今回から文化祭+ポピパ結成を2〜3回に分けて書いて行こうと思います。
最近メインヒロインのこころより、沙綾の方がヒロインしている気がしますがお許し下さい。(こういう場合ってタグを追加した方が良いのか?)
※今回の話で、咲真のクラスメイトが数人登場します。基本は学校行事の話とかにのみ登場するので、そこまで気にしていただかなくても構いません。(ちょっとした説明は後書きの方に書いてあります。)
「よーし、じゃあ文化祭の出し物を決めるぞ〜」
教壇に立ったクラス委員長の東丘が、友達同士のお喋りで騒がしい3-Bの全員に声をかける。
その声に反応したクラスメイトたちは、その場で顔を委員長である東丘の方へ向け、話を聞く体勢を取る。
「俺たち3年はこれが最後の文化祭だ。思いっきり盛り上げて、忘れる事の無い文化祭にするぞ!」
テンションが高くなっている事が手に取るようにわかる東丘。クラスのみんなも東丘の最後の文化祭と言う言葉で、やる気が出たのか、おおッ!と口を揃えて返事をする。
「みんなやる気だね!やっぱり最後の文化祭だからかな?」
俺の席の机に腰掛けて座る和泉が、顔を横に倒し俺の顔を覗き込む様にして聞いてくる。
「だろうな。大学でも学祭みたいなのはあるけど、卒業したら就職する奴もいるだろうし、3年間で出来た友達との最後の文化祭だからな」
そうだね...と和泉はどこか寂しげに返す。....どうした?和泉らしく無いな...。
俺と和泉が話している間にも、委員長の仕切りの元、それぞれがやりたい事を黒板に書き出していく。
「劇」「お化け屋敷」「映画」「メイド喫茶」などお馴染みの物から、「サバゲー」「料理対決」「逃○中」など変わり種も出ている。いやいや、サバゲーって...ピンポイントすぎるだろ....
そう思っているうちに、話し合いは進んでいく。
「ここは断然メイド喫茶だろ! 和泉のメイド姿が見れるんだぞ!」
話し合いの中で、クラス一のお調子者の西田がそんな意見を出す。
「えっ⁉︎ 私ッ⁉︎ 無理無理、無理だって〜⁉︎」
いきなり名前を出された和泉は立ち上がり、慌てて否定する。
和泉はそのルックスと誰にでも優しい性格から、男子からの人気が高い。俺もよく和泉を紹介してくれと他のクラスの奴にせがまれる事がある。
すると、和泉のメイド姿を意地でも見たい男子は、話の矛先を俺に向けてきた。
「なぁ奥沢! お前も見たいよな! 和泉のメイド姿!」
「えっ…」
突然話を振られた俺は、言葉を詰まらせる。
「お、奥沢君⁉︎ ……奥沢君も見たいの?///」
顔を赤らめながら、俺に聞いてくる和泉。俺はどう答えるべきかと言い淀んでいる。すると、西田を筆頭に男子たちから執念が篭った視線が送られてくる。.....そんなに見たいのかよ、メイド姿。
そんな視線を浴びながらどう答えたものかと考える。正直言うと、俺も和泉のメイド姿は見てみたい。が、これは言っても良いのか分からない。ただでさえ和泉は顔を赤くしながら聞いてきてるのだ、メイド姿で人前に出るのは、相当難しいと思う。
どうしたものかと考えていると、話を聞いていた女子たちが話に入ってきた。
「ちょっと〜、やめときなって。渚が困ってんじゃん」
話に入ってきたのは、普段から和泉とよく一緒にいる北見だった。
「なにを〜! これは男のロマンだ!女子は入ってくんじゃねぇ!」
西田の言葉を聞いて、北見は呆れてものが言えないようだ。はぁ...とため息をついた後、鋭い目つきで西田を睨む。
「あのね〜、何意味不明な理論立ててんのよ。女子は入ってくるな?あんたのロマンを叶えてやるのは女子でしょうが!女子だけ恥ずかしいおもいさせて、あんた達男子が喜んでもこっちは何も嬉しくないのよ!」
と、北見は一呼吸置いて...
「それから奥沢!」
「ハッ、ハイッ!!」
急に名前を呼ばれた俺は、北見の迫力に、背筋をピンッ!と伸ばして返事をした。
「あんたもさっさと否定しなさいよ。あんだけ一緒にいて、渚がどうして欲しいかくらい分からないわけ?」
「も、申し訳ありませんでした...」
北見の正論パンチが炸裂し、西田は何も言い返せず床に沈んだ。巻き添えを食らった俺も、北見の空気に押し込まれ、背筋を伸ばしたまま動けなくなった。
北見の男らしい説教に、クラスメイト達からパチパチパチ...と静かな拍手が送られる。
「と、とりあえず...メイド喫茶はやめとこうか...」
緊迫した空気の中、東丘はなんとか声を出し言葉にした。委員長の意見に男子たちが全員異議無ーし...と弱々しく答えた。
「........私は別に....奥沢君が見たいって言うなら.....///」
座りながら呟いた和泉の声は小さく、咲真の耳には届かなかった。
それから数十分、意見は出るもののこれといったものが決まらない。周りを見ると、飽きてスマホをいじり始めているものも数人いる。すると、しびれを切らしたのか西田がもう一度立ち上がり……
「このままじゃラチがあかねえ!やっぱりメイド喫茶だろ!それしかない!」
西田の発言に、北見がまた呆れたといった顔で否定しようとする。
「あんたね、さっきも言ったけどメイド喫..「いいんじゃない?」茶って...ええッ⁉︎」
北見の言葉を遮り、西田の意見に同意したのは、クラスの女子の中でトップの成績を誇る優等生の南川だった。
「ちょっと⁉︎ アンタまで何言ってるのよ!」
南川の同意を聞いて、慌てて詰め寄る北見。南川はそんな北見を見て慌てて否定する。
「違う違うッ!! 良いっていうのは喫茶店の方で、メイドの事じゃないよ〜⁉︎」
どうやら南川が西田に同意したのは、メイド喫茶の喫茶の部分だけだったらしく、味方がいたと思った西田も肩を落としている。
「このままじゃ決まらないし、喫茶店なら定番だしアイデア次第で色んなことが出来るんじゃないかと思ったの」
南川からの提案に、再び異議無ーし...と声が揃う。
「じゃあどんな喫茶店にするか決めようか」
東丘の言葉に、ハイハイハーイ!とまたしても西田が懲りずに手をあげる。
「ちょっと、もうメイドなんて言わないでよね」
北見が釘をさすと、西田が大声で否定する。
「違えよ! 俺がやるのは...奥沢ッ!!」
と、いきなり俺を指差してくる西田に俺は何だよ...と視線を送る。
「お前最近...和泉だけじゃなく、可愛い1年にまで手ェ出しやがって!モテる奴はゼッテェ許さねえ!」
「何のことだよッ⁉︎」
いきなりのデタラメ発言に慌てる咲真、何のことかと西田を問いただそうとする。
「とぼけんじゃねえ!俺は知ってるんだぞ、お前!この前体育館の渡り廊下で金髪の1年生に抱きつかれてたじゃねえか!」
西田のカミングアウトに、クラス全体が衝撃を受ける。
が、当の本人はそれ以上に衝撃を受けていた。
「(あれか〜〜!! こころがいきなり抱きついてきた時の....見られてたのか〜ッ!!)」
頭を抱える咲真、すると突如、強烈な寒気に襲われる。
「奥沢君……?」
「ッ!!!」
見ると、和泉が満面の笑みで俺を見ていた。ただ、目は全く笑っていない。咲真は慌てて言い訳をする。
「ち、違ッ!あれはこころが……」
咲真が言い訳をしようとしたところで、
「それだけじゃねえ!」
西田が更に咲真に追い打ちをかける。
「先週の土曜日、お前はパン屋の前で1年生っぽい子と楽しそうに話してたよな! しかも最後には頭ポンポンまでしてよ〜!!」
またしても飛び出したカミングアウト、クラス全体が再び衝撃を受け、男子からの憎悪に満ちた視線が咲真に突き刺さる。
「(何でアイツ俺のバイト終わりを見てんだよ! 終わったの結構夜遅かっただろ!)」
咲真は再び心の中でツッコミを入れるが、時すでに遅し、咲真の目の前には、満面の笑みで絶対零度のオーラを纏った和泉が咲真を見下ろしていた。
「ま、待て和泉! それはバイトの帰りだっただけで、特に他意はない!頭を撫でたのも、妹にやるみたいに自然に出たというか...」
「へぇ〜...うんうん...それでそれで?」
和泉の雰囲気は変わる気配が無い。終わった...と心の中で嘆く咲真に、救いの手が差し伸べられた。
「盛り上がってるとこ悪いが、いいか?」
この話し合いを仕切っていた東丘が咲真たちに声をかける。
「で、結局西田の案ってなんなんだ?」
東丘の話題転換に感謝する咲真。話を振られた西田は、待ってましたと言わんばかりに話し出す。
「その2つの話を聞いてだなー1つ思ったわけよ。リア充は屠るべし!奥沢には、罰として女装をして文化祭を過ごしてもらう!」
「はぁッ⁉︎」
いきなりの女装案に開いた口が塞がらない咲真。無理だと抵抗しようとしたが、リア充撲滅を願う男子たちによって抵抗虚しく、咲真の文化祭期間限定女装が確定した。
「なんで俺が....」
うなだれる咲真に、委員長の東丘が肩をポンッと叩く。
「ドンマイ♪」
いい笑顔で言われた咲真は、お前もそっち側か〜!と嘆くのだった。
その後、話し合いの結果、3-Bの出し物は赤ずきんや白雪姫、三匹の子豚など童話の登場人物の格好でする喫茶店「メルヘン喫茶」という事に決まった。その中で咲真だけが、性別を逆転させたお姫様の格好をさせられることに決まった。男子たちは、咲真への報復が出来たことと、可愛い姫さま衣装の女子たちを見れるとあって、賛成していた。
「じゃあ、3-B! 最後の文化祭、全力でやるぞー!」
「「「「「おう!!」」」」」
盛り上がるクラスの中で、咲真だけが心の底から嫌そうに突っ伏していた。
本日はここまでです。読んでいただきありがとうございました。
下記は、今回登場した咲真のクラスメイトの詳細です。
東丘…3-Bのクラス委員。真面目でしっかりとした性格だが、喧嘩がかなり強い。
西田…クラス一のお調子者もの。テキトーな発言をしては、よくみんなから叱られる。
北見…和泉と仲のいいしっかりとしたお姉さんタイプの女子。口から飛び出す正論パンチは威力絶大。
南川…クラストップの成績を誇る優等生の女子。分け隔てなく誰にでも優しく接する。