帰っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから数十分後....

 

「〜〜〜!!//////」

 

俺の隣には、あの常連さんの時と同じくらい顔を赤くした沙綾がレジに突っ伏していた。

 

というのも、あれから俺たちがレジに2人でいると毎回壮年のお客さんから、「可愛らしいお嫁さんね〜」だとか、「新婚さんね〜初々しいわ」などとからかいの言葉をかけられ、その度に沙綾が真っ赤な顔で否定するというお決まりの流れが出来てしまった。

 

俺は最初から冗談だと分かっていたため、そこまで被害は無いが、沙綾は肉体的だけじゃ無く、精神的にもダメージを受けたようだ。

 

「大丈夫か?」

 

現在、お客さんもいない事もあり俺は沙綾に声をかける。

 

「はい...//」

 

沙綾はまだ若干顔を赤らめながらも、顔を上げて答える。

 

「無理そうならお前も親父さんの方へ行ったらどうだ?あらかた仕事は覚えたし、分からなかったら聞きに行くぞ?」

 

「だ、大丈夫です」

 

沙綾は自分の両頬をパシンッ!と叩き、気持ちを引き締める。

 

「よしッ!これで平気です。もう何を言われても大丈夫ですから」

 

自分ではそう言う沙綾だが、実際のところは次も結果は変わらないだろう。俺はレジの時は極力沙綾の隣に立たない様にしようと決めた。

 

カランッカランッ!

 

俺がそう考えていると、店の扉が開き1人の女の子が来店した。

 

「やっほ〜、沙綾〜」

 

「いらっしゃい、モカ」

 

灰色とクリーム色を混ぜた様な髪色のショートヘアーをした見た目からしてマイペースそうな女の子は、どうやら沙綾の知り合いらしい。

 

「いや〜、やっぱりここのパンが無いと、モカちゃんは生きていけないよ〜」

 

「またまた〜、大袈裟だなぁ〜もう」

 

会話を弾ませる沙綾とモカと呼ばれた女の子、少し話した後、沙綾は俺の方へ来て、モカと呼ばれた女の子に俺を紹介する。

 

「紹介するね、モカ。この人はうちの学校の先輩で、今日からここでバイトをしてもらってる奥沢咲真さん。で、咲真さん、彼女は友達の青葉モカ、私と同じ歳の常連さんなんです」

 

沙綾の紹介のおかげで俺と青葉モカはお互いの情報を少しだけゲットする。

 

「おお〜、どうもこんにちは〜。改めて〜モカちゃんの名前は青葉モカで〜す。よろしくお願いします、奥沢先輩」

 

「こっちこそよろしく、青葉。さっき沙綾から聞いたと思うが、奥沢咲真だ。3年だが、気にせず接してくれ。よろしくな」

 

青葉のマイペースな挨拶につられそうになったが、お互いにもう一度自分で自己紹介した俺と青葉、挨拶が終わると早速青葉はパン選びを始める。

 

「今日は〜、ど・れ・に・し・よ・う・か・な〜」

 

これまたマイペースにパンを選び始める青葉。数分後、レジへ来た青葉の手元には、これでもかと積み上げられたパンの山があった。

 

「はぁ⁉︎ どんだけだよ!!」

 

あまりの光景に自然とツッコミが漏れた俺。そんなこと気にせず、青葉はレジに大量のパンを置いた。

 

「お願いしま〜す!」

 

パンが待ちきれないのか、声が弾んでいる青葉。俺は状況に驚きながら、会計を始める。

 

 

 

「……計25点で…お会計3750円になります…」

 

「ポイント払いで〜」

 

俺が若干引きながら会計を終わらせ、代金を言うと、青葉は財布からこの店のポイントカードを取り出して、俺に手渡す。

 

更に驚いたことに、ポイントカードの中には同じものがもう1セット買えるだけのポイントが入っていた。どれだけ来てんだよ.....

 

「いつもありがとね、モカ。今日はこれから練習?」

 

パンが大量に入った袋を両手に抱える青葉に、沙綾がそんな質問をする。

 

「そだよ〜、練習の前はここのパンを食べないと力が入らないからね〜」

 

「練習?」

 

沙綾の言う練習がなんの事か分からなかった俺は、沙綾と青葉に聞き返した。

 

「はい。実はモカちゃん...悪の組織と戦うために必殺技の練習をしているのです」

 

「いや、冗談だろ」

 

青葉のあまりのボケに、すぐにツッコミが出た。

 

「もう〜、つれないな〜先輩」

 

青葉はノリに乗らなかった俺に不満そうな顔を向ける。

俺はそんなこと御構い無しに、もう一度青葉に聞いた。

 

「で、本当は何の練習なんだ?」

 

「バンドですよ〜こう見えてあたし〜バンドでギターやってるんで〜」

 

確かに意外な事実ではあったが、ここ最近奇天烈バンドに振り回される事もあったため、思ったよりも驚かない自分に、短期間での成長を感じる俺。

 

「へぇ〜」

 

「あれ?あんまり驚かないんですね〜、てっきり腰を抜かすと思ってたのに〜」

 

「流石にそこまで驚かないだろ...」

 

青葉の掴み所のない発言に俺が手を焼いていると、時計を見た青葉が

 

「あっ、そろそろライブハウスに行かないと。他のメンバーがモカちゃんロスで死んじゃう〜」

 

「随分と限定的な死因だな...」

 

青葉はそう言うと店の扉を開け、扉をくぐったところで俺たちに振り向き。

 

「またね〜、沙綾〜、奥沢先輩〜」

 

そう言って彼女はそそくさとバンドメンバーが待つライブハウスへかけて行った。

 

「なんか...こころとはまた違う変な奴だったな」

 

「アハハ....ああ見えてモカって結構しっかりしてるんですよ?」

 

「そうなのか?」

 

掴み所のない少女にこれからも手を焼きそうだと思う俺だった。

 

 

 

 

 

 

 

青葉が店を後にしてから数時間がたち、外も夕焼け色に染まってきた。この時間は夕飯の買い出しもあってか、商店街の人通りは多くなっている。

沙綾と俺は、2人で接客とレジ打ちを分担して行いながら、次々と仕事を捌いて行った。

 

「沙綾〜、ちょっと来てくれ〜」

 

奥から親父さんの呼ぶ声が聞こえ、沙綾は店の奥へ向かう。

 

「はーい。先輩ごめんなさい、ちょっとの間1人で任せていいですか?」

 

「おう、行ってこい」

 

俺がそう言うと、沙綾は店の奥へ入っていった。

 

1人になった俺だが、幸いにも現在お客さんも少なく沙綾がいないうちに出来るだけ仕事を進めておこうと、動く。その時……

 

カランカランッ!

 

と、扉の開いた音が聞こえた。

 

「いらっしゃいませ〜」

 

俺が言いながら扉の方を見ると、そこにはギターケースを背負った猫耳の様な髪型をした茶髪の少女と同じくギターケースを背負った茶色でロングストレートの髪の少女、短い黒髪で俺を見るなり茶髪ロングの少女の後ろに隠れた少女、そして金髪ツインテールの少女の4人組の女の子たちが来店した。

 

「あれ⁉︎さーやじゃないッ⁉︎」

 

「さーや、いつのまにか男になったの?」

 

「ええッ⁉︎ この男の人がさーやちゃんなの⁉︎」

 

「んなわけねえだろッ!! どっからどう見てもバイトの人だろうがッ!!」

 

いきなり騒がしいな〜....と、俺はこころの中で思った。思わず口に出そうになったが、なんとか我慢する。

今の会話だけで、金髪ツインテールの子が苦労していることがわかった。というか、茶髪ロングの子よ...なんとも自由な発想だな...

 

俺はこころの中でツッコミを入れ、勇気を持って4人組の少女たちに声をかけた。

 

「いらっしゃい、君たちは沙綾の友達?」

 

俺の質問に、猫耳ヘアーの女の子が元気よく答えた。

 

「はい!私たちはさーやの友達です!」

 

「そっか」

 

「ところで、あなたは誰ですか?」

 

「ああ、俺は……」

 

俺が自己紹介しようとしたところで、作業を終え、騒ぎを聞きつけた沙綾が奥から帰ってきた。

 

「咲真さんどうしました?随分と賑やかですけど....」

 

「あっ!さーや!!」

 

「えっ⁉︎ 香澄⁉︎」

 

香澄と呼ばれた猫耳ヘアーの少女は沙綾を見るなりすぐに飛びついた。

 

「もう、危ないよ」

 

注意する沙綾だったが、その顔はどこか嬉しそうだった。

 

「ごめんごめん。ところでさーや、この人って?」

 

香澄と呼ばれた少女の質問に、沙綾が答えようとするが、俺がそれを止め自分から名乗った。

 

「俺は奥沢咲真、今日からここでバイトさせてもらってる花咲川の高校3年生だ。よろしくな」

 

「先輩だったんですか⁉︎」

 

俺の自己紹介に香澄と呼ばれた少女が食いついてきて顔を近づけてきた。あの瞳はなぜかキラキラと輝いていて、こころから向けられる視線と同じ様なものを感じた。

 

「こら香澄!失礼だろッ!」

 

俺に顔を近づける少女を金髪ツインテールの少女が引き剥がす。

 

そして、4人組の少女は俺に自己紹介する。

 

まずは猫耳ヘアーの少女が元気よく俺に自己紹介する。

 

「はいはーい!私、戸山香澄です!花咲川の1年生、キラキラドキドキ出来ることが好きです!よろしくお願いします、奥沢先輩!」

 

続いて茶髪ロングのおっとりした少女

 

「初めまして、花園たえです。みんなからは『おたえ』って呼ばれてます。好きなものはギターとうさぎ。よろしくね先輩」

 

続いて黒髪ショートの臆病そうな少女

 

「は、はじめまして。牛込りみです。え、えーっと好きなものはこのお店のチョココロネです。よく買いに来ると思うので、よろしくお願いします」

 

最後に金髪ツインテールの女の子なのだが……

 

「…………」

 

女の子は、恥ずかしそうにしながら目を伏せる。すると……

 

「有咲〜、早くしないと〜」

 

戸山が有咲と呼んだ少女を急かす。

 

「ちょ、待てって!まだ心の準備がッ⁉︎」

 

戸山に背中を押され、顔を赤くしながら慌てる少女。

 

「あ〜もう!分かった!やればいいんだろ!やれば!」

 

少女は吹っ切った様に自己紹介を始める。

 

「市ヶ谷有咲です。えっと...その....よ、よろしくッ!」

 

シンプルな自己紹介に、俺は吹き出すのを抑えられなかった。

 

「プッ...アハハッ! そんなに難しいなら無理にしなくても良かったのに」

 

俺に笑われた事に、市ヶ谷有咲は顔を赤らめる。

 

「よろしくな、戸山、花園、牛込、市ヶ谷」

 

俺の返しにはいっ!と元気よく答える戸山と花園、牛込と市ヶ谷も自分の出せる声で返事をする。

 

自己紹介が終わると、戸山が沙綾に話しかける。

 

「ねぇ沙綾。一緒にバンドやろう?」

 

戸山がいきなり沙綾を勧誘している。勧誘されている沙綾はどこか辛そうな表情をして、顔を伏せる。

 

沙綾の気持ちを察した俺は、話題をそらす。

 

「なぁ戸山、お前たちもバンドやってるのか?」

 

「……!!」

 

俺の質問に戸山はすぐに食いついて来た。俺が話題をそらした事に気づき、沙綾は顔を上げる。

 

「そうなんです!あっ!もしかして先輩も⁉︎」

 

「い、いや...俺じゃなくて妹がやってるんだ」

 

「へぇ〜そうなんですか!」

 

どうやら俺も思惑どおり戸山から話をそらす事に成功した。そのかわり俺がハイテンションの質問責めにあう。

 

 

 

 

「また学校でね〜、沙綾〜!奥沢先輩〜!」

 

店の外で戸山が大きく手を振って帰っていく。個性的な4人組が来店してから数分がたち、4人は帰って行った。

店の中にはお客さんはおらず、俺と沙綾の2人だけ、すると突然沙綾が喋りかけてくる。

 

「さっきはありがとうございました」

 

さっきとは戸山の話をそらした事を言ってるのだろう。俺は気にするなと声をかける。

 

沙綾の顔は先程から暗いままだ。俺はそんな顔を見ていられず、自然と沙綾の頭に手を伸ばしていた。

 

「……ッ⁉︎///」

 

沙綾は顔を赤くし目を見開ながら、俺の顔を見る。

 

「何があったのかは聞かないが、1人で抱え込むなよ。お前を心配してくれる人は沢山いるんだ。誰も迷惑だなんて思わないから」

 

俺の言葉に沙綾の目が少し潤む。だが、まだ我慢している様で涙が落ちることは無かった。

 

俺は少しでも沙綾に甘えて欲しかった。彼女は全部自分で何とかしようとする。それが悪い事では無い。だが、人は溜めたものは吐き出さないといずれ破裂して壊れてしまう。

そんな思いを彼女にはして欲しくなかった。だから俺は、勝手な約束をする事にした。

 

沙綾の前に小指を立てて言った。

 

「じゃあ約束だ。誰にも言えないくらい心配かけたく無いなら、俺に言うこと。俺はそれまで何も言わないし、聞かない。沙綾が自分から言うまで俺は何もしない」

 

俺の言葉に理解が及ばない沙綾。そんな沙綾に俺は続ける。

 

「俺は沙綾が自分から言ってくれる事を信じる事にした。信じて待つ事にした。沙綾が自分で言ってくれるまで俺はずっと信じる。沙綾は信じる俺を裏切ったりしないよな?」

 

「っ⁉︎」

 

俺は勝手に沙綾を信じる事で、沙綾が俺を裏切れない様にした。これは勝手で無茶な約束だ、沙綾の優しさにつけ込んだ行為だと自覚している。だけど、これぐらいしないと沙綾は自分から言ってはくれないと思った。

 

「ズルいな〜…咲真先輩は……」

 

たとえズルくても卑怯でも、俺は沙綾を放って置けなかった。

 

「大人ってのはズルいもんなんだよ」

 

「じゃあいつか...聞いてくれますか?」

 

沙綾は少し震える声で俺にお願いしてくる。

 

「おう、待ってる」

 

俺はすぐに答えた。

 

 

 

こうして、俺の人生初バイトが幕を閉じた。




本日はここまでです。読んでいただきありがとうございました。

キャラの説明の時によく思うんですけど、髪色ってどう表現したらいいんですかね...ハロハピやパスパレのメンバーは分かりやすいんですが、今回の話で言うとモカの髪色はなんで言うのか分からなかったんですよね笑笑
知っている人がいたら、教えていただけると有難いです。
(ついでに他のメンバーの髪色も教えていただけるとなお嬉しいです)
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